本節では、バックアップ運用を行うために必要となる事前準備について説明します。
バックアップ運用を開始するにあたり、事前にStorage管理サーバ、Storageサーバ上でデーモンを起動する必要があります。
通常、システムの起動時に自動的に立ち上がりますが、何らかの理由で起動に失敗した場合および一度デーモンを停止した場合は、各サーバでデーモンを起動する必要があります。デーモンの起動については、「第2章 デーモンの起動と停止」を参照してください。
バックアップ運用をバックアップ管理画面から行う場合は、バックアップ管理画面の各操作のアクセス権を設定します。設定方法の詳細については、「第3章 認証機構によるセキュリティ運用」を参照してください。
バックアップ運用をコマンドのみで行う場合は、アクセス権の設定は必要ありません。
GUIクライアントを起動します。詳細については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』の「GUIクライアントの起動」を参照してください。
なお、コマンドのみで運用する場合は、本操作を行う必要はありません。
Storage管理サーバにて、管理するStorageサーバを登録します。なお、Storage管理サーバを兼ねているStorageサーバは、サーバの登録をする必要はありません。
Storageサーバを登録する処理は、GUI操作およびコマンド操作で実施することができます。
GUIでの操作方法については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』の「新たにStorageサーバを登録する」を参照してください。
コマンドでの操作方法については、10.3.4 サーバ情報追加コマンド(stgxfwcmaddsrv)を参照してください。
この処理は、GUI操作およびコマンド操作で実施することができます。
GUIでの操作方法については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』の「デバイスの管理」を参照してください。
コマンドでの操作方法については、10.3.7 デバイス情報取得/反映コマンド(stgxfwcmsetdev)を参照してください。
実施後、GUIの表示結果または10.3.10 デバイス情報表示コマンド(stgxfwcmdispdev)の表示結果で、該当するデバイスにSymfoware情報が表示されていることを確認してください。
なお、この処理は、10.3.7 デバイス情報取得/反映コマンド(stgxfwcmsetdev)でも実施できます。
注意
Storageサーバ上のデバイス情報は、一旦リポジトリに格納する必要があります。
複数のStorageサーバ配下のデバイス情報を取り込む場合、リポジトリ更新時に必要な領域が不足する場合があります。そのため、デバイス情報を取り込む前に、リポジトリ更新時に必要な領域が不足していないか確認してください。不足している場合は、必要な領域を確保した後に、デバイス情報を取り込んでください。必要な領域の確認方法については、「9.2.3 リポジトリへのアクセス失敗時の対処方法」の手順2を参照してください。
注意
Symfoware情報を取得するためには、事前にSymfoware Server Advanced Backup Controllerが動作している必要があります。デバイス情報取得後にSymfoware Server Advanced Backup Controllerをインストールした場合は、再度デバイス取得を実施してください。
なお、インストール先のシステム環境により、ソフトウェアのバージョンレベルは異なります。詳細については、関連するソフトウェアのマニュアルなどを参照してください。
注意
この操作は、選択したStorageサーバに定義されているデバイスの総数に比例した時間がかかります。デバイス数が多い場合はCPU負荷やI/O負荷の低い状態で実施してください。
目安として、負荷のない状態で、1デバイス(スライス)あたり約0.5秒かかりますので、参考としてください。
サーバの環境設定は、GUI操作およびコマンド操作で実施することができます。
GUIでの操作方法については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager GUI使用手引書』の「Storageサーバ構成情報の設定」を参照してください。
コマンドでの操作方法については、10.2.1.1 Storageサーバ構成情報設定コマンド(swstsvrset)を参照してください。
なお、コマンドのみの運用をする場合は、運用開始時にStorageサーバ構成情報設定コマンドを実施しなければなりません。
ポイント
Storage管理サーバがStorageサーバを兼ねている場合、Storage管理サーバでもこの環境設定を行う必要があります。
既に、Storageサーバの環境設定が行われている場合は、この作業は必要ありません。
バックアップを行いたいSymfowareのデータベーススペースを構築したスライスを業務ボリューム、バックアップ先となるボリュームをバックアップボリュームとして定義します。
業務ボリュームの設定
10.2.1.3 デバイス情報設定コマンド(swstdevinfoset)を用いて、バックアップを行いたいSymfowareのデータベーススペースを構築したスライスを、業務ボリュームとして定義します。
ロググループの場合は、ロググループに含まれるすべてのデータベーススペースが配置されているスライスを、それぞれ個別に業務ボリュームとして登録する必要があります。1つでも登録から漏れるとAdvancedCopy Managerは登録から漏れたデータベーススペースをバックアップすることができず、データベースのリカバリ時に表間のリレーションの整合性が保てなくなります。
Symfowareのデータベーススペースが設定されていないデバイスを、Symfoware用の業務ボリュームとして設定することはできません。
注意
Symfoware用の業務ボリュームに割り当てられたRDBシステム名やデータベーススペース名、ロググループ名等を変更した場合は、以下の手順で業務ボリュームとして登録しなおしてください。
既に登録した業務ボリュームのバックアップ履歴情報を履歴情報削除コマンドですべて削除します。
既に登録した業務ボリュームのバックアップポリシーをすべて削除します。
デバイス情報設定コマンドを使用して業務ボリュームの登録から削除します。
再度、5.2.4.5 Storageサーバ配下のデバイス情報の取り込みを行います。
デバイス情報設定コマンドを使用して業務ボリュームとして登録しなおします。
注意
ロググループに含まれる業務ボリュームを登録から削除する場合は、その業務ボリュームのバックアップポリシーおよびバックアップ履歴情報をすべて削除してから、業務ボリュームの登録から削除してください。
バックアップボリュームの設定
10.2.1.3 デバイス情報設定コマンド(swstdevinfoset)を用いて、バックアップ先とするバックアップボリュームを設定してください。既にバックアップボリュームを登録してある場合は、この操作は不要です。
バックアップ管理が必要とするバックアップボリュームの本数については、「5.2.4.5 Storageサーバ配下のデバイス情報の取り込み」を参照してください。
注意
バックアップボリュームとして登録したパーティション(スライス)の構成などを変更する場合は、構成を変更する前に一旦バックアップボリュームの登録から削除し、構成変更後に再度5.1.4.5 Storageサーバ配下のデバイス情報の取り込みを行ってから、10.2.1.3 デバイス情報設定コマンド(swstdevinfoset)で登録し直す必要があります。
業務ボリュームの存在する筐体とは別の筐体にあるバックアップボリュームにバックアップを行う場合は、オプションの設定を行います。
運用開始後にオプション設定ファイルを変更すると、バックアップ運用が継続できなくなる場合があります。そのため、運用開始後はオプション設定ファイルを変更しないでください。
なお、オプション設定ファイルを変更する場合は、バックアップポリシーも再設定する必要があります。
注意
REC/ROPC機能が動作可能なETERNUS ディスクアレイが必要です。
両筐体がFCRA(FC Remote Adapter)で接続されていることが必須です。
FCRAによる接続ではデータはInitiator側からTarget側へしか流れませんので最低2組のFCRA接続が必要です。
バックアップ運用では、リストアの際にROPC機能を利用するため、ROPC機能が動作しない(REC機能のみが動作可能な)ETERNUS ディスクアレイでは、業務ボリュームの存在する筐体とは別の筐体にあるバックアップボリュームにバックアップを行う運用はできません。
オプションの設定は以下のファイルを作成します。
/etc/opt/FJSVswsts/論理ノード名(*1)/data/DEFAULT/check.ini
(*1) クラスタセットアップ時に指定したAdvancedCopy Managerの論理ノード名。
記述方法を以下に示します。
[check] RemoteCopy=Yes
10.2.1.5 バックアップポリシー設定コマンド(swstbkpolset)を用いて、業務ボリュームまたはロググループにバックアップポリシーを設定します。
ロググループに対して設定した場合、そのロググループに含まれるすべての業務ボリュームに対してバックアップポリシーが設定されます。
