ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用手引書 13.0 -Microsoft(R) Windows(R) 2000- -Microsoft(R) Windows Server(TM) 2003- |
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本章では、Suspend/Resume機能によるバックアップ運用について説明します。
Suspend/Resume機能とは、ECによる等価性維持状態を一時中断(Suspend)/再開(Resume)する機能です。当機能を使用し、一時中断状態からの差分コピーを行うことによって、より高速な同期型バックアップ運用が可能です。
AdvancedCopy Managerのバックアップ機能は、スナップショット型高速バックアップと同期型高速バックアップの2つの方式があります。スナップショット型高速バックアップでは、OPCを利用し、同期型高速バックアップではECを利用してバックアップを行います。Suspend/Resume機能は、ECを利用する同期型高速バックアップの一つです。
通常の同期型高速バックアップでは、同期処理開始コマンドでECによるコピーを開始し、コピー完了後に等価状態を保持します。その後、バックアップ実行コマンドを実行してECを解除することでバックアップを行います。
Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップでは、サスペンド指定をしてバックアップ実行コマンドを実行すると、ECを一時停止してバックアップ完了となりますが、ECセションは保持されます。次回の同期処理開始コマンドによるEC再開時は、一時停止以降に更新されたデータのみをコピーするので、バックアップ準備時間の短縮を図ることが可能となります。
通常の同期型高速バックアップとSuspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップの比較を以下に示します。
Suspend/Resume機能を使用して、同期型高速バックアップ運用を行うには、バックアップ管理の『運用設計』の内容に加え、以下の点に留意してバックアップ運用の設計を行ってください。
業務で使用しているバックアップ元デバイスを業務ボリュームとして登録します。
業務ボリュームのデータを退避するバックアップ先デバイスをバックアップボリュームとして登録します。
サスペンド指定のバックアップを実行した場合、業務ボリュームとバックアップボリューム間のECセションがサスペンド状態となって保持されます。サスペンド中はバックアップボリュームを他の業務ボリュームのバックアップ先として使用できません。
Suspend/Resume機能を使用してバックアップ運用を行う場合は、各業務ボリュームに対して、保存世代数+1本のバックアップボリュームが必要です。
Suspend/Resume機能を使用した一連のバックアップ運用の流れを以下に示します。
Suspend/Resume機能を使用したバックアップ運用の事前準備について説明します。
AdvancedCopy Managerのインストールから運用環境の設定については、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 導入手引書』、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager運用手引書』にしたがって設定してください。
バックアップ運用を行うStorageサーバの構成情報を設定します。
Storageサーバ構成情報の設定は、Storageサーバ構成情報設定コマンド(swstsvrset)で行います。設定したStorageサーバ構成情報は、Storageサーバ構成情報表示コマンド(swstsvrdisp)で参照することができます。この設定はWeb画面のサーバ情報の設定画面から実施することもできます。
バックアップ元となる業務ボリューム、バックアップ先として使用するバックアップボリュームを登録します。業務ボリューム・バックアップボリュームの登録は、デバイス情報設定コマンド(swstdevinfoset)またはWeb画面のデバイス情報の設定画面で行います。
登録したボリュームの情報は、デバイス使用状況表示コマンド(swstdevdisp)で参照することができます。
業務ボリュームの情報は、Web画面の業務ボリューム一覧画面から参照することもできます。バックアップボリュームの情報は、Web画面のバックアップボリューム一覧画面から参照することもできます。
サスペンド中のバックアップボリュームのデバイス情報を表示した場合、Device-Mode欄に使用中("Backup (used)")と表示されます。
バックアップポリシー設定の際には、指定されたバックアップポリシーに従って運用するために必要な本数の使用可能なバックアップボリュームが登録されている必要があります。
バックアップポリシーの設定は、バックアップポリシー設定コマンド(swstbkpolset)またはWeb画面のバックアップポリシーの設定画面で行います。
設定したバックアップポリシーは、バックアップポリシー表示コマンド(swstbkpoldisp)またはWeb画面の業務ボリューム一覧画面で参照することができます。
バックアップポリシーの削除は、バックアップポリシー削除コマンド(swstbkpoldel)またはWeb画面のバックアップポリシーの削除画面で行います。
AdvancedCopy Managerのバックアップ運用では、バックアップボリュームとして登録されているデバイス群から、業務ボリュームの容量と同一のデバイスを、AdvancedCopy Managerが自動的に選択し、バックアップ先として利用します。
同期処理開始に伴うバックアップ先の選択時に、サスペンド中のバックアップボリュームが存在する場合は、そのデバイスを優先的に選択しバックアップ先として使用します。
運用の都合上、バックアップ先デバイスを意識したい場合は、あらかじめ『デバイスマップファイル』という業務ボリュームとバックアップボリュームの対応ファイルを作成しておく必要があります。このファイルを同期処理開始時またはバックアップ実行時に指定する事で、バックアップ先を指定した運用が可能となります。
複数世代管理を行う場合は、デバイスマップファイルを複数用意する必要があります。
