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ETERNUS SF Express 16.9A / Storage Cruiser 16.9A / AdvancedCopy Manager 16.9A 概説書
FUJITSU Storage

4.10 ストレージ自動階層制御

ポイント

本機能を利用するには、ETERNUS SF Storage Cruiser Optimizationオプションライセンスが必要です。

ストレージ自動階層制御は、ディスクドライブをプール管理し、アクセス状況に応じてストレージ装置内のデータをボリューム容量より小さいブロック単位で適切なディスクに自動再配置することで、性能とコストを最適化します。

異なる種類のディスクが混在するストレージ装置において、アクセス頻度の高いデータをSSDなど高速なディスクに配置し、アクセス頻度の低いデータを安価で大容量のニアラインディスクへ配置することが可能なため、コストに見合う最適な性能を得ることができます。データの再配置が行われても、ストレージ装置と接続されているサーバの設定変更は不要です。

ストレージ自動階層制御では、管理するプールを、“Tierプール”または“FTRP(Flexible Tier Pool)”と呼びます。Tierプールに割り当てられる仮想論理ボリュームを“FTV(Flexible Tier Volume)”と呼びます。

Tierプールは、アクセス性能に差を設けたサブプールから構成します。サブプールは、“FTSP(Flexible Tier Sub Pool)”と呼ぶことがあります。

サブプールは“FTRPE(Flexible Tier Pool Element)”と呼ぶ割当て単位で構成し、ストレージ自動階層制御を行うためのアクセス状況の評価はFTRPEごとに行います。

ポイント

  • ストレージ自動階層制御が管理できるTierプールの、個数および総容量には、上限があります。詳細は、『導入ガイド』の「ストレージ自動階層制御の上限」を参照してください。

  • ストレージ自動階層制御のアクセス状況データを同一時間帯に評価できるTierプールの使用容量の合計値には上限があります。この上限値は、2PBに初期設定されていますが、カスタマイズ可能です。カスタマイズ方法は、『導入ガイド』の「ストレージ自動階層制御設定ファイルのカスタマイズ」を参照してください。

FTV、Tierプール、サブプール、およびFTRPEの関係は、以下のとおりです。

図4.7 FTV/Tierプール/サブプール/FTRPEの関係図

ストレージ自動階層制御におけるボリューム内のデータ再配置には、以下の方式があります。

項番

データ再配置の方式

階層化ポリシーのIOPSの指定

FTV容量割当て比率の指定

動作

特長

1

ストレージ自動階層制御を簡単に利用する場合の方式

なし(省略値)

容量割当て比率の指定なし

IOPSが多い順に、上位のサブプールから詰めて再配置

設計が容易。上位のサブプールを最大限利用可能。

2

なし(省略値)

容量割当て比率の指定あり

IOPSが多い順に、サブプールごとに指定した容量割当て比率に従って再配置

設計が容易。容量割当て比率の高いサブプールを最大限利用可能。1つのTierプール内でボリュームごとに性能を設定可能。

3

ストレージ自動階層制御を詳細に制御する場合の方式

IOPS指定

容量割当て比率の指定なし

階層間のIOPSの閾値の範囲に従って再配置

運用に沿ったIOPSによる再配置が可能。IOPSの設計が必要。

アクセス状況に応じた再配置は、以下の流れで行われます。

  1. Tierプール(自動階層化プール)に対するストレージ自動階層制御が開始されると、一定時間ごとにFTRPEごとのアクセス状況を収集します。
    収集は、評価時間になるまで、評価期間ごとに、FTRPEごとの評価基準(ピーク値または平均値)の値を蓄積することで行います。

  2. 評価時間に、蓄積されたデータを使って評価を実施します。

  3. FTRPEごとの値とサブプールに設定した範囲を比較して、移動の有無、移動する場合の移動先サブプールを決定して、再配置を実行します。
    評価と評価結果による再配置は、実行モードに従って、自動的にまたは手動で行います。

図4.8 再配置の実行例

Storage Cruiserでは、“階層化ポリシー”として、評価時間、評価期間、評価基準、および実行モードを指定できます。

Storage Cruiserは、階層化ポリシーに基づいてサーバからのアクセス状況データを収集・評価し、適切なサブプールにボリュームの構成単位(FTRPE)を自動的に再配置することで、ストレージ資源の最適な利用を実現します。

評価・再配置を自動的に行う実行モードを指定した場合は、それらが自動的に行われます。業務運用中もデータ配置を動的に変更することで、業務運用中の性能状況変化に対応できます。このため、事前の性能見積りや配置設計が不要となり、業務管理者やストレージ管理者の作業負荷を軽減できます。
手動で行う実行モードを指定した場合は、アクセス状況を確認して、評価・再配置を実行してください。ストレージ自動階層制御の運用を開始する前に、評価と再配置を試行して、評価時間、評価期間、評価基準、実行モード、およびサブプールの範囲の値を決定することをお勧めします。

Webコンソールから、ストレージ自動階層制御のすべての操作を実施できます。

図4.9 システム構成