DBミラーリングサービスの停止には、目的に応じて4つのモードがあります。
通常停止:
正系ノードだけで実行可能です。通常停止を実行すると正系ノードと副系ノードが連動し、両方のDBミラーリングサービスを停止します。本コマンドが正常に終了した場合、正本と副本のデータベースは等価が保証されています。そのため、次回のDBミラーリングサービスは、副系であったノードを正系に、正系であったