DSS ファイルシステムは、すべての DSS サーバおよび DSS クライアントから使用できる、共用デバイス上の共用ディスクに作成します。
DSS ファイルシステムは、udev 機能により生成される by-id 名を使用します。by-id 名は、ハードディスクに設定されている個別識別情報から生成されるデバイス名です。
各ノードは、by-id 名を使用することにより、常に同じデバイス名で特定のディスクにアクセスできます。
従来の互換デバイス名から by-id 名を特定するには、udevinfo(8) を使用します。
by-id 名の確認例を、以下に示します。
例
管理パーティションを作成するデバイス名:/dev/sdb
udevinfo -q symlink -n /dev/sdb <Enter>
disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106
注意
udevinfo(8) で確認した by-id 名を使用するには、先頭に "/dev/" を追加する必要があります。
fdisk(8) や parted(8) などのコマンドで共用ディスクのパーティション情報を変更した場合は、 “D.18 共用ディスクのパーティションを操作した場合の注意事項”を参照して、すべてのノードでパーティション情報を最新にしてください。
“2.4.2 DSSファイルシステムの設計”で述べたように、事前に決定したファイルシステムの運用に沿ってパラメタの値を指定します。
以下に sfcmkfs(8) で使用するデフォルトのパラメタを示します。
パラメタ | デフォルト値 |
---|---|
データブロックサイズ | ファイルデータ領域のサイズをもとに、以下の式から自動算出された大きいほうの値
|
最小空き領域 | ファイルデータ領域の10% |
iノード数 | 論理ブロックサイズ分のディスク領域に 1個 |
アップデートログ領域サイズ | ファイルシステムサイズの約1% |
メタデータ領域サイズ | ファイルシステムサイズの約10% |
注意
可用性向上のため MDS 運用情報を指定する場合の、DSSファイルシステムの代表的なファイルシステムの作成例を示します。
MDS の配置優先度の設定
プライマリ MDS とセカンダリ MDS の配置優先順位は、sfcmkfs(8) の -o node オプションで共用ホスト名を指定することで決定されます。指定した共用ホスト名の順番にプライマリ MDS,セカンダリ MDS の候補となります。そしてファイルシステム運用開始時の、実際のDSSサーバの運用状況によって最終的にプライマリ MDS が決定されます。
例
参照
MDS のダウンリカバリについては、“解説書”の“ダウンリカバリ機能”を参照してください。
代表的なファイルシステム構成
DSSファイルシステムの代表的なファイルシステム構成の作成例を以下に示します。
DSS ファイルシステムの作成は、ファイルシステムを作成するパーティションを指定します。この場合、代表パーティションには、メタデータ領域、アップデートログ領域、ファイルデータ領域のすべての種類を作成します。
例
シングルパーティション構成時のファイルシステム作成時の指定オプションの例は以下の表のとおりです。
指定オプション | 設定値 |
---|---|
代表パーティション | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 |
プライマリMDS | mikan |
セカンダリMDS | karin |
上記の設定でファイルシステムの作成を行う場合のsfcmkfs(8)の実行例は以下のとおりです。
sfcmkfs -o node=mikan,karin /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
図7.3 シングルパーティション構成
ファイルデータ領域のマルチパーティション指定をするためには、代表パーティションと、ファイルデータパーティションの指定が必要です。この場合、代表パーティションには、メタデータ領域、アップデートログ領域、ファイルデータ領域が作成されます。
例
複数ファイルデータパーティション構成時のファイルシステム作成時の指定オプションの例は以下の表のとおりです。
指定オプション | 設定値 |
---|---|
代表パーティション | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 |
ファイルデータパーティション | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108 |
プライマリMDS | mikan |
セカンダリMDS | karin |
上記の設定でファイルシステムの作成を行う場合のsfcmkfs(8)の実行例は以下のとおりです。
sfcmkfs -o data=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107,
data=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108,node=mikan,karin
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
図7.4 複数ファイルデータパーティション構成
ファイルデータ領域のマルチパーティション指定を行う場合に、-o dataopt=y オプションの指定により、代表パーティションにファイルデータ領域を含めない構成をとることができます。
例
ファイルデータ領域分離時のファイルシステム作成時の指定オプションの例は以下の表のとおりです。
指定オプション | 設定値 |
---|---|
代表パーティション | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 |
ファイルデータパーティション | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108 |
プライマリMDS | mikan |
セカンダリMDS | karin |
上記の設定でファイルシステムの作成を行う場合のsfcmkfs(8)の実行例は以下のとおりです。
sfcmkfs -o dataopt=y,data=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370107,
data=/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370108,node=mikan,karin
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
図7.5 ファイルデータ領域の分離構成
DSSファイルシステムのカスタマイズ
DSS ファイルシステムを作成する sfcmkfs(8) では、ファイルシステムをカスタマイズするパラメタを用意しています。以下に、代表的なパラメタについて説明します。
アップデートログ領域サイズ (-o logsz=n)
アップデートログ領域のサイズを指定します。指定できる値は、最小値が 5 メガバイトで最大値が 100 メガバイトです。省略時は、ファイルシステムサイズの約 1% をアップデートログ領域サイズとします。ただし、ファイルシステムサイズの 1% の値が 5 メガバイト未満の場合は5 メガバイトに、50 メガバイトを超える場合は 50 メガバイトに設定します。
メタデータ領域サイズ (-o metasz=n)
メタデータ領域サイズを指定します。省略時は、ファイルシステムサイズの約 10% の値になりますが、ファイルシステムサイズが大きくなるほど、メタデータ領域の使用割合は少なくなります。指定できる値の最小値は、省略値と同じです。最大値は 2097151 メガバイトです。ただし、代表パーティションのサイズより大きな値を指定することはできません。
最大ファイルデータ領域サイズ (-o maxdsz=n)
DSS ファイルシステムにファイルデータパーティションを追加して拡張する場合の、ファイルデータ領域の合計の最大値を指定します。ここで指定したサイズを超えてファイルデータパーティションを追加してしまうと、領域管理情報が不足することがあります。領域管理情報の不足が発生すると、ファイルデータ領域の空き領域の一部を使用できなくなることがあります。ファイルデータパーティションの追加は、sfcadd(8) により可能です。
指定できる値の最大値は、2147483648メガバイト(2ペタバイト)です。
最大構成パーティション数 (-o maxvol=n)
DSS ファイルシステムを構成するパーティションを、追加する場合の最大構成パーティション数を指定します。DSS ファイルシステムを構成するパーティションには、代表パーティション、ファイルデータパーティションがあり、それらすべての合計となります。省略時の値は、16 となります。指定できる値の最小値は 1 で最大値が 256 です。
iノードあたりのデータのバイト数(-o nbpi=n)
iノードあたりのデータのバイト数を指定します。ファイルシステムのファイルデータ領域のサイズをこの値で割ることで、総iノード数が決まります。総iノード数を減らしたい場合にはこの値を大きくします。また、メタデータ領域を節約したい場合にもこの値を大きくします。
省略時の値は 8192または総iノード数が最大値 (128 メガ個) を超えないよう調整された値です。
指定できる値は、512 から 134217728 までの 2 のべき乗の値です。
作成したメタデータ領域のサイズの確認
ファイルシステム作成後に、総iノード数とVデータ領域のサイズが見積もりどおりになっているかを確認します。見積もりより小さい場合は、sfcmkfs(8)実行時のパラメタを調整し、DSSファイルシステムを再作成します。
総iノード数、およびVデータ領域のサイズはsfcdf(8)で確認できます。
例
“2.4.2.4 メタデータ領域のサイズの設計 ”で見積もったメタデータ領域のサイズを262144メガバイト、nbpiの値を65536としてDSSファイルシステムを作成した場合の sfcdf(8) の実行例は以下のとおりです。
sfcdf -v /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter> Filesystem: inodes free vdata free leaf free Type /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 67108864 67108860 22369620 22369618 268435456 268435455 META (注1) (注2) kbytes /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 51200 LOG kbytes used free %used /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 236248712 0 236248712 0% DATA
