SSF/Backup Facility 導入手引書
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第8章 オプション製品の追加導入

8.3 Systemwalker Centric Manager

集中監視ソフトウェアを追加導入する場合は、集中監視ソフトウェア(Systemwalker Centric Manager)のインストールを行います。

集中監視サーバをSPシリーズの外に配置するため、集中監視用のホストに"Systemwalker Centric Manager"(インストール種別は「部門管理サーバ」)をインストールします。また、SPシリーズには"Systemwalker Centric Manager"(インストール種別は「業務サーバ」)をインストールします。

以下に、SPシリーズへのインストール手順を示します。

 

8.3.1 シングル構成への導入 

以下の順序で、インストールの手順と注意事項を説明します。

  1. インストール前の注意事項
  2. インストール前の作業
  3. インストール
  4. インストール後の注意事項
  5. 動作確認

 

8.3.1.1 インストール前の注意事項

インストール先となるSPシリーズのシステムの環境について、以下の確認を行ってください。

 

■Systemwalker管理アカウントについて

Systemwalker管理アカウントをインストール前にあらかじめ作成してください。Systemwalker管理アカウントは、インストール時に指定する必要があり、Systemwalker Centric Managerの各種操作を行う場合の管理者アカウントとして使用されます。新規に作成することをお勧めします。

Systemwalker管理アカウントは、Systemwalker Centric Managerをインストールするそれぞれのサーバで作成しておく必要があります。root(スーパユーザ)の権限は必要ありません。アカウント名は8文字以内です。

  1. スーパユーザでログインし、以下のコマンドを実行します。

    以下は、新規アカウントとしてswadminを登録する場合の例です。

    # useradd swadmin <Return>
    # passwd swadmin <Return>
    新しいパスワード: パスワード <Return>  ← 入力したパスワードは表示されません
    新しいパスワードを再入力してください: パスワード <Return> ← 入力したパスワードは表示されません
    passwd: swadmin のパスワードが変更されました

 

■セキュリティロールと関係付けられたグループについて

Systemwalker Centric Managerをインストールするとsw000001〜sw000006までのグループが作成されます。このグループは、セキュリティロールと関係付けられているため、Systemwalker Centric Managerをインストールしている状態でこれらのグループを削除しないでください。

 

■イベントの自動対処を行う場合のホスト名の設定

イベントの自動対処を確実に行うためには、運用管理サーバ、部門管理サーバ、業務サーバ、および、"イベント監視"機能をインストールしたクライアントで、システムのネットワーク設定による名前解決の方法が統一されていることが前提となります。そのうえで自ホスト名の取得方法をシステムの設定に合わせる必要があります。

 

■ポート番号について

ポート番号161、162を使用しているアプリケーションがないかを確認します。ポートを使用しているアプリケーションがある場合は、別のポートに移動するなどの方法で重複しないようにしてください。

 

8.3.1.2 インストール前の作業 

■LANGの設定

Systemwalker Centric Manager の出力メッセージを日本語で出力する場合、Systemwalker Centric Manager をインストールする前に、次の作業を実施してください。

  1. /etc/default/init ファイルに次の記述があるかを確認します。
    LANG=ja 

     

  2. 上記の記述がない場合、システム管理者(スーパユーザ)のアカウントで vi 等のエディタを使用し、システムの動作環境に合わせて上の記述を追加してください。

    • /etc/default/init ファイルに、LANG指定を追加することにより、Systemwalker 以外のアプリケーションの表示に影響があることがあります。
    • Systemwalkerインストール後にシステムのコード系を変更しないでください。

 

■hostsファイルまたはDNSサーバの設定

自ホスト名の取得方法によって、hostsファイルまたはDNSサーバの設定が必要です。DNS名運用の場合はDNSサーバの設定、その他の場合はhostsファイルにシステム内で一意の自ホスト名や通信先となるホスト名などを設定する必要があります。

 

■システムパラメタのチューニング

チューニングが必要なシステムパラメタとその値については、以下の表を参照してください。パラメタにより、既に設定されている値(設定されていなければSolaris OSデフォルト値)に加算する場合と、既に設定されている値と比較し大きい方の値を設定する場合があります。

 

[システムパラメタのチューニング値]

資源

パラメタ

説明

チューニング値

設定済みの場合の対処

共有メモリ

shmsys:shminfo_shmmax

共有メモリセグメントの最大サイズ

42240 (※1)

最大値

81921 (※2)

shmsys:shminfo_shmmni

システム全体で作成できる共有メモリセグメントの最大数

4

加算

メッセージキュー

msgsys:msginfo_msgmax

メッセージの最大サイズ

4096

最大値

msgsys:msginfo_msgmnb

待ち行列上の最大byte数

16384

最大値

msgsys:msginfo_msgmni

メッセージ待ち識別子の数

7

加算

msgsys:msginfo_msgtql

メッセージのヘッダ数

式1 (※3)

加算

セマフォ

semsys:seminfo_semmni

セマフォ識別子の数

8

加算

semsys:seminfo_semmns

システム内のセマフォ数

8

加算

semsys:seminfo_semmnu

システム内のundo構造体の数

12

加算

 

  • ※1: Systemwalker Centric Manager Standard Edition をインストールする場合に設定します。
  • ※2: Systemwalker Centric Manager Enterprise Edition をインストールする場合に設定します。
  • ※3: 式1の詳細は、以下のとおりです。
        式1=資源配付の通信宛先数+20+msgmnbのチューニング値/100

 

システムパラメタを編集するには、/etc/systemファイルにチューニングのためのレコードを以下のように追加します。なお、“設定済みの場合の対処”が“最大値”とあるパラメタについては、既存の値とチューニング値と比較して大きい方の値を設定し、“加算”とあるパラメタについては、既存の値にチューニング値を加えた値を設定してください。

 

[システムパラメタの編集例]

資源配付の通信宛先数が128の場合(Systemwalker Centric Managerが使用しているパラメタであっても、Solaris OSデフォルト値で問題のないパラメタは記述していません)。

set shmsys:shminfo_shmmni = 104
set msgsys:msginfo_msgmax = 4096
set msgsys:msginfo_msgmnb = 16384
set msgsys:msginfo_msgmni = 57
set msgsys:msginfo_msgtql = 312
set semsys:seminfo_semmni = 18
set semsys:seminfo_semmns = 68
set semsys:seminfo_semmnu = 42

 

■サービス起動の設定

Systemwalker Centric Managerでは、いくつかの、システムサービスを利用します。以下のコマンドを実行し、システムサービスが自動起動されるように設定します。

# mv /etc/rc3.d/_S76snmpdx /etc/rc3.d/S76snmpdx <Return>

8.3.1.3 インストール 

  1. システムを再起動します。

    以下のコマンドを実行し、マルチユーザモードで起動します。

    # shutdown -y -g0 -i6 <Return>

     

  2. ログインします。

    Systemwalker Centric ManagerをインストールするSPシリーズにスーパユーザでログインします。

     

  3. インストールコマンドを起動します。

    "Systemwalker Centric Manager"のCD-ROMを挿入し、次のインストールコマンドを起動します。

    # cd /cdrom/cdrom0/unx32 <Return>
    # ./swsetup <Return>

     

  4. ようこそ画面が表示されます。

    以下の画面が表示されますので、そのままリターンキーを入力してください。

     

  5. インストール種別を選択します。

    次のインストール種別を選択する画面が表示されます。 "3"を選択して、業務サーバをインストールします。

     

  6. オプション機能を確認します。

    インストールするオプション機能の一覧を確認する画面が以下に表示されます。

    インストールするオプション機能を変更する場合は、“y”、変更しない場合は“n”またはそのままリターンキーを入力してください。

     

  7. オプション機能を選択します。

    オプション機能の確認で“y"を指定した場合、以下の画面でインストールする機能を選択します。

    オプション機能の変更方法を以下に示します。

    複数指定する場合は、カンマ(,)またはブランクで区切ります。

    • “1.資源配布 サーバ”機能を選択解除する場合
      指定方法[選択:番号 選択解除:!番号 ヘルプ:? 入力完了:e]
      ==> !1

     

  8. インストール先を選択します。

    次のインストール先ディレクトリおよびコード系の初期値が表示されます。"n"またはそのままリターンキーを入力してください。

     

  9. イベント通知先を確認します。
    1. システム監視エージェント設定情報を確認します。

      以下の画面が表示されますので、システム監視エージェントの設定を変更する場合は、“y"またはそのままリターンキーを入力し、変更しない場合は、“n"を入力してください。

       

    2. 通知先ホスト名を指定します。

      メッセージ送信先システムのホスト名またはIPアドレスを指定してください。IPアドレスは、DNS等のネームサーバまたはhostsファイルに定義されている必要があります。

      • Centric Managerの運用管理サーバもしくは部門管理サーバがインストールされたシステムを指定します。
      • メッセージ送信先システムは、インストール後に変更することもできます。

       

    3. 接続方法を指定します。

      常時接続(Full-time)または必要時接続(On-Demand)を指定します。

      • アプリケーション管理を使用する場合、通知先ホストへの接続は接続方法の指定に関わらず常時接続になります。

       

    4. 自ホスト名の決定方法を指定します。

      自ホスト名として何を使用するかを指定します。

       

    5. イベント通知先の設定情報を再確認します。

      確認のメッセージに対して、再度変更する場合には、"y"を入力します。再度変更しない場合は、"n"を入力するか、またはReturnキーを入力します。

       

  10. 管理アカウント名を指定します。

    インストール前の注意事項」で登録した、Systemwalker管理アカウントとして使用するアカウント名とパスワードを指定します。

    アカウント及びパスワードは、8 Byte以内で指定します。

     

  11. インストール処理継続を確認します。

    インストールを継続する場合は、"y"を入力します。インストールを中止する場合は、"n"を入力します。

     

  12. インストール処理が行われます。

    インストールが正常に完了すると、以下の画面が表示されます。そのままリターンキーを入力してください。

     

  13. CD-ROMを取り出します。

    以下のコマンドを実行し、CD-ROMを取り出します。

     # cd / <Return>
     # eject cdrom <Return>

     

  14. システムを再起動します。

    以下のコマンドを入力し、システムを再起動してください。

     # shutdown -y -g0 -i6 <Return>

     

8.3.1.4 インストール後の注意事項 

インストール後の注意事項について説明します。

 

■swadmin グループについて

Systemwalker Centric Managerは、セキュリティ強化するためインストール時にswadminグループを作成します。

Systemwalker Centric Managerを利用するユーザすべてをswadminグループに登録してください。

Systemwalker Centric ManagerまたはSystemwalker Operation Managerがインストールされている状態で、swadminグループを削除しないでください。

 

8.3.1.5 動作確認 

"Systemwalker Centric Manager"(インストール種別は「業務サーバ」)が正常に起動することを確認します。

# /opt/systemwalker/bin/scentricmgr <Return>

復帰コード
    0:正常に起動した。
    1:起動エラー

  • コマンド実行中に[Ctrl +C]キー等により強制的にコマンドを中断しないでください。

 

以下のコマンドを実行し、復帰コードを確認します。

# echo $? <Return>

 

8.3.2 クラスタ構成への導入 

設定作業は以下の順序で行います。[1.インストール前の注意事項]〜[4. インストール後の注意事項]はシングル構成と同じ内容のため、これらの説明は省略します。

  1. インストール前の注意事項
  2. インストール前の作業
  3. インストール
  4. インストール後の注意事項
  5. IPアドレスとホスト名の割り当て
  6. 運用管理サーバとの接続
  7. 運用形態名の定義
  8. 通信用IPアドレスの定義
  9. ポート番号の変更
  10. 動作確認

  • 本作業は、プライマリノードとセカンダリノードの両方で行ってください。

 

8.3.2.1 IP アドレスとホスト名の割当て 

IP アドレスとホスト名の割当ては、hosts ファイルまたはDNS などのネームサーバで行います。

監視対象にクラスタシステムが存在する場合は、それを構成するノードが管理するすべてのIP アドレスについて、別々のホスト名を割り当ててください。

  • パブリックネットワークのIP アドレスに対しては、必ずノードのコンピュータ名をホスト名として割り当ててください。
  • プライベートネットワークに与えられたIP アドレスには、ホスト名を割り当てる必要はありません。

 

hosts ファイルを使って、ホスト名を割り当てる場合の例を以下に示します。

 

8.3.2.2 運用管理サーバと接続 

接続形態が“必要時接続”の場合は、プライマリノードとセカンダリノードで、以下のコマンドを入力します。

# /opt/systemwalker/bin/opaconstat -a <Return>

  • 接続形態が“常時接続”の場合、本作業は、必要ありません。

8.3.2.3 運用形態名の定義 

運用形態名の定義方法を説明します。運用形態名の定義は、プライマリ、およびセカンダリで行います。使用しているクラスタソフトウェアに応じて設定を行ってください。

業務サーバ(プライマリとセカンダリ)に運用形態名を定義することで、クラスタ名の代わりに運用形態名が、[Systemwalkerコンソール]に表示されます。また、クラスタのフェールオーバに連動して、運用形態名を動的に変化させることができます。

  • 運用形態名の定義を有効にするには、設定後、Systemwalker Centric Managerの再起動が必要となります。

  • PRIMECLUSTER上で、RMS Wizardを使用してサービスを登録した場合、Systemwalker Centric Managerの監視対象となるuserApplicationに対して、PRIMECLUSTER上で、PRIMECLUSTER対応製品用リソースの登録の作業が必要になります。PRIMECLUSTER対応製品用リソースの登録については、PRIMECLUSTERのマニュアルを参照してください。

 

■定義ファイル

# /etc/opt/FJSVsagt/oparuntype <Return>

 

■ファイルの形式

DEFRUNTYPE  ON | OFF
RUNTYPE   "運用形態名"
GROUP     "サービス名"   ON | OFF
GROUP     "サービス名"   ON | OFF
        :
RUNTYPE   "運用形態名"

 

■DEFRUNTYPE

クラスタ名表示をデフォルトとするか否かを指定します。

 

■RUNTYPE、GROUP

グループの状態が、RUNTYPEの定義行の次行以降に定義したグループの状態になると、RUNTYPEに定義した運用形態とみなされます。上の行にある定義が優先されます。RUNTYPE定義は、64行まで定義することができます。
グループを定義していない場合は、"ON"でも"OFF"でも一致とみなされます。

運用形態名:
最大16バイトの文字列で定義します。
サービス名:
クラスタソフトウェアに登録したサービスのリソース名を最大256バイトの文字列で定義します。
ON: グループの状態が、オンラインです。
OFF: グループの状態が、オフラインです。

DEFRUNTYPE、RUNTYPEおよびGROUPの組み合わせおよび表示結果を、下表に示します。

DEFRUNTYPE

RUNTYPE,GROUP

表示

ON

一致する運用形態名なし

クラスタ名

一致する運用形態名あり

運用形態名

OFF

一致する運用形態名なし

なし

一致する運用形態名あり

運用形態名

 

■定義例

下記に示す状態1から状態2に変化した場合の例を示します。

 

8.3.2.4 通信用IP アドレスの定義 

クラスタ管理画面と同一IPアドレスでの通信ができない時、または複数インターフェースを持つシステムを運用管理サーバ上で、1つのIPアドレスしか持たないシステムとして見せる時は、以下の設定を実施してください。

プライマリノード、セカンダリノードで、以下のコマンドを実行し、それぞれのノードの物理IP アドレスをSystemwalker Centric Manager に定義します。コマンドの詳細は、“Systemwalker Centric Manager リファレンスマニュアル”を参照してください。

# /opt/systemwalker/bin/opasetip -n 送信先ホスト名 -i 物理IPアドレス <Return>

 

8.3.2.5 ポート番号の変更 

資源配付機能を使用する場合、PRIMECLUSTERのポート番号(9399)と競合します。以下のファイルの“drmshsc 9399/tcp”を使用していないポート番号に変更してください。

/etc/services

  • 使用しているポート番号については、『Systemwalker Centric Manager リファレンスマニュアル』を参照してください。

 

 


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