Netcompo WAN制御 説明書
目次 前ページ次ページ

上へ第7章 環境構築6 上位プロトコル(TCP/IP)

7.2 エディタによる設定(HDLC-ABM)

ここでは、TCP/IPでHDLC-ABM手順を使用するために必要な、エディタによる環境設定について説明します。

環境を定義する手順は、以下のようになります。

(1)下位プロトコルの環境定義の設定

(2)接続情報の設定

(3)ネットワーク活性化手順の定義の設定

7.2.1 接続情報定義

TCP/IPをHDLC-ABM手順(以降、ABMと記述する)上で使用するために必要な環境定義ファイルには次のものがあります。

上記の環境定義ファイルで最初の3つの各ファイルは、HDLC手順の環境定義ファイルです。これらのファイルについては“第4章 環境構築3 HDLC”を参照してください。

/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/hdlchost

本ファイルは、/etc/hostsに定義されているIPホストと、/etc/opt/FJSVwan/etc/hdlc/hostsファイルに定義されているHDLCホストとの対応を定義するファイルです。エントリ形式を以下に示します。
また、以下で説明されていないパラメタについては、“付録C.5 IPCOパラメタリファレンス”を参照してください。

 # IP-hostname protocol flag hostname option services shutdowntime keeptime

各設定情報を説明します。

IP-hostname

IPホスト名またはIPアドレスを指定します。本パラメタは省略できません。IPホスト名は、/etc/hostsファイルに定義されているホスト名またはDNSによって検索可能なホスト名です。

protocol

プロトコル名を指定します。必ずhdlcを指定してください。

hostname

HDLCホスト名を指定します。本パラメタは省略できません。指定するホスト名は、/etc/opt/FJSVwan/etc/hdlc/hostsファイルに定義されているホスト名を設定してください。

services

HDLCサービス名を指定します。本パラメタは省略できません。指定するサービス名は、/etc/opt/FJSVwan/etc/hdlc/servicesファイルに定義されているサービス名です。

以下に定義例を示します。

 # IP-hostname protocol flag hostname option services shutdowntime keeptime
 iphost1    hdlc    -        hdlchost1    none    hdlcservice1
 iphost2    hdlc    in       hdlchost2    none    hdlcservice2    200
 iphost3    hdlc    -        hdlchost3    none    hdlcservice3
 iphost4    hdlc    const    hdlchost4    none    hdlcservice4
 iphost5    hdlc    multi    hdlchost5    none    hdlcservice5
 iphost6    hdlc    multi    hdlchost6    none    hdlcservice6
 iphost7    hdlc    multi    hdlchost7    none    hdlcservice7

上記の定義例の説明をします。
iphost1、iphost3、iphost5は自側ホストの定義です。iphost1はiphost2と、iphost3はiphost4と、iphost5はiphost6またはiphost7と接続します。この場合、iphost1とiphost2、iphost3とiphost4、iphost5〜iphost7は、IPアドレスで認識される同一ネットワークに所属していなければなりません。
iphost1がiphost2との接続を行う場合、着信だけが有効です。(自側ホストiphost1からの接続要求はできません。)また、iphost2との通信では、200秒間無通信状態が続くと、回線が切断されます。
iphost3とiphost4の接続においては、無通信監視によって回線が切断されることはありません。また、IPCO機能の活性化時に、コネクションの接続が行われます。iphost5は、iphost6またはiphost7との接続が可能です。

/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/sysparm

本ファイルは、IPCO機能の基本パラメタを定義するファイルです。
以下にあらかじめ提供されている本ファイルの内容を示します。
各パラメタについては、“付録C.5 IPCOパラメタリファレンス”を参照してください。

 maxcon         =   256     # max connection count for ipcons
 maxconx25      =   64      # max connection count for X.25
 maxconx25pvc   =   64      # max connection count for X.25(pvc)
 maxconhdlc     =   64      # max connection count for HDLC
 shutdowntime   =   300     # connection disconnect time
 keeptime       =   100     # connection keep time

/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/interface

本ファイルは、TCP/IPでABMを使用するIPインタフェースの定義を行います。エントリを以下に示します。

 # interface protocol src_host dst_host

各設定情報について説明します。

interface

使用するIPインタフェース名を指定します。IPインタフェース名はipcoXの形式をとり、Xの部分に使用できるのは、0から最大32767までの数字です。また、ipcoXはシステムで一意の値でなければなりません。

protocol

プロトコル名を指定します。HDLC-ABMの場合、hdlcを設定します。ただし、1:n接続およびHDLCでの代表選択サービスを使用する場合は、hdlc_multiを設定してください。

src_host

インタフェース名に対応するIPホスト名を指定します。IPホスト名は、/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/hdlchostファイルに定義されているホスト名を使用します。

dst_host

接続する相手IPホスト名を指定します。IPホスト名は/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/hdlchostファイルに定義されているホスト名を使用します。
1:n接続およびHDLCでの代表選択サービスを使用する場合は、本設定は不要です。

以下に、/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/interfaceファイルの定義例を示します。

 # interface protocol src_host dst_host
 ipco0   hdlc         iphost1   iphost2
 ipco1   hdlc_multi   iphost5

7.2.2 ネットワーク活性化手順の定義

次に、インタフェースの起動および停止を行うための手順を定義することです。
この定義は、/etc/opt/FJSVwan/etc/ipco/wanipstartスクリプトに行います。
本スクリプトには、あらかじめ以下に示すエントリが定義されています。

 # wanifconfig ipcox hostx $UPDOWN $RSC none

上記の1行を複写し、有効(行先頭の#を削除する)にします。ipcox, hostxを、使用するIPインタフェース名およびIPホスト名に書き直し、続けて相手IPホスト名を追加します。1:n接続およびHDLCでの代表選択サービスを使用する場合は、相手IPホスト名の設定は不要です。
以下にインタフェースipco0, ipco1を追加した場合の定義例を示します。なお、この定義例ではipco0のIPホスト名をiphost1、接続する相手IPホスト名をiphost2とし、ipco1のIPホスト名をiphost5としています。

 # wanifconfig ipcox hostx $UPDOWN $RSC none
 wanifconfig ipco0 iphost1 iphost2 $UPDOWN $RSC none
 wanifconfig ipco1 iphost5 $UPDOWN $RSC none

目次 前ページ次ページ

All Rights Reserved, Copyright (C) 富士通株式会社 2002