SSF/Backup Facility 運用手引書
目次 索引 前ページ次ページ

第1章 バックアップ運用の設計

1.5 テープ運用の設計

SSF/Backup Facilityで使用するバックアップソフトウェアおよび磁気テープライブラリシステム構成として、以下に示す構成が可能です。

[バックアップソフトウェアと磁気テープライブラリシステムの接続構成]

バックアップソフトウェア

磁気テープライブラリ制御ソフトウェア

磁気テープライブラリシステム

ダイレクトバックアップ

LMF Lite
 LMFサーバ+LMFクライアント

ETERNUS LT130,LT160

Legato NetWorker

   −

ETERNUS LT130 ※1

LT160 ※2, ※3

Softek Backup TSM Edition

ETERNUS LT130 ※1

LT160 ※3

※1: 複数のライブラリ装置が必要です。

※2: ETERNUS LT160 (LTO Ultrium2ドライブ)はサポートされていません。

※3: 「LT160 論理ライブラリオプション」を導入するか複数のライブラリ装置が必要です。

 

1.5.1 シングル構成の場合 

SSF/Backup Facilityがシングル構成の場合、以下のシステム構成が可能です。

 

■ダイレクトバックアップのみで運用する場合

◆ LMFサーバがSSF/Backup Facilityに搭載されている場合

 

◆LMFサーバがSSF/Backup Facility以外の装置に搭載されている場合

磁気テープライブラリシステムとしてETERNUS LT130,LT160を使用する場合で、磁気テープライブラリシステム制御ソフトウェアがSSF/Backup Facility以外の装置に搭載されている場合、以下の点が異なります。

  1. 磁気テープライブラリシステムのロボット制御パスがSSF/Backup Facility以外の装置に接続されている。
  2. SSF/Backup Facility上でLMFサーバは動作しない(LMFクライアントのみが動作する)。

 

■ダイレクトバックアップとネットワーク型バックアップで運用する場合

ETERNUS LT160 論理ライブラリオプションを追加導入することで、一つのライブラリ装置でダイレクトバックアップとネットワーク型バックアップを同時に運用することができます。それぞれに対し、ロボットとテープドライブ(論理ライブラリ単位)を別々に割当てます。

  • ライブラリ装置を複数台用意することでも、ネットワーク型バックアップでテープ媒体へのバックアップを行うことができます。

 

1.5.2 クラスタ構成の場合 

SSF/Backup Facilityがクラスタ構成の場合、以下のシステム構成が可能です。

  • SCSIカードの制限により、クラスタ構成で使用できる磁気テープライブラリシステムはロボット部およびドライブ部がFCインタフェースの磁気テープライブラリシステムである必要があります。

 

■ダイレクトバックアップのみで運用する場合

◆ LMFサーバがSSF/Backup Facilityに搭載されている場合

 

◆LMFサーバがSSF/Backup Facility以外の装置に搭載されている場合

磁気テープライブラリシステムとしてETERNUS LT130,LT160を使用する場合で、磁気テープライブラリシステム制御ソフトウェアがSSF/Backup Facility以外の装置に搭載されている場合、以下の点が異なります。

  1. 磁気テープライブラリシステムのロボット制御パスがSSF/Backup Facility以外の装置に接続されている。
  2. SSF/Backup Facility上でLMFサーバは動作しない(LMFクライアントのみが動作する)。

 

■ダイレクトバックアップとネットワーク型バックアップで運用する場合

ETERNUS LT160 論理ライブラリオプションを追加導入することで、一つのライブラリ装置でダイレクトバックアップとネットワーク型バックアップを同時に運用することができます。それぞれに対し、ロボットとテープドライブ(論理ライブラリ単位)を別々に割当てます。

  • ライブラリ装置を複数台用意することでも、ネットワーク型バックアップでテープ媒体へのバックアップを行うことができます。

 

1.5.3 磁気テープライブラリシステム使用の注 

ダイレクトバックアップ運用において、磁気テープライブラリシステムを使用するには、以下の注意が必要です。

  • クラスタ構成の場合、運用ノードがダウンするとPRIMECLUSTERによりノードの切り替えが行われます。しかし、SCSI接続機器はPRIMECLUSTERの切り替え対象となっていないため、SCSI接続の磁気テープライブラリシステムを両ノードで共用することはできません。
  • SCSI接続の磁気テープライブラリシステムを使用する場合は、テープドライブおよびロボットを各ノードに割り振る必要があります。

 

同一サーバ(SSF/Backup Facility)内で、LMF Liteをネットワーク型バックアップソフトウェア(Legato NetWorker、Softek Backup TSM Edition)と共存させる場合、各ロボット(コントローラ)部のターゲットIDは、LMF Lite用ライブラリシステムとネットワーク型バックアップソフトウェア用ライブラリシステムとで異なる値を設定してください。
その上で、/usr/kernel/drv/ftla.conf の定義により、LMF Lite用ライブラリシステムのみを ftlaドライバ(LMF内蔵ロボットドライバ)が認識するよう設定してください。

  • ftlaドライバの設定については、『SSF/Backup Facility導入手引書』の「4.5.3 ftlaドライバの設定」または「5.9.3 ftlaドライバの設定」を参照してください。

 

1.5.4 テープ制 

テープのアンマウント/マウントの効率化

ダイレクトバックアップのテープ制御では、テープからのバックアップに使用したテープドライブのテープをアンマウントせず、次のバックアップに備えます。

これにより、テープへのアンマウント/マウントを最小限に抑え、テープへのバックアップがより効果的に行えます。

 

