近年の情報システムは、基幹となるサーバを中心として、様々なサーバから構築されています。
これらのサーバ間の連携技術も様々な方式がありますが、Linkexpress Transactional Replication optionはDBレプリケーションでサーバ間の連携を行うことを実現します。
DBレプリケーションの特長
DBレプリケーションによるサーバ間の連携には以下の特長があります。
データベースがそれぞれのサーバに存在するため、独立したサーバの運用が可能になります。
基幹サーバのデータベースを中心として、部門/支店などの単位でデータベースを作成し、自由にデータを利用できます。
情報分析などを行う場合には、データベースの全検索などを行う必要があり、データベースを占有して利用する必要があります。このような場合にはデータベースの複製を作成する方式が効果的です。
DBレプリケーションの方式
DBレプリケーションには以下の方式があります。
全DB複写方式
一括差分連携方式
逐次差分連携方式
抽出側となるデータベースを全検索して、必要となるデータを抽出し、利用するサーバで毎回データベースを再作成する方式です。通常は、1日~1カ月に1回の頻度でデータベースを再作成します。全DB複写方式の概要を"図1.2 全DB複写方式の概要"に示します。
主な製品として、Linkexpressを使用します。
全DB複写方式でデータベースを作成し、その後はデータベースの更新差分データを抽出し、一定の間隔で一括反映することによりデータを最新に保つ方式です。通常は、数十分~数時間の間隔で一括してデータベースにデータを反映します。一括差分連携方式の概要を"図1.3 一括差分連携方式の概要"に示します。
主な製品として、Linkexpress Replication optionを使用します。
全DB複写方式でデータベースを作成し、その後はデータベースの更新差分データを抽出し、逐次にデータを反映することによりデータを最新に保つ方式です。通常は、数十秒~数分の遅れでデータベースにデータを反映します。逐次差分連携方式の概要を"図1.4 逐次差分連携方式の概要"に示します。
主な製品として、Linkexpress Transactional Replication optionを使用します。
また、逐次差分連携方式は、データベースを利用するサーバ側のデータ鮮度が飛躍的に向上し、企業情報システムの活用の幅を拡げることができるようになります。これにより、顧客サービスの向上(取引最新情報の公開や最新在庫情報の公開など)やビジネスチャンスの拡大(タイムリーな情報分析/把握によるマーケティングなど)に寄与します。
なお、データベースによっては、Linkexpressが対応していません。その場合は、Linkexpressで文字コードを変換し、データベースのロード機能(OracleのSQL*Loaderなど)を使用して、初期DBを創成してください。
Linkexpress Transactional Replication optionの構成
Linkexpress Transactional Replication optionは、逐次差分連携方式を実現するための機能を提供します。
Linkexpress Transactional Replication optionは、以下のコンポーネントで構成されます。
Solarisサーバ/Windowsサーバ/Linuxサーバ
更新差分データをデータベースに反映するTRO
データベースの更新差分データを抽出するTJNL
非同期通信でメッセージキューを管理するTRM
非同期通信でメッセージをサーバ間で送受信するJournalTransfer
Windowsクライアント
DB連携定義ツール
Linkexpress Transactional Replication optionのコンポーネントの構成を"図1.5 コンポーネント構成"に示します。
TROは、データベースの更新差分データを各種データベースへ逐次反映します。サーバ間での更新差分データの流通のために、TRMおよびJournalTransferを利用します。
TROの詳細については、"第2部 TRO"を参照してください。
TJNLは、データベースの更新差分データを逐次抽出します。抽出した更新差分データは、TRMおよびJournalTransferを利用して、データを利用したいサーバに配付します。また、TJNLで抽出したデータベースの更新差分データを"ジャーナル"と呼びます。
TJNLの詳細については、"第3部 TJNL"を参照してください。
TRMは、メッセージキューを管理し、メッセージキューを介したデータの受渡しを制御します。
TRMの詳細については、"第4部 TRM"を参照してください。
JournalTransferは、ネットワーク(LANやWAN)を介して、サーバ間でメッセージ転送の通信制御を行います。
システム間の通信は、TCP/IPネットワークでJournalTransfer独自のプロトコル(以降、"ブリッジプロトコル"と呼びます)を使用しており、高信頼かつ高性能なメッセージ送受信機能を提供します。
JournalTransfer の詳細については、"第5部 JournalTransfer"を参照してください。
DB連携定義ツールは、逐次差分連携および初期連携(初期DBの創成)に必要な定義を生成します。
DB連携定義ツールの詳細については、"第8部 DB連携定義ツール"を参照してください。