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Linkexpress Replication optionV5.0L27 導入運用ガイド

2.3.2 チューニング方法

Symfoware抽出レプリケーションの性能情報取得コマンド(lxreppdaコマンド)で取得した性能情報の分析方法、およびチューニング方法を説明します。

なお、ここで説明するチューニング方法は、利用者プログラムの処理性能(スループット)が、レプリケーションを行った場合とそうでない場合とで比較して著しく差がある場合や、複写先データベースの最新化に長時間かかる場合(レプリケーション業務が数回実行されて最新化される)に行うものであり、マシン性能の限界に達している場合については対象としません。

参照

各説明の“対処方法”にあるオペランドについては、“2.1.2.3.3 動作環境ファイルの作成”を参照してください。

2.3.2.1 トランザクションログファイルデータ部書き込み回数について

トランザクションログファイルデータ部書き込み回数(項目名:TRFDtWrFq)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

トランザクションログファイルデータ部書き込み回数の値が非常に大きい場合、トランザクションログファイルへのi/o負荷が高い可能性があります。

対処方法

iostatコマンドなどの性能測定機能を使用し、トランザクションログファイルのデータ部に対するi/o負荷(i/o回数)が、ディスク性能の限界に到達しているか分析してください。

ディスク性能の限界に到達している場合は、Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルの以下のオペランドに指定した値を見直します。

本オペランドの指定値を大きくすることで、トランザクションログファイルへの書き込みバッファサイズを拡張し、トランザクションログファイルへの書き込み回数を減らします。

ディスクのi/o負荷(i/o回数)が限界に到達していない場合、またはディスク性能そのものの限界に到達している場合は問題ありません。

2.3.2.2 トランザクションログファイル書き込みバッファ枯渇発生回数について

トランザクションログファイル書き込みバッファ枯渇発生回数(項目名:WrBfDryFq)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

トランザクションログファイル書き込みバッファ枯渇発生回数が非常に多い場合、トランザクションログファイルへの書き込みバッファの空き待ちが発生し、利用者プログラムの処理性能に影響を与えている可能性があります。

対処方法

Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルの以下のオペランドに指定した値を見直します。

本オペランドの指定値を大きくすることで、トランザクションログファイルへの書き込みバッファサイズを拡張し、本バッファの空き待ち事象の発生率を削減します。

なお、トランザクションログファイルのデータ部の使用率が常に100%の場合、または100%に近い状態が続いている場合は、バックグラウンド処理の遅延が考えられます。その場合は、他の性能情報についても分析を行ってください。

2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について

トランザクションログファイルの使用率(項目名:TRFUseRt)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

トランザクションログファイルの使用率が常に100%の場合、または100%に近い状態が続いている場合、発生する差分ログ量に対しトランザクションログファイルのデータ部のサイズが極端に小さいか、またはバックグラウンド処理が遅延し、差分ログファイルへの転送待ち差分ログが大量に発生している可能性があります。

このような状態の場合、以下に示す影響がでる可能性があります。

対処方法

トランザクションログファイルのデータ部のサイズが小さい場合は、適切なサイズに再作成してください。

そうでない場合は、バックグラウンド処理の遅延が考えられますので、他の性能情報についても分析を行ってください。

Linkexpress Replication optionのダウンリカバリ処理時間を許容時間内に納める場合は、Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルの以下のオペランドに指定された値を見直すことで、Linkexpress Replication optionのダウンリカバリ処理におけるリカバリ対象ログ量を削減します。

参照

  • “コマンドリファレンス”の“lxreplogコマンド”

  • “コマンドリファレンス”の“lxreplogコマンド”

2.3.2.4 コミット済未処理トランザクション数について

コミット済未処理トランザクション数(項目名:CmtUnPrcTrnNm)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

コミット済未処理トランザクション数が増加傾向にある場合、バックグラウンド処理に遅延が発生している可能性が考えられます。

バックグラウンド処理の遅延は、トランザクションログファイルの使用率の増加につながります。使用率の増加による影響度は、“2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について”を参照してください。

対処方法

バックグラウンド処理の遅延が考えられますので、他の性能情報についても分析を行ってください。

2.3.2.5 差分ログファイルへの書き込み保証実行回数について

差分ログファイルへの書き込み保証実行回数(項目名:DLFSyFq)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

トランザクションログファイルの使用率が増加傾向にあり、差分ログファイルへの書き込み保証実行回数が非常に多い場合、バックグラウンド処理の遅延が発生している可能性があります。

バックグラウンド処理の遅延は、トランザクションログファイルの使用率の増加につながります。使用率の増加による影響度は、“2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について”を参照してください。

対処方法

Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルの以下のオペランドに“MULTI”を指定します。

これにより、差分ログファイルへの書き込み保証処理単位が適切な単位で動作し、バックグラウンド処理が効率的に動作することで、トランザクションログファイルの使用率の増加を抑止することができます。

2.3.2.6 差分ログファイルへの書き込み保証処理に対する対象トランザクション数について

差分ログファイルへの書き込み保証処理に対する対象トランザクション数(項目名:SyPrcNm)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

トランザクションログファイルの使用率が増加傾向にあり、差分ログファイルへの書き込み保証処理に対する対象トランザクション数が少ない傾向にある場合、差分ログファイルへの書き込み保証処理が効率よく動作しないため、バックグラウンド処理に遅延が発生している可能性が考えられます。

バックグラウンド処理の遅延は、トランザクションログファイルの使用率の増加につながります。使用率の増加による影響度は、“2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について”を参照してください。

対処方法

Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルの以下のオペランドに“MULTI”を指定します。

これにより、差分ログファイルへの書き込み保証処理単位が適切な単位で動作し、バックグラウンド処理が効率的に動作することで、トランザクションログファイルの使用率の増加を抑止することができます。

2.3.2.7 差分ログファイルへの書き込み保証処理に対する対象差分ログファイル数について

差分ログファイルへの書き込み保証処理に対する対象差分ログファイル数(項目名:SyPrcDLFMaxNm)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

差分ログファイルへの書き込み保証処理に対する対象差分ログファイル数が非常に多い場合、差分ログファイルへの書き込み保証処理が効率よく動作しないため、バックグラウンド処理に遅延が発生している可能性があります。

バックグラウンド処理の遅延は、トランザクションログファイルの使用率の増加につながります。使用率の増加による影響度は、“2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について”を参照してください。

対処方法

Linkexpress Replication optionの動作環境ファイルの以下のオペランドを見直し、差分ログファイルへの書き込み保証処理を並列動作させることで、バックグラウンド処理性能を上げ、トランザクションログファイルの使用率の増加を抑止します。

2.3.2.8 差分ログファイルの容量拡張回数について

差分ログファイルの容量拡張回数(項目名:DLFExpFq)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

差分ログファイルの容量拡張回数が0でない場合、差分ログファイルの容量拡張が発生しています。差分ログファイルの容量拡張回数が多いと、バックグラウンド処理に遅延が発生する可能性があります。

バックグラウンド処理の遅延は、トランザクションログファイルの使用率の増加につながります。使用率の増加による影響度は、“2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について”を参照してください。

対処方法

差分ログファイルの容量拡張が発生しないサイズに、差分ログファイルを再作成してください。

参照

2.3.2.9 トランザクションログファイル容量不足発生回数について

トランザクションログファイル容量不足発生回数(項目名:CapaDftFq)について、取得した性能情報の傾向と対処方法を以下に説明します。

性能情報の傾向

トランザクションログファイル容量不足発生回数が非常に多い場合、トランザクションログファイルの空き領域待ち事象が発生し、利用者プログラムの処理性能に影響を与えている可能性があります。

対処方法

2.3.2.3 トランザクションログファイルの使用率について”と同じ対処を行ってください。