PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)
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第6章 バックアップとリストア> 6.5 ディスク装置のコピー機能を使用したバックアップとリストア

6.5.2 バックアップ

3) クラスのオブジェクト構成のバックアップ

運用ドメインのノード Node1 または Node2 において、バックアップの対象となるクラス Class1 のオブジェクト構成をバックアップします。

3-1) 構成情報の保存

sdxinfoコマンドの出力をファイルに保存します。ここでは、ファイルのパス名を /var/tmp/Class1.info とします。

# sdxinfo -c Class1 -e long > /var/tmp/Class1.info

3-2) 構成ファイルの作成

クラス Class1 内のオブジェクト構成を、構成テーブル形式でファイルに出力します。ここでは、ファイルのパス名を /var/tmp/Class1.conf とします。

# sdxconfig Backup -c Class1 -o /var/tmp/Class1.conf

3-3) 構成情報と構成ファイルのバックアップ

手順3-1), 3-2)で作成したファイルをテープなどに保存します。

 

4) バックアップ用ディスクの切離し(同期化の一時停止)


ここでは、バックアップ用ディスクを切り離す際に、業務を停止することによってデータの整合性を確保します。ボリュームのデータを管理しているファイルシステムやデータベースシステムといったソフトウェアが、切り離されたコピー先ディスクのデータの整合性を保証する機能や整合性を修復する機能を備えている場合は、手順4-3)および4-5)を実施する必要はありません。その代わりに、それらのソフトウェア固有の方法で、整合性を確保する操作を行います。「スナップショットデータの整合性」を参照してください。

4-1) 業務用ボリュームの状態の確認

業務用ボリューム Volume1 のスライスのデータが正当な状態(ACTIVEまたはSTOP)であることを確認します。

# sdxinfo -S -c Class1 -o Volume1

OBJ    CLASS   GROUP   DISK    VOLUME  STATUS
------ ------- ------- ------- ------- --------
slice  Class1  Group1  Disk1   Volume1 ACTIVE
slice  Class1  Group1  Disk2   Volume1 ACTIVE

データが正当な状態(ACTIVEまたはSTOP)ではない場合は、「スライス状態に関する異常」を参照してスライスの状態を復旧してください。

4-2) ディスク装置のコピー機能の状態の確認

業務用ディスクとバックアップ用ディスクが同期化された状態であることを確認します。


確認方法については、ディスク装置のコピー機能のマニュアルを参照してください。

4-3) 業務の停止

業務用ディスクから切り離した後のバックアップ用ディスクのデータの整合性を確保するため、ノードNode1 および Node2 において、業務用ボリューム Volume1 を使用しているアプリケーションを停止します。

Volume1 をファイルシステムとして使用している場合は、アンマウントします。

4-4) バックアップ用ディスクの切離し(同期化の一時停止)

バックアップ用ディスク c3t1d1, c4t1d1 を、業務用ディスク c1t1d1, c2t1d1 から切り離します。


同期化を一時停止する方法については、ディスク装置のコピー機能のマニュアルを参照してください。

4-5) 業務の再開

手順4-3)でファイルシステムをアンマウントした場合は、再度マウントします。

手順4-3)で停止したアプリケーションを再開します。

 

5) バックアップ用ボリュームの作成

バックアップサーバ Node3 において、バックアップ用ディスク c3t1d1, c4t1d1 上にバックアップ用ボリュームを作成します。以下の設定をバックアップサーバ Node3 で実施します。

5-1) 構成ファイルの配置

手順3)でバックアップした構成ファイル /var/tmp/Class1.conf を、バックアップサーバ Node3 上に配置します。ここでは、配置先のファイルのパス名を /var/tmp/Class1.conf とします。

5-2) 構成ファイルに記述されている物理ディスクの変更

構成ファイル /var/tmp/Class1.conf に記述されている業務用ディスクの物理ディスク名 c1t1d1, c2t1d1 を、バックアップ用ディスクの物理ディスク名 c3t1d1, c4t1t1 に変更します。

# sdxconfig Convert -e replace -c Class1 -p c1t1d1=c3t1d1,c2t1d1=c4t1d1 \
-i /var/tmp/Class1.conf -o /var/tmp/Class1.conf -e update
物理ディスクの容量
変更前の物理ディスクと変更後の物理ディスクは、容量が等しい必要があります。

5-3) 構成ファイルに記述されているクラス名の変更

構成ファイル /var/tmp/Class1.conf に記述されている構成テーブルのクラス名 Class1 を他のクラス名 Class2 に変更し、構成ファイル /var/tmp/Class2.conf に保存します。クラス名の変更は、バックアップサーバが属しているドメインにクラス Class1 がすでに作成されている場合は必須です。

# sdxconfig Convert -e rename -c Class1=Class2 -i /var/tmp/Class1.conf -o /var/tmp/Class2.conf

5-4) バックアップ用ボリュームの作成

手順5-3)で生成した構成ファイル /var/tmp/Class2.conf に記述されている構成テーブルに従って、クラス Class2 のオブジェクト構成を作成します。

