クラスタ運用をしている場合のバージョンアップインストール手順について説明します。
AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールを実施する前に、行っておくべき作業について説明します。
ポイント
バージョンアップインストールを行う前に、以下をバックアップすることを推奨します。
バックアップを採取しておくと、バージョンアップインストール中に異常が発生した場合にバックアップから復元(リストア)することで、バージョンアップインストール前の状態に戻すことができます。
システム(プライマリノードとセカンダリノード)
管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスク
作業を行うサーバに、Administrator権限を持つユーザーでログオンします。
セカンダリノードで、管理対象サーバ業務が停止していることを確認します。
管理対象サーバ業務が停止していない場合は、セカンダリノードで、フェールオーバークラスタマネージャーを利用して、管理対象サーバ業務を停止します。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のセカンダリノードで本手順を実施します。
プライマリノードで、管理対象サーバ業務を停止します。
フェールオーバークラスタマネージャーを利用して、管理対象サーバ業務を停止します。
ただし、管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクはオンラインにします。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。
Storage Cruiserエージェントが導入されているすべてのノードで、Storage Cruiserエージェントのサービスを停止します。
サービスの停止方法は、『ETERNUS SF Storage Cruiser 運用ガイド』の「エージェントの起動と停止」を参照してください。
すべてのノードのローカル業務サービスを停止します。
Windowsのサービス画面で、「AdvancedCopy Manager COM Service」を停止してください。
すべてのノードで旧バージョンレベルをバックアップします。
バージョンアップインストールに失敗した時のリカバリ用に、旧バージョンレベルのAdvancedCopy Managerエージェントの運用環境をバックアップします。
プライマリノードとセカンダリノードで、旧バージョンレベルをバックアップします。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで、管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクをオンラインにします。
参考
バックアップに必要な容量は、以下の合計値になります。
『ETERNUS SF 導入ガイド』の「静的ディスク容量」の「Windows環境の場合」の「環境設定ディレクトリ」と「作業用ディレクトリ」
『ETERNUS SF 導入ガイド』の「動的ディスク容量」の「Windows環境の場合」
管理対象サーバ業務を運用しているプライマリノードの場合、バックアップに必要な容量に以下を加算してください。
『ETERNUS SF クラスタ適用ガイド』の「共有ディスクの容量」
手順は以下のとおりです。
本バージョンレベルのDVD-ROM「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。
DVD-ROMの構成および格納物は、本バージョンレベルの『ETERNUS SF 導入ガイド』の「DVD-ROMの構成」を参照してください。なお、自動起動によりインストーラ画面が表示されている場合は、インストーラを終了させます。
インストールされているAdvancedCopy Managerエージェントのアーキテクチャーを確認します。
[コントロールパネル]-[プログラムと機能]を選択して、AdvancedCopy Managerエージェントのアーキテクチャーを確認します。
「AdvancedCopy Manager (x86) - Agent」の場合
32bit版のAdvancedCopy Managerエージェントがインストールされています。
「AdvancedCopy Manager (x64) - Agent」の場合
64bit版のAdvancedCopy Managerエージェントがインストールされています。
コマンドプロンプトを「管理者として実行」で起動します。
旧バージョンレベルをバックアップします。
以下のバッチファイルを実行します。backupDir には、バックアップデータを格納するディレクトリを絶対パスで指定します。
[32bit版エージェントの場合]
<DVD-ROMドライブ>:\Agent_windows\AdvancedCopy_Manager\agent\windows_x86\esfacmapreinst.bat backupDir
[64bit版エージェントの場合]
<DVD-ROMドライブ>:\Agent_windows\AdvancedCopy_Manager\agent\windows_x64\esfacmapreinst.bat backupDir
バックアップに失敗した場合は、出力されたエラーメッセージを確認して失敗した原因を取り除いたあと、バッチファイルを再実行してください。
ポイント
ディレクトリ名には、半角記号【 " | : * ? / . < > % & ^ ; ! 】を使用できません。
ディレクトリ名に半角空白を含む場合は、ダブルクォートで囲む必要があります。
インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。
プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストール手順は、以下のとおりです。なお、手順1と手順2がすでに実施されている場合、再実施は不要です。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。
注意
手順の途中でインストーラの初期画面が表示されますが、本バージョンアップインストールでは使用しません。必ず[終了]ボタンをクリックして画面を終了してください。
作業を行うサーバに、Administrator権限を持つユーザーでログオンします。
