PRIMECLUSTER
クラスタシステムにおけるバックアップ運用では、通常運用と異なる以下の注意事項があります。
バックアップコマンド実行中にフェイルオーバが発生した場合、「10.2.3.1 swstsrsemtch(資源整合コマンド)」を使用して整合性がとれるようにリカバリー対処が必要です。
クラスタ運用を行う場合、AdvancedCopy ManagerはuserApplicationに組み込まれており、userApplicationの一部として動作するため、バックアップ運用はuserApplicationの運用系で実施する必要があります。
待機状態となっているノードや、別のuserApplicationからバックアップを行うことはできません。
PRIMECLUSTER 4.1A20
業務ボリューム上にファイルシステムを構築し、そのファイルシステムをクラスタのリソースに登録している場合は、以下の注意事項があります。
バックアップの前処理を変更して、業務ボリュームをアンマウントしないバックアップ運用に変更する必要があります。バックアップの前処理の変更方法は、「A.2.1 バックアップ実行時の前処理」を参照してください。
業務の運用中に「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を使用してリストアすることはできません。ボリュームのデータを復旧する場合は、ddコマンドを使用してコピーするか、バックアップボリュームをマウントして必要なデータをコピーしてください。
または、「11.1.8.1 クラスタサービス停止時のバックアップとリストア」を実施してください。
PRIMECLUSTER 4.1A30以降
業務ボリューム上にファイルシステムを構築し、そのファイルシステムをクラスタのリソースに登録している場合は、以下の手順でバックアップ/リストアを行います。
userApplicationをMaintenance(保守)モードに移行します。
# hvutil -m on userApplication
業務ボリュームがファイルシステムで、かつアンマウントされた状態でバックアップ/リストアを行う場合は、業務ボリュームをアンマウントしてください。
手順2を実施した場合は、業務ボリュームのクラスタリソースがオフライン(Offline)であることを確認してください。
リソースがオフライン(Offline)であることを確認するコマンドは以下になります。
# hvassert -s <業務ボリュームのクラスタリソース名> Offline
上記コマンドの復帰値が0になるまで待ってください。
バックアップ/リストアを実行します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup Device-Name Device-Name swstbackup completed
または
# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore Device-Name Device-Name swstrestore completed
手順2を実施した場合は、業務ボリュームをマウントしてください。
業務ボリュームのクラスタリソースがオンライン(Online)であることを確認してください。
リソースがオンライン(Online)であることを確認するコマンドは以下になります。
# hvassert -s <業務ボリュームのクラスタリソース名> Online
上記コマンドの復帰値が0になるまで待ってください。
userApplicationのMaintenance(保守)モードを停止します。
# hvutil -m off userApplication
同期処理を開始します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swststartsync Device-Name Device-Name swststartsync completed
等価性維持状態を確認します。
userApplicationをMaintenance(保守)モードに移行します。
# hvutil -m on userApplication
業務ボリュームがファイルシステムで、かつアンマウントされた状態でバックアップを行う場合は、業務ボリュームをアンマウントしてください。
手順4を実施した場合は、業務ボリュームのクラスタリソースがオフライン(Offline)であることを確認してください。
リソースがオフライン(Offline)であることを確認するコマンドは以下になります。
# hvassert -s <業務ボリュームのクラスタリソース名> Offline
上記コマンドの復帰値が0になるまで待ってください。
バックアップを実行します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup Device-Name Device-Name swstbackup completed
手順4を実施した場合は、業務ボリュームをマウントしてください。
業務ボリュームのクラスタリソースがオンライン(Online)であることを確認してください。
リソースがオンライン(Online)であることを確認するコマンドは以下になります。
# hvassert -s <業務ボリュームのクラスタリソース名> Online
上記コマンドの復帰値が0になるまで待ってください。
userApplicationのMaintenance(保守)モードを停止します。
# hvutil -m off userApplication
注意
