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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 15.2 運用ガイド
ETERNUS

8.2.4 バックアップ

8.2.4.1 データベースのバックアップ

Exchangeデータベースのバックアップは、Exchangeサーバ上で「12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)」を実行することにより行います。本コマンドは、ストレージグループ単位(Exchange Server 2007の場合)またはデータベース単位(Exchange Server 2010またはExchange Server 2013の場合)でバックアップを行います。

注意

バックアップ実行時、バックアップ対象データベース(ストア)はマウントされていなければなりません。データベースがマウントされていない場合には、バックアップ処理は異常終了します。

[実行例]

本コマンドを実行すると以下の処理が行われます。

  1. バックアップ対象ファイル(*.edb、*.log、*.chk)のシャドウコピーが指定したコピーセットグループのバックアップボリュームに作成されます。シャドウコピー後のバックアップボリュームは読み取り専用(read-only)ボリュームとなります。

    • OPC/ QuickOPCを起動することによりシャドウコピーを作成します。

  2. シャドウコピー作成後、ESEUTILを使用してバックアップデータの検証が行われます。バックアップの終了後、不要ログの削除(切捨て)がExchangeによって行われます。

  3. ライタメタデータドキュメント(Writer Metadata Document)およびバックアップコンポーネントドキュメント(Backup Components Document)がバックアップサーバの以下の場所に保存されます。これらのファイルはリストア時に使用されます。

    ファイル

    出力先

    ライタメタデータドキュメント

    • Exchange Server 2007の場合
      <環境設定ディレクトリ>\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc\<ストレージグループ名>.wmd.xml

    • Exchange Server 2010またはExchange Server 2013の場合
      <環境設定ディレクトリ>\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc\<データベース名>.wmd.xml

    バックアップコンポーネントドキュメント

    • Exchange Server 2007の場合
      <環境設定ディレクトリ>\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc\<ストレージグループ名>.bcd.xml

    • Exchange Server 2010またはExchange Server 2013の場合
      <環境設定ディレクトリ>\etc\repl\data\exchange\<Exchangeサーバのストレージサーバ名>\metadoc\<データベース名>.bcd.xml

注意

  • バックアップ時の注意事項

    VSSの仕様上、並列に(パラレルに)複数のバックアップ処理を実行することはできません。複数のバックアップ対象(ストレージグループまたはデータベース)が存在する場合、複数のバックアップ処理を並列に実行するのではなく、逐次的に(シーケンシャルに)実行する必要があります。並列に複数のバックアップ処理を実行した場合、先行処理のシャドウコピー作成が終わるまで後続処理は待ち状態となります。

  • バックアップ実行後、バックアップサーバ上の各ボリュームについて、物理ディスク番号が変更される可能性があります。各ボリュームのドライブ文字およびマウントポイントには影響ありません。ただし、バックアップボリュームのドライブ文字およびマウントポイントを維持する必要がある場合は「8.2.3.2.3 ドライブ文字マップファイルの準備」を実施しておく必要があります。

  • VSSHPの通信タイムアウトエラーについて

    マシン負荷、ネットワーク負荷が高い場合に、VSSHPの通信タイムアウトエラーによってバックアップが失敗することがあります。
    以下のa)およびb)に該当する場合、本現象が発生したと特定できます。

    1. 12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)」が以下のエラーメッセージを出力して異常終了する場合

      swsrp4648 VSS処理でエラーが発生しました。処理フェーズ=[BACKUP] Creation of Shadow Copy Set、検出API=DoSnapshotSet、エラーコード=0x80042306
    2. Windowsのアプリケーションログに、上記エラーメッセージおよび以下のVSSHPのエラーメッセージが出力されている場合

      STXV2004 ERROR Timeout occurred.

    本現象の発生頻度が高い場合は、以下のVSSHP 環境ファイルを編集して通信タイムアウト値を変更してください。

    ファイル名

    ExchangeサーバのVSSHPインストールフォルダ\etc\vss\vsshp.ini

    項目名TimeOutに、通信タイムアウト値を秒単位で設定します。
    項目名TimeOutに設定可能な値は、1~86400です。(デフォルトは60)
    推奨設定値は3600(1時間)です。

作成したシャドウコピーの情報やアドバンスト・コピーの進捗状況は、Exchangeサーバ上で「12.5.6 swsrpshadowadm_exchange(Exchange VSSシャドウコピー管理コマンド)」を実行することによって確認できます。

[実行例]

8.2.4.2 テープへのバックアップ

バックアップを実行すると、リストア時に必要となるメタデータデータドキュメント(ライタメタデータドキュメントおよびバックアップコンポーネントドキュメント)がバックアップサーバに出力されます。

テープバックアップを行う際はバックアップボリューム上のデータだけでなく、これら2つのファイルもバックアップする必要があります。したがって、テープバックアップまで含めたバックアップの流れは以下となります。

図8.47 スナップショット型バックアップの場合

8.2.4.3 バックアップディスクの状態

バックアップディスク(LUN)にボリューム(パーティション)が存在している場合、バックアップ処理前(スナップショット型バックアップの場合)にマウントポイントを解除します。このため、バックアップ時にはバックアップボリュームを使用しているプロセスが存在しないようにしてください。

Windows Server 2008以降の環境では、業務ディスクに関連付けられたバックアップディスクは1つに限定されているため、1つのバックアップディスクを繰り返して使用します。

バックアップディスクは下図のどれかの状態となります。バックアップ実行時、バックアップディスクは初期状態または状態Aにあり、状態Aの場合はバックアップ処理の前にシャドウコピー削除が行われ、状態Bとなります。

図8.48 バックアップディスクの状態遷移

初回のバックアップ以外には初期状態になることはないため、バックアップディスクはバックアップ運用中、状態Aと状態Bの間を遷移します。

図8.49 スナップショット型バックアップの場合

注意

12.5.6 swsrpshadowadm_exchange(Exchange VSSシャドウコピー管理コマンド)」または「12.5.8 swsrpshadowadm(シャドウコピー管理コマンド)」を使用してディスク上のすべてのシャドウコピーを削除した場合、そのディスクはオフライン状態になることがあります。AdvancedCopy Managerではオフライン状態のディスクをコピーできないため、引き続きシャドウコピーを削除したディスクをバックアップディスクとして使用する場合は、ディスクをオンラインにしてください。Windows Server 2008以降のディスクのオンライン/オフラインは「1.7.4 ディスクのオンライン/オフラインに関する注意事項」を参照してください。

12.5.4 swsrpvssbackup_exchange(Exchange VSSバックアップ実行コマンド)」を実行したディスクのパーティション構成を変更する場合は、初期状態に戻したあとに作業を行う必要があります。手順は「8.2.6 構成変更」を参照してください。