注1) 総iノード数
注2) Vデータブロックの個数
作成された総iノード数と、" 2.4.2.4 メタデータ領域のサイズの設計"で見積もった総iノード数を比較します。
作成された総iノード数が、見積もった総iノード数より多い場合は、次にVデータ領域のサイズを確認します。
作成された総iノード数が、見積もった総iノード数より少ない場合は、sfcmkfs(8)に指定するnbpiの値を小さくしてファイルシステムを再作成します。再作成されたDSSファイルシステムの総iノード数を再確認します。
2.の手順を示します。
DSSファイルシステムを sfcadm(8) で削除します。
sfcadm -D /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
sfcmkfs(8)に指定したnbpiの値を小さくし、 DSSファイルシステムを作成します。
sfcmkfs -o metasz=262144,nbpi=32768,node=mikan,karin /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
ファイルシステムの再作成後、作成された総iノード数が、見積もった総iノード数よりも多くなっていることを確認してください。
sfcdf -v /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
作成されたVデータ領域のサイズと、"2.4.2.4 メタデータ領域のサイズの設計 "で見積もった Vデータ領域のサイズを比較します。Vデータ1ブロックのサイズは1024バイトです。sfcdf(8)で表示されるVデータブロックの個数に1024をかけた値が、Vデータ領域のサイズです。
作成されたVデータ領域のサイズが、見積もったVデータ領域のサイズより大きい場合は完了です。
作成されたVデータ領域のサイズが、見積もったVデータ領域のサイズより小さい場合は、不足しているVデータ領域のサイズ分のメタデータの領域を増やしファイルシステムを再作成します。
不足しているVデータ領域のサイズ(バイト) = 見積もったVデータ領域のサイズ(バイト) - 作成されたVデータ領域のサイズ(バイト)
備考. 小数点以下は切り上げます。
2.の手順を示します。
作成したファイルシステムのメタデータ領域のサイズをsfcinfo(8)コマンドで確認し、不足しているVデータ領域のサイズ(メガバイト)を追加します。
sfcinfo /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106
FSID special size Type mount
1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106(814) 268435455 META
(注)
1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106(814) 51193 LOG
1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106(814) 236248712 DATA
注) メタデータ領域のサイズ
DSSファイルシステムを sfcadm(8) で削除します。
sfcadm -D /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
改めて見積もったメタデータ領域のサイズを metasz に指定し、 DSSファイルシステムを作成します。
sfcmkfs -o metasz=270000,nbpi=32768,node=mikan,karin /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
ファイルシステムの再作成後、作成されたVデータ領域のサイズが、見積もったVデータ領域のサイズよりも大きい値になっていることを確認してください。
sfcdf -v /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
DSSファイルシステムでは、ファイルシステムごとに接続許可リストファイルを作成して、DSSクライアントのホスト名を登録します。接続許可リストファイルは、DSSサーバで作成します。
DSS クライアント情報の登録の手順を、以下に説明します。
接続許可リストファイルを作成します。
接続許可リストファイルは/etc/sfcfsディレクトリ配下にある、server.conf.sampleファイルをコピーして作成してください。
注意
接続許可リストファイルに DSS クライアント情報を登録します。
接続許可リストファイルに設定するエントリについて、以下に説明します。
CLIENT フィールド
DSS サーバに接続を許可する DSS クライアントのホスト名を指定します。
接続許可リストファイルを各 DSS サーバに配付します。
