Storage Cluster機能では、フェイルオーバーの対象となるボリュームを“TFOV”と呼びます。
Primary/Secondaryストレージの両装置に作成されたTFOVのうち、それぞれのHLU番号と容量が一致するTFOV同士が、データの同期対象ボリュームになります。また、データの同期と併せて、Secondaryストレージのボリューム情報が「表9.5 データ同期前後のSecondaryストレージのボリューム情報の変化」のとおりに変更されます。
変更される | データ同期前 | データ同期後 |
---|---|---|
UID | Secondaryストレージのボリューム独自のUID | ペアとなるPrimaryストレージのボリュームのUID |
Product ID | Secondaryストレージ独自のProduct ID | ペアとなるPrimaryストレージのProduct ID |
注意
Secondaryストレージのボリュームは、データ同期後にTFOグループ削除などの操作によって同期対象ボリュームから外れても、データ同期後のボリューム情報が引き継がれます。そのため、Secondaryストレージのボリュームを継続して利用する場合は、ETERNUS CLIを利用してボリューム情報をデータ同期前の状態に戻してください。利用するETERNUS CLIのコマンド名および書式は、ETERNUS ディスクアレイ付属のマニュアルを参照してください。
装置あたりの全TFOVの総容量には上限があります。装置あたりのTFOV総容量を拡張する方法は、以下の箇所を参照してください。
TFOグループをActive-Active構成で運用する場合: 「9.3.1 導入」の「9.3.1.4 TFOV総容量の拡張」
TFOグループをActive-Standby構成で運用する場合: 「9.4.1 導入」の「9.4.1.4 TFOV総容量の拡張」
ポイント
TFOVの容量は拡張可能です。詳細は、以下の箇所を参照してください。
TFOグループをActive-Active構成で運用する場合: 「9.3.2.5 業務ボリュームの容量拡張」
TFOグループをActive-Standby構成で運用する場合: 「9.4.2.4 業務ボリュームの容量拡張」
TFOVとするボリュームは、以下のすべての条件を満たす必要があります。
Primary/SecondaryストレージのそれぞれのETERNUS ディスクアレイに、同じ容量のボリュームが存在していること
無停止ストレージマイグレーションで使用するボリュームでないこと
外部LU情報が"Inherited"のボリュームでないこと
用途が"Veeam"のボリュームでないこと
ETERNUS DX S6 seriesの場合は、ボリュームのDeduplicationおよびCompressionが無効であること
TFOグループをActive-Active構成で運用する場合は、ボリュームタイプが、"Standard"、"WSV"、または"TPV"のどれかである、かつ、Primary/Secondaryストレージの対応するボリュームのボリュームタイプが同じであること
"SDV"、"SDPV"、および"FTV"は未サポートです。
TFOグループをActive-Standby構成で運用する場合は、ボリュームタイプが、"Standard"、"WSV"、"TPV"、または"FTV"のどれかである、かつ、Primary/Secondaryストレージの対応するボリュームのボリュームタイプが同じであること
"SDV"および"SDPV"は未サポートです。
"FTV"の場合、アクセス状況データを同期させることで、フェイルオーバ/フェイルバック後も、ストレージ自動階層制御の性能情報および再配置状態を引き継げます。アクセス状況データを同期させる方法は、『Storage Cruiser 運用ガイド Optimization機能編』の「アクセス状況データの同期」を参照してください。
TFOグループをActive-Active構成で運用する場合は、LUNコンカチネーションで連結したボリュームでないこと
アドバンスト・コピーが実行されていないこと
装置あたりの業務ボリュームの総容量が、TFOV総容量を超過していないこと
注意
CAポートペアに属するボリュームは、Storage Cluster機能で使用しないポートからは共有できません。
1台のETERNUS ディスクアレイにSANブート環境を構築する際、「9.1.5.1 TFOVに求められる条件」を満たすようにSANブート用のボリュームを作成しておくと、あとでもう1台のETERNUS ディスクアレイを追加してSANブート環境をStorage Clusterで運用することが可能となります。
SANブート用のボリュームをTFOVにしてSANブート環境をStorage Clusterで運用するには、以下のすべての条件を満たす必要があります。
1台目のETERNUS ディスクアレイにおけるSANブート用のボリュームは、ETERNUS Web GUIまたはETERNUS CLIを利用して作成されたものであること
SANブート用のボリュームにOSがインストールされていて、そのOSが起動していること
SANブート用のボリュームから起動したOSがStorage Cruiserマネージャーとネットワーク通信可能な状態にあること
運用管理サーバのボリュームにTFOVが含まれないこと
Storage Clusterコントローラーを使用する場合は、そのサーバに監視対象のStorage Cluster環境のTFOVが含まれないこと
SANブート用のボリュームは以下の条件で1台目のETERNUS ディスクアレイからアクセスパスが設定されていること、かつ2台目のETERNUS ディスクアレイからも以下の条件でアクセスパスが設定できること
アクセスパスの種類
サーバとストレージのアクセスパスが、1対1のWWPNゾーニングであること
サーバHBAとETERNUS ディスクアレイポートの選択
TFOグループのペアに指定する2つのポートは、同一のHBAと関連付けられること。
例えば、「図9.24 Storage Cluster機能: 正しいアクセスパスの設定例」のようにHBAとポートを選択した場合は、Storage Cluster運用が可能です。「図9.25 Storage Cluster機能: 誤ったアクセスパスの設定例」のようにHBAとポートを選択した場合は、Storage Cluster運用が不可能です。
アフィニティ/LUNグループの作成
Storage Cluster機能の対象とするボリュームは、アフィニティ/LUNグループに以下の規則で定義されていること
2台のETERNUS ディスクアレイにおいて、対応するホストLUN No.(HLU)が同じ
2台のETERNUS ディスクアレイにおいて、対応するボリュームの容量が同じ
Veeam Storage Integrationを利用している場合のホストアフィニティの設定
Storage Cluster機能の対象とするLUNグループは、[Veeam Storage Integration]カラムの値が"-"(ハイフン)のLUNグループであること
ポイント
SANブート用のボリュームは、対象ストレージ装置のETERNUS Web GUIまたはETERNUS CLIを使用して作成してください。