(1) 物理インタフェースの確認
使用する物理インタフェースがシステムに実装されているかどうかを、prtconf(1M)コマンドを実行して確認してください。
# prtconf -D | grep “物理インタフェース名” |
例えば、qfeを使用する場合、以下のように実行してください。
# prtconf -D | grep qfe SUNW,qfe, instance #0 (driver name: qfe) SUNW,qfe, instance #1 (driver name: qfe) SUNW,qfe, instance #2 (driver name: qfe) SUNW,qfe, instance #3 (driver name: qfe) |
上記例の場合、qfe0,qfe1,qfe2,qfe3が使用可能であることがわかります。prtconf(1M)コマンドの詳細については、Solarisのマニュアルを参照してください。
使用する物理インタフェースがシステムに実装されていない場合は、NICを本体装置に追加してください。なお、NICを本体装置に追加した場合は、okプロンプトからboot -rコマンドを実行してシステムを起動するなどして、予め本体装置に追加したNICを認識させてから、再度上記の処理を行ってください。
参考
タグVLANインタフェースを使用する場合は、使用するNICがタグVLAN機能(IEEE802.1Q)に対応していることを確認してください。また、タグVLANインタフェースの設定方法については、各イーサネットドライバのドキュメントを参照してください。なお、伝送路二重化機能として指定可能なVLAN-IDの有効範囲は、1~4094までです。
(2) ネームサービスの設定確認
DNS運用、NIS運用などのネームサービスを使用する場合には、hosts、netmasks、ipnodesのキーワードには、先にローカルファイルを参照するように設定(/etc/nsswitch.confファイル)してください。本設定により、DNSサーバまたはNISサーバと通信ができない状態でもアドレス解決が正常に実行されます。以下に、/etc/nsswitch.confファイルの設定例を示します。
# # /etc/nsswitch.files: # # An example file that could be copied over to /etc/nsswitch.conf; it # does not use any naming service. # # "hosts:" and "services:" in this file are used only if the # /etc/netconfig file has a "-" for nametoaddr_libs of "inet" transports. passwd: files group: files hosts: files dns ipnodes: files networks: files protocols: files rpc: files ethers: files netmasks: files bootparams: files |
注意
伝送路二重化機能で設定するアドレスおよびホスト名(仮想IPや物理IPに付加するホスト名)を定義する際、IPv4アドレスのみを使用する場合でも、/etc/inet/hostsと/etc/inet/ipnodesファイルの両方に設定を行ってください。
(3) OSのネットワーク設定ファイルの確認
OSのネットワーク設定ファイル(/etc/hostname.interfaceファイル、または/etc/hostname6.interfaceファイル)でIPアドレスを設定する場合、NICやSB(システムボード)などのハードウェアが故障したときに備えて、以下のように設定することを推奨します。
高速切替方式の場合
二重化する両物理インタフェースに対するネットワーク設定ファイルとして、以下のいずれか、または両方のファイルを作成します。
/etc/hostname.interface
/etc/hostname6.interface
RIP方式の場合
二重化する両物理インタフェースに対するネットワーク設定ファイルとして、以下のファイルを作成します。
/etc/hostname.interface
NIC切替方式の場合
二重化する物理インタフェースのうち、どちらかの物理インタフェースのネットワーク設定ファイルとして、以下のいずれか、または両方のファイルを作成します。
/etc/hostname.interface
/etc/hostname6.interface
GS/SURE連携方式の場合
二重化する物理インタフェースのネットワーク設定ファイルを作成する必要はありません。
注意
Solaris 10 OSは、システム起動時にハードウェア故障などが原因でhostname.interfaceに記載したすべてのIPアドレスを割り当てることができない場合、伝送路二重化機能を含むネットワークに関連するサービスが起動されません。以下に示す図のようにhostname.interfaceファイルを作成して、ハードウェア故障時でも伝送路二重化機能が起動するように設定してください。
NIC切替方式の場合は、以下の図のように、システム起動時に少なくとも1つの物理インタフェースが活性化の対象となるように、ネットワーク設定ファイルを作成することを推奨します。
図3.2 NIC切替方式におけるOSの設定ファイルの配置例
また、システムボードを冗長化している場合は、以下の図のように、システム起動時に少なくとも1つの物理インタフェースが活性化の対象となるように、それぞれのシステムボードに、1つ以上のネットワーク設定ファイルを作成することを推奨します。
搭載されているNICの数が少ないなどの理由によって上記の対処ができない場合は、システムの再起動時に、ネットワーク設定ファイルに対する物理インタフェースが異常でないことを確認してからシステムを再起動してください。
図3.3 システムボードを冗長化している環境におけるOSの設定ファイルの配置例
