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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 15.3 運用ガイド
ETERNUS

3.8.2 論理ボリューム単位のバックアップ運用(GDS Snapshotを使用する方式)

GDS Snapshotと連携する運用で、論理ボリューム単位に運用できます。

運用時に論理ボリュームの物理構成は意識不要です。

図3.11 論理ボリューム単位のバックアップ運用

GDSの論理ボリュームをAdvancedCopy Managerコマンドに指定する場合は、GDS論理ボリューム名を指定します。

/dev/sfdsk/クラス名/dsk/ボリューム名

注意

運用できないSDXオブジェクトの構成や条件

次のSDXオブジェクト(ボリューム)はAdvancedCopy Managerで運用できません。

  • シャドウクラスのボリューム

  • ストライプボリューム

  • スイッチボリューム

  • コンカチネーショングループ内のボリューム
    ただし、ミラーグループの下位グループとして、ストライプグループおよびコンカチネーショングループを使用することは可能です。

同期処理の開始やスナップショット型バックアップの開始において、「業務ボリュームを構成するスライス数」と「業務ボリュームに関連付けられているすべてのバックアップボリュームを構成するスライス数」の合計が、33個以上になる場合はコピー処理を実行できません。

また、コピー元ボリューム(バックアップ処理における業務ボリューム、リストア処理におけるバックアップボリューム)がINVALID状態である場合は、コピー処理を実行できません。

ポイント

使用しているボリュームが、シングル、ミラー、ストライプ、コンカチネーション、スイッチのうち、どれに該当するかは、“sdxinfo -e long”を実行したときに表示されるボリュームのタイプ属性(OBJ欄にvolumeと表示されている行のTYPE欄の値)で判断できます。

【ボリュームオブジェクトのタイプ属性】

  • single: シングルボリューム(運用可能)

  • mirror: ミラーボリューム(運用可能)

  • stripe: ストライプボリューム(運用不可)

  • concat: コンカチネーショングループ内のボリューム(運用不可)

  • switch: スイッチボリューム(運用不可)

3.8.2.1 バックアップ運用の設計

バックアップ運用では、以下の点に留意して設計してください。

GDS Snapshot連携機能では、AdvancedCopy ManagerがGDS Snapshot機能を使用してボリュームの結合・分離・解除操作を行うことで、バックアップを実施します。そのため、AdvancedCopy Managerで運用するSDXオブジェクトは、あらかじめマスタオブジェクト、プロキシオブジェクトとして運用可能な状態である必要があります。

業務ボリュームはマスタオブジェクト、バックアップボリュームはプロキシオブジェクトとして運用します。

GDSのボリューム構成の設定は、AdvancedCopy Managerに登録する前に行ってください。

AdvancedCopy Managerで運用するGDSのSDXオブジェクトを設定する際は、「3.8.2.2 業務ボリューム」と「3.8.2.3 バックアップボリューム」の構成条件に注意してください。

GDS Snapshotや、プロキシ構成の前提条件の詳細は、『PRIMECLUSTER(TM) Global Disk Services 説明書 (Linux版)』を参照してください。

3.8.2.2 業務ボリューム

業務で使用するSDXオブジェクト(論理ボリューム)を、業務ボリュームとして登録します。

業務ボリュームはGDS Snapshotのマスタオブジェクトとして運用されます。

そのため、以下の点に留意して設計する必要があります。

3.8.2.3 バックアップボリューム

SDXオブジェクト(論理ボリューム)を、バックアップボリュームとして登録します。

バックアップボリュームはGDS Snapshotのプロキシオブジェクトとして運用されます。

そのため、以下の点に留意して設計する必要があります。

3.8.2.4 GDS Snapshot連携で使用可能なコピー機能

GDS Snapshot連携では、以下のコピー機能を使用できます。

SDXオブジェクトの構成と使用可能なコピー機能の関係は、以下のとおりです。

表3.4 GDS Snapshot連携で使用可能なコピー機能(バックアップ)

単位

ボリューム

SDXオブジェクト構成(注)

使用可能なコピー機能

論理
ボリューム

業務

シングル

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

ミラー

下位グループがない

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

下位グループがある

ソフトコピー

バックアップ

シングル

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

ミラー

1つのディスクで構成されている

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

2つ以上のディスクで構成されている

ソフトコピー

注: ストライプ/コンカチネーションオブジェクトはコピーできません。

表3.5 GDS Snapshot連携で使用可能なコピー機能(リストア)

単位

ボリューム

SDXオブジェクト構成(注)

使用可能なコピー機能

論理
ボリューム

バックアップ

シングル

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

ミラー

下位グループがない

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

下位グループがある

ソフトコピー

業務

シングル

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

ミラー

1つのディスクで構成されている

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

2つ以上のディスクで構成されている

アドバンスト・コピー、
ソフトコピー

注: ストライプ/コンカチネーション/スイッチタイプのオブジェクトはコピーできません

3.8.2.5 オプションの設定

通常、業務ボリュームの存在する筐体と別の筐体にあるバックアップボリュームにバックアップする場合に、オプションを設定します。

GDS Snapshot連携バックアップの際は、筐体間コピーを行うかどうかの設定は不要です。

3.8.2.6 管理対象サーバ配下のデバイス情報の取込み

バックアップ運用を行うサーバを管理対象サーバ(Storageサーバ)として登録し、管理対象サーバ配下のデバイスの情報を取得します。手順は、「3.4.4 管理対象サーバ配下のデバイス情報の取込み」を参照してください。

3.8.2.7 デバイスの運用種別設定

GDSの論理ボリュームを業務ボリューム、バックアップボリュームとして登録します。

# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/sfdsk/CLS1/dsk/vol1
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/sfdsk/CLS1/dsk/bvol1
swstdevinfoset completed

注意

次のSDXオブジェクトは、業務ボリュームまたはバックアップボリュームとして登録できません。

  • シャドウクラスのオブジェクト

  • ストライプタイプのオブジェクト

  • コンカチネーションタイプのオブジェクト

  • スイッチタイプのオブジェクト

3.8.2.8 バックアップポリシーの設定

保存世代数の確認

バックアップポリシー設定の際は、設定するバックアップポリシーに従って、運用に必要なバックアップボリュームがあらかじめ用意されている必要があります。詳細は、「3.4.7 バックアップポリシーの設定」を参照してください。

業務ボリュームがSDXオブジェクトの場合は、プロキシオブジェクトとなりうるバックアップボリュームが保存世代数分存在するかどうか確認します。

業務ボリュームがGDSの論理ボリュームの場合は、バックアップボリュームもGDSの論理ボリュームである必要があります。

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbkpolset -s 3 /dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01
/dev/sfdsk/CLS01/dsk/VOL01 swstbkpolset completed
#

注意

以下の場合、SDXオブジェクトは使用可能なバックアップボリュームとしてカウントされません。

  • バックアップボリュームが、業務ボリュームと異なるクラスのオブジェクトのとき。

  • バックアップボリュームが、業務ボリュームと異なるサイズのとき。

スライス数の制限

SDXオブジェクトをバックアップする場合は、業務ボリュームとバックアップボリュームが、マスタ・プロキシとして関連付けられるため、業務ボリュームを構成するスライスの数と、その業務ボリュームのバックアップに使用されるバックアップボリュームを構成するスライスの数の合計が、32以下でなければなりません。

そのため、GDSの構成によって運用可能な保存世代数が制限されます。バックアップポリシーはその点に留意して設計してください。

例えば、業務ボリュームとバックアップボリュームのすべてをシングルボリュームで構成している場合、保存世代数は最大の31を設定して運用できますが、業務ボリュームとバックアップボリュームのすべてを2スライスで構成している場合、保存世代数に16以上を設定すると、16世代目以降のバックアップはできません。

3.8.2.9 バックアップ

論理ボリューム単位のバックアップ

業務ボリュームがSDXオブジェクトの場合は、プロキシオブジェクトとなりうるバックアップボリュームを選択し、バックアップします。

AdvancedCopy Managerは登録されているバックアップボリュームの中から自動的に選択します。

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/sfdsk/CLS1/dsk/vol1
/dev/sfdsk/CLS1/dsk/vol1 swstbackup completed

使用可能なコピー処理方式

GDSの論理ボリュームが配置されているハードウェアにより、使用可能なコピー処理が異なります。

また、以下の場合は、EC/OPCを使用できません。

表3.6 ハードウェアと使用可能なコピー処理

ハードウェア

使用可能なコピー処理

EC/OPCを使用できる

同期型高速バックアップ: EC、ソフトコピー

スナップショット型高速バックアップ: OPC

OPCだけを使用できる

同期型高速バックアップ: ソフトコピー

スナップショット型高速バックアップ: OPC

EC/OPCを使用できない

同期型高速バックアップ: ソフトコピー

スナップショット型高速バックアップ: 使用できない

3.8.2.10 リストア

論理ボリューム単位の業務ボリュームへのリストア

この作業は、Webコンソールおよびコマンドで実施できます。

GDSの論理ボリューム単位で業務ボリュームへリストアする際は、プロキシからマスタへのコピーを実施します。

# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/sfdsk/CLS1/dsk/vol1
/dev/sfdsk/CLS1/dsk/vol1 swstrestore completed

リストア先ボリュームを指定したリストア

業務ボリュームがGDSの論理ボリュームの場合、リストア先ボリュームを指定したリストアはできません。

使用可能なコピー処理方式

GDSの論理ボリュームが配置されているハードウェアにより、使用可能なコピー処理が異なります。

また、以下の場合は、OPCを使用できません。

3.8.2.11 運用中の注意事項

sdxproxyコマンドを直接使用してバックアップ管理に登録されているボリュームの状態変更操作を行わないでください。バックアップ管理の管理情報と実際のボリューム状態が、不整合な状態になる可能性があります。
sdxproxyコマンドを直接使用して不整合な状態になった場合は、「10.2.3.1 swstsrsemtch(資源整合コマンド)」を実行して復旧してください。