本バージョンレベルのDVD-ROM「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。
DVD-ROMの構成および格納物は、本バージョンレベルの『ETERNUS SF 導入ガイド』の「DVD-ROMの構成」を参照してください。
以下の初期画面が表示されます。
バージョンアップインストールでは、この画面を使用しません。[終了]ボタンをクリックして画面を終了します。
バージョンアップインストール前の作業で確認したAdvancedCopy Managerエージェントのアーキテクチャーに応じて、以下のインストーラを起動します。
32bit版の場合
<DVD-ROMドライブ>:\Agent_windows\AdvancedCopy_Manager\agent\windows_x86\setup.exe
64bit版の場合
<DVD-ROMドライブ>:\Agent_windows\AdvancedCopy_Manager\agent\windows_x64\setup.exe
以下の画面が表示されます。内容を確認し、[はい]ボタンをクリックします。
以下の画面が表示されます。内容を確認し、[次へ]ボタンをクリックします。
「使用許諾契約」画面で、使用許諾の契約を行います。
表示されている内容を確認して、問題がない場合は、[はい]ボタンをクリックします。
「ファイルコピーの開始」画面で、設定内容を確認し、[次へ]ボタンをクリックします。
コピー処理が開始されます。
処理が完了すると、以下の画面が表示されます。 [完了]ボタンをクリックしインストールを終了します。
インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。
以上で、AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールは終了です。
プライマリノードのバージョンアップインストールが終了した場合は、「10.3.2.4 バージョンアップインストール後の作業(プライマリノード)」を参照して、プライマリノードのAdvancedCopy Managerエージェントをセットアップしてください。
セカンダリノードのバージョンアップインストールが終了した場合は、「10.3.2.7 バージョンアップインストール後の作業(セカンダリノード)」を参照して、セカンダリノードのAdvancedCopy Managerエージェントをセットアップしてください。
ポイント
バージョンアップインストールが異常終了した場合は、「11.3.5 AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールで異常が発生した場合の対処(Windows Server 2008以降)」を参照し、正常な状態に復旧してください。
Windows Server 2008以降の環境で動作しているAdvancedCopy Managerエージェントのサイレントバージョンアップインストール手順は、以下のとおりです。
プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのサイレントバージョンアップインストール手順は、以下のとおりです。なお、手順1と手順2がすでに実施されている場合、再実施は不要です。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。
作業を行うサーバに、Administrator権限を持つユーザーでログオンします。
本バージョンレベルの「ETERNUS SF SC/ACM/Express メディアパック エージェントプログラム & マニュアル」を、DVD-ROMドライブに挿入します。なお、自動起動によりインストーラ画面が表示されている場合は、インストーラを終了させます。
コマンドプロンプトを「管理者として実行」で起動します。
AdvancedCopy Managerエージェントをインストールします。
バージョンアップインストール前の作業で確認したAdvancedCopy Managerエージェントのアーキテクチャーに応じて、以下のサイレントインストール用のコマンドを実行し、インストールします。
<インストールログファイル>に、インストールのログを出力するファイルを絶対パスで指定します。<インストールログファイル>の指定は任意です。
[32bit版エージェントの場合]
<DVD-ROMドライブ>:\Agent_windows\AdvancedCopy_Manager\agent\windows_x86\acmagtsilentinstall.bat [-l <インストールログファイル>]
[64bit版エージェントの場合]
<DVD-ROMドライブ>:\Agent_windows\AdvancedCopy_Manager\agent\windows_x64\acmagtsilentinstall.bat [-l <インストールログファイル>]
ポイント
インストールログファイルの指定がない場合、TEMP環境変数で指定されている作業用ディレクトリにacmagtsilentinstall.logという名前のインストールログファイルを作成します。
指定したインストールログファイルと同名のファイルが存在する場合、上書きします。
インストールログファイルを格納するディレクトリには、書込み権限のある実在するディレクトリを指定する必要があります。書込み権限がない場合は、プロンプトおよび画面へのエラーメッセージ出力を行わずにエラー終了します。
インストールログファイルのパスが半角空白を含む場合は、ダブルクォートで囲む必要があります。
インストールログファイルのパス名には、【 " | : * ? / . < > % & ^ ; ! 】を使用できません。
注意
オプションの指定に誤りがあった場合は、エラーメッセージをインストールログファイルに出力して終了します。プロンプトおよび画面へのエラーメッセージ出力は行いません。
サイレントインストール用のコマンドを多重実行しないでください。多重実行した場合は、あとから実行したコマンドが異常終了します。このとき、インストールログファイルは作成されません。
バージョンアップ時は、コマンドにインストールパラメーターファイルの指定はできません。指定した場合は、コマンドがエラー終了します。
インストールが終了すると、プロンプトが表示されます。
インストールに使用したDVD-ROM媒体を装置から取り出します。
サイレントインストール用のコマンドの復帰値を確認してください。なお、必要に応じて、インストールログファイルを確認してください。ただし、サイレントインストール用のコマンドの復帰値が3または9の場合、インストールログファイルは作成されません。コマンドの復帰値の説明は、『ETERNUS SF 導入ガイド』の「サイレントインストール(Windows版AdvancedCopy Managerエージェント)の復帰値」を参照してください。
インストール結果は、インストールログファイルでも確認できます。
インストールログファイルを開き、[ResponseResult]セクションの"ResultCode"を参照してください。"ResultCode"には、サイレントインストール用のコマンドの復帰値が書き込まれています。
ポイント
バージョンアップインストールが異常終了した場合は、「11.3.5 AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストールで異常が発生した場合の対処(Windows Server 2008以降)」を参照し、正常な状態に復旧してください。
プライマリノードで動作するAdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップインストール後に、以下の作業を行います。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務のプライマリノードで本手順を実施します。
管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスク上の、管理対象サーバ業務の環境設定ファイルを編集します。
以下のファイルを編集します。
<管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクのドライブレター>:\etc\opt\swstorage\clsetup.ini
<管理対象サーバ業務の共有データ用共有ディスクのドライブレター>:\etc\opt\swstorage\etc\swstg.ini
それぞれのファイル内のVersion情報を、移行後の文字列に変更します。
移行パターン | Version情報の記述内容 | |
---|---|---|
移行前 | 移行後 | |
16.0から16.1 | Version=V16.0 | Version=V16.1 |
注意
Version行以外は、変更しないでください。
セカンダリノードでバージョンアップインストールをします。
バージョンアップの手順はプライマリノードと同じです。「10.3.2.2 バージョンアップインストール手順(プライマリノード)」を参照してください。
ポイント
本セカンダリノードが別の管理対象サーバ業務のプライマリノードを兼ねている場合は、プライマリノードとしてバージョンアップインストールを行っているため、本手順は不要です。
セカンダリノードでサイレントバージョンアップインストールをします。
サイレントバージョンアップの手順はプライマリノードと同じです。「10.3.2.3 サイレントバージョンアップインストール手順(プライマリノード)」を参照してください。
ポイント
本セカンダリノードが別の管理対象サーバ業務のプライマリノードを兼ねている場合は、プライマリノードとしてージョンアップインストールを行っているため、本手順は不要です。
セカンダリノードのバージョンアップインストール後に必要な作業はありません。
以下の作業を行います。なお、本作業には、管理対象サーバでの操作に加えて、運用管理サーバとWebコンソールから実行する操作があります。
プライマリノードで、管理対象サーバ業務を開始します。
フェールオーバークラスタマネージャーを利用して、管理対象サーバ業務を開始します。
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務に対して本手順を実施します。
Storage Cruiserエージェントが導入されているすべてのノードで、Storage Cruiserエージェントのサービスを開始します。
サービスの開始方法は、『ETERNUS SF Storage Cruiser 運用ガイド』の「エージェントの起動と停止」を参照してください。
すべてのノードのローカル業務サービスを起動します。
Windowsのサービス画面で、「AdvancedCopy Manager COM Service」を起動してください。
データの整合性を確保するために、運用管理サーバで、stgxfwcmmodsrv(サーバ情報変更コマンド)を使用してサーバ情報を変更します。
-nオプションに管理対象サーバ名を指定して、stgxfwcmmodsrvコマンドを実行します。
運用管理サーバがWindows環境の場合
<プログラムディレクトリ>\ACM\bin\stgxfwcmmodsrv -n <サーバ名>
運用管理サーバがSolaris環境またはLinux環境の場合
/opt/FJSVswstf/bin/stgxfwcmmodsrv -n <サーバ名>
管理対象サーバ業務が複数存在する場合は、それぞれの管理対象サーバ業務に対して本手順を実施します。
なお、ローカル業務を運用しているノードがある場合は、対象のノードで本手順を実施してください。
注意
サーバ情報の変更は、コマンド実行用に新しく画面を起動し、その画面で実施してください。
参照
コマンドの詳細は、運用管理サーバのOSに対応する、本バージョンレベルの『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド』の「stgxfwcmmodsrv(サーバ情報変更コマンド)」を参照してください。
Webコンソールで以下の操作を実施し、サーバ情報を再読込みします。
グローバルナビゲーションタブの[サーバ]をクリックします。
登録されているサーバの一覧が、メインペインに表示されます。
メインペインで、操作対象のサーバのチェックボックスをチェックします。
アクションペインで、[サーバ]の下にある[設定の再読み込み]をクリックします。
ポイント
AdvancedCopy Managerエージェントのバージョンアップ後に正常動作を確認できたら、「10.3.2.1 バージョンアップインストール前の作業」の手順6-dで作成したバックアップ先ディレクトリ内のバックアップデータを削除して問題ありません。