ダイレクトバックアップ使用手引書 - SPシリーズ -
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付録E 緊急時リストア機能

ダイレクトバックアップで採取したテープ内のバックアップデータをSSF/Backup FacilityおよびACMが構築されていない環境においてもリストアできる機能について説明します。

本機能は、ダイレクトバックアップで採取したバックアップテープをSSF/Backup Facilityが構築されていないSolarisサーバ上から、ACMが構築されていない指定した業務サーバの指定した業務ボリュームにリストアすることが可能となる機能です(業務サーバは複数プラットフォーム対応)。

リストア先ボリュームへのI/OはETERNUS3000/ETERNUS6000/GR seriesアクセスAPI(以降、GR-APIとします)を利用して行うため、リストアを実施するSolarisサーバに対してリストア先ボリュームのLUNを見せる必要がありません。そのため、GR/ETERNUS上の全領域に対してリストア可能です。

 

E.1

E.1.1 緊急時リストアと 

緊急時リストアとは、SSF/Backup Facilityでダイレクトバックアップ機能によりテープにバックアップしたデータを、SSF/Backup Facilityに依存せずにSolarisサーバとテープ装置を用いてGR/ETERNUS上に復元する機能です。この機能により、災害発生時、GR/ETERNUSやSSF/Backup Facilityが損壊した場合に、業務の復旧を行うことができます。

ダイレクトバックアップによって採取されたバックアップデータは、管理ファイルによってバックアップ履歴情報の管理をしています。この情報により、バックアップ履歴情報表示、リストア等を実現しています。そのため、従来は、災害発生に備えて、採取したバックアップテープを遠隔地等に保存する場合は、管理ファイルを退避保存しておく必要がありました。

本機能を使用すると、管理ファイルの退避保存がされていなくても、Solarisサーバとテープ装置を用いて、業務ボリュームのデータを復元することが可能となります。

また、本機能によるリストアでは、SSF/Backup FacilityおよびSoftek AdvancedCopy Managerの再構築をする必要がないため、業務の復旧を迅速に行うことができます。


本機能によるリストアは、通常ダイレクトバックアップで行うリストアと比べて約2倍ほど時間が掛かります。そのため、本機能は災害発生時の復旧にのみ使用してください。

 

E.1.2 製品構 

緊急時リストア機能を構成する要素について示します。

 

E.1.3 機能概 

緊急時リストア機能では、ダイレクトバックアップで採取したバックアップテープのデータを、リストア用サーバ上から、任意の業務サーバの任意の業務ボリュームにリストアすることができます。リストア用サーバに接続されたGR/ETERNUS内のボリュームに対して、リストア用サーバに接続された磁気テープ装置からテープ内のバックアップデータをリストアします。リストア用サーバにはSSF/Backup Facilityが構築されている必要はありません。また、リストア先業務サーバには、Softek AdvancedCopy Managerが構築されている必要はありません。

 

E.1.3.1 複数プラットフォーム対 

緊急時リストア機能は、複数プラットフォームに対応しており、リストア用サーバからさまざまなプラットフォームに対するリストアが実行できます。本機能によるリストアが可能なプラットフォームについて表2-1に示します。

[表 2-1 リストア可能なプラットフォーム]

バックアップ型

OS

論理デバイス型

Solaris 2.6 OS から Solaris 10 OS(※) まで

HP-UX 11.00, 11i

AIX 5L V5.1, V5.2

Red Hat Entreprise Linux AS (v.2.1 for x86)
Red Hat Entreprise Linux ES (v.2.1 for x86)
Red Hat Enterprise Linux AS (v.3 for x86)
Red Hat Enterprise Linux ES (v.3 for x86)
Red Hat Enterprise Linux AS (v.4 for Itanium)

Windows NT Server 4.0
Windows 2000 Server/Advanced Server
Windows Server 2003 (IA64/IA32)

論理ユニット型

Solaris 2.6 OS から Solaris 10 OS(※) まで

HP-UX 11.00, 11i

AIX 5L V5.1, V5.2

Red Hat Entreprise Linux AS (v.2.1 for x86)
Red Hat Entreprise Linux ES (v.2.1 for x86)
Red Hat Enterprise Linux AS (v.3 for x86)
Red Hat Enterprise Linux ES (v.3 for x86)
Red Hat Enterprise Linux AS (v.4 for Itanium)

Windows NT Server 4.0
Windows 2000 Server/Advanced Server
Windows Server 2003 (IA64/IA32)

Symfowareデータベース

Solaris 2.6 OS から Solaris 9 OS まで

Red Hat Entreprise Linux AS (v.2.1 for x86)
Red Hat Entreprise Linux ES (v.2.1 for x86)
Red Hat Enterprise Linux AS (v.3 for x86)
Red Hat Enterprise Linux ES (v.3 for x86)
Red Hat Enterprise Linux AS (v.4 for Itanium)

グローバルサーバ型

OSIV/MSP
OSIV/XSP

※: 

Solaris 10 OSはグローバルゾーンのみサポート

E.1.3.2 リストア可能なバックアップデー 

リストア可能なバックアップデータは、以下のとおりです。

 

E.1.3.3 リストア先として指定可能なボリュー 

リストア用サーバに接続されたGR/ETERNUS内のボリュームであれば、どこでもリストア可能です。リストア先業務ボリュームは、リストア用サーバからデバイスとして認識されている必要はありません。

リストア先ボリュームに関する情報は、以下の定義ファイルに予め定義しておく必要があります。

 

また、ボリュームサイズおよび論理ユニット種別が、以下の条件を満たすボリュームである必要があります。

[表 2-2 リストア可能なボリューム]

バックアップデータの種別

リストア先ボリュームのサイズ

論理ユニット種別

SymfoのDBスペース

バックアップデータ以上

OLU

論理デバイス

バックアップデータ以上

OLU

論理ユニット

バックアップデータ以上

OLU

グローバルサーバ

バックアップデータと同じ

MLU

E.1.3.4 ユーザインタフェー 

緊急時リストア機能では、テープからのリストア機能の他に、テープ内のバックアップデータの履歴情報を表示することもできます。

表 2-3に、ユーザインタフェースを示します。

[表 2-3 提供ユーザインタフェース]

コマンド名

説明

dbutapeinfo

テープ内のバックアップデータの履歴情報表示をする。

dbutaperestore

テープからGR/ETERNUS内ボリュームへのリストアをする。

 

E.1.3.5 テープ内バックアップデータ表 

指定テープ内に書かれたANSIラベル群をテープからすべて読み取り、その情報を元にテープ内のデータ情報を取得し、バックアップ履歴情報の形式で表示する機能です。

[図 2-1 テープ内バックアップデータ表示の流れ]

 

E.1.3.6 バックアップデータリスト 

ダイレクトバックアップを使用してテープ内に格納したバックアップデータを、ユーザが指定した業務サーバの指定した業務ボリュームに復元する機能です。

[図 2-2リストアの流れ]

 

E.1.4 動作環境

E.1.4.1 システム構成図 

以下に、緊急時リストアがサポートする動作環境を示します。

GR/ETERNUSとリストア用サーバ、GR/ETERNUSと業務サーバの接続はファイバーチャネル接続をします。リストア用サーバとテープ装置の接続は、テープ装置の仕様に依存しますので、各テープ装置のマニュアルを参照願います。

 

E.1.4.2 ハードウェア条件 

緊急時リストア機能を使用するために必要なハードウェアについて説明します。

[表 2-4]

 

説明

GR/ETERNUS

リストア先業務ボリュームはGR/ETERNUS内のボリュームである必要があります。ただし、バックアップ元GR/ETERNUSと同じ筐体である必要はありません。次のファームウェア版数である必要があります。
GR720,730:V11L31以上
GR740、GR820、GR840:V03L71以上
ETERNUS6000:V20L10 E040以上
ETERNUS3000:V20L32以上

LTO単体ドライブ、もしくはLT120, LT130, LT160

LTOテープを扱うことのできるテープドライブ、もしくはテープライブラリ装置。

PRIMEPOWER

リストア用サーバ(Solaris 8 OS,Solaris 9 OS)が搭載されるハード。

 

E.1.4.3 ソフトウェア条件 

各サーバに搭載するソフトウェアについて説明します。これらは全て、SSF/Backup Facility のCD-ROMに格納されています。

[表 2-5 必須ソフトウェア]

