MQDを使用するためには、事前に各種ファイル資源を用意しておく必要があります。MQDで使用する各種ファイル資源について、以下の順に説明します。
ファイルの種類
ファイル容量の見積り
パーティションの獲得と初期化
MQDを使用するためには、ファイルを使用する場合、データベースを使用する場合でそれぞれ定められたファイル資源が必要です。必要なフィル資源についてタイプ別に以下に示します。ユーザはMQD環境定義ファイルを作成するだけです。その他のファイルは、システムがMQDのシステム環境の作成時に作成します。
図3.2 MQDの各種ファイル資源(ファイルを使用する場合:Windowsサーバ)
図3.3 MQDの各種ファイル資源(ファイルを使用する場合:Solarisサーバ)
以下に各ファイルの用途を示します。
図3.4 MQDの各種ファイル資源(データベースを使用する場合:Windowsサーバ)
図3.5 MQDの各種ファイル資源(データベースを使用する場合:Solarisサーバ)
以下に各ファイルの用途を示します。
MQD用データベースは、システムが使用するデータベースです。
データベーススペースは、データベースへのデータを格納する以下のファイルです。
NTFS(ローカルディスク)上のファイル
ローデバイスファイル
データベーススペースには、システム制御用とメッセージ格納用があります。システム制御用は、MQDがシステム制御用に使用します。メッセージ格納用は、手動で追加することにより複数のデータベーススペースを使用できます。追加の手順は“5.3.3 メッセージ格納ファイルの追加”を参照してください。
メッセージ格納テーブルは、ディスク型メッセージキューのメッセージ格納域です。ディスク型メッセージキューに対する送受信メッセージを一時的に格納します。
MQD用データベースは、Symfoware/RDBトランザクション連携機能を使用する場合は、連携する業務用データベースにシステム環境を作成します。
環境作成を行う前に各ファイルの容量見積りを行います。表3.2 ファイル容量の見積り方法(ファイルを使用する場合)にファイルを使用する場合のファイル容量の見積り方法を示します。表3.3 ファイル容量の見積り方法(データベースを使用する場合)にデータベースを使用する場合のファイル容量の見積り方法を示します。ファイル容量には、見積り値の1.2倍程度の余裕を持たせてください。
実際にシステムが獲得するファイルの大きさは、MQD環境定義で指定する値と余裕値の範囲内で異なる場合があります。
ファイル種別 | 容量の見積り方法 | 容量の指定方法 |
---|---|---|
MQD環境定義ファイル | 3[Kバイト]程度 | 指定不要 |
メッセージキュー管理 | ((メッセージキュー数 + 31) / 32 + 1) × 16 [Kバイト]を目安に決定する。 | 指定不要 |
ディスク型メッセージキューのメッセージ格納域(メッセージ格納ファイル) | (平均メッセージ長 × 最大蓄積メッセージ数 × 1.3) + (メッセージキュー数 × 16)+ 100 [Kバイト]を目安に決定します。 | MQD環境定義で指定 |
メモリ型メッセージキューのメッセージ格納域管理ファイル | 16[Kバイト] | 指定不要 |
トランザクション管理 | 38[Mバイト] | 指定不要 |
((1024 × 4) + 256 + (TransactionセクションのMax_Size / 16 × 2))× 16 [Kバイト]を目安に決定します。 | MQD環境定義で指定したパラメタを元にシステムが算出。詳細は“3.3 環境定義の記述”を参照 | |
システム制御用ファイル1 | ((メッセージキュー数 + 51) / 32 + 1) × 16 [Kバイト]を目安に決定します。 | 指定不要 |
システム制御用ファイル2 | 500 [Kバイト] に以下の各サービスを使用する場合に必要な値を加えた値を目安に決定します。なお、見積り結果が7[Mバイト]を下回る場合は、7[Mバイト]とします。
| MQD環境定義で指定 |
ファイル種別 | 容量の見積り方法 | 容量の指定方法 |
---|---|---|
MQD環境定義ファイル | 3[Kバイト]程度 | 指定不要 |