スナップショット型バックアップ/リストアの実行の手順2、または、同期型バックアップの実行の手順4を実施する場合、前後処理スクリプト内で業務ボリュームがマウントされていた場合の処理が実施されません。
前後処理スクリプト内の該当部分をカスタマイズする場合、この点を考慮してカスタマイズしてください。
クラスタリソースの状態はクラスタのディテクタによって定周期または非同期に行われているため、業務ボリュームをマウント・アンマウントしたタイミングやシステム負荷によって、クラスタリソースの状態に反映されるまで時間がかかり、hvassertコマンドでその状態を確認できないことがあります。そのため、hvassertコマンドでクラスタリソースの状態を確認するタイミングについて、以下の点に注意してください。
クラスタのFSystemリソースのファイルシステムをアンマウント(またはアンマウント)完了日時を起点として、hvassertコマンドでクラスタリソースがOffline(またはOffline)であることを確認するには、クラスタリソースの監視間隔以上の時間が経過してから確認してください。なお、hvassertコマンドの-sオプションの代わりに-wオプションを指定することで、引数で指定したクラスタリソースが、引数で指定した状態となるまで待つ最大時間を指定できます。
# hvassert -w <業務ボリューム> Offline(またはOnline) <最大待ち時間(秒数)>
待ち時間は、システム負荷やクラスタリソースの反映処理時間も考慮する必要があります。そのため、システム運用の環境、目的、要件に合わせて最大値を設定してください。
なお、PRIMECLUSTERのFSystemリソースのデフォルトの監視間隔は10秒です。ただし、この監視間隔は、PRIMECLUSTER 4.2におけるデフォルト値です。利用されるPRIMECLUSTERにあわせて確認してください。
hvassertコマンドの詳細は、『PRIMECLUSTER 導入運用手引書』の「hvassert (1M)」を確認してください。
VERITAS Cluster Server
クラスタシステムにおけるバックアップ運用では、通常運用と異なる以下の注意事項があります。
バックアップコマンド実行中にフェイルオーバが発生した場合、「10.2.3.1 swstsrsemtch(資源整合コマンド)」を使用して整合性がとれるようにリカバリー対処が必要です。
同期型高速バックアップを使用する場合は、バックアップをクラスタ業務に登録しないでください。
クラスタ運用を行う場合、AdvancedCopy Managerはサービスグループに組み込まれており、サービスグループの一部として動作するため、バックアップ運用はサービスグループの運用系で実施する必要があります。
待機状態となっているノードや、別のサービスグループからバックアップを行うことはできません。
AdvancedCopy Managerのバックアップ/リストアでは、基本的に処理の前後で業務ボリュームのアンマウント/マウント処理が必要です。
業務ボリュームのマウントポイントがクラスタ業務に登録されている場合は、アンマウント/マウントの代替として、クラスタ業務からマウントポイントリソースのオフライン/オンラインを実施してください。
なお、マウントポイントリソースのオフライン/オンラインを行ってから、実際にボリュームがアンマウント/マウントされるまでに時間差があります。そのため、実際にアンマウント/マウントされるまで待ち合わせる処理(sleepやdfコマンドの結果を監視するなど)を、オフライン/オンラインの成否を判定する箇所のうしろに追加してください。
PRIMECLUSTER
AdvancedCopy Managerが属するクラスタサービス(userApplication)が稼働している場合、稼働ノードだけでバックアップ運用できます。待機ノードではバックアップ運用の環境が整っていない(必要なリソースが使用できない)ため、バックアップ運用できません。同様に、クラスタサービス(userApplication)が停止している場合も、環境が整っていないため、バックアップ運用できません。
ただし、クラスタサービス(userApplication)が停止している場合に限り、一時的に必要最低限の環境を整えることでバックアップ運用できます。
注意
スケーラブル運用の業務との複合運用を行っている場合は、スケーラブル運用のクラスタサービス(userApplication)だけを停止し、運用管理サーバ業務(Storage管理サーバ業務)および管理対象サーバ業務(Storageサーバ業務)のクラスタサービス(userApplication)は停止しないでください。
バックアップ運用ディスク(運用したい業務ボリューム/バックアップボリューム)を有効にすることで、通常時と同じバックアップ運用を行うことができます。
バックアップ運用ディスクを有効にできない場合、スケーラブル運用のクラスタサービス(userApplication)を停止してのバックアップ運用はできません。
以下の共有ディスクを有効(オンラインやファイルシステムの場合はマウント)にできない場合は、バックアップ運用できません。
AdvancedCopy Manager共有データ用共有ディスク
バックアップ運用ディスク(運用したい業務ボリューム/バックアップボリューム)
バックアップ運用での以下の操作はできません。
Webコンソール操作によるバックアップ/リストア
運用管理サーバ(Storage管理サーバ)からのバックアップ運用の操作(-hオプション指定によるホストの指示)
業務ボリューム/バックアップボリュームの追加削除やポリシーの変更