インストール先

OS

搭載ソフトウェア()内はパッケージ名

説明

リストア用サーバ(本機能の専用サーバである必要はない。SPシリーズや業務サーバと兼ねることも可。)

Solaris 8 OS
Solaris 9 OS

緊急時リストア(FJSVfbudr)

本機能のパッケージ。

GR-API(FJSVgrapi)

FJSVfbudrパッケージ内の機能が使用するユーティリティ。GR/ETERNUSにアクセスするために必要なパッケージ。

業務サーバ

Solaris2.6 OSからSolaris10 OSまで
Windows2000, NT,2003
RHEL-AS2.1(x86)
RHEL-ES2.1(x86)
RHEL-AS3(x86)
RHEL-ES3(x86)
RHEL-AS4(IPF)
HP-UX 11.00, 11i
AIX 5L V5.1,V5.2

GR-API(FJSVgrapi)

ボリュームの構成情報ファイルを作成する際に、このパッケージ内のコマンドを利用して作成することができます。

 

[表 2-6 選択ソフトウェア]

インストール先

OS

搭載ソフトウェア

説明

リストア用サーバ(SPシリーズと兼ねる場合のみ)

Solaris8 OS
Solaris9 OS

LMF Lite 2.0.2
(FJSVlmf)

テープライブラリ装置のロボット制御ソフトウェア。ドライブのマウント/アンマウントを、コマンドにより行う場合に使用します。リストア用サーバがSPシリーズと兼ねる場合のみ使用できます。
単体ドライブの場合および、リストア用サーバをSPシリーズ上に構築しない場合は、ハード機能を使って操作をします。

 

E.1.5 運用例 

本機能を使用した運用例を示します。

以下は、運用サイトと災害対策サイトを構築し(両サイトにSPシリーズを導入)、災害が発生した際に本機能による復旧を行なう例を示します。

この例では、普段の運用から災害発生後の復旧までは以下の流れとなります。

  1. 普段の運用では、SPシリーズにより採取したバックアップテープを災害対策サイトに搬入。
  2. 災害が発生し、運用サイトが破壊。
  3. 災害対策サイトにて、緊急時リストア機能を使用しリストア。仮運用開始。
  4. 仮運用により更新された業務データを、SPシリーズによりバックアップ。
  5. 運用サイトが復旧した時点で、4)のバックアップテープを運用サイトに搬入。緊急時リストア機能を使用しリストア。運用サイトにて運用再開。

E.2 導入手順 

緊急時リストア機能を使用するために必要な設定方法について説明します。

E.2.1 導入の流れ 

導入の流れを示します。

  1. 各ハード装置の接続
  2. アクセスパス用論理ユニットの作成。
  3. FC-SWのゾーニング設定。
  4. CD-ROMよりインストール。

各作業の詳細は「導入作業」を参照してください。

 

E.2.2 導入作業

各導入作業について説明します。

 

E.2.2.1 各ハード装置の接続 

動作環境」を参照して各ハード装置の接続を行います。なお、ここでは、FC-CA, FC-HBA等については省略していますので、詳細は、各ハード装置のマニュアルを参照願います。

 

E.2.2.2 アクセスパス用論理ユニットの作成 

リストア時に、リストア用サーバからGR/ETERNUSにアクセスするための経路情報として使用します。リストア先GR/ETERNUS1台に付き1つ以上の論理ユニットを用意します。論理ユニットの容量は、定義可能な最小容量(1Mバイト)で十分です。

  • アクセスパス用論理ユニットは、アクセスパス専用の論理ユニットである必要はありません。既に、リストア用サーバに対してゾーニングされているGR/ETERNUS内の論理ユニットがあれば、それを使用することができるため、この作業は省略できます。
  • 同時に複数のリストアを実行する場合は、アクセスパス用論理ユニットを複数用意し、各リストア要求毎に別々のアクセスパスを指定すると、リストア時間が短くなります。

 

E.2.2.3 FC-SWのゾーニング設定 

FC-SWのゾーニング設定を以下のように実施します。

E.2.2.4 インストール 

必要なパッケージをSSF/Backup FacilityのCD-ROMよりインストールします。

インストール前に、ファイルシステムに以下の空き容量があることを確認してください。

[表 3-1]

項番

ディレクトリ

ディスク所要量(単位:Mバイト)

1

/var

7.0

2

/opt

1.5

 

■リストア用サーバ

以下のパッケージをインストールします。

  1. 本ソフトウェアのCD-ROM 1枚目をCD-ROM装置にセットしマウントします。
  2. FJSVfbudrパッケージをインストールします。

    (以下は、/cdrom/cdrom0にマウントした場合の例です。)

    # cd /cdrom/cdrom0/DirectBackup
    # pkgadd -d . FJSVfbudr

  3. CD-ROM 1枚目を取り出します。

    # cd /
    # eject cdrom

  4. FJSVgrapiパッケージをインストールします。

    SSF/Backup Facility もしくは、Softek AdvancedCopy Managerが構築されている環境では、既にこのパッケージがインストールされています。その場合は、インストールする必要はありません。インストールされているかどうかは、以下のコマンドにて確認できます。

    # pkginfo FJSVgrapi

    コマンドを実行した結果、以下が表示された場合は、インストールされています。

    application FJSVgrapi GR-API for Solaris

    インストールされていない場合は、本ソフトウェアのCD-ROM 2枚目をCD-ROM装置にセットしマウントします。マウント後、以下を実行します。(以下は、/cdrom/cdrom0にマウントした場合の例です。)

    # cd /cdrom/cdrom0/agent/solaris/pkg
    # pkgadd -d . FJSVgrapi

  5. CD-ROM 2枚目を取り出します。

    # cd /
    # eject cdrom

 

■業務サーバ(Open系のみ)

以下のパッケージをインストールします。

  1. FJSVgrapiパッケージがインストールされているかどうか確認します。

    Softek AdvancedCopy Managerが構築されている環境では、既にこのパッケージがインストールされています。その場合は、インストールする必要はありません。インストールされているかどうかは、以下のコマンドにて確認できます。

    # pkginfo FJSVgrapi

    コマンドを実行した結果、以下が表示された場合は、インストールされています。

    application FJSVgrapi GR-API for Solaris 

    インストールされていない場合は、以下の手順を行います。

  2. 本ソフトウェアのCD-ROM 2枚目をCD-ROM装置にセットしマウントします。
  3. FJSVgrapiパッケージをインストールします。

    (以下は、/cdrom/cdrom0にマウントした場合の例です。)

    # cd /cdrom/cdrom0/agent/solaris/pkg
    # pkgadd -d . FJSVgrapi

  4. CD-ROMを取り出します。

    # cd /
    # eject cdrom

 

E.3 設定手順 

緊急時リストア機能を使用するために必要な設定方法について説明します。導入作業が行われていることが前提です。

 

E.3.1 設定の流れ 

設定の流れを示します。

  1. GR/ETERNUSへのアクセスパスの構築、定義ファイル作成。
  2. リストア先論理ユニットのGR/ETERNUS名定義ファイル作成。
  3. リストア先ボリュームのボリューム構成情報定義ファイル作成。

各作業の詳細は「設定作業」を参照してください。

 

E.3.2 設定作業

各設定作業について説明します。

E.3.2.1 アクセスパスの構築、定義ファイルの作成 

アクセスパスの構築

リストア用サーバからGR/ETERNUSに対するアクセスパスの構築を行います。なお、アクセスパスは、経路情報として使用するのみのため、パーティションが作成されていればよく、そのパーティションがファイルシステムである必要はありません。

既に、リストア用サーバで、GR/ETERNUS内のディスクがパーティションとして構築されている場合には、そのパーティションを利用することが可能です。その場合は、アクセスパス定義ファイルの作成のみを行ってください。

リストア用サーバをSPシリーズ上に構築する場合、SPシリーズ用の管理ファイル領域をアクセスパスとして利用することが可能です。

リストア用サーバをSPシリーズ上に構築する場合で、SPシリーズ用の管理ファイル領域をアクセスパスとした場合、以下の注意事項があります。

  • SPシリーズによるバックアップもしくはリストアを実施中に、本機能によるリストアを実施すると、性能が劣化する可能性があります。

 