メッセージ格納テーブル | 1メッセージキューの容量を決定します。 (最大格納メッセージ数 + 1 )× a × 1.3 × 32 [Kバイト] を目安に決定します。(注1) a = 小数部切上げ(平均メッセージ長 / 30Kバイト) 見積り結果がメッセージキューによって違う場合には、あとから“5.3.6 メッセージキューの自動拡張”などにより容量を拡張できますので、見積り結果の最小値を指定することをお薦めします。 なお、見積り結果が4096[Kバイト]を下回る場合は、4096[Kバイト]とします。 | MQD環境定義で指定 |
メッセージ格納用データベーススペース | メッセージ格納テーブルの容量 × メッセージキュー数 × 1.2 を目安に決定します。 見積り結果がデータベーススペースの定量制限を超える場合は、データベーススペースを追加してください。(注2) (注3) | MQD環境定義で指定 |
システム制御用データベーススペース | 153,600[Kバイト]+ 最大メッセージキュー数 × 4[Kバイト]+ 76,800[Kバイト] × (メッセージ格納用データベーススペース容量[Mバイト] / 1024[Mバイト])に以下の必要な値を加えた値を目安に決定します。
システム制御用データベーススペースの拡張は難しいため、可能な限り大きな値を指定することをお勧めします。 | MQD環境定義で指定 |
注1) 格納する個々のメッセージの長さと格納の順番により、格納できるメッセージ数が増減します。そのため、見積り結果の容量には、指定した最大格納メッセージ数のメッセージを格納できない場合があります。詳細な容量を算出する場合は、“付録E SQL記述ファイルの内容”と“Symfoware Server RDBユーザーズガイド データベース定義編”を参照してください。
注2) “5.3.3 メッセージ格納ファイルの追加”を参照してください。
注3) 定量制限はSymfoware/RDBに準じます。詳細はSymfowareのオンラインマニュアルを参照してください。
ローデバイスファイルを使用する場合のハードディスク上のパーティションの獲得と初期化について説明します。
MQD環境定義ファイルを除く各種ファイルは、ローデバイスファイルに作成することができます。ローデバイスの設定においては、誤って他のファイルを壊す恐れがあるため、慎重に作業を行う必要があります。
パーティションの獲得と初期化は、formatコマンドを使用して行います。パーティションの獲得と初期化時に指定する主な情報を以下に示します。
DISK番号、パーティション番号
確保する領域量(セクタ数で指定)
なお、確保する領域量は必ず2Gバイト以下にしてください。2Gを超える領域に対してmqdsetupコマンドを実行すると、mqdsetupコマンドが復帰しなくなります。
パーティションの獲得と初期化の手順を以下に示します。
システムの“/dev”ディレクトリに含まれるデバイスファイルの名前を調べてください。
使用可能なパーティションの名前を調べてください。
必要分のパーティションを獲得して初期設定します。
パーティションがフォーマットされていることを確認します。フォーマットされていない場合は、formatコマンドを実行してフォーマットを行います。
次に、デバイスファイルのファイル所有者、ファイルのグループ所有権およびファイルモードをlsコマンドで確認し、必要ならば、それぞれ、chownコマンド、chgrpコマンドおよびchmodコマンドを使用して適切な値に変更します。例えば、ファイルの所有者と特定のグループ“MQDGRP”に属するユーザからのアクセスだけを許可したい場合は、以下のようにコマンドを実行します。
-------------------------------------------------------- chgrp MQDGRP /dev/rdsk/c1t2d0s1 chmod 660 /dev/rdsk/c1t2d0s1 chgrp MQDGRP /dev/dsk/c1t2d0s1 chmod 660 /dev/dsk/c1t2d0s1 --------------------------------------------------------