以下の点に留意して、ストレージプールおよびバックアップ運用を設計してください。
ここでは、オフラインバックアップを行う場合の運用設計について説明します。
オンラインバックアップを行う場合の運用設計は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド(Solaris版)』(第4.1版以降)の「ZFSスナップショット機能とAdvancedCopy Manager機能を使用したオンラインバックアップ」または「ZFSスナップショット機能とzfs send/zfs receiveコマンドを使用したオンラインバックアップ」にある「運用設計」を参照してください。ただし、オンラインバックアップ運用は、レプリケーション機能を使用してください。AdvancedCopy Manager CCMとの組合せは、オンラインバックアップを行うことはできません。
ZFSストレージプールの種別および構成
AdvancedCopy Managerは、システム領域(ZFSルートプール)およびデータ領域(通常のストレージプール)のバックアップ/リストアを行うことができます。
システム領域(ZFSルートプール)のバックアップ/リストアは、システムを停止して実施する必要があります。詳細は、「システム領域のバックアップ/リストア」を参照してください。
データ領域のバックアップ/リストアは、ストレージプールをシステムから切り離して実施する必要があります。詳細は、「データ領域のバックアップ/リストア」を参照してください。
AdvancedCopy Managerは、ZFSストレージプールを構成するデバイス(物理ディスク)として、以下をサポートします。
以下のデバイス種別をサポートします。
通常デバイス
PRIMECLUSTER GDS/SafeDISKのSDXオブジェクト (スライス単位で運用する場合だけ)
参照
詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド(Solaris版)』の「AdvancedCopy Managerにおけるサポートデバイスについて」を参照してください。
AdvancedCopy Manager CCMではETERNUS ディスクアレイのディスクを指定してコピーを行い、対象デバイスの接続されているOSからはデバイスに対して何も処理を実施しません。このため、GDSなどの論理ボリュームマネージャーを使用している場合などは、論理ボリュームマネージャーとの整合性が保証できなくなる可能性があります。
論理ボリュームマネージャーのボリュームを使用する場合は、レプリケーション管理を使用してください。
参照
ZFSストレージプールを作成する方法は、各デバイスのマニュアルを参照してください。
ZFSストレージプールを構成するデバイス(物理ディスク)として、ディスク全体(LU)およびスライスをサポートします。
ただし、使用するAdvancedCopy Managerの機能(レプリケーション管理/AdvancedCopy Manager CCM)およびZFSストレージプールを構成するデバイス種別(通常デバイス/GDSのSDXオブジェクト)によって、AdvancedCopy Managerでバックアップ/リストア可能な単位は異なります。詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド』および『ETERNUS SF 運用ガイド Copy Control Module編』の機能およびデバイス種別に関する記載を参照してください。
注意
ディスク全体(LU)、またはスライスが混在したZFSストレージプールは未サポートです。
システム領域のバックアップではシステム領域を含むディスク全体(LU)をバックアップ対象としてください。
注意
AdvancedCopy Manager CCMを利用する場合
AdvancedCopy Manager CCMでバックアップ可能な単位はディスク全体(LU)だけです。スライスで構成されたストレージプールをAdvancedCopy Manager CCMでバックアップする場合はスライスを含むLUを対象としてください。
ただし、その場合LU全体がコピー対象となり、LU内にあるほかのスライスも同時にコピーされます。そのため、ストレージプールの構成およびバックアップ運用では以下の点に留意してください。
LU全体を1スライスにする。または、LU内のすべてのスライスを同一ストレージプールに組み込む。
複数のストレージプールが、同一のLU内の異なるスライスから構成されている場合は、該当の複数のストレージプールを同時にバックアップ/リストアする。
バックアップ/リストアの単位(ストレージプール単位)
AdvancedCopy Managerでは、ZFSのストレージプール単位(ストレージプール内すべてのファイルシステム)でのバックアップ/リストアをサポートします。ZFSのファイルシステム単位でのバックアップ/リストアは未サポートです。
ストレージプール内のすべてのデバイスをAdvancedCopy Managerに登録し、一括してバックアップ/リストアします。