リストア用サーバにログインして、以下の作業を行います。以下の手順はすべてスーパユーザで行ってください。

  1. 論理ユニットの設定
    1. /kernel/drv/sd.confファイルに、認識させたい論理ユニットを追加します。導入手順にて、アクセスパス用論理ユニットを複数用意した場合は、それらすべての論理ユニットを記述します。
    2. システムを再起動します。このとき、カーネルの再構築をさせます。これは、以下のコマンドを実行することで行います。
      # touch /reconfigure
      # shutdown -g0 -i6 -y
  2. 論理ユニットの認識確認
    1. formatコマンドを実行して、手順1で認識させたディスクが見えるか確認します。見えない場合は、手順1をやり直してください。
    2. ラベルの書き込まれていないディスクがある場合は、ラベルの書き込みを行います。
  3. 論理ユニットのフォーマット
    1. formatコマンドを実行して、アクセスパス用に追加したディスクを選択します。
    2. [FORMAT MENU]の[partition]を選択して、パーティションの作成をします。
    3. [FORMAT MENU]の[label]を選択して、パーティションのラベル設定をします。パーティション数およびその容量は任意です。

    アクセスパス用論理ユニットを複数用意した場合は、diskサブコマンドを実行して、ディスクの選択から、手順を繰り返します。これをすべてのアクセスパス用論理ユニット数分行います。

  4. マルチパスディスク構成設定

    この『マルチパスディスク構成設定』の作業は、任意です。

    1. hddvドライバで制御できるように設定します。
      # hddvadm -m
      # touch /reconfigure
      # shutdown -g0 -i6 -y
    2. /kernel/drv/mplb.confファイルを編集します。
    3. マルチパスを作成します。
      # mplbconfig -av

これらの手順におけるコマンドの使用方法およびファイルの編集方法についての詳細は、『SSF/Backup Facility導入手引書』の4章に記述されていますので、参考にしてください。

 

■アクセスパス定義ファイルの作成

アクセスパスを定義ファイルに記述します。

【ファイル名】

/opt/FJSVfbudr/etc/devpath.conf

【配置場所】

リストア用サーバ上

【ファイルの説明】

アクセスパスを一つだけ記述します。記述形式の注意事項は以下です。

・論理デバイス(例:/dev/rdsk/c1t1d1s2)

・マルチパス(例:/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb5s2)

 

このファイルに書かれたパスが、リストア時のデフォルトのアクセスパスとなります。複数アクセスパスを作成している場合、リストア実行時に、環境変数FBUDRDEVPATHを設定することで、デフォルト以外のアクセスパスを使用することが可能となります。詳細は、「多重にリストアを実行する場合」を参照してください。

  • このファイルに記述誤りがあった場合、dbutaperestoreコマンドがエラーとなります。
  • 記述できるアクセスパスは一つのみのため、複数GR/ETERNUS環境では、リストア先ボリュームのGR/ETERNUSが変わる際に、定義ファイルの編集、もしくは環境変数FBUDRDEVPATHの設定が必要です。

環境変数FBUDRDEVPATHの設定をする運用では、このファイルの作成をする必要はありません。

以下に例を示します。例ではマルチパスの場合を記述しています。「アクセスパスの構築」手順の4を実施している場合は、マルチパスを記述します。

/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb5s2

 

E.3.2.2 GR/ETERNUS名定義ファイル作成

リストア対象バックアップデータが論理ユニット型の場合、リストア先ボリュームとしてGR/ETERNUS名と論理ユニット番号を指定します。そのGR/ETERNUS名は予め、定義ファイルに記述しておく必要があります。

【ファイル名】

/opt/FJSVfbudr/etc/grname.conf

【配置場所】

リストア用サーバ上

【ファイルの説明】

一つのGR/ETERNUSの情報を1行で記述します。複数のGR/ETERNUSが接続されている場合は、複数行記述します。

書式は以下です。

<GR name> <BoxID>

1行には以下の情報を記述します。

GR name

GR名。任意の名前を作成します。24文字以内の印字可能なASCII文字。

BoxID

BOXID 16進表記。(STXGetVolの出力通りに記述 *作成方法で説明)

記述形式の注意事項は以下です。

このファイルに記述誤りがあった場合、dbutaperestoreコマンドがエラーとなります。

以下に例を示します。

GR01 30304752373430232323232323234752373443303123232323234341343723232323232323232323

 

【ファイルの作成方法】

リストア用サーバにて

  1. /opt/FJSVfbudr/etc/grname.conf ファイルをvi等のエディタで開きます。
  2. GR名を記述して、空白もしくはタブを追加します。(複数GR/ETERNUSがある場合は、GR名はこのファイル内で一意になるように適当な名前をつけます。)
  3. 2の後ろにBOXIDを記述して改行を追加します。
  4. BOXIDの取得方法は以下の通りです。
  5. STXGetVolコマンドをアクセスパス(rawデバイス)指定で実行します。出力内容の2行目の1フィールド目がBOXIDです。

    # LD_LIBRARY_PATH=/opt/FJSVgrapi/64/lib

    # export LD_LIBRARY_PATH
    # /opt/FJSVgrapi/64/bin/STXGetVol /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb5s2
    BoxID OLU EXTENT SIZE
    30304752373430232323232323234752373443303123232323234341343723232323232323232323 01h 00000h 64000h
    Device information Dump
    0000 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0010 : 00080100 00010100 00080100 00010100
    0020 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0030 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0040 : 00000000 00000007 00000000 00000003
    0050 : 00000000 00010003 00000000 00010003
    0060 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0070 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0080 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0090 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00a0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00b0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00c0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00d0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00e0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00f0 : 00000000 00000000 00000000 00000000

  6. GR/ETERNUS数分、2,3を繰り返します。

論理ユニット型のリストアを行わない運用では、このファイルの作成は必要ありません。

 

E.3.2.3 リストア先ボリューム構成情報定義ファイル作成

リストア対象バックアップデータが論理デバイス型の場合、リストア先ボリュームとして業務サーバ名と業務ボリューム名を指定します。その業務ボリュームの構成情報は予め、定義ファイルに記述しておく必要があります。

【ファイル名】

/opt/FJSVfbudr/etc/servername.vol

servername は、業務サーバ名)

【配置場所】

リストア用サーバ上

【ファイルの説明】

業務サーバ毎にファイルを作成します。(業務サーバ名.volファイル)

ファイルの書式は以下です。

OLU
<Blockdevice name> <BoxID> <LU number> <Start extent> <Size>

MLU
<Volume serial number> <BoxID> <LU number>

ファイルの先頭行は、対象ボリュームがOLU・MLUどちらであるかを記述します。グローバルサーバはMLU、それ以外はOLUを記述します。

2行目以降には以下の情報を記述します。

Blockdevice name
Volume serial number

Blockデバイス名 もしくはボリューム通し番号
(dbutaperestoreコマンドでリストア先として指定するものと同じ名前)

BoxID

BOXID 16進表記。(STXGetVolの出力通りに記述 *作成方法で説明)

LU number

LU番号 16進表記"h"を付ける。(STXGetVolの出力通りに記述 *作成方法で説明)

Start extent

開始位置 16進表記”h"を付ける。(STXGetVolの出力通りに記述 *作成方法で説明)
MLUの場合は不要。(4カラム目以降は何か書かれていても無視される。)

Size

サイズ 16進表記”h"を付ける。(STXGetVolの出力通りに記述 *作成方法で説明)
MLUの場合は不要。(4カラム目以降は何か書かれていても無視される。)

記述形式の注意事項は以下です。

このファイルに記述誤りがあった場合、dbutaperestoreコマンドがエラーとなります。

以下に例を示します。

OLU
# Volume BOXID LUN    EXTENT      SIZE
/dev/dsk/c1t1d1s3 30304752373430232323232323234752373443303123232323234341343723232323232323232323  ceh fc000h 64000h

 

MLU
# Volume BOXID LUN    EXTENT      SIZE
VOL001 30304752373430232323232323234752373443303123232323234341343723232323232323232323       7fh

【ファイルの作成方法】

論理デバイス型(SymfowareのDBスペース含む)

業務サーバにて

  1. servername.vol(servername は業務サーバ名)ファイルをvi等のエディタで開きます。
  2. 先頭1行目に"OLU"を記述します。
  3. STXGetVolコマンドを業務ボリューム(rawデバイス)指定で実行します。業務サーバがWindowsの場合は、業務ボリュームとして「\\.\ドライブレター(例:\\.\E:)」と言う形で指定します。

    # LD_LIBRARY_PATH=/opt/FJSVgrapi/64/lib
    # export LD_LIBRARY_PATH
    # /opt/FJSVgrapi/64/bin/STXGetVol /dev/rdsk/c1t1d1s3
    BoxID OLU EXTENT SIZE
    30304752373430232323232323234752373443303123232323234341343723232323232323232323 ceh fc000h 64000h
    Device information Dump
    0000 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0010 : 00080100 00010100 00080100 00010100
    0020 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0030 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0040 : 00000000 00000007 00000000 00000003
    0050 : 00000000 00010003 00000000 00010003
    0060 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0070 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0080 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0090 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00a0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00b0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00c0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00d0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00e0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00f0 : 00000000 00000000 00000000 00000000

  4. 3で指定した業務ボリュームのBlockデバイスを行の先頭に記述し、その後に空白もしくはタブを追加します。その後に3の出力の2行目をそのまま記述し、改行を入れます。
  5. 3,4をリストア先ボリューム数分繰り返します。
  6. 作成したファイルをリストア用サーバ上の/opt/FJSVfbudr/etc配下に転送します。

グローバルサーバ

リストア用サーバにて

  1. servername.vol(servername は業務サーバ名)ファイルをvi等のエディタで開きます。先頭1行目に"MLU"を記述します。
  2. STXGetVolコマンドをアクセスパス(rawデバイス)指定で実行します。

    # LD_LIBRARY_PATH=/opt/FJSVgrapi/64/lib
    # export LD_LIBRARY_PATH
    # /opt/FJSVgrapi/64/bin/STXGetVol /dev/FJSVmplb/rdsk/mplb2048s2
    BoxID OLU EXTENT SIZE
    30304752373430232323232323234752373443303123232323234341343723232323232323232323 ceh fc000h 64000h
    Device information Dump
    0000 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0010 : 00080100 00010100 00080100 00010100
    0020 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0030 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0040 : 00000000 00000007 00000000 00000003
    0050 : 00000000 00010003 00000000 00010003
    0060 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0070 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0080 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    0090 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00a0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00b0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00c0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00d0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00e0 : 00000000 00000000 00000000 00000000
    00f0 : 00000000 00000000 00000000 00000000

  3. リストア先ボリュームのボリューム通し番号を記述し、空白もしくはタブ区切りで、2の出力における2行目の1カラム目をそのまま記述します。さらに、空白もしくはタブ区切りで、ボリューム通し番号に対するLU番号を16進で記述し、その後ろに"h"を付与し(LU番号が43の場合、2bhとなります。)、改行します。
  4. 2,3をリストア先ボリューム数分繰り返します。

論理デバイス型およびグローバルサーバのリストアを行わない運用では、このファイルの作成は必要ありません。

 

E.4 運用操作 

ここでは、テープより業務ボリュームにデータをリストアし、業務サーバ上で運用可能な状態にするための操作方法について説明します。設定作業が行われていることが前提です。

E.4.1 操作の流れ 

操作の流れを説明します。

  1. リストア対象バックアップデータの特定。
  2. 特定したテープからのリストア。
  3. 業務サーバ上で運用可能な状態にする。(ファイルシステムのマウント等)

 

E.4.2 リストア対象バックアップデータの特定 

リストアを実施するためには、リストア対象のバックアップデータを特定する必要があります。リストア対象のバックアップデータを特定するためには、以下の情報を把握する必要があります。

これらは、テープ内に格納されたバックアップデータのバックアップ履歴情報を表示させることで確認します。バックアップ履歴情報は、リストア用サーバ上で、dbutapeinfoコマンドにて表示できます。

テープ排出時に、テープ内のバックアップデータを台帳管理する等により、テープが特定できている場合と、テープが特定できていない場合では、バックアップデータの特定手順が異なります。

テープが特定できている場合と特定できていない場合のそれぞれについて説明します。

■テープを特定できている場合

リストア対象バックアップデータが、そのテープの何番目に格納されているかを特定します。

  1. 対象テープをマウントします。(マルチボリュームになっている場合は先頭のテープ)LMF Liteが入っていればLMF Liteのコマンドを使用します。入っていなければ、ハード機能で行います。
  2. テープ内のデータをバックアップ履歴情報形式で表示して、対象バックアップデータがその媒体内の何番目かを特定します。

    # dbutapeinfo TapeDevice TapeName

    もしくは、

    # dbutapeinfo -c DataRecordDir TapeDevice TapeName

テープからデータを読み込む時間の目安は、100Gbyte容量のテープの最後までバックアップデータが格納されている場合で、約1時間です。そのため、初回読み込み時は、-cオプションを指定することにより、読み込んだバックアップ履歴情報をファイル化することを推奨します。

 

■テープを特定できていない場合

保管されているテープの中から、リストア対象バックアップデータが、どのテープに格納されているか、またそのテープの何番目かを特定します。

  1. 保管されているテープ全てに対して以下を繰り返します。
    1. テープをマウントします。LMF Liteが入っていればLMF Liteのコマンドを使用します。入っていなければ、ハード機能で行います。
    2. テープ内のデータをバックアップ履歴情報形式で表示およびファイルに記録します。
      # dbutapeinfo -c DataRecordDir TapeDevice TapeName
    3. テープをアンマウントします。
  2. 1で作成されたデータファイルより、全テープ内のデータをバックアップ履歴情報の形式で、業務ボリューム毎に整列して出力させます。

    # dbutapeinfo -d DataRecordDir

  3. 出力された情報から、リストアしたいバックアップデータの業務サーバ名・業務ボリューム名、ロググループ名等、およびデータを採取した日付で検索して、どのテープの何番目のデータか(dbutapeinfoの "DataNum")を特定します。
    テープがマルチボリュームになっている場合は、”TapeNames"に複数のテープ名が表示されるので、それらのテープすべてが対象です。

本操作の実行方法の詳細は「dbutapeinfo(テープ内バックアップデータ表示コマンド)」を参照してください。

 

E.4.3 特定したテープからのリストア 

テープとそのデータの位置(何番目のデータか)が特定できたら、業務ボリュームにデータをリストアします。リストア用サーバ上で、dbutaperestoreコマンドによって行います。

  1. 対象テープをマウントします。(マルチボリュームになっている場合は先頭のテープ)LMF Liteが入っていればLMF Liteのコマンドを使用します。入っていなければ、ハード機能で行います。
  2. リストア先ボリュームとリストア対象データを指定して、dbutaperestoreコマンドを実行します。リストア方法は、ボリューム種別によって異なる。それぞれの指定方法は以下です。

    論理デバイス型(Solaris, Linux, Windows, HP-UX, AIXの一般ファイルシステム)

    1. リストア先サーバ・ボリューム、テープ名・データ位置番号(dbutapeinfoの "DataNum")、テープドライブの特殊ファイル名を指定します。
    2. # dbutaperestore -t ld -h サーバ -r ボリューム テープデバイス テープ:データ位置
    3. 指定されたバックアップデータのバックアップ元サーバ名・業務ボリューム名・バックアップ日付が、確認メッセージとして出力されるので、問題なければ"y"を入力してリストアを開始させます。

    Symfoロググループ

    1. 以前運用していた時と同じ業務サーバ名のサーバ上に、全く同じ構成(デバイス名、サイズ)でスライスを作成し、ロググループを定義します。(同じ構成でないと、Symfowareのリカバリが失敗するため)。
      業務サーバのSymfowareパッケージは、以前運用していたバージョンと同じである必要があります。
    2. ロググループ内の全デバイスに対して以下を繰り返します。(本機能のリストアの単位はDBスペース(デバイス)単位で、ロググループ単位のリストアはできないためです)。
      1. 特定したテープ媒体をマウントする。
      2. Symfowareが起動している場合、Symfowareのrdbinhコマンドを使用して、リストアするDBスペースをアクセス禁止状態にします。コマンドの詳細は、「Symfoware(R) ServerRDB コマンドリファレンス」を参照してください。
      3. リストア先サーバ・ボリューム、リカバリ制御ファイルのリストア先ディレクトリ、テープ名・データ位置番号(dbutapeinfoの "DataNum")、テープドライブの特殊ファイル名を指定して、リストアコマンドを実行します。

        # dbutaperestore -t symfo -h サーバ -r ボリューム -a リカバリ制御ファイル用ディレクトリ テープデバイス テープ:データ位置

    3. 1.でリストアした全リカバリ制御ファイル(DBスペース数分ある)を業務サーバ上に転送する。

      以下、業務サーバ上にて実施する。

    4. 以下をそのロググループの所定のデバイスへ戻します。(これらのデバイスもダイレクトバックアップによってバックアップ運用されていた場合は、それらのテープ媒体を特定した上で、リストア用サーバ上で、「論理デバイス型」の手順によってリストアします。)
      • アーカイブログ
      • RDBディクショナリ
      • 各DSI
    5. ログを適用します。Symfowareのrdbmrrcvコマンドを全DBスペースに対して実行します。このとき、-oオプション(データベーススペースのリストア処理が行なわれている場合に指定するオプション)を必ず指定してください。コマンドの詳細は、「Symfoware(R) ServerRDB コマンドリファレンス」を参照してください。

    論理ユニット型

    1. リストア先GR名・LU番号、テープ名・データ位置番号(dbutapeinfoの "DataNum")、テープドライブの特殊ファイル名を指定します。

      # dbutaperestore -t lu -r GR名:LU番号 テープデバイス テープ:データ位置

    2. 指定されたバックアップデータのバックアップ元GR名・LU番号・バックアップ日付が、確認メッセージとして出力されるので、問題なければ"y"を入力してリストアを開始します。

    グローバルサーバ(XSP, MSP)

    1. リストア先グローバルサーバ名・ボリューム通し番号、テープ名・データ位置番号(dbutapeinfoの "DataNum")、テープドライブの特殊ファイル名を指定して、リストアコマンドを実行します。

      # dbutaperestore -t gs -h サーバ名 -r ボリューム通し番号 テープデバイス テープ:データ位置

    2. 指定されたバックアップデータのバックアップ元グローバルサーバ名・ボリューム通し番号・バックアップ日付が、確認メッセージとして出力されるので、問題なければ"y"を入力してリストア開始します。


  3. テープをアンマウントします。

dbutaperestoreによるリストアは、リストア先ボリュームの状態に依存しません。そのため、リストア先ボリュームが使用中状態で実施すると、データの内容が保証できません。
業務サーバを停止した状態、もしくは、業務サーバ上でリストア先ボリュームが使用中状態ではないことを確認してから実施してください。

本操作の詳細については、「dbutaperestore(バックアップデータリストアコマンド)」を参照してください。

 

多重にリストアを実行する場合

複数ドライブを使用して、多重にリストアをする場合、リストア毎にアクセスパスに別々のパスを使用すると、性能をあげることができます。

リストア毎にアクセスパスを変更する手順は以下です。

dbutaperestoreコマンド実行前に、環境変数FBUDRDEVPATHにアクセスパスを設定します。


# FBUDRDEVPATH=/dev/FJSVmplb/rdsk/mplb10s2
# export FBUDRDEVPATH

環境変数FBUDRDEVPATHが設定されていると、アクセスパス定義ファイルの記述よりも環境変数の方を優先して使用します。

環境変数FBUDRDEVPATHに設定するアクセスパスは、以下の条件を満たす必要があります。条件に満たない場合は、リストアがエラーとなります。

 

E.4.4 テープがマルチボリュームの場合のリストア 

テープがマルチボリュームの場合、dbutapeinfoコマンド の表示で、"TapeNames"に複数テープ名が出力されます。テープ名の並び順は、データの順番と同じです。リストア実施時は、"TapeNames"に表示された順番にマウントする必要があります。

1本目のテープからのリストアが終わると、自動的にテープがドライブからアンロードされ、以下のメッセージが出力されます。

Tape 現テープ名 データサイズKbyte restore completed.
Need change to next tape(次テープ名).

 

メッセージ中にが表示された次のテープをマウントすると、続きのデータのリストアが開始されます。続きのデータのリストアが開始されると以下のメッセージが出力されます。

Data checking completed.

 

E.4.5 業務ボリュームを運用可能な状態にする方法 

リストアが完了した業務ボリュームを、業務サーバから運用可能な状態にします。

論理デバイス型

【Solaris,Linuxの場合】

業務サーバにて、以下の手順を行います。

  1. 以下の場合、fsckコマンドを実行して、ファイルシステムとして整合性のある状態にします。

    リストア対象のバックアップ履歴が、dbutapeinfoコマンドにて以下のように表示された履歴の場合

    "Pre_process"の表示内容が"failed"もしくは"none"

  2. mountコマンドによりファイルシステムをマウントします。

【HP-UX,AIXの場合】

バックアップ元以外にリストアする場合は、「〜Storage Service Facility 編〜 SA/SEハンドブック」の「付録3.各種プラットフォームのバックアップ」を参照して下さい。

論理ユニット型

業務サーバにて、以下の手順を行います。

  1. fsckコマンドを実行して、ファイルシステムとして整合性のある状態にします。
  2. mountコマンドによりファイルシステムをマウントします。

 

グローバルサーバ

業務サーバにて、以下の手順を行います。

  1. リストア先のボリュームをマウントします。
  2. このとき、指定するボリューム通し番号は、バックアップ元のボリューム通し番号(dbutapeinfoで表示されるボリューム通し番号)です。
  3. 既に、同じボリューム通し番号でマウントされているボリュームがある場合、デマウントしておく必要があります。

E.5 コマンド 

ここでは、本機能におけるコマンドの操作方法について説明します。

なお、コマンドのパスは以下です。

/opt/FJSVfbudr/bin

 

E.5.1 dbutapeinfo(テープ内バックアップデータ表示コマンド)

■形式

/opt/FJSVfbudr/bin/dbutapeinfo [-c DataRecordDir] TapeDevice TapeName

/opt/FJSVfbudr/bin/dbutapeinfo -d DataRecordDir | -f DataRecordFile1[,DataRecordFile2,*]

 

■機能説明

dbutapeinfoは、ダイレクトバックアップで採取したバックアップデータが格納されたテープ内のバックアップ履歴情報を表示するコマンドです。このコマンドを使用して、dbutaperestoreにてリストアしたいバックアップ履歴情報を特定することができます。

バックアップ履歴情報は、Symfowareロググループのバックアップ履歴、論理デバイスのバックアップ履歴、論理ユニットのバックアップ履歴、グローバルサーバのバックアップ履歴の順番に表示します。さらにそれぞれ、ロググループ名、デバイス名/LU番号/ボリューム通し番号および絶対世代番号もしくはバックアップ日時の昇順にソートして表示します。複数のテープ媒体内の情報を表示する場合は、その全バックアップ履歴情報に対してソートして表示します。

 

1つ目の形式は、TapeDeviceテープデバイスにマウントされたTapeNameテープから、バックアップ履歴情報を読み取り標準出力に表示します。

-cオプションが指定された場合は、バックアップ履歴情報を表示すると共に、オプション引数に指定されたDataRecordDir ディレクトリの下にバックアップ履歴情報記録ファイル(Backup Data Recode File)の作成を行います。バックアップ履歴情報記録ファイルは、テープごとに作成され、2つ目の形式にて使用します。バックアップ履歴情報記録ファイルのファイル名は以下のとおりです。指定されたディレクトリに既に同じファイル名が存在した場合は、上書きします。

TapeName.drf

 

2つ目の形式は、-dオプションまたは-fオプションで指定された、バックアップ履歴情報記録ファイル(もしくはバックアップ履歴情報記録ファイルのディレクトリ)からバックアップ履歴情報を取得し、標準出力に表示します。

-dオプションが指定された場合は、オプション引数DataRecordDirディレクトリに含まれる全バックアップ履歴情報記録ファイルを検索し、バックアップ履歴情報を表示します。

-fオプションが指定された場合は、オプション引数DataRecodeFileに含まれるバックアップ履歴情報を出力します。カンマ(,)で区切ることによって複数のバックアップ履歴情報記録ファイルを指定することも可能です。

テープもしくはバックアップ履歴情報記録ファイルから履歴情報の解析を始めると、以下のメッセージを表示します。

Under processing execution. Please wait...
..........

 

2行目の”."は、バックアップデータを1つ解析する毎に、1つ出力します。

 

本コマンドが出力する情報を以下に示します。

表示項目

説明

Server

バックアップ元の業務サーバ名を表示します。本項目は論理デバイス型およびグローバルサーバの業務ボリュームのみ表示します。

Platform

バックアップ元の業務サーバのプラットフォームを表示します。本項目は論理デバイス型およびグローバルサーバの業務ボリュームのみ表示します。以下のいずれかを表示します。

Solaris

Solaris業務サーバのときに表示します。

HP-UX

HP-UX業務サーバのときに表示します。

AIX

AIX業務サーバのときに表示します。

WindowsNT

Windows NT業務サーバのときに表示します。

Windows2000

Windows 2000 Server業務サーバのときに表示します。

Windows2003

Windows Server 2003業務サーバのときに表示します。

Linux

Red Hat Linux業務サーバのときに表示します。

MSP/XSP

グローバルサーバのときに表示します。

----

上記以外のときに表示します。

BOX-ID

BOX-IDを表示します。BOX-IDとはGR/ETERNUS筐体ごとにつけられている識別IDです。本項目は論理ユニット型の業務ボリュームのみ表示します。

LOG

ロググループ名を表示します。
本項目はSymfowareの場合のみ表示します。

RDB

RDBシステム名を表示します。
RDBシステム名が存在しない場合は、−を表示します。
本項目はSymfowareの場合のみ表示します。

Devicename

バックアップ元の業務ボリュームのブロックデバイス名を表示します。本項目は論理デバイス型の業務ボリュームのみ表示します。

Volume

論理ユニット番号(OLUnnnn(nnnnは16進数4桁))またはボリューム通し番号を表示します。本項目は、論理ユニット型およびグローバルサーバの業務ボリュームのみ表示します。

Pre_process

バックアップの前処理の実施状態を表示します。以下のいずれかを表示します。

succeeded

前処理を実施し、成功しています。

Failed

前処理を実施し、失敗しています。この場合、バックアップデータは、正当性が保証されていない可能性があります。

None

前処理未実施です。(ポリシー設定で“利用しない”が設定されていた場合。)

-

ホスト連携をしないバックアップ型(論理ユニット、グローバルサーバ)の場合。

Ver

絶対世代番号を表示します。
古いバックアップ履歴から順番に増えていく番号です。この機能による表示では、バックアップ履歴削除をされたデータも表示されるため、この番号はボリューム単位に一意にならない場合があります。
この項目は、グローバルサーバのボリュームの場合、常に−を表示します。

BackupDate

バックアップを開始した日時を「YYYY/MM/DD hh:mm」形式で表示します。

"YYYY": 年を西暦4桁数値で表示します。
"MM": 月を2桁数値で表示します。
"DD": 日を2桁数値で表示します。
"hh": 時間を24時間形式の桁数値で表示します。
"mm": 分を2桁数値で表示します。

Size

業務ボリュームのサイズをKbyte単位で表示します。

DataNum

バックアップテープ内の登録番号をテープ名付で表示します。形式は”テープ名:登録番号”です。(例 PIL001:1)。
登録番号はバックアップテープの先頭のデータを"1"としてカウントアップされます。
このデータがマルチボリュームである場合、指定されたテープが最初のテープでない、もしくは指定されたバックアップ履歴情報記録ファイル内に最初のテープのファイルが存在しない場合は、<undecided>が表示されます。

TapeNames

バックアップデータが格納されているテープ名を表示します。DataNumのテープ名が表示されます。また、マルチボリュームの場合はカンマ区切りでそれら全てを表示します。ただし、マルチボリュームの場合、引数で指定されたテープもしくはバックアップ履歴情報記録ファイル内の範囲で表示されるため、このバックアップデータの全テープが表示されない場合があります。***、もしくは?と表示された場合は、他にテープが存在する可能性があります。

***と表示された場合

***の後ろに表示されているテープを指定してdbutapeinfoを実行することにより確認します。

?と表示された場合

?の前に表示されているテープを指定してdbutapeinfoを実行することにより確認します。

ArcSerial

ロググループをバックアップした場合に以下のいずれかを表示します。

"通常ダンプ"で採取されたバックアップ履歴の場合に、アーカイブログ通番を表示します。

"参照ダンプ"で採取されたバックアップ履歴の場合は、固定文字列"reference"を表示します。

本項目はSymfowareの場合のみ表示します

RcvCtlFile

リカバリ制御ファイル名を表示します。
本項目はSymfowareの場合のみ表示します。

RcvFile-Size

リカバリ制御ファイルサイズを表示します。(単位:byte)
本項目はSymfowareの場合のみ表示します。

 

 

■オプション

以下のオプションを指定することができます。

オプション

説明

-c

テープから読み込んだバックアップ履歴情報をDataRecordDir配下にファイルを作成し、記録します。このファイル(バックアップ履歴情報記録ファイル)については、「バックアップ履歴情報記録ファイル」を参照してください。
DataRecordDirは存在するディレクトリを指定します。このオプションは、-d, -fオプションと同時に指定することはできません。

-d

以前に-cオプションにて作成されたバックアップ履歴情報記録ファイルが格納されたディレクトリをDataRecordDirに指定します。
バックアップ履歴情報をテープからではなく、DataRecordDir配下のファイルから読み取り表示します。このオプションは、-c, -fオプションと同時に指定することはできません。

-f

以前に-cオプションにて作成されたバックアップ履歴情報記録ファイル名をDataRecordFileに指定します。バックアップ履歴情報記録ファイルはカンマで区切ることにより複数指定することが可能です。
このオプションは、-c, -dオプションと同時に指定することはできません。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。

オペランド

説明

TapeDevice

テープドライブの特殊ファイル名を指定します。

TapeName

TapeDeviceにマウントしたテープ名を指定します。

 

バックアップ履歴情報記録ファイル

以下に本コマンドで使用するバックアップ履歴情報記録ファイルについて説明します。

 概要

バックアップ履歴情報記録ファイルとは、指定テープ内に書かれたANSIラベル群をテープからすべて読み取り、それを本機能で使用可能な形式にまとめなおしたファイルです。本ファイルを作成することにより、次にテープ内データ情報を表示するとき、テープから読み込む必要がないため、表示の時間が短縮されます。

本ファイルはテープ内バックアップデータ表示やリストア時のデータの特定に使用されます。

 作成方法

本ファイルはdbutapeinfoコマンドで-cオプションを使用することにより作成することができます。作成時のファイル名は引数で指定したテープ名(バーコードラベル名).drfとなります。そのため、本ファイルはテープごとに作成されます。

 ファイル形式

本ファイルはバイナリ形式です。本ファイルの情報はdbutapeinfoコマンドで-fもしくは-dオプションを使用することにより表示することができます。

 ファイルサイズ

本ファイルは、テープ内のバックアップデータ数に比例してサイズが増加します。1バックアップデータあたり約2Kbyteの領域を必要とします。

 

■使用例

使用例を説明します。

◆テープからバックアップ履歴情報を読み込み、-cオプションでファイルに記録する場合

# dbutapeinfo -c /work/bkinfo /dev/rmt/1 000040
Under processing execution. Please wait...
......
[Logical-Device Backup Data]
Server = host1 Platform = Solaris
DeviceName PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s1 succeeded 1 2004/02/23 09:55 204800 000040:1 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s3 succeeded 1 2004/02/23 10:30 204800 000040:2 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s3 succeeded 2 2004/02/24 09:05 204800 000040:5 000040
Server = host2 Platform = Solaris
DeviceName PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s1 succeeded 1 2004/02/23 11:00 204800 000040:3 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s3 succeeded 1 2004/02/23 11:30 204800 000040:4 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s4 succeeded 1 2004/02/24 10:55 204800 000040:6 000040,000041,?
#

この実行後、/work/bkinfoディレクトリ配下を確認すると、000040.drfという名前のファイルが作成されています。

この例では、最後に格納されている000040:6のバックアップデータがマルチボリュームとなっていることがわかります。後続のテープは000041ですが、000041がマルチボリュームの最後のテープかどうかは、000041を読み取らないとわからないため、その後ろには?と表示されています。

 

◆複数のテープを-cオプション指定で読み込んだ後、それらすべての情報をまとめて表示する(-dオプション指定で実行する)場合

# dbutapeinfo -d /work/bkinfo
Under processing execution. Please wait...
...........
[Logical-Device Backup Data]
Server = host1 Platform = Solaris
DeviceName PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s1 succeeded 1 2004/02/23 09:55 204800 000040:1 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s3 succeeded 1 2004/02/23 10:30 204800 000040:2 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s3 succeeded 2 2004/02/24 09:05 204800 000040:5 000040
Server = host2 Platform = Solaris
DeviceName PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s1 succeeded 1 2004/02/23 11:00 204800 000040:3 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s1 failed 2 2004/02/25 11:00 204800 000041:2 000041
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s3 succeeded 1 2004/02/23 11:30 204800 000040:4 000040
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s3 succeeded 2 2004/02/25 11:30 204800 000041:3 000041
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s4 succeeded 1 2004/02/24 10:55 204800 000040:6 000040,000041
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb5s4 succeeded 2 2004/02/26 10:55 204800 000041:4 000041

[Logical-Unit Backup Data]
BOX-ID = 00GR740#######GR74C01#####CA47##########
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
OLU0001 - 1 2004/08/22 15:47 1048576 000042:1 000042
[GS-Volume Backup Data]
Server = GSHOST1 Platform = MSP/XSP
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
WORK001 - - 2004/02/23 09:55 1891687 000043:1 000043
#

◆テープがマルチボリュームとなっているバックアップデータの途中のテープを指定して実行した場合。

# dbutapeinfo /dev/rmt/1 000022
Under processing execution. Please wait...
.
[Logical-Unit Backup Data]
BOX-ID = 00GR740#######GR74C01#####CA47##########
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
OLU0050 - 1 2004/08/22 14:30 314572800 <undecided> ***,000021,000022,000023,?

この例では、dbutapeinfoの引数には、テープ000022を指定して表示しています。000022のラベル情報に、前後のテープ名000021,000023が記録されているため、"TapeNames"にはそれらも表示されます。000021の前、および000023の後ろにテープが続いているかどうかは確定できていないため、***および?が表示されます。

また、先頭のテープが何か確定できていないため、”DataNum"には、<undecided>が表示されます。

リストアをするためには、”DataNum"および全テープを特定する必要があります。***の後ろのテープ(この例では、テープ000021)と、?の前のテープ(この例では、テープ000023)をそれぞれ指定して、dbutapeinfoを実行します。

# dbutapeinfo /dev/rmt/1 000021
Under processing execution. Please wait...
.
[Logical-Unit Backup Data]
BOX-ID = 00GR740#######GR74C01#####CA47##########
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
OLU0050 - 1 2004/08/22 14:30 314572800 000021:10 000021,000022,?

この例では、先頭のテープは000021であることがわかります。

# dbutapeinfo /dev/rmt/1 000023
Under processing execution. Please wait...
.
[Logical-Unit Backup Data]
BOX-ID = 00GR740#######GR74C01#####CA47##########
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
OLU0050 - 1 2004/08/22 14:30 314572800 <undecided> ***,000022,000023

この例では、最後のテープは000023であることがわかります。

■終了ステータス

正常終了した

>0

エラー終了した

■注意事項

以下の条件のとき、dbutapeinfoコマンドによるバックアップ履歴情報記録ファイルが正しく表示できない場合があります。

例)以下の構成のテープが存在する場合、

複写テープ1:LTO353 、LTO253(LTO353 、LTO253はマルチボリューム)
複写テープ2:LTO202 、LTO207(LTO202 、LTO207はマルチボリューム)

LTO353とLTO207のテープに対するバックアップ履歴情報記録ファイルを指定して表示を行うと以下のように表示されます。

# /opt/FJSVfbudr/bin/dbutapeinfo -f LTO207.drf,LTO353.drf
Under processing execution. Please wait...
..
[Logical-Unit Backup Data]
BOX-ID = 00GR740#######GR74D01#####CB47##########
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
------------------------------------------------------------------------------
OLU014b - 1 2005/01/21 23:14 125829120 LTO353:1 LTO353,LTO253,***,LTO202,LTO207

#

上記については関連する全てのテープ(LTO353 、LTO253、LTO202 、LTO207)のバックアップ履歴情報記録ファイルを全て指定して実行することにより正しく表示することが出来ます。

E.5.2 dbutaperestore(バックアップデータリストアコマンド)

■形式

◆SymfoロググループのDBスペースの場合

/opt/FJSVfbudr/bin/dbutaperestore -t symfo [-s] [-d DataRecordDir] -h DstHostname -r DstDevicename -a RcvCtlFileDir TapeDevice DataNum

◆論理デバイス型の場合

/opt/FJSVfbudr/bin/dbutaperestore -t ld [-s] [-d DataRecordDir] -h DstHostname -r DstDevicename TapeDevice DataNum

◆論理ユニット型の場合

/opt/FJSVfbudr/bin/dbutaperestore -t lu [-s] [-d DataRecordDir] -r GRname:DstVolume TapeDevice DataNum

◆グローバルサーバの場合

/opt/FJSVfbudr/bin/dbutaperestore -t gs [-s] [-d DataRecordDir] -h DstHostname -r DstDevicename TapeDevice DataNum

 

■機能説明

引数で指定したテープ内のデータを引数で指定したボリュームに復元するコマンドです。このコマンドはスーパユーザのみ実行可能です。

リストア先ボリュームの指定方法は以下の通りです。

リストア先ボリュームおよびGR名は、ボリューム構成定義ファイルGR名定義ファイルに予め定義しておく必要があります。

また、テープは、ライブラリ制御ソフトもしくはハード機能により、予めマウントしておく必要があります。

また、テープがマルチボリュームになっている場合は、データが格納されている順番にマウントする必要があります。テープの順番は、dbutapeinfoコマンドの出力の "TapeNames"の表示順番通りです。前のテープのデータリストアが終了すると、テープが自動排出され、次のテープ名とマウントを要求するメッセージが出力されます。

Need change to next tape(テープ名).

次のテープをマウントすると続きのデータのリストアが開始されます。このとき、違うテープをマウントすると、そのテープは自動排出され、正しいテープをマウントする要求メッセージが出力されます。

The inserted tape is not a continuation of 前テープ名.
Need change to next tape(テープ名).

 

Symfowareは、ロググループを指定したリストアはできません。DBスペース(デバイス)を指定します。そのため、ロググループ全体のリカバリをする場合は、全DBスペース数分、このコマンドを実行します。SymfowareのDBスペースの場合、同時にリカバリ制御ファイルもリストアします。なお、本コマンドは、ログ適用によるリカバリを行わないため、本コマンド実施後に、Symfowareのrdbmrrcvコマンドを実施し、ログ適用を行う必要があります。

このコマンドはCtl-Cを入力するとエラー終了し、リストア処理も中断されます。

 

 

■オプション

以下のオプションを指定することができます。

オプション

説明

-t

リストア対象のバックアップデータの種別を指定します。以下の引数を指定します。
・symfo   SymfoのDBスペースのとき
・ld    論理デバイスのとき
・lu    論理ユニットのとき
・gs    グローバルサーバのとき
このオプションは省略できません。リストア対象バックアップデータの実際の種別と、オプションで指定された引数が異なる場合はエラーとなります。

-s

リストアの実行に対する確認メッセージが出力されず、ただちにリストアが行われます。

-h

リストア先業務サーバ名をDstHostnameに指定します。論理ユニットの場合は指定できません。それ以外の場合は省略できません。

-d

DataNumで指定されたバックアップデータの情報(バックアップ元サーバ名・業務ボリューム名等)を確認メッセージとして出力する際に、テープからではなくDataRecordDirで指定されたディレクトリ配下のバックアップ履歴情報管理ファイルから読み込みます。これにより、確認メッセージの表示までの時間が短縮されます。このオプションを省略した場合は、テープを読み込んで情報を取得するため、確認メッセージを表示するまでに時間がかかる場合があります。なお、このオプションを指定しても確認メッセージの表示までの時間は短縮されますが、その後のリストアの時間が長くなるため、リストア全体の時間は短縮されません。

-r

リストア先業務ボリューム名を指定します。-tオプション引数によって、それぞれ以下の引数を指定します。
・symfo   ブロックデバイス名
・ld    ブロックデバイス名
・lu    GR名:LU番号 (LU番号はOLUxxxxの形式。xxxxは16進4桁)
・gs    ボリューム通し番号
これらは、ボリューム構成定義ファイル、GR名定義ファイルに定義されている必要があります。このオプションは省略できません。

-a

SymfoのDBスペースをリストアする際に、リカバリ制御ファイルのリストア先ディレクトリをRcvCtlFileDirに指定します。
リカバリ制御ファイルは1ファイルあたり最大1MBなので、それを考慮してリストア先を指定する必要があります。
SymfoのDBスペースの場合は必須です。それ以外では指定できません。

 

■オペランド

以下のオペランドを指定します。このオペランドは省略できません。

オペランド

説明

TapeDevice

テープドライブの特殊ファイル名を指定します。

DataNum

リストア対象のバックアップデータを、以下の形式で指定します。

 ”テープ名:データ位置番号“(例 PIL001:1)
 これは、dbutapeinfo で表示される "DataNum"です。

 

■使用例

◆Symfowareデータリストア (-sなし, -dなし)

# dbutaperestore -t symfo -h assam -r /dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s1 -a /work /dev/rmt/1 000040:1
Under processing execution. Please wait...
[Symfoware Backup Data]
Server = ceylon Platform = Solaris LOG/RDB = LOG01/RDB1
DeviceName ArcSerial Ver BackupDate Size(Kbyte) RcvCtlFile RcvFile-Size DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
/dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s1 reference 1 2004/02/23 09:55 204800 rdb1.db001 30 000040:1 000040

RestoreServer = assam
RestoreDeviceName = /dev/FJSVmplb/dsk/mplb2s1
RecoveryControlFileName = /work/rdb1.db001

Start restoration? (y/n) y <ENTER>   *リストアしてよければyを入力します。
Tape 000040 204800Kbyte restore completed.
RecoveryControlFile /work/rdb1.db001 restore completed.
#

◆論理デバイス型データの場合 (-sなし , -d指定。 テープがマルチボリュームの場合)

# dbutaperestore -t ld -d /work/bkinfo -h host1 -r /dev/FJSVmplb/dsk/mplb10s6 /dev/rmt/1 000040:6
Under processing execution. Please wait...
[Logical-Device Backup Data]
Server = host1 Platform = Unix
DeviceName PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
/dev/FJSVmplb/dsk/ mplb5s4 succeeded 1 2004/02/24 10:55 204800 000040:6 000040,000041

RestoreServer = host1
RestoreDeviceName = /dev/FJSVmplb/dsk/mplb10s6

Start restoration? (y/n) y <ENTER>   *リストアしてよければyを入力します。
Data checking completed.
Tape 000040 102400Kbyte restore completed.
Need change to next tape(000041).    *テープ000040は自動的にアンロードされ、テープが投入されるか、Ctrl-Cが入力されるまで待ちます。テープが投入されると、テープの正当性をチェックします。
Data checking completed.           *正しいテープ000041が投入された場合に表示し、リストアを開始します。
Tape 000041 102400Kbyte restore completed.
#

◆論理ユニット型データの場合 (-s指定 , -dなし。)

# dbutaperestore -s -t lu -r GR1:OLU0048 /dev/rmt/1 000022:1
Under processing execution. Please wait...

[Logical-Unit Backup Data]
BOX-ID = 00GR740#######GR74C01#####CA47##########
Volume PreProcess Ver BackupDate Size(Kbyte) DataNum TapeNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
OLU0001 - 1 2004/08/22 15:47 1048576 000042:1 000042

RestoreVolume = GR1:OLU0048

Data checking completed.
Tape 000022 1048576Kbyte restore completed.
#

◆グローバルサーバデータリストア (-sあり, -dあり)

# dbutaperestore -t gs -s -d /drf_dir1 -h GSHOST1 -r VOL001 /dev/rmt/2 000001:1
Under processing execution. Please wait...
[GS-Volume Backup Data]
Server = GSHOST1 Platform = MSP/XSP
Volume PreProcess Ver BackupDate size(Kbyte) DataNum TPNames
--------------------------------------------------------------------------------------------------
VOL001 - -1 2003/03/24 15:47 645120 000001:1 000001

RestoreServer = GSHOST1
RestoreVolume = VOL001

Data checking completed.
Tape 000001 645120Kbyte restore completed.
#

 

■終了ステータス

正常終了した

>0

エラー終了した

■注意事項

メッセージ「Tape テープ名 データサイズ restore completed.」が出力された後、プロンプトが出力されるまで2,3分の時間がかかります。

E.6 テープライブラリ制御ソフトを利用した運用 

テープ装置にテープライブラリシステムを使用し、リストア用サーバをSSF/Backup Facility 上に構築した場合、テープのマウント/アンマウントをLMF Liteのコマンドによって行うことができます。

以下に、緊急時リストア機能とLMF Liteのコマンドを組み合わせた運用方法を示します。

■テープ内バックアップデータ表示

  1. テープドライブの特殊ファイル名と、LMF Liteが管理するテープドライブ名の対応を確認します。以下のとおり、実行します。

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmadminc -r

    <出力例>

    LMFサーバのホスト名またはIPアドレス : sp5000
    LMFクライアントのホスト名またはIPアドレス : sp5000

    Lib-ID ライブラリ名 ドライブ名   シリアルNo.  ドライブ種 特殊ファイル名
    0001  LT130     LT130_DRV01  1110099063  LTO2   /dev/rmt/1
               LT130_DRV02   6811116165  LTO1   /dev/rmt/2
               LT130_DRV03   6811108768  LTO1   /dev/rmt/3

    上の出力例では、テープドライブ名とテープドライブの特殊ファイル名の対応は以下のようになります。

     テープドライブ名 テープドライブの特殊ファイル名

      LT130_DRV01   /dev/rmt/1

      LT130_DRV02   /dev/rmt/2

      LT130_DRV03   /dev/rmt/3

  2. テープをマウントします。

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmmount -d テープドライブ名 テープ名

    <実行例>

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmmount -d LT130_DRV01 LTO123
    ・・・・・

    special file(rewind ) = /dev/rmt/1

    special file(no-rewind) = /dev/rmt/1n

    volume = LTO123

    library = LT160

    drive name = LT130_DRV01

    medium type = LTO

  3. 表示をします。

    # /opt/FJSVfbudr/bin/dbutapeinfo テープドライブの特殊ファイル名 テープ名

    <実行例>

    # /opt/FJSVfbudr/bin/dbutapeinfo /dev/rmt/1 LTO123

     

  4. テープをアンマウントします。

    なお、続けて同じテープからリストアをする場合は、アンマウントする必要はありません。

    # mt -f テープドライブの特殊ファイル名 offline

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmumount テープ名

     

■バックアップデータリストア

テープドライブ名とテープドライブの特殊ファイル名の対応の確認方法は同じです。

  1. テープをマウントします。

    なお、テープ内バックアップデータ表示に続いて行う場合等、既にマウントされている場合は必要ありません。

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmmount -d テープドライブ名 テープ名

    <実行例>

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmmount -d LT130_DRV01 LTO123
    ・・・・・

    special file(rewind ) = /dev/rmt/1

    special file(no-rewind) = /dev/rmt/1n

    volume = LTO123

    library = LT160

    drive name = LT130_DRV01

    medium type = LTO

     

  2. リストアをします。

    # /opt/FJSVfbudr/bin/dbutaperestore -t ... ... テープドライブの特殊ファイル名 テープ名:データ位置

    <実行例>

    # /opt/FJSVfbudr/bin/dbutaperestore -t ld -h hostA -r /dev/dsk/c1t1d1s1 /dev/rmt/1 LTO123:3

     

  3. テープをアンマウントします。

    # mt -f テープドライブの特殊ファイル名 offline

    # /opt/FJSVlmf/bin/lmumount テープ名

     

【テープがマルチボリュームの場合のリストアにおける注意事項】

テープがマルチボリュームであるバックアップデータをリストアする場合は、1本目のテープのリストアが終了した後、2本目のテープのマウントをする必要があります。そのため、操作端末(ウィンドウ)を2つ用意する必要があります。

また、1本目のテープをアンマウントする場合、「mt -f テープドライブの特殊ファイル名 offline」によるオフライン作業はしないでください。

 


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