# sdxconfig Restore -c Class2 -i /var/tmp/Class2.conf -e chkps,skipsync

バックアップサーバ Node3 において、バックアップ用ディスク c3t1d1, c4t1d1 がローカルクラス Class2 に登録されます。それぞれのディスクにディスク名 Disk1, Disk2 が付与され、ディスク Disk1, Disk2 上にバックアップ用ボリューム Volume1 が作成されます。

手順4-4)において、バックアップ用ディスクに対する書込みがない状態でバックアップ用ディスクを切り離しているため、c3t1d1 と c4t1d1 の等価性が保証されています。このため、sdxconfig Restoreコマンドの -e skipsyncオプションを指定し、ミラーボリューム Volume1 作成時の等価性コピーを省略することができます。

 

6) テープへのバックアップ

バックアップサーバ Node3 において、バックアップ用ボリューム Volume1 のデータをテープ装置/dev/rmt/0 のテープ媒体にバックアップする例を示します。


バックアップ方法の詳細については、バックアップするファイルシステムや使用するコマンドのマニュアルを参照してください。

GFS共用ファイルシステムの場合
手順6a)の方法でバックアップしてください。

6a) dd(1M)コマンドを使用して raw デバイスのデータをバックアップする場合

# dd if=/dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1 of=/dev/rmt/0 bs=32768

6b) tar(1)コマンドを使用して ufs ファイルシステムをバックアップする場合

6b-1) バックアップ用ボリューム Volume1 上の ufs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順3)においてバックアップ用ディスクを切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。

# fsck -F ufs -y /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6b-2) バックアップ用ボリューム Volume1 上の ufs ファイルシステムを、一時的なマウントポイント/mnt1 に読取り専用モードでマウントします。

# mkdir /mnt1
# mount -F ufs -o ro /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 /mnt1

6b-3) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。

# cd /mnt1
# tar cvf /dev/rmt/0 .

6b-4) 手順6b-2)でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。

# cd /
# umount /mnt1
# rmdir /mnt1

6c) ufsdump(1M)コマンドを使用して ufs ファイルシステムをバックアップする場合

6c-1) バックアップ用ボリューム Volume1 上の ufs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順3)においてバックアップ用ディスクを切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。

# fsck -F ufs -y /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6c-2) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。

# ufsdump 0ucf /dev/rmt/0 /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6d) tar(1)コマンドを使用して sfxfs ファイルシステム(GFSローカルファイルシステム)をバックアップする場合

6d-1) バックアップ用ボリューム Volume1 上の sfxfs ファイルシステムのパーティション情報の構成変更を行います。

# sfxadm /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6d-2) バックアップ用ボリューム Volume1 上の sfxfs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順3)においてバックアップ用ディスクを切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。

# fsck -F sfxfs -y /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6d-3) バックアップ用ボリューム Volume1 上の sfxfs ファイルシステムを、一時的なマウントポイント /mnt1 に読取り専用モードでマウントします。

# mkdir /mnt1
# mount -F sfxfs -o ro /dev/sfdsk/Class2/dsk/Volume1 /mnt1

6d-4) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。

# cd /mnt1
# tar cvf /dev/rmt/0 .

6d-5) 手順6d-3)でマウントしたファイルシステムをアンマウントします。

# cd /
# umount /mnt1
# rmdir /mnt1

6e) sfxdump(1M)コマンドを使用して sfxfs ファイルシステム(GFSローカルファイルシステム)をバックアップする場合

6e-1) バックアップ用ボリューム Volume1 上の sfxfs ファイルシステムのパーティション情報の構成変更を行います。

# sfxadm /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6e-2) バックアップ用ボリューム Volume1 上の sfxfs ファイルシステムの整合性のチェックと修復を行います。手順3)においてバックアップ用ディスクを切り離す際にファイルシステムをアンマウントした場合は、本手順を実施する必要はありません。

# fsck -F sfxfs -y /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

6e-3) ファイルシステムのデータをテープにバックアップします。

# sfxdump 0ucf /dev/rmt/0 /dev/sfdsk/Class2/rdsk/Volume1

 

7) バックアップ用ボリュームの削除

バックアップが完了したら、バックアップのために作成したクラス Class2 のオブジェクト構成を削除します。バックアップサーバ Node3 で以下の作業を実施します。

7-1) バックアップ用ボリュームの停止

クラス Class2 のボリュームをすべて停止します。

# sdxvolume -F -c Class2

7-2) クラス Class2 のオブジェクト構成の削除

クラス Class2 のオブジェクト構成を削除します。

# sdxconfig Remove -c Class2

 

8) バックアップ用ディスクの再同期化

次のバックアップに備えて、業務用ディスク c1t1d1, c2t1d1 をコピー元、バックアップ用ディスクc3t1d1, c4t1d1 をコピー先として、それぞれディスク装置のコピー機能によって再同期化します。



再同期化の方法については、ディスク装置のコピー機能のマニュアルを参照してください。


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