  • 上図の1回目のバックアップと2回目のバックアップで バックアップポリシーで設定した「Tape書き込み対象」が異なる場合は、2回目のバックアップ処理で1回目のバックアップ先のテープがアンマウントされた上で、2回目のバックアップ先のテープがマウントされます。

 

■ドライブの割り当て論理

テープへのバックアップ時に割り当てられるドライブの優先度は、以下の順番で行われます。

  1. 選択されたテープがマウントされているドライブ

     

  2. 空きドライブ

     

  3. 選択されたテープ以外がマウントしているドライブ。かつ、未使用のドライブ。

     

■手動アンマウント

テープのアンマウント/マウントの効率化」にあるようにバックアップに使用したテープドライブのテープはマウントされたままとなり、この状態が長く続くとテープドライブのヘッドやテープ媒体自体が劣化する要因となります。そのため、一定時間使用していないマウントされたままのテープを dbu_umount_driveコマンドでアンマウントします。

  • ドライブからテープ媒体をアンマウントする場合、テープライブラリ制御ソフトの提供コマンドなどによる手動アンマウントは行わないでください。ダイレクトバックアップが保持している管理情報との整合性が保てなくなります。

  • 磁気テープライブラリシステム LIB1 で、60分以上使用していないテープドライブをアンマウントする場合

# dbu_umount_drive -t 60 LIB1 <Return>

 

テープがマウントされているか否かなどダイレクトバックアップが管理しているテープドライブ情報を確認するのには、dbu_statdisp_driveコマンドを実行します。

  • 磁気テープライブラリシステム LIB1 のテープドライブ drv1の状態を確認する場合

# dbu_statdisp_drive -d drv1 LIB1 <Return>

 

また、テープ運用中に以下のようにダイレクトバックアップ内部のテープドライブの管理情報と実際のステータスが異なる場合、dbu_init_driveコマンドを実行し、テープドライブの管理情報を回復してください。

  • 磁気テープライブラリシステム LIB1 のテープドライブ drv1の管理情報を回復する場合

# dbu_init_drive -d drv1 LIB1 <Return>

 

  • dbu_init_driveコマンドで回復させるドライブ情報はダイレクトバックアップ内部のテープドライブの管理情報のみです。磁気テープライブラリシステムまたは磁気テープライブラリ制御ソフトの管理情報は回復されません。

  • テープ制御コマンドについては、『ダイレクトバックアップ使用手引書』の「第18章 テープ制御のためのコマンド」を参照してください。

 

1.5.5 テープ媒体の運 

ダイレクトバックアップでは、バックアップデータをテープに書き込む際、以下の3種類の書き込み方法があります。

選択肢

ダイレクトバックアップの動作概要

メリット

デメリット

新規テープの先頭から

新規(未使用)テープを検索し、そのテープにバックアップデータを保存します。

複数のバックアップデータが1本のテープに格納されることがないので、バックアップデータの管理が他の選択肢より容易です。

他の選択肢よりも多くのテープ(媒体)を用意する必要があります。

可能な限り追加書き込み

テープドライブにマウントされているテープが使用可能であれば、そのテープに追加書き込みします。
該当テープが複数ある場合は、ドライブの使用時間が最も短いテープドライブにマウントされているテープに追加書き込みします。

テープドライブにマウントされているテープがない場合は、使用可能な状態にあるテープのうち、最も最近にバックアップデータが書き込まれたテープに追加書き込みします。

バックアップデータが書き込まれているテープがない場合は、新規(未使用)テープの先頭から書き込みます。

テープの使用量を節約することができます。

保存先に同じテーププール(または同じテープリスト)を指定している業務ボリュームが複数存在する場合は、異なる業務ボリュームのバックアップデータが1本のテープに格納されます。
また、保存期間が業務ボリューム毎に異なる場合、保存期間の切れたバックアップデータがテープ(媒体)内に蓄積される場合があります。

自動

テープドライブにマウントされているテープが使用可能であれば、そのテープに追加書き込みします。
該当テープが複数ある場合は、ドライブの使用時間が最も短いテープドライブにマウントされているテープに追加書き込みします。

テープドライブにマウントされているテープがない場合は、使用可能な「一部使用中」のテープに追加書き込みします。追加書き込みするテープは、テープに書き込まれたバックアップデータが破棄予定日に削除されることによって生じる空きができるだけ有効に使用されるように、破棄予定日の相互関係を考慮して選びます。

バックアップデータが書き込まれているテープがない場合は、新規(未使用)テープの先頭から書き込みます。

バックアップデータの保存期間が業務ボリューム毎に異なる場合、テープの使用量を節約することができます。

保存先に同じテーププールを指定している業務ボリュームが複数存在する場合は、異なる業務ボリュームのバックアップデータが1本のテープに格納されます。
(テープ書き込み対象のパラメタに「テープリスト」を指定している場合は、この選択肢は設定できません。)

 

  • テープへの書き込み方式については、『ダイレクトバックアップ使用手引書』の「3.2.14 書き込みポリシー」を参照してください。

 

テープ書き込み対象には、「テーププール」と「テープリスト」の2種類の指定方法があります。それぞれの特徴を以下に示します。

  • テープ書き込み対象については、『ダイレクトバックアップ使用手引書』の「3.2.12 Tape書き込み対象」と「3.2.13 Tape書き込み先名」を参照してください。

 


目次 索引 前ページ次ページ

All Rights Reserved, Copyright(C) 富士通株式会社 2005