Suspend/Resume機能を使用して同期型高速バックアップを行うには、同期処理開始後、等価性維持状態に達したら、バックアップ実行コマンド(swstbackup)をサスペンド指定で実行し、同期処理を一時停止(Suspend)します。その後、世代溢れや履歴情報削除の実行によって履歴が削除されると、バックアップボリュームは履歴のないサスペンド状態になります。このとき、新たに同期処理を開始すると、履歴のないサスペンド状態のバックアップボリュームが優先的に選択され、差分コピーが開始されます。前回サスペンド時からの変更データのみをコピーするため、高速に等価性維持状態に達することができます。
Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップ運用の流れを以下に示します。
Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップ運用のバックアップやリストアの操作は、Web画面からは実施することができません。
同期型高速バックアップを行うには、同期処理開始コマンド(swststartsync)で同期処理を開始します。
同期処理開始時に、サスペンド中のバックアップボリュームが存在する場合は、以下のデバイスを優先的に選択して、ECを再開(差分コピーを開始)します。
世代溢れ。または、
履歴のないサスペンド状態のバックアップボリューム。
サスペンド中のバックアップボリュームが存在しない場合は、ECが開始(全面コピーを開始)されます。
同期処理開始時のバックアップボリューム選択を以下に示します。
デバイスマップ指定で同期処理を開始する場合、他の業務ボリュームとサスペンド中のバックアップボリュームをバックアップ先として使用することはできません。バックアップボリュームがどの業務ボリュームとサスペンド中なのかを調べるには、同期処理実行状況表示コマンド(swstsyncstat)を使用して確認することができます。
Suspend/Resume機能を使用した同期型高速バックアップを行う場合は、同期処理を開始し、業務ボリュームとバックアップボリュームのコピー状態が等価性維持状態になった後で、バックアップ実行コマンド(swstbackup)をサスペンド指定で実行します。
同期型高速バックアップ運用で、サスペンド指定を行わずにバックアップを実行すると、ECセションは解除されます。サスペンド指定のバックアップを実行した場合はECセションは解除されず、一時停止(Suspend)されます。
通常のバックアップとサスペンド指定のバックアップの動作を以下に示します。
Suspend/Resumeを使用した同期型高速バックアップ運用の状況確認は、同期処理実行状況表示コマンド(swstsyncstat)で行います。同期処理実行状況表示コマンドでは、1つの業務ボリュームに複数のECセションが存在する場合、すべてのECセションの状態を表示します。表示される同期処理の状態は以下のとおりです。
executing:同期処理中(コピー中)
equivalent:等価性維持状態
suspend:サスペンド中
同期処理実行状況表示コマンドで表示される実行状態を以下に示します。
同期処理(ECセション)のキャンセルは、同期処理キャンセルコマンド(swstcancelsync)で行います。同期処理キャンセルコマンドでキャンセルされる同期処理の状態は以下のとおりです。
executing:同期処理中(コピー中)
equivalent:等価性維持状態
suspend:サスペンド中
サスペンド指定のバックアップ実行後は、履歴を削除しても、サスペンド状態が保持されます。サスペンド中のECセションは、同期処理のキャンセルを行わない限り解除されません。
オプション指定をせずに同期処理のキャンセルを行った場合は、同期処理中または等価性維持状態のECセションをキャンセルします。
1つの業務ボリュームに複数の同期処理(ECセション)が存在する場合、バックアップボリュームを指定して特定のECセションのみをキャンセルすることができます。また、全同期処理指定によって、業務ボリュームのすべての同期処理を一括でキャンセルすることができます。
バックアップボリューム指定と全同期処理指定を同時に指定することはできません。
履歴が存在するサスペンド中の同期処理のキャンセルを行っても履歴は削除されません。
履歴が存在しない同期処理(コピー中または等価性維持状態またはサスペンド中の同期処理)をキャンセルすると、バックアップボリュームの使用状態は空きになりますが、履歴が存在する同期処理(サスペンド中の同期処理)をキャンセルすると、バックアップボリュームの使用状態は使用中のままになります。
同期処理キャンセル実行時の動作を以下に示します。
バックアップ履歴情報は、履歴情報表示コマンド(swsthistdisp)で参照することができます。
バックアップ履歴情報の削除は、履歴情報削除コマンド(swsthistdel)で行います。
サスペンド指定のバックアップで作成された履歴に対して、履歴の削除を行ってもECセションは解除されません。
通常の同期型高速バックアップを行った場合、履歴を削除するとバックアップボリュームは開放され、デバイス使用状況表示コマンド(swstdevdisp)のDevice-Mode欄にはBackup(free)と表示されますが、サスペンド指定のバックアップを行った場合は履歴削除後もバックアップボリュームは開放されず、デバイス使用状況表示コマンドのDevice-Mode欄にはBackup(used)と表示されます。
通常のバックアップ履歴とサスペンド指定のバックアップ履歴の削除を以下に示します。
リストアは、リストア実行コマンド(swstrestore)で行います。
リストアの中止または、異常終了したリストアの管理情報を削除する場合は、リストアキャンセルコマンド(swstcancelrest)を使用します。
リストアを実行する際は、業務ボリュームに設定されているECセションは全て同期処理キャンセルコマンド(swstcancelsync)を使用して解除する必要があります。業務ボリュームに設定されているECセションは、同期処理実行状況表示コマンド(swstsyncstat)で確認することができます。
業務ボリュームに、ECによるコピー中、等価性維持状態、サスペンド中のバックアップボリュームが存在する場合、リストアを実行することはできません。
サスペンド中のバックアップボリュームを、リストア先ボリュームとして使用することはできません。
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