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ServerView Resource Coordinator VE 導入ガイド

9.1 概要

サーバが故障した場合や保守のために停止させる場合に、事前に予備サーバを指定しておくことで、サーバを切り替えて起動する機能です。
また、サーバ異常検出時に自動的に予備サーバに切り替える自動リカバリも行えます。

予備サーバへの切替え方式には以下の2つがあり、どの方式を使用するかは、サーバ切替えを設定する時点で、そのサーバに対してHBA address renameの設定が設定されているかに応じて決まります。

ただし、ハードウェア環境によって、利用可能な方式は異なります。詳細については、「ServerView Resource Coordinator VE インストールガイド」の「1.2 ハードウェア環境」の「注意」を参照してください。

HBA address rename方式は、I/O仮想化方式とも表現します。

PRIMERGY BXシリーズのサーバでは、どの方式の場合でも、サーバ切替え時にネットワークの設定(LANスイッチの内部ポートのVLAN ID)を予備サーバに引き継ぐことができます。


切り替えられた状態のサーバに対して、再度同じサーバ切替え方式によって、動作中の予備サーバを停止させて元の運用サーバを起動する操作を"切戻し"と呼びます。また、切戻しを行わず、起動した予備サーバをそのまま運用サーバに変更する操作を"継続"と呼びます。

注意

  • 自動リカバリによるサーバ切替えは、ハードウェア故障を検出した場合に動作します。ソフトウェアの異常によるOS停止や、OSの自動再起動では動作しません。
    詳細については、「9.3 サーバ切替え条件」を参照してください。
    また、自動リカバリは、ハードウェア故障を契機に動作するため、OSの異常を調査するメモリダンプを採取することよりも、サーバを強制停止して高速に切り替えることを優先します。
    そのため、サーバ切替えでは、OS異常時のメモリダンプ採取が設定されていても、メモリダンプは採取されません。

  • 予備サーバへの切替え方式は、バックアップ・リストア方式、HBA address rename方式のどちらか1つを利用できます。

  • HBA address renameによる切替えを利用する場合は、HBA address renameの設定が完了したことを確認してから、サーバ切替えの設定を行ってください。

  • VMゲストに対しては、個別に予備サーバを設定できません。VMゲストをSANまたはNAS上の共有ディスクに配置したうえで、VMホストに対して予備サーバを設定するか、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能を利用してください。
    サーバ仮想化ソフトウェア製品ごとの高可用性機能については、「A.3 利用する製品別の機能」を参照してください。
    なお、1台のVMホストに対しては、本製品による予備サーバへの切替えと、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能による切替えのどちらかを設定してください。

また、物理OSが動作しているサーバと、VMホストとVMゲストが動作しているサーバがある環境で、両方がHBA address renameを利用してSANブートしている場合は、以下の設定を組み合わせることで、物理OSとVMゲストで予備サーバを共有できます。
詳細については、「9.2 構成」の「図9.3 物理OSとVMゲスト(サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能)で予備サーバを共有する構成」を参照してください。

  1. VMゲストに対するサーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能(VMware HAなど)の予備サーバとして、VMゲストが動作していないVMホストを指定する。

  2. 物理OSのサーバ切替えの設定で、予備サーバとしてa.で指定したVMホストが動作している物理サーバを指定する。

この設定を行うことで、物理OSの動作しているサーバが故障した場合は、予備サーバ上のVMホストが停止されたあとに切り替わります。VMゲストが動作している物理サーバが故障した場合は、サーバ仮想化ソフトウェアの高可用性機能により、VMゲストが予備サーバに切り替わります。どちらか一方の切替えを行った状態では、他方の切替えは行えません。

参考

  • バックアップ・リストアによるサーバの切替え時間は、約3分 + システムイメージのリストアにかかる時間です。システムイメージのリストアにかかる時間は、ディスク容量やネットワークの状態などに応じて異なりますが、目安として、ディスク容量が73GBの場合でおよそ30~40分(システムイメージの転送に10~20分、システム再起動(複数回)と設定変更などの処理に20分)かかります。

  • HBA address renameによるサーバの切替え時間は、約5分 + サーバの起動時間です。サーバの起動時間は、OSの起動時間と、OS起動時に自動起動するサービスの起動時間に応じて異なります。また、予備サーバでVMホストが動作している場合は、予備サーバの停止時間も加算されます。