バックアップポリシーの詳細については、「5.2.2.4 バックアップポリシーの決定」を参照してください。
注意
バックアップポリシーの設定時には、バックアップ運用に必要なバックアップボリュームが登録されている必要があります。バックアップ運用に必要なバックアップボリューム数については、「5.2.2.5 バックアップボリュームの準備」を参照してください。
登録されているバックアップポリシーは、10.2.1.6 バックアップポリシー表示コマンド(swstbkpoldisp)で表示することができます。
登録されているロググループに新たにデータベーススペースを追加し、業務ボリュームとして設定した場合は、再度ロググループ単位でバックアップポリシーの設定を行ってください。
ロードシェア運用においてはロググループが使用するバックアップボリュームを明確に分けるため、デバイスマップファイルを必ず使用して運用してください。
デバイスマップファイルは、バックアップを行うStorageサーバ上の任意の場所に作成します。このファイルをバックアップ実行時に指定する事で、バックアップ先を意識した運用が可能となります。
ポイント
複数世代管理を行う場合は、デバイスマップファイルを複数用意する必要があります。
また、バックアップもしくは同期処理の開始時に使用できるデバイスマップファイルは、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
未使用のバックアップボリュームを指定している
そのバックアップで削除される履歴で使用されているバックアップボリュームを指定している
そのため、バックアップボリュームを複数使用する運用の場合は、バックアップボリュームの状況に合わせてデバイスマップファイルを使い分ける必要があります。
デバイスマップファイルの記述例を以下に示します。
# コメント行は「#」ではじめます。 # 業務ボリューム名 出力先バックアップボリューム名 #Normal Disks /dev/dsk/c1t1d1s1 /dev/dsk/c1t1d20s1 /dev/dsk/c1t1d1s2 /dev/dsk/c1t1d20s2 /dev/dsk/c1t1d1s3 /dev/dsk/c1t1d20s3 #LOG01/GRP1 # この部分にもコメントを記述することができます。 /dev/dsk/c1t1d2s1 /dev/dsk/c1t1d30s1 /dev/dsk/c1t1d2s2 /dev/dsk/c1t1d30s2 /dev/dsk/c1t1d2s3 /dev/dsk/c1t1d30s3 #LOG02/GRP2 /dev/dsk/c1t1d5s4 /dev/dsk/c1t1d10s4 /dev/dsk/c1t1d5s5 /dev/dsk/c1t1d10s5 : : : :
デバイスマップファイル作成時の規則を以下に示します。
1行に業務ボリューム名と対応する出力先バックアップボリューム名を記述します。業務ボリューム名と出力先バックアップボリューム名の間を1個以上の「半角空白またはタブ文字」で区切ってください。また、行頭から業務ボリューム名の間、および、出力先バックアップボリューム名の後ろから行末(改行記号)の間には1個以上の「半角空白またはタブ文字」が含まれていても構いません。
空白行(「半角空白またはタブ文字」)がファイルに含まれていても構いません。
記号「#」から行末まではコメントとみなされます。
1つのデバイスマップファイルの中で1つの業務ディスクに対して出力先バックアップボリュームを複数指定することはできません。このような場合は、最初に見つかった行の情報が有効になります。デバイスマップファイルからの読みこみ処理では、このような重複行の検出は行いません。
デバイスマップファイルには、処理対象(Device-NameまたはLog-Group-Name)以外の業務ボリュームの記述があっても構いません。冒頭に示した記述例を参照してください。
ロググループに対して出力先バックアップボリュームを定義する場合は、単一ファイル内に全ての業務ボリュームに関する記述をしなければなりません。複数ファイルに記述がまたがっていてはいけません。
資源バックアップコマンド(swstresback)を使用して、各ロググループのバックアップ管理簿を「5.2.2.6 バックアップ管理簿/リカバリ制御ファイルの配置ディレクトリの設計」で決定したディレクトリに配置(退避)します。
[コマンド実行例]
ロググループLG1のバックアップ管理簿を/acm/LG1に配置します。
# /opt/FJSVswsts/bin/swstresback /acm/LG1 -lg LG1/RDB1 swstresback completed #