MQDの拡張機能の環境を作成する手順について説明します。なお、拡張機能を使用しない場合、本項の作業は不要です。ここでは、以下の拡張機能の環境作成方法について説明しています。
ACM連携サービス(サービス名: ACOM)
同報配信サービス(サービス名: MCAS)
イベントチャネル連携サービス(サービス名: NSGW)
ACM連携サービスを使用するためには、図13.6 ACM連携サービスの環境作成の流れの手順に従って、ACM連携サービスが動作するためのサービス環境を作成する必要があります。
図13.6 ACM連携サービスの環境作成の流れ
なお、ACM連携サービスの環境作成方法の詳細については、“10.3 環境作成”を参照してください。
IDCMをインストールする
IDCMを両方のノードの同一パスにインストールします。インストールでは、自動起動形態1を選択します。自動起動形態1を選択しないと、クラスタの切替後に運用の自動継続ができません。
IDCMサービスの起動形態を変更する
IDCMのインストーラによって、IDCMのサービスは自動起動として登録されます。IDCMのサービスをSafeCLUSTERのリソースとして登録するため、手動起動に変更します。
なお、変更するサービス名は次のとおりです。
「FUJITSU IDCM」
IDCMの環境定義を作成する
IDCMネットワーク定義とIDCMホスト定義は、現用ノードと待機ノードで同一の定義を使用してください。なお、IDCMを使用するアプリケーションが存在する場合は、ACM連携サービスが必要な値にアプリケーションが必要な値を追加してください。IDCMネットワーク定義の詳細については、“IDCMヘルプ”を参照してください。
IDCMネットワーク定義とIDCMホスト定義の指定方法を以下に示します。
IDCMネットワーク定義
IDCMネットワーク定義の指定方法を以下に示します。
定義分 | オペランド | 値 |
---|---|---|
tcppsys | name | 相手システムに対応するDPCF通信パス名を指定します。 |
tcppsys | 対応するTCPCTYPE名を指定します。 | |
tcpctype | name | TCPCTYPE名を指定します。 |
maxcont | 自システムと相手システムのwinicontとlinicontの合計に1を加えた値を指定します。 | |
winicont |
| |
linicont | 0を指定します。 | |
respcont | 1を指定します。 |
IDCMホスト定義
クラスタサービスを使用する場合、IDCMネットワーク定義に加えてIDCMホスト定義を指定します。IDCMホスト定義は、IDCMを起動する前に作成します。定義の追加および修正は、IDCMが動作中でも可能ですが、追加および修正した定義が反映されるのは、次にIDCMを起動したときです。IDCMホスト定義の指定方法を以下に示します。
IDCMホスト定義を記述するファイル名および格納フォルダを以下に示します。
ファイル名 : idcmhost
格納フォルダ : IDCMインストールフォルダ\idcm\etc
IDCMホスト定義を記述する場合の規約について説明します。この規約に従って正しく記述してください。
IDCMホスト定義は、以下の各要素から構成されています。
ステートメント
コメント行
空行
a)ステートメント
ステートメントは、情報を設定するための行であり、“オペランド”、“=”(等号)および“値”から構成されます。以下にその形式を示します。
psysオペランド=値 ipオペランド=値 |
ステートメントの記述規則を以下に示します。
1行は、ファイルの先頭または改行文字“\n”の次の文字から、次の改行文字までです。
行には、psysオペランドおよびipオペランドが記述できます。
psysオペランドとipオペランドの対で一組とし、1行には一組だけ記述してください。当該行中のそれ以降の記述はすべて無効です。また、psysオペランド、ipオペランドの順に指定してください。
psysオペランドとipオペランドの間は、タブ“\t”または一つ以上の空白文字で区切ります。
b)コメント行
コメント行は、コメント(注釈)を行全体に記述する場合に使用します。以下の形式で記述します。
# コメント |
コメント行には以下の規則があります。
コメント文は、行の先頭(1カラム目)に“#”を指定してください。
“#”は半角文字で記述します。
c)空行
空行(タブ文字からなる行)は、任意の位置に記述できます。
以下にIDCMホスト定義の記述形式を示します。
オペランド | 値 |
---|---|
psys | DPCF通信パス名を指定します。IDCMネットワーク定義に定義したDPCF通信パス名を指定してください。 |
ip | MQDのクラスタサービスが使用する論理IPアドレスを、nnn.nnn.nnn.nnnの形式で指定します。(0≦nnn≦255) |
以下にIDCMホスト定義の記述例を示します。
# Windows SafeCLUSTER for IDCM |
IDCMホスト定義の記述内容が誤っている場合やファイル操作時に異常が発生した場合は、以下のメッセージおよびエラーログファイルを出力した後、IDCMの起動が失敗します。
31136u:TCP/IP通信で資源不足が発生したためIDCMの活性化に失敗しました |
エラーログファイルに出力されるエラー情報を確認し、異常の原因を取り除いてからIDCMを再起動してください。
エラーログファイルの詳細は、エラーログファイルの内容を参照してください。
[注意]
オペランドで指定したIPアドレスは、形式だけをチェックします。
hostsファイルに定義していないIPアドレスまたは論理IPアドレスではないIPアドレスなどの誤ったIPアドレスを指定した場合、運用時にDPCF通信パスの確立に失敗するなどの異常が発生します。
IDCMホスト定義の記述内容が誤っている場合、エラー情報をエラーログファイルに出力します。エラーログファイルのファイル名および格納フォルダを以下に示します。
ファイル名 :hostlog
格納フォルダ:IDCMインストールフォルダ\idcm\trc
以下にエラーログファイルの出力形式を示します。なお、$DIRはIDCMインストールフォルダを示します。
******* IDCMHOST LOG $DIR\IDCM\trc\hostlog ******* |
mm/dd/yy : 月/日/年を示しています。
hh:mm:ss : 時/分/秒を示しています。
エラー情報 : 以下の形式で出力します。他のエラー情報が出力された場合は、エラーログファイルを採取して富士通の技術員に連絡してください。
%d line:There is an error in the IDCM host definiton. reason code (%x) |
以下に理由コードの意味を示します。
理由コード | 意味 |
---|---|
0x11 | psysオペランドの記述が誤っています。以下の場合が考えられます。
|
0x12 | psysオペランドの記述が誤っています。以下の場合が考えられます。
|
0x13 | psysオペランドで指定したDPCF通信パス名が重複しています。 |
0x14 | psysオペランドで指定したDPCF通信パス名がIDCMネットワーク定義に定義されていません。 |
0x21 | ipオペランドの記述が誤っています。以下の場合が考えられます。
|
MQDを起動する
MQD用のディスクリソースがオンラインになっているノードで、MQDを起動します。起動は、Windows®のサービスの起動で行います。起動するサービス名は次のとおりです。
MessageQueueDirector MQD001
なお、サービス名に含まれている“MQD001”は、mqdsetupの-sオプションを省略した場合の値です。-sオプションを指定して環境を作成した場合は、-sオプションでの指定値になります。
サービスの起動では、スタートアップパラメタに-pを指定してください。これにより、MQDの基本機能だけが起動されます。
サービス環境を作成する
ACM連携用のサービス環境を作成します。作成方法はクラスタサービスを使用しない場合と同じです。作成には、mqdacomsetupコマンドを使用します。このコマンドは、このノードで1度だけ実行します。以下にmqdacomsetupの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdacomsetup -----------------------------------------------------------------------------------
メッセージキューを作成する
ACM連携サービスで使用するメッセージキューを作成します。既存のキューに対してACM連携サービスを使用する場合には、新たにメッセージキューを作成する必要はありません。メッセージキューの作成は、mqdcrtqコマンドで行います。以下にmqdcrtqコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdcrtq que001 -----------------------------------------------------------------------------------
サービス定義を作成する
ACM連携サービスのサービス定義を作成します。クラスタシステムでACM連携サービスを使用する場合、サービス定義を追加および変更する必要があります。以下に追加および変更となる定義について説明します。
以下のキーワードを追加してください。
キーワード | 省略 | データ型 | 記述方法 | 記述内容の説明 |
---|---|---|---|---|
hasystem | 可 | 文字列 | “TYPE1”または“NO”を指定します。本キーワードを省略した場合、キーワード値は“NO”となります。 | クラスタ対応を行う場合は、“TYPE1”を指定します。 |
sesnoキーワードに設定する値を以下のように変更してください。
キーワード | 省略 | データ型 | 記述方法 | 記述内容の説明 |
---|---|---|---|---|
sesno | 可 | 数値 | 1~1024の範囲で指定します。 | IDCMネットワーク定義の優先会話コネクション数(winicontの値)と同じ数を指定してください。 |
サービス定義を登録する
ACM連携用のサービス定義を登録します。登録方法はクラスタサービスを使用しない場合と同じです。登録には、mqdacomdefコマンドを使用します。このコマンドは、このノードで1度だけ実行します。以下にmqdacomdefコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdacomdef -a -f e:\mqdenv\acomdef.def -----------------------------------------------------------------------------------
サービス定義を反映する
登録したサービス定義を反映するために、-nを指定して1度ACM連携サービスを起動します。起動はmqdstrsvcコマンドを使用して行います。以下に、mqdstrsvcコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdstrsvc -n acom -----------------------------------------------------------------------------------
MQDを停止する
環境作成のために起動したMQDを停止します。停止は、Windows®のサービスの停止で行います。
同報配信サービスを使用するためには、図13.7 同報配信サービスの環境作成の流れの手順に従って、同報配信サービスが動作するためのサービス環境を作成する必要があります。
図13.7 同報配信サービスの環境作成の流れ
MQDを起動する
MQD用のディスクリソースがオンラインになっているノードで、MQDを起動します。起動は、Windows®のサービスの起動で行います。起動するサービス名は次のとおりです。
MessageQueueDirector MQD001
なお、サービス名に含まれている“MQD001”は、mqdsetupの-sオプションを省略した場合の値です。-sオプションを指定して環境を作成した場合は、-sオプションでの指定値になります。
サービスの起動では、スタートアップパラメタに“-p”を指定してください。これにより、MQDの基本機能だけが起動されます。
サービス環境を作成する
同報配信サービスの環境を作成します。作成方法はクラスタサービスを使用しない場合と同じです。作成には、mqdmcassetupコマンドを使用します。このコマンドは、このノードで1度だけ実行します。以下に、mqdmcassetupコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdmcassetup -f e:\mqdenv\mcassetup.def -----------------------------------------------------------------------------------
メッセージキューを作成する
同報配信サービスで使用するメッセージキューを作成します。既存のキューに対して同報配信サービスを使用する場合には、新たにメッセージキューを作成する必要はありません。メッセージキューの作成は、mqdcrtqコマンドで行います。以下にmqdcrtqコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdcrtq que001 -----------------------------------------------------------------------------------
サービス定義を作成する
同報配信サービスのサービス定義を作成します。サービス定義については、クラスタサービスを使用しない場合と同一です。
サービス定義を登録する
同報配信サービスのサービス定義を登録します。登録方法はクラスタサービスを使用しない場合と同一です。登録は、mqdmcasdefコマンドで行います。このコマンドは、このノードで1度だけ実行します。以下に、mqdmcasdefコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdmcasdef -a -f e:\mqdenv\mcasdef.def -----------------------------------------------------------------------------------
サービス定義を反映する
登録したサービス定義を反映するために、-nを指定して1度同報配信サービスを起動します。起動はmqdstrsvcコマンドで行います。以下に、mqdstrsvcコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdstrsvc -n mcas -----------------------------------------------------------------------------------
MQDを停止する
環境作成のために起動したMQDを停止します。停止は、Windows®のサービスの停止で行います。
イベントチャネル連携サービスを使用するためには、図13.8 イベントチャネル連携サービスの環境作成の流れの手順に従って、イベントチャネル連携サービスが動作するためのサービス環境を作成する必要があります。
図13.8 イベントチャネル連携サービスの環境作成の流れ
ノーティフィケーションサービスの環境を作成する
イベントチャネル連携サービスをクラスタ環境で使用する場合は、イベントサービスの環境をクラスタで動作可能な形態で作成してください。
クラスタ環境でイベントサービスのユニットおよびイベントチャネルを作成する際のesmkunitコマンドおよびesmkchnlコマンドの詳細については“リファレンスマニュアル(コマンド編)”を参照してください。
CORBAサービスへの登録を行う
メッセージを受信するサーバでは、イベントチャネル連携サービスをCORBAサービスへ登録しなければいけません。メッセージを送信するサーバでは、本処理は必要ありません。なお、本処理の詳細については、“11.3.2.6 イベントチャネル連携サービスのCORBAサービスへの登録”を参照してください。
また、登録をする自サーバのIPアドレスは、運用系と待機系で共有するIPアドレスを指定してください。以下に、一括登録コマンドを使用してCORBAサービスへの登録を行う場合の入力例を示します。
ネーミングサービス方式で通信する場合は、以下の一括登録コマンドを使用します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdnsgwinit_ns.bat SERVER01 255.255.255.255 8002 -----------------------------------------------------------------------------------
IORファイル方式で通信する場合は、以下の一括登録コマンドを使用します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdnsgwinit_ior.bat SERVER01 255.255.255.255 8002 C:\MQDIORFILE -----------------------------------------------------------------------------------
MQDを起動する
MQD用のディスクリソースがオンラインになっているノードで、MQDを起動します。起動は、Windows®のサービスの起動で行います。起動するサービス名は次のとおりです。
MessageQueueDirector MQD001
なお、サービス名に含まれている“MQD001”は、mqdsetupの-sオプションを省略した場合の値です。-sオプションを指定して環境を作成した場合は、-sオプションでの指定値になります。
サービスの起動では、スタートアップパラメタに“-p”を指定してください。これにより、MQDの基本機能だけが起動されます。
サービス環境を作成する
イベントチャネル連携サービスの環境を作成します。作成方法はクラスタサービスを使用しない場合と同じです。作成には、mqdnsgwsetupコマンドを使用します。このコマンドは、このノードで1度だけ実行します。以下に、mqdnsgwsetupコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdnsgwsetup -----------------------------------------------------------------------------------
サービス定義を作成する
イベントチャネル連携サービスのサービス定義を作成します。サービス定義については、クラスタサービスを使用しない場合と同一です。
サービス定義を登録する
イベントチャネル連携サービスのサービス定義を登録します。登録方法はクラスタサービスを使用しない場合と同一です。登録は、mqdnsgwdefコマンドで行います。このコマンドは、このノードで1度だけ実行します。以下に、mqdnsgwdefコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdnsgwdef -a -f e:\mqdenv\nsgwdef.def -----------------------------------------------------------------------------------
サービス定義を反映する
登録したサービス定義を反映するために、-nを指定して1度イベントチャネル連携サービスを起動します。起動はmqdstrsvcコマンドで行います。以下に、mqdstrsvcコマンドの入力例を示します。
----------------------------------------------------------------------------------- mqdstrsvc -n nsgw -----------------------------------------------------------------------------------
MQDを停止する
環境作成のために起動したMQDを停止します。停止は、Windows®のサービスの停止で行います。