NIC切替方式(物理IP引継ぎII)の場合は、クラスタのノード間でIP重複が発生しないようする必要があります。ネットワーク設定ファイルを空ファイルとして作成し、IPアドレスが設定されないようにしてください。ネットワーク設定ファイルを作成する場合は、二重化する物理インタフェース以外に、システム起動時に少なくとも1つの物理インタフェースが活性化の対象となるように、ネットワーク設定ファイルを作成してください。
IPv4アドレスを使用する場合、伝送路二重化機能で設定するIPv4アドレスおよびホスト名(仮想IPや物理IPに付加するホスト名)を、/etc/inet/hostsファイルに定義します。
なお、環境定義でホスト名を使用せずにIPアドレスを直接指定する場合にも必ず/etc/inet/hostsファイルに定義してください。
IPv6アドレスを使用する場合、伝送路二重化機能で設定するIPv6アドレスおよびホスト名は、/etc/inet/ipnodesファイルに定義してください。
IPv4アドレスを使用する場合、使用する物理インタフェースは、仮想インタフェースの定義を行う前に、必ず、TCP/IPで使用するための定義を行ってください。(/etc/hostname.interfaceファイルの有無を確認し、存在しない場合は作成してリブートしてください。)
IPv6アドレスを使用する場合、使用する物理インタフェースは、仮想インタフェースの定義を行う前に、必ずIPv6で使用するための定義を行ってください。(/etc/hostname6.interfaceファイルの有無を確認し、存在しない場合は作成してリブートしてください。なお、作成する/etc/hostname6.interfaceファイルは必ず空ファイルとしてください。)
IPv6アドレスを使用する場合は、高速切替方式が動作するSolarisサーバにおいて、2台以上をIPv6ルータとして設定してください。IPv6ルータの故障が発生した場合、サイトローカルアドレスを使用した通信が行えなくなるため、最低でも2台をIPv6ルータとして設定することを推奨します。また、複数のサーバでIPv6ルータを設定する場合は、/etc/inet/ndpd.confに設定する仮想インタフェースのprefix情報を、サーバ間で一致させてください。
以下にIPv6ルータとしてSolarisサーバを使用する場合の/etc/inet/ndpd.confの設定例を示します。(/etc/inet/ndpd.confの詳細については、Solarisのマニュアルを参照してください。)
ifdefault AdvSendAdvertisements true # すべてのInterfaceでルータ広報を送信 prefix fec0:1::0/64 sha0 # sha0からPrefix fec0:1::0/64を送信 |
伝送路二重化機能で設定するIPv4アドレスおよびホスト名(仮想IPや物理IPに付加するホスト名、ルータ監視を行う場合の監視先IPアドレス)を、/etc/inet/hostsファイルに定義します。
なお、環境定義でホスト名を使用せずにIPアドレスを直接指定する場合にも必ず/etc/inet/hostsファイルに定義してください。
使用する物理インタフェースは、仮想インタフェースの定義を行う前に、必ず、TCP/IPで使用するための定義を行ってください。(/etc/hostname.interfaceファイルの有無を確認し、存在しない場合は作成してリブートしてください。)
動的に経路情報を変更する必要があるため、ルーティングデーモンを起動するように設定を行います。基本OSがSolaris 8、またはSolaris 9の場合、/etc/defaultrouterおよび/etc/notrouterファイルを作成してはいけません。ファイルの有無を確認し、存在する場合には、変名または削除を行ってください。なお、基本OSがSolaris 10の場合、ルーティングデーモンの設定はrouteadm(1M)コマンドを使用して定義します。以下に、ルーティングデーモンの設定方法を示します。
ルーティングデーモンの設定(Solaris 10の場合のみ): # routeadm -e ipv4-forwarding # routeadm -e ipv4-routing # routeadm -s ipv4-routing-daemon="/usr/sbin/in.routed" # routeadm -s ipv4-routing-daemon-args="-s" # routeadm Configuration Current Current Option Configuration System State --------------------------------------------------------------- IPv4 forwarding enabled disabled IPv4 routing enabled disabled IPv6 forwarding disabled disabled IPv6 routing disabled disabled IPv4 routing daemon "/usr/sbin/in.routed" IPv4 routing daemon args "-s" IPv4 routing daemon stop "kill -TERM `cat /var/tmp/in.routed.pid`" IPv6 routing daemon "/usr/lib/inet/in.ripngd" IPv6 routing daemon args "-s" IPv6 routing daemon stop "kill -TERM `cat /var/tmp/in.ripngd.pid`" # routeadm -u |
伝送路二重化機能では、経路情報の初期化およびルーティングデーモンの再起動を行う場合があります。従って、静的に経路情報を設定している場合には/etc/gatewaysに静的経路を記述しておく必要があります。
本方式では、RIPによるダイナミックルーティングを使用するため、システム起動時にICMPルータ検索プロトコルであるRDISCを起動させないようにしてください。RDISCの起動を抑止するには、/usr/sbin/in.rdiscを変名し、システムをリブートしてください。
本方式の設定については、“3.2.2.2 高速切替方式の設定”および“3.2.2.3 RIP方式の設定”を参照してください。
IPv4アドレスを使用する場合
