PRIMECLUSTER Global Disk Services 説明書 4.1 (Solaris(TM) オペレーティングシステム版)
目次 前ページ次ページ

第2章 オブジェクト> 2.7 GDS Snapshotのオブジェクト> 2.7.2 シャドウオブジェクト

2.7.2.4 シャドウボリューム

シャドウグループまたはシングルタイプのシャドウディスクに作成されたボリュームのことをシャドウボリュームと呼びます。利用者やアプリケーションは、物理ディスクの替わりにシャドウボリュームにアクセスします。シャドウボリュームは、SDX オブジェクトの論理ボリュームに対応するシャドウオブジェクトです。

論理ボリュームとシャドウボリュームを特に区別する必要がない場合、論理ボリュームとシャドウボリュームを総称して「ボリューム」と呼ぶ場合もあります。

シャドウボリュームを使用して、対応する論理ボリュームのデータをアクセスするためには、以下の条件を満たすようにシャドウボリュームを作成する必要があります。

ミラータイプのシャドウボリュームを作成したとき、等価性コピーは実行されません。ミラーボリュームに対応するシャドウボリュームを作成する場合は、そのミラーボリュームを管理している GDS、SafeDISK、または SafeDISK/Global によって、ミラーボリュームの等価性を保証しておく必要があります。

シャドウボリュームの管理と対応する論理ボリュームの管理は、独立しています。例えば、一方のボリュームにおいてスライスの状態が変更されても、他方のボリュームのスライス状態には反映されません。このため、シャドウボリュームを使用する場合、運用上の注意事項があります。詳細については、「シャドウボリューム」を参照してください。

 

■属性

シャドウボリュームには、以下の属性があります。

名前
シャドウクラスの中でシャドウボリュームを識別するための属性です。
JRM
高速等価性回復モードを表す属性です。次の値が設定されます。
off
高速等価性回復モードが無効です。
起動ロック
起動ロックモードを表す属性です。次の値が設定されます。
off
以降のボリューム起動をロックしません。
アクセスモード
省略時のアクセスモードを表す属性です。アクセスモードを指定せずにシャドウボリュームを起動した場合、この属性に設定されているアクセスモードで起動されます。次の値が設定されます。
ro
省略時のアクセスモードを読取り専用に設定します。
アクセスモード属性値をrw (読書き用)に変更することはできません。シャドウボリュームに書込みを行う場合は、シャドウボリュームをいったん停止してから、sdxshadowvolume -N コマンドで-e mode=rw オプションを指定して読書き用モードでシャドウボリュームを起動してください。
物理スライス
シャドウボリュームが物理スライスを持つかどうか、つまりシャドウスライスが VTOC に登録されているかどうかに関係なく、値は off です。

 

■ 操作

シャドウボリュームに対して、以下の操作を行うことができます。なお、状態表示以外の操作は運用管理ビューではできません。コマンドで操作を行ってください。

作成
sdxshadowvolume -M コマンドを使って、最上位シャドウグループまたはシングルタイプのシャドウディスク内にシャドウボリュームを作成できます。
削除
sdxshadowvolume -R コマンドを使って、シャドウボリュームを削除できます。
起動
sdxshadowvolume -N コマンドを使って、シャドウボリュームを起動できます。
停止
sdxshadowvolume -F コマンドを使って、シャドウボリュームを停止できます。
状態表示
sdxinfo コマンドを使って、シャドウボリュームの状態を表示できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「構成情報の確認と状態監視」を参照してください。

 

■状態

シャドウボリュームには、以下の状態があります。

ACTIVE
データにアクセスできる状態。
シャドウボリュームの起動が正常に完了すると、ACTIVE 状態になります。このとき、シャドウボリューム内には、ACTIVE 状態のシャドウスライスがひとつ以上存在しています。
STOP
アクセスできないが、起動してACTIVE 状態にすることが可能な状態。
シャドウボリュームの停止が正常に完了すると、STOP 状態になります。このとき、シャドウボリューム内には、STOP 状態のシャドウスライスがひとつ以上存在しています。

 

■参照

シャドウボリュームに関して、以下の留意事項があります。

規約
ボリューム数
注意
ボリュームサイズ
ボリュームのアクセスモード
シャドウボリューム

あるドメイン(下図のドメインα)で論理ボリュームとして仮想化されている複数の物理ディスクを、別のドメイン(下図のドメインβ)でシャドウボリュームとして仮想化し、ドメインβからシャドウボリュームを使用してドメインαの論理ボリュームのデータにアクセスすることができます。ドメインαで論理ボリュームを使用して主業務(下図の業務A)を実行し、ドメインβでシャドウボリュームを使用して別の業務(下図の業務B。例えば、バックアップ、リストア、バッチ処理など)を実行することができます。ただし、業務Aと業務Bを同時に実行しないでください。同時に実行した場合、ディスクデータの整合性は保証されません。

[図: 論理ボリュームとシャドウボリューム]

あるドメイン(下図のドメインα)でミラーボリュームとして仮想化されている複数の物理ディスクのうち、ミラーから一時的に切り離されたひとつの物理ディスクを、別のドメイン(下図のドメインβ)でシャドウボリュームとして仮想化し、ドメインβからシャドウボリュームを使用してドメインαの一時切離しスライスのデータにアクセスすることができます。ドメインαでミラーボリュームからひとつのスライスを一時的に切り離して、ミラーボリュームを使用して主業務(下図の業務A)を実行し、同時に、ドメインβでシャドウボリュームを使用して別の業務(下図の業務C。例えば、バックアップ、リストア、バッチ処理など)を実行することができます。ただし、ドメインαでも一時切離しスライスを使用して業務(下図の業務B)を実行する場合、業務Bと業務Cは同時に実行しないでください。同時に実行した場合、ディスクデータの整合性は保証されません。

[図: ミラースライスの一時切離しとシャドウボリューム]

あるドメイン(下図のドメインα)でプロキシボリュームとして仮想化されている複数の物理ディスクを、別のドメイン(下図のドメインβ)でシャドウボリュームとして仮想化し、ドメインβからシャドウボリュームを使用してドメインαのプロキシボリュームのデータにアクセスすることができます。ドメインαでマスタボリュームからプロキシボリュームを分離して、マスタボリュームを使用して主業務(下図の業務A)を実行し、同時に、ドメインβでシャドウボリュームを使用して別の業務(下図の業務C。例えば、バックアップ、リストア、バッチ処理など)を実行することができます。ただし、ドメインαでもプロキシボリュームを使用して業務(下図の業務B)を実行する場合、業務Bと業務Cは同時に実行しないでください。同時に実行した場合、ディスクデータの整合性は保証されません。

[図: プロキシボリュームとシャドウボリューム]

あるドメイン(下図のドメインα)で論理ボリュームとして仮想化されている複数の物理ディスクから、ディスク装置のコピー機能によって他の物理ディスクにデータをコピーし、コピー先の物理ディスクを、同じドメイン(ドメインα)または別のドメイン(下図のドメインβ)でシャドウボリュームとして仮想化することができます。ドメインαで論理ボリュームを使用して主業務(下図の業務A)を実行し、同時に、シャドウボリュームを作成したドメイン(αまたはβ)でシャドウボリュームを使用して別の業務(下図の業務B。例えば、バックアップ、リストア、バッチ処理など)を実行することができます。

[図: ディスク装置のコピー機能とシャドウボリューム]



目次 前ページ次ページ

All Rights Reserved, Copyright(C) 富士通株式会社 2005