DSS サーバを冗長化している場合は、他の DSS サーバに配付します。
例
以下の設定を前提としたDSS クライアント情報の登録の手順の例を示します。
パラメタ名 | 設定値 |
---|---|
ファイルシステムID | 1 |
プライマリDSSサーバ | mikan |
セカンダリDSSサーバ | karin |
DSSクライアント | host1 host2 |
接続許可リストファイルを作成します。
mikanサーバの/etc/sfcfsディレクトリ配下にある、server.conf.sampleファイルをコピーして、server.conf.1ファイルを作成してください。
cd /etc/sfcfs <Enter> cp ./server.conf.sample server.conf.1 <Enter>
接続許可リストファイルに DSS クライアント情報を登録します。
server.conf.1ファイルを編集し、末尾に登録を行うDSSクライアント情報を追記します。
cat server.conf.1 <Enter> # # Copyright (c) 2009 FUJITSU LIMITED. All rights reserved. # # # Dynamic Store Services MDS node configuration file. # /etc/sfcfs/server.conf.<FSID> # # Client host-name list of this file system. # # Notes: # Do not describe the host name of MDS itself. # # example: #CLIENT nodeac1 #CLIENT nodeac2 #CLIENT nodeac3 #CLIENT nodeac4 #CLIENT nodeac5 CLIENT host1
CLIENT host2
接続許可リストファイルを各 DSS サーバに配付します。
karinサーバに作成した接続許可リストファイルを配付します。
cd /etc/sfcfs <Enter> scp ./server.conf.1 root@karin:/etc/sfcfs/server.conf.1 <Enter>
MDSとACとの間の通信プロトコルとして IPv6を使用するかIPv4を使用するかを、ファイルシステムごとに設定します。
デフォルト(ファイルシステムを作成したときに登録される通信プロトコル)は、IPv4 です。
注意
通信プロトコルはファイルシステムごとに設定できますが、管理を容易にするため、すべてのファイルシステムで同じにすることを推奨します。
通信プロトコルは、“3.7.5 ホスト名の設定”で/etc/hostsに登録したDSSサーバおよびDSSクライアントのIPアドレスの種別に適合するものを選択してください。適合しない通信プロトコルを選択した場合、DSSファイルシステムをマウントできません。
IPv6を使用する場合の設定手順を、以下に示します。IPv4を使用する場合は、設定作業は不要です。
チューニングパラメタSFCFS_IPV6に1を設定します。
sfcadm -o SFCFS_IPV6=1 /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
チューニングパラメタSFCFS_IPV6に1が設定されたことを確認します。
sfcinfo -e /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 | grep SFCFS_IPV6 <Enter>
SFCFS_IPV6=1
DSSサーバで ファイルシステム構成情報ファイルを生成した後、ロードサーバセット、抽出サーバセットおよびIISクライアントセットの各 DSSクライアントに配付します。
ファイルシステム構成情報ファイルを sfcmkconf(8) で生成します。
sfcmkconf(8) は、DSS サーバで実行します。
生成したファイルシステム構成情報ファイルの名前を、ファイルシステムIDから論理ファイルシステム名に変更します。ファイルシステムIDについては、sfcinfo(8)で確認できます。
注意
ファイルシステム構成情報ファイルの名前は、ファイルシステム ID 部分以外 (client.conf.) の変更をしないでください。
ファイルシステム構成情報ファイルを、各 DSS クライアントに配付します。
注意
ファイルシステム構成情報ファイルは、各 DSS クライアントの /etc/sfcfs 配下に配置してください。
例
以下の設定を前提としたファイルシステム構成情報の配付の作業手順の例を示します。
パラメタ名 | 設定値 |
---|---|
ファイルシステムID | 1 |
論理ファイルシステム名 | dss1 |
DSSクライアント | host1 host2 |
ファイルシステム構成情報ファイルを sfcmkconf(8) で生成します。
sfcmkconf <Enter>
生成したファイルシステム構成情報ファイルの名前を、ファイルシステム ID から論理ファイルシステム名に変更します。
cd sfcmkconf_out <Enter> mv ./client.conf.1 client.conf.dss1 <Enter>
ファイルシステム構成情報ファイルを、各 DSS クライアントに配付します。