運用管理サーバ業務兼管理対象サーバ業務(Storage管理サーバ業務兼Storageサーバ業務)でバックアップ管理の表示系コマンドを実行する場合、コマンドにオプションを指定する必要があります。バックアップ管理の表示系コマンドは、「10.2 バックアップ管理のコマンド」を参照してください。
以下の手順で、クラスタサービス(userApplication)停止中のバックアップ運用を行います。
両ノードでクラスタサービス(userApplication)が停止していることを確認します。
クラスタサービス(userApplication)の停止方法は、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。
バックアップしたいノードにtelnetなどでログインします。
論理IPアドレスは使用できません。物理IPアドレスを使用して運用するノードを直接利用してください。
共有ディスクを有効にします。
共有ディスクを起動(オンライン)します。
AdvancedCopy Manager共有データ用共有ディスクをマウントします。
業務ボリュームがファイルシステムの場合、マウントします。
注意
共有ディスクの有効化は必ずどちらか一方のノードで行ってください。両ノードで同じ共有ディスクを有効にしないでください。
環境変数SWSTGNODEに該当業務の論理ノード名を設定します。
環境変数の設定方法は以下のとおりです。
<実行例>
# SWSTGNODE=論理ノード名 # export SWSTGNODE |
バックアップ運用を実施します。
クラスタ運用の通常時と同様、バックアップ運用できます。
「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を使用してリストアすることもできます。
手順3で有効にしたすべての共有ディスクを解除します。
マウントしたファイルシステムは、アンマウントします。
共有ディスクを停止(オフライン)します。
クラスタサービス(userApplication)を起動(オンライン)します。
必要に応じて、クラスタサービス(userApplication)を起動します。
クラスタサービス(userApplication)の起動方法は、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。
VERITAS Cluster Server
AdvancedCopy Managerが属するサービスグループが稼働している場合、稼働ノードだけでバックアップ運用が可能です。待機ノードではバックアップ運用を行うための環境が整っていない(必要なリソースが使用できない)ため、バックアップ運用できません。同様に、サービスグループが停止している場合も、環境が整っていないためにバックアップ運用できません。
ただし、サービスグループが停止している場合に限り、一時的に必要最低限の環境を整えることで、バックアップ運用できます。
注意
以下の共有ディスクを有効(オンラインやファイルシステムの場合はマウント)にできない場合、バックアップ運用できません。
AdvancedCopy Manager共有データ用共有ディスク
バックアップ運用ディスク(運用したい業務ボリューム/バックアップボリューム)
バックアップ運用での以下の操作はできません。
Webコンソール操作によるバックアップ/リストア
運用管理サーバ(Storage管理サーバ)からのバックアップ運用の操作(-hオプション指定によるホストの指示)
業務ボリューム/バックアップボリュームの追加削除やポリシーの変更
運用管理サーバ業務兼管理対象サーバ業務(Storage管理サーバ業務兼Storageサーバ業務)でバックアップ管理の表示系コマンドを実行する場合、コマンドにオプションを指定する必要があります。バックアップ管理の表示系コマンドは、「10.2 バックアップ管理のコマンド」を参照してください。
以下の手順で、サービスグループ停止中のバックアップ運用を行います。
両ノードでサービスグループが停止していることを確認します。
サービスグループの停止方法は、VERITAS Cluster Serverのマニュアルを参照してください。
バックアップしたいノードにtelnetなどでログインします。
論理IPアドレスは使用できません。物理IPアドレスを使用して運用するノードを直接利用してください。
共有ディスクを有効にします。
共有ディスクを起動(オンライン)します。
AdvancedCopy Manager共有データ用共有ディスクをマウントします。
業務ボリュームがファイルシステムの場合、マウントします。
注意
共有ディスクの有効化は必ずどちらか一方のノードで行ってください。両ノードで同じ共有ディスクを有効にしないでください。
環境変数SWSTGNODEに該当業務の論理ノード名を設定します。
環境変数の設定方法は以下のとおりです。
<実行例>
# SWSTGNODE=論理ノード名 # export SWSTGNODE |
バックアップ運用を実施します。
クラスタ運用の通常時と同様、バックアップ運用できます。
「10.2.2.3 swstrestore(リストア実行コマンド)」を使用してリストアすることもできます。
手順3で有効にしたすべての共有ディスクを解除します。
マウントしたファイルシステムは、アンマウントします。
共有ディスクを停止(オフライン)します。
サービスグループを起動(オンライン)します。
必要に応じて、サービスグループを起動します。
サービスグループの起動方法は、VERITAS Cluster Serverのマニュアルを参照してください。