伝送路二重化機能で設定するIPv4アドレスおよびホスト名(仮想IPや物理IPに付加するホスト名、監視先IPアドレス)を、/etc/inet/hostsファイルに定義します。
なお、環境定義でホスト名を使用せずにIPアドレスを直接指定する場合にも必ず/etc/inet/hostsファイルに定義してください。
使用するプライマリ物理インタフェースは、仮想インタフェースの定義を行う前に、TCP/IPで使用するための定義を行ってください。(/etc/hostname.interfaceファイルの有無を確認し、存在しない場合は作成してリブートしてください。)
伝送路二重化機能では、動的に経路情報を獲得する運用において、経路情報の初期化およびルーティングデーモンの再起動を行う場合があります。従って、動的に経路情報を獲得する運用において静的な経路情報を設定したい場合には、/etc/gatewaysに該当の静的経路を記述しておく必要があります。
IPv6アドレスを使用する場合
伝送路二重化機能で設定するIPv6アドレスおよびホスト名は、/etc/inet/ipnodesファイルに定義してください。
使用する物理インタフェースは、仮想インタフェースの定義を行う前に、必ずIPv6で使用するための定義を行ってください。(/etc/hostname6.interfaceファイルの有無を確認し、存在しない場合は作成してリブートしてください。なお、作成する/etc/hostname6.interfaceファイルは必ず空ファイルとしてください。)
必ず接続されるネットワーク上にIPv6ルータを設置してください。また、伝送路二重化機能で設定するIPv6アドレスのprefixおよびprefix長には、IPv6ルータで設定されているものと同一のものを指定してください。なお、IPv6ルータとしてSolarisサーバを使用する場合は、2台以上をIPv6ルータとして設定してください。IPv6ルータの故障が発生した場合、サイトローカルアドレスを使用した通信が行えなくなるため、最低でも2台をIPv6ルータとして設定することを推奨します。複数のサーバでIPv6ルータを設定する場合は、/etc/inet/ndpd.confに設定する仮想インタフェースのprefix情報を、サーバ間で一致させてください。以下に/etc/inet/ndpd.confの設定例を示します。(/etc/inet/ndpd.confの詳細については、Solarisのマニュアルを参照してください。)
ifdefault AdvSendAdvertisements true # すべてのInterfaceでルータ広報を送信 prefix fec0:1::0/64 hme0 # hme0からPrefix fec0:1::0/64を送信 prefix fec0:2::0/64 hme1 # hme1からPrefix fec0:2::0/64を送信 |
伝送路二重化機能で設定するIPv4アドレスおよびホスト名(仮想IPや物理IPに付加するホスト名、相手ホスト監視を行う場合の監視先IPアドレス)を、/etc/inet/hostsファイルに定義します。
なお、環境定義でホスト名を使用せずにIPアドレスを直接指定する場合にも必ず/etc/inet/hostsファイルに定義してください。
指定する物理インタフェースはTCP/IPで使用する定義をしてはいけません。(/etc/hostname.interfaceファイルの有無を確認し、存在する場合には、変名または削除を行い、"/usr/sbin/ifconfig interface unplumb"コマンドを実行してください。)
GS/SURE連携方式では、ダイナミックルーティングを行う必要があるため、/etc/defaultrouterファイルを作成してはいけません。(/etc/defaultrouterファイルの有無を確認し、存在する場合には、変名または削除を行ってください。)
自システムからルーティング情報を広報しないようにする必要があります。基本OSがSolaris 8、またはSolaris 9 の場合、/etc/notrouterファイルを作成します。なお、基本OSがSolaris 10の場合、ルーティングデーモンの設定はrouteadm(1M)コマンドを使用して定義します。以下に、ルーティングデーモンの設定方法を示します。
ルーティングデーモンの設定(Solaris 10の場合のみ): # routeadm -e ipv4-routing # routeadm -s ipv4-routing-daemon="/usr/sbin/in.routed" # routeadm -s ipv4-routing-daemon-args="-q" # routeadm Configuration Current Current Option Configuration System State --------------------------------------------------------------- IPv4 forwarding disabled disabled IPv4 routing enabled disabled IPv6 forwarding disabled disabled IPv6 routing disabled disabled IPv4 routing daemon "/usr/sbin/in.routed" IPv4 routing daemon args "-q" IPv4 routing daemon stop "kill -TERM `cat /var/tmp/in.routed.pid`" IPv6 routing daemon "/usr/lib/inet/in.ripngd" IPv6 routing daemon args "-s" IPv6 routing daemon stop "kill -TERM `cat /var/tmp/in.ripngd.pid`" # routeadm -u |
静的な経路情報を設定したい場合には/etc/gatewaysに記載します。
本方式では、RIPによるダイナミックルーティングを使用するため、システム起動時にICMPルータ検索プロトコルであるRDISCを起動させないようにしてください。RDISCの起動を抑止するには、/usr/sbin/in.rdiscを変名し、システムをリブートしてください。