scp ./client.conf.dss1 root@host1:/etc/sfcfs/client.conf.dss1 <Enter> scp ./client.conf.dss1 root@host2:/etc/sfcfs/client.conf.dss1 <Enter>
DSSファイルシステムにおける /etc/fstab の記述内容を説明します。
DSS サーバでは、作成したすべての DSS ファイルシステムに関するエントリを、/etc/fstab に書く必要があります。
また、同一ファイルシステムに対するエントリは、すべての DSS サーバで一致する必要があります。
/etc/fstab に設定するDSS ファイルシステムのエントリについて、以下に説明します。
device to mount フィールド
マウントする DSS ファイルシステムの代表パーティションに対するブロック特殊ファイルのパス名を指定します。
mount point フィールド
省略時のマウントポイントとなるディレクトリを指定します。
ファイルシステムを共用する、すべてのノードで存在するディレクトリを指定してください。
filesystem type フィールド
ファイルシステムのタイプとして、sfcfs を指定します。
mount options フィールド
マウント時に使用されるマウントオプションを指定します。noautoは必ず指定してください。
以下に、mount options フィールドに指定するオプションについて説明します。
オプション | 説明 |
---|---|
atime | noatime | ファイルの最終参照時刻を更新する (atime) または更新しない(noatime) ようにマウントします。省略時は atime です。 |
atrc | noatrc | DSS サーバ起動時に、マウントする (atrc) またはマウントしない(noatrc) ことを指定します。省略時は atrc です。 |
rw | ro | 読み書き可能 (rw) または読み込み専用 (ro) でマウントします。省略時は rw です。 |
suid | nosuid | バイナリファイルの setuid を実行許可する (suid) または実行許可しない (nosuid) ようにマウントします。省略時は suid です。 |
noauto | 必須オプションなので、必ず指定してください。 |
オプション | 説明 |
---|---|
atime | noatime | relatime | strictatime | ファイルの最終参照時刻の更新方法を設定します。 |
atrc | noatrc | DSS サーバ起動時に、マウントする (atrc) またはマウントしない(noatrc) ことを指定します。省略時は atrc です。 |
rw | ro | 読み書き可能 (rw) または読み込み専用 (ro) でマウントします。省略時は rw です。 |
suid | nosuid | バイナリファイルの setuid を実行許可する (suid) または実行許可しない (nosuid) ようにマウントします。省略時は suid です。 |
noauto | 必須オプションなので、必ず指定してください。 |
dump frequency フィールド
0 を指定してください。
fsck pass フィールド
0 を指定してください。
例
以下に、/etc/fstab の設定例を示します。
パラメタ | 値 |
---|---|
device to mount | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 |
mount point | /mnt/fs1 |
filesystem type | sfcfs |
mount options | rw, noauto |
dump frequency | 0 |
fsck pass | 0 |
上記のパラメタで/etc/fstab の設定を行う場合は、以下のように各パラメタの値を/etc/fstabに記載してください。
パラメタ | 値 |
---|---|
device to mount | /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 |
mount point | /mnt/fs1 |
filesystem type | sfcfs |
mount options | rw, noauto, noatrc |
dump frequency | 0 |
fsck pass | 0 |
上記のパラメタで/etc/fstab の設定を行う場合は、以下のように各パラメタの値を/etc/fstabに記載してください。
DSSファイルシステムを使用するには、はじめに、DSSファイルシステムをマウントします。DSS ファイルシステムでは、必ずDSSサーバ、DSS クライアントの順でマウントしてください。DSS サーバの前に DSSクライアントをマウントすると、マウントが失敗します。
DSSサーバを冗長化する構成をとっている場合、すべてのDSSサーバでマウントを行うか、特定のDSSサーバでマウントを行うかで実行コマンドが異なります。
すべてのノードのマウント状態は、DSS サーバで sfcmntstat(8) を実行して確認します。
