フェイルオーバは、クラスタシステムを構成する複数のサーバ装置(以降ノードと呼びます)のいずれかで異常が発生した場合に、そのノードで稼動していた業務を他のノードへ引き継ぐ機能です。
Fujitsu Enterprise Postgresでは、PRIMECLUSTERと連携したフェイルオーバ運用が可能です。PRIMECLUSTERと連携したフェイルオーバ運用では、PRIMECLUSTERが提供する共用ディスク(PRIMECLUSTER GD(以降、GDSと記載))を使用します。クラスタシステム内の1台が、アクティブなサーバ(運用系)としてアプリケーションの処理を受け付けます。
例えば、運用系がダウンした場合には、他の1台(待機系)が共用ディスクの内容を引き継いで運用系となります。PRIMECLUSTERの機能によって、データベースの運用系側で動作させたいアプリケーションもデータベースと連動して切り替えることができます。そのため、異常が発生したノードの復旧中も業務継続が可能です。また、運用系におけるデータベースの更新内容を待機系に送信する必要がないため、運用中の処理性能は非クラスタシステムと同等です。
注意
PRIMECLUSTER連携と連携したフェイルオーバ運用は、待機系でディスクを参照しないため負荷分散の用途で用いることはできません。
また、データベース多重化運用と同時に行うことはできません。
参考
負荷分散が可能なストリーミングレプリケーションとフェイルオーバ運用を組み合わせることができます。
詳細については、“付録C ストリーミングレプリケーションにおけるフェイルオーバ運用”を参照してください。
以降、本書では、PRIMECLUSTERと連携したフェイルオーバ運用を“フェイルオーバ運用”と呼びます。
フェイルオーバ運用では、スタンバイ機能をサポートしています。
スタンバイ機能では、ノードに異常が発生した場合、切替えを行う際に待機系のインスタンスを起動して業務を引き継ぎます。
フェイルオーバ運用では、1:1運用待機をサポートしています。
1:1運用待機は、1つのノードで1つの運用系または待機系が動作する形態です。この形態は、運用系の異常時にフェイルオーバすることで業務の継続が可能なため、信頼性の高いシステムが構築できます。