AdvancedCopy Managerへの登録方法は、「I.2.3 事前準備」を参照してください。
バックアップ/リストア方法の詳細は、「I.2.4 運用」を参照してください。
また、サポート可能なZFSストレージプールの構成の詳細は、「I.2.1 運用設計」を参照してください。
注意
AdvancedCopy Managerは、ZFSのストレージプールを構成するデバイス単位で操作します。ZFSストレージプールとしての整合性を保つため、ZFSのストレージプールにあるすべてのデバイスで同期をとって操作してください。
ZFSファイルシステムを暗号化している場合、必要に応じて暗号化鍵も保守(バックアップ)してください。
ZFSストレージプールのバックアップ/リストアの設計および運用は、それぞれのデバイス種別における設計・運用方法を理解したうえで行ってください。
ポイント
AdvancedCopy ManagerでZFSのバックアップ運用を行う場合、バックアップを行う単位でストレージプールを分割してください。例えば、異なるタイミングでバックアップを行う業務などはストレージプールを分けてください。
バックアップ/リストア方式
ストレージプールの整合性を保証するため、AdvancedCopy Managerでのバックアップ/リストアはオフライン状態で実施してください。バックアップ対象のZFSストレージプールの用途(システム領域/データ領域)に応じて、以下の対応を実施してください。
バックアップ対象がシステム領域の場合
バックアップ対象のサーバを停止してから、バックアップ/リストアします。
バックアップ/リストアの手順は、「システム領域のバックアップ/リストア」を参照してください。
バックアップ対象がデータ領域の場合
ストレージプールを切り離してから、バックアップ/リストアします。
バックアップ/リストアの手順は、「データ領域のバックアップ/リストア」を参照してください。
バックアップ先ボリュームの準備
バックアップ先ボリュームは、以下の条件および構成を満たす必要があります。
なお、下記以外の条件は、バックアップ元ボリュームのデバイス種別に応じて『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド(Solaris版)』の「AdvancedCopy Managerにおけるサポートデバイスについて」、「レプリケーション運用」、または『ETERNUS SF 運用ガイド Copy Control Module編』を参照してください。
バックアップ元とバックアップ先の組合せ
バックアップ元とバックアップ先は以下の組合せが可能です。ただし、可能な組合せは使用するデバイス種別に依存します。使用するデバイスによっては、不可能な組合せもあります。
バックアップ元 | バックアップ先 | |
---|---|---|
スライス | LUN | |
スライス | ○ | × |
LUN | ○ | ○ |
バックアップ元のZFSストレージプールと同じ物理ディスク構成(ディスク数、サイズ、および冗長構成)にしてください。
ZFSストレージプールが複数の物理ディスクで構成されている場合、物理ディスクがすべて同じサイズのバックアップ先ボリュームを使用する必要があります。ディスク数とサイズが同一のボリュームを用意してください。
バックアップ元がスライスの場合も同様に、同じスライス数とサイズのバックアップ先を用意してください。
バックアップ元がLUでバックアップ先をスライスにする場合も、それぞれの数とサイズを同じにしてください。
ポイント
複数世代のバックアップを実施する場合
「バックアップ先ボリューム(コピー先デバイス)の扱いについて」を参照してください。
設計時の注意事項
同じサーバに同一ストレージプール配下のデバイス(※)が複数見えないよう、運用時は以下の点に注意してください。
バックアップ元サーバにバックアップ先ボリューム(コピー先デバイス)を接続しないでください。
同じサーバに複数のバックアップ先ボリューム(コピー先デバイス)を接続しないでください。
※同一ストレージプールのバックアップ元ボリューム(コピー先デバイス)およびバックアップ先ボリューム(コピー先デバイス)
以下に、サポートされないバックアップ先ボリュームの接続例を示します。
図I.1 バックアップ元サーバにバックアップ先ボリュームが接続されている
図I.2 同一サーバに複数のバックアップ先ボリュームが接続されている
使用する機能に応じて、以下の対応を実施してください。
レプリケーション機能を使用する場合
複写先ボリュームは複写元ボリュームとは異なるサーバ(バックアップサーバなど)に接続してください。(サーバ間レプリケーション運用を行ってください。)
同一バックアップサーバへ複数世代のバックアップを行う場合は、複写元をLU、複写先をスライスの組合せで実施してください。
AdvancedCopy Manager CCMを使用する場合
同一バックアップサーバへ複数世代のバックアップを行う場合は、レプリケーション機能を使用してください。