ここでは、運用サイトのハードウェア環境が復旧し、バックアップサイトから運用サイトへの切戻しを行う際の運用方法について説明します。
切戻し運用の手順は、切替え手順と同じ手順で実施できますが、事前の手順として以下の操作が必要です。
管理製品の情報クリア
運用サイトの被災が環境全体におよばない場合、もともと運用サイトで使用されていた管理製品の情報が被災を免れたハードウェアに残っている可能性があります。たとえば、ETERNUS上のホストアフィニティやDHCPにおけるアドレスの予約など、残ったすべての管理製品の情報を削除してください。
また、物理L-Server切替え(物理OS)または物理/仮想L-Server切替え(VMホスト/VMゲスト)を行う環境で、計画外の切替え(運用サイトにアクセスできない状態でバックアップサイトへの切替え)を行った場合、旧運用サイトのVIOMの情報が、実際の物理サーバの状態と一致しない状態になることがあります。
この状態を解消するため、計画外の切替えを行った場合、切戻しを行う前に、旧運用サイトのVIOMで管理しているすべての物理サーバに対して、インベントリーブートを行ってください。
運用サイトの導入
切戻し先の運用サイトの環境を構築します。ここで構築する環境は、Disaster Recovery環境を構築した際のバックアップサイトの環境と同じ環境構築が必要です。構築手順の詳細は、「第3章 構築」を参照してください。
切戻し時に使用するファイルの作成
「3.6 切替え時に使用するファイルの作成」で作成したファイルの内容を編集します。
切替え元サイトのリソースと切替え先サイトのリソースの記載内容を逆にしてください。
切戻し情報の採取
切戻しを行うためにバックアップサイトで動作していた情報を切戻し情報として採取します。切戻し情報採取の詳細は、「4.1 通常運用」を参照してください。
バックアップサイトからレプリケーション開始
バックアップサイトから運用サイトに切り戻すため、ストレージ装置のレプリケーションを行ってください。
なお、Active-Active運用の場合には、切戻しのあとに以下の操作が必要です。
定義ファイルの復旧
「4.2.8 切替え元サイトの設定ファイルの復元【切替え先サイト】」で定義ファイルをマージしている場合、バックアップサイト(切戻し元サイト)にある各定義ファイルから、不要な設定を削除してください。
不要なリソースの削除
テナント単位で切戻しを行った場合でも、ユーザー、ユーザーグループ、およびL-Serverテンプレートは、バックアップサイトのリソースも含めてインポートされます。不要なリソースについては手動で削除してください。
注意
以下の場合、切戻し後に切替え元サイトから切替え先サイトへのストレージ装置のLUNのレプリケーションを必ず実施してください。
物理L-ServerのディスクはダイナミックLUNミラーリングを使用して作成している。かつ、
切戻し時に、L-Server作成時に自動定義されたコピーペアを使ってレプリケーションを実施した場合。
本条件では、切戻し後のディスクは通常運用時と同様にダイナミックLUNミラーリングで割り当てたディスクとして扱われます。
ダイナミックLUNミラーリングで割り当てたディスクを削除する場合、LUNのレプリケーションの停止およびレプリケーション先のディスク削除もあわせて実施されます。
そのため、切替え元サイトから切替え先サイトへのストレージ装置のLUNのレプリケーションが実施されていない場合、L-Server削除やディスク削除がエラーになります。