すべての DSS サーバでファイルシステムをマウントする場合は、sfcmntgl(8)を使用します。sfcmntgl(8) は、DSS サーバだけで実施できます。
特定の DSS サーバでファイルシステムをマウントする場合は、sfcmount(8) を使用します。sfcmount(8) は、DSS サーバだけで実施できます。
注意
DSS サーバでは、/etc/fstab にエントリが記述されていない場合に、マウントが失敗します。また、sfcmntgl(8)および sfcmount(8) には、マウントオプションを指定できません。
sfcmntgl(8) および sfcmount(8) 実行時は、 /etc/fstab の mount options に書かれたものがマウントオプションとして使用されます。
参考
DSS サーバを冗長化していない場合は、sfcmntgl(8) と sfcmount(8) のどちらのコマンドを使用しても動作に違いはありません。
sfcmntgl (8)は、プライマリ DSS サーバおよびセカンダリ DSS サーバのどちらでも使用できます。
すべての DSS サーバでファイルシステムをマウントする場合は、sfcmntgl(8) を使用します。sfcmntgl(8) は、DSS サーバで実施できます。
例
以下に、すべてのDSS サーバでマウントする場合の例を示します。指定形式は、以下の3パターンいずれを指定してもかまいません。
マウントポイント(/mnt/fs1)を指定する場合
sfcmntgl /mnt/fs1 <Enter>
代表パーティション(/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106)を指定する場合
sfcmntgl /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 <Enter>
マウントポイント(/mnt/fs1)、代表パーティション(/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106)両方を指定する場合
sfcmntgl /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 /mnt/fs1 <Enter>
一部の DSS サーバでマウントに失敗した場合は、失敗した DSS サーバ名が報告されます。
特定 DSS サーバでファイルシステムをマウントする場合は、sfcmount(8) を使用します。sfcmount(8) は、DSS サーバで実施できます。
例
以下に、特定の DSS サーバでマウントする方法を示します。指定形式は、以下の3パターンいずれを指定してもかまいません。
マウントポイント(/mnt/fs1)を指定する場合
sfcmount /mnt/fs1 <Enter>
代表パーティション(/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106)を指定する場合
sfcmount /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106
マウントポイント(/mnt/fs1)、代表パーティション(/dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106)両方を指定する場合
sfcmount /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106 /mnt/fs1 <Enter>
DSSファイルシステムをマウントすることにより、使用可能な状態となったことを sfcmntstat(8) により確認します。
以下の状態が確認できれば、対象ファイルシステムは正常に動作しています。
SV MDS 行のどちらかの状態が Active である。
SV AC 行のすべての状態が Normal である。
例
以下に、DSS ファイルシステム状態 (マウント状況) を、sfcmntstat(8) で確認する例を示します。
sfcmntstat <Enter>
MountPoint /mnt/fs1
Device /dev/disk/by-id/scsi-1FUJITSU_300000370106
SV MDS mikan:9420 Active
SV MDS karin:9420 Standby
SV AC mikan Normal
SV AC karin Normal
作成済みのファイルシステムのパーティションを使用して DSS ファイルシステムを新規に作成する場合には、以下の注意事項があります。
DSS ファイルシステムの場合
作成済みの DSS ファイルシステムのパーティションを、新規に作成する DSS ファイルシステムで利用する場合には、まず当該ファイルシステムを削除します。そして、新規ファイルシステムの作成を行う必要があります。
参照
ファイルシステムの削除については、“運用ガイド”の“DSSファイルシステムの削除”を参照してください。
DSS ファイルシステム以外のファイルシステムの場合
DSS ファイルシステム以外のファイルシステムが作成されたパーティションを利用する場合は、まず、当該ファイルシステムをアンマウント状態にします。そして各ファイルシステムでの手順で削除処理を行ってください。/etc/fstab 中の定義も削除してください。その後に、DSS ファイルシステムを作成してください。