FUJITSU Software Linkexpress 運用ガイド
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第8章 トラブル発生時の調査手順

8.3 機能別の調査観点

エラー情報から原因が解決できない場合、以下の調査観点から調査してください。なお、その他のトラブル事例はFAQで紹介しています。FAQ情報の参照URLについては、エラー情報の調査手順を参照してください。

機能

問題事象

調査観点

業務定義

応答側監視業務が起動できない場合

考えられる原因は、以下のとおりです。

  • 相手システムから通知された仮想ファイル名が、ファイル受信待ちイベント、またはファイル送信待ちイベントで定義された仮想ファイル名と一致しません。なお、大文字/小文字も合わせる必要があります。
  • 相手システムから受け付けた通信パス(ネットワーク定義)の応用プログラム名が、"@_LEXPSV"以外です。業務定義を動作させるためには、"@_LEXPSV"を利用する必要があります。
  • ファイル送信待ちイベントとファイル受信待ちイベントが逆を利用されています。相手システムで「ファイル送信」処理を実施している場合、応答側システムは「ファイル受信側」です。この場合は、ファイル受信待ちイベントを利用して待ち合わせる必要があります。
  • ファイル受信待ちイベント、またはファイル送信待ちイベントで定義された相手システム名に誤りがあります。システムログ、またはイベントビューアに出力されるLinkexpressファイル転送メッセージに含まれる相手システム名を確認してください。なお、大文字/小文字も合わせる必要があります。
  • 応答側監視業務が、正しく登録、および反映できていません。反映処理まで完了していることを確認してください。

業務定義が登録できない場合

業務定義は、動作環境定義で「制御サーバ」または「制御サーバ兼業務サーバ」と定義されているサーバ上でのみ業務定義の登録/反映が可能です。「業務サーバ」にログインした場合は、登録/反映は実施できません。

Linkexpressクライアント(GUI)で業務情報が更新されない場合

考えられる原因は、以下のとおりです。

  • Linkexpressクライアントからログインしたサーバが、「制御サーバ」または「制御サーバ兼業務サーバ」の場合、「最新状態の取得」ボタンをクリックしてください。
  • 運用待機型クラスタシステムでは無いにも関わらず、業務定義で運用システム名(usesystemオペランド)を指定しています。この場合、運用システム名を指定しないでください。

ファイル転送全般

導入時に相手側システムと接続が失敗する場合

考えられる原因は、以下のとおりです。

  • 自側システムと相手側システム側のネットワーク定義が一致していません。「導入ガイド」の「付録A 接続定義サンプル」を参照して、お互いの定義を確認してください。
  • 相手側システムでファイル転送を拒否しています。相手側システムのファイル転送製品の出力メッセージを確認してください。
  • ファイアウォールにより接続が拒否されています。「導入ガイド」の「付録B ファイアウォール環境への導入時の注意事項」を参照してください。
  • Windowsの場合、セキュリティに関して注意事項があります。「導入ガイド」の「9.2.7 Windowsでのセキュリティ注意事項」を参照してください。

運用開始後、相手側システムと接続が失敗する場合

考えられる原因は、以下のとおりです。

  • ネットワーク上で一時エラーが発生しています。この場合はファイル転送をリトライすることで運用の継続が可能です。「運用ガイド」の「1.2.5 ファイル転送のリトライ」を参照してください。

なお、自側システム、相手側システムとも通信エラーのメッセージが出力される場合で、問題事象が頻発する場合は、ネットワークを調査する必要があります。TCP/IP系プロトコルによるファイル転送を実施している場合、ネットワークトレースを自側システム、相手側システムで採取し調査してください。以下は各プラットフォームで代表的なネットワートレースの採取ツールです。

  • Windows:ネットワークモニタ
  • Solaris:snoopコマンド
  • Linux:tcpdumpコマンド
  • HP-UX:nettlコマンド
  • AIX:tcpdumpコマンド

ファイル転送処理速度が遅い場合

ファイル転送性能は、ネットワーク性能以外にも影響を受ける要因があります。代表的な要因を以下のとおりです。各要因について、状態を確認してください。

  • ネットワーク性能
  • ネットワーク負荷
  • CPU性能
  • ディスクI/O性能
  • システム負荷
  • 相手側システム性能(CPU、ディスクI/O、システム負荷)
    など

なお、ファイル転送を実施するサーバがWindowsの場合、上述以外の要因として、Windows側のハード/LANドライバ/OSの関連で、TCP/IP通信が遅くなっている可能性があります。
その可能性としては、TCP/IPレベルのシーケンスにおいて遅延ACK制御が発生していることが考えられます。遅延ACK制御が発生している場合、以下の対処で改善が可能です。

  1. 設定を行う前にネットワークカードのServiceNameを調べます。以下のレジストリを参照してください。
    \\HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\NetworkCards\1(例:何らかの数字)
    このキーに設定されている"ServiceName"の値を確認しておきます。
  2. レジストリを変更します。詳細については、Microsoft社のサポート技術情報にて各チューニングパラメーターを検索し参照してください。
    [Windows2000の場合]
    チューニングパラメーター"TcpDelAckTicks"
    [Windows2000以外の場合]
    チューニングパラメーター"TcpAckFrequency"

ジョブ連携

ジョブ連携処理が無応答となる場合

無応答状態の場合の調査観点を参照してください。

ジョブが起動できない場合

Linkexpressでは起動できないジョブがあります。また、Windowsの場合、注意事項があります。ジョブ連携提供機能を参照してください。

起動されたジョブが正しく動作しない場合

ジョブが利用する環境変数が、設定されていないことが考えられます。ジョブの動作環境を参照してください。

コード変換

コード変換が失敗する場合

トラブル事例とその対処については、「導入ガイド」の「10.3 コード変換のトラブル対処」を参照してください。

クラスタ

Linkexpressを停止するとクラスタが切り替わる場合

状態遷移プロシジャで、Linkexpressのプロセス監視を行っています。このため、Linkexpressを停止するとプロセスが終了するためクラスタが切り替わります。PRIMECLUSTERの場合は、「クラスタシステム導入説明書」の「3.1.3.4 Linkexpressのプロセス監視」、および「3.1.3.11 状態遷移プロシジャの再登録方法」を参照してください。


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