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PRIMECLUSTER  導入運用手引書 4.7

1.7.1 共通の注意点

PRIMECLUSTER システム構築時に陥りやすい注意点について説明します。システムの構築を行う前に一読ください。

クラスタシステムを構成する全ノードの時刻は一致させてください

NTP サーバと接続し全ノードで時刻同期を取ってください。
全ノードの時刻が一致していない場合、クラスタが正しく動作しないことがあります。

例えば、下記のメッセージが出力されたり、クラスタアプリケーションのOnlinePriority属性を設定している場合は、RMS起動時に最後に運用系であったノードを正しく判断できず、意図したノードでクラスタアプリケーションがOnlineにならない場合があります。

(WRP, 34) Cluster host host is no longer in time sync with local node. Sane operation of RMS can no longer be guaranteed. Further out-of-sync messages will appear in the syslog.

(WRP, 35) Cluster host host is no longer in time sync with local node. Sane operation of RMS can no longer be guaranteed.

クラスタインタコネクトにスパニングツリープロトコルを設定しないでください

スパニングツリープロトコルを設定するとクラスタインタコネクト間のアクセスが中断し、ハートビート通信に失敗することがあります。
スイッチングハブで、STP(Spanning-Tree Protocol) の Parameter Setting - Status を Disable に設定してください。

クラスタインタコネクトの経路ではフィルタリング設定を行わないようにしてください

PRIMECLUSTER のクラスタインタコネクトでは、複数の回線を束ねた上でPRIMECLUSTER独自のプロトコル(ICFプロトコル)で通信を行っています。そのため、クラスタインタコネクトに接続されたクラスタノード以外の機器と通信を行うことができません。よって、クラスタインタコネクトの経路ではフィルタリング設定を行わないようにしてください。

クラスタで必要なカーネルパラメタは必ず設定してください

PRIMECLUSTER はシステムの資源を使用して動作します。このシステム資源が不足すると、PRIMECLUSTER が正常に動作しなくなる場合があります。

システムの使用資源量は、カーネルパラメタとして設定します。
システム資源量は動作する環境によって異なりますので動作環境より適切なシステム資源量を見積り設定してください。

なお、カーネルパラメタの変更は PRIMECLUSTER の構築前に行ってください。
また、カーネルパラメタを変更した場合は、必ずOSを再起動してください。

参照

パラメタ値の詳細については、PRIMECLUSTER デザインシートの“セットアップ(初期構成)”を参照してください。

システムダンプあるいはクラッシュダンプは採取できるように設定してください

システムダンプあるいはクラッシュダンプが採取できないと、トラブル発生時の調査に時間を要したり、根本原因の追求ができない場合があります。

PRIMECLUSTER を構築する前に、システムダンプあるいはクラッシュダンプが採取できることを確認してください。

時刻同期はゆっくりと調整する必要があります

NTPを使用して各ノードの時刻を合わせる場合は、急激な時刻合わせ(stepモード)ではなく、常時ゆっくりとした時刻合わせ(slewモード)を行う必要があります。
詳細についてはOS等のマニュアルを参照してください。NTPを使用した急激な時刻合わせや、運用中のdateコマンドによる時刻合わせを行うと、ノード間で時刻不正が発生しクラスタシステムが正しく動作しません。

使用するサーバ機種によって必要なシャットダウン機構を設定してください

使用するサーバ機種によって必要なシャットダウン機構が異なります。“5.1.2 シャットダウン機構の設定”を参照して使用するサーバ機種に必要となるシャットダウン機構を確認し、設定してください。

CF ハートビートのタイムアウト検出時間を必要に応じて設定してください

CF ハートビートのタイムアウト検出時間については、ピーク時の業務処理量を考慮し、お客様環境にあわせて設定してください。設定する値の目安は、10秒から1分程度です。デフォルト値は10秒です。

参照

CF ハートビートのタイムアウト検出時間の設定方法については、“11.3.1 CFハートビートのタイムアウト検出時間の変更”を参照してください。

RMS停止待ち時間を指定する環境変数RELIANT_SHUT_MIN_WAITは必ず設定してください

RMSとクラスタアプリケーションの停止に必要な時間は、環境によって異なるため、必ず、構成設定に応じた値を見積り、設定してください。

参照

RELIANT_SHUT_MIN_WAIT の詳細については、“PRIMECLUSTER RMS 導入運用手引書”の“E.2 RMS グローバル環境変数”を参照してください。

RMS環境変数の参照/変更方法については、“PRIMECLUSTER RMS 導入運用手引書”の“E.1 RMS 環境変数の設定”を参照してください。

物理環境、KVM 環境、VMware 環境の場合、CF 設定時にネットワークインタフェースで DHCP を使用しないでください

ネットワークインタフェースに DHCP を設定している状態で CF の設定を行うと、ノードがパニックする場合があります。

CF 設定前に、ノードのすべてのネットワークインタフェースの DHCP の設定を解除してください。

[RHEL8の場合]
DHCP の設定が行われている場合

</etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX 設定内容>

     DEVICE=ethX
     BOOTPROTO=dhcp
     ONBOOT=yes
     TYPE=Ethernet
     DHCP_HOSTNAME=Node1
DHCP の設定を解除した場合(インタコネクト以外)

</etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX 設定内容>

     DEVICE=ethX
     BOOTPROTO=static
     ONBOOT=yes
     IPADDR=xxx.xxx.xxx.xxx
     NETMASK=xxx.xxx.xxx.x
     TYPE=Ethernet
DHCP の設定を解除した場合(インタコネクトの場合)

</etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX 設定内容>

     DEVICE=ethX
     BOOTPROTO=static
     ONBOOT=yes
     TYPE=Ethernet
[RHEL9の場合]
DHCP の設定が行われている場合
# nmcli connection show ensXX
 (略)
ipv4.method:                            auto
 (略)
DHCP の設定を解除した場合(インターコネクト以外)
# nmcli connection show ensXX
 (略)
ipv4.method:                            manual
 (略)
DHCP の設定を解除した場合(インターコネクトの場合)
# nmcli connection show ensXX
 (略)
ipv4.method:                            disable
 (略)

Global Link Services(以降、GLS)使用時にはネットワークインタフェースの設定を二重化方式に応じて設定してください

GLSの二重化方式によって使用する設定項目は異なります。詳細は、“PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書(伝送路二重化機能編)”を参照してください。

クラスタノードで、Firewallとしてiptablesまたはip6tablesを使用する場合、付録J Firewallを使用する場合を参照して設定してください

Firewallが正しく設定されていない場合、PRIMECLUSTERが正常に動作しないことがあります。

システムにセキュリティ対策ソフトを導入する場合、“付録I PRIMECLUSTERのsystemdサービス/起動デーモンとポート番号”に記載されているポートで通信できるよう設定してください

セキュリティ対策ソフトによっては通信をフィルタリングする場合があり、PRIMECLUSTERが正常に動作しないことがあります。

CF起動中にネットワーク・サービスの再起動、または、ネットワークインタフェースを削除しないでください

CF起動中に以下のいずれかの操作を実行すると、ノードがパニックする場合があります。

これらの操作を行う場合、事前にCFの停止を行ってください。

なお、CFが未設定の場合、CFはOS上に存在するすべてのネットワークインタフェースを使用します。CFが設定済みの場合、CFはインタコネクトに設定しているネットワークインタフェースを使用します。

参照

CFの起動/停止方法の詳細は、“PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書”の“4.6 CFの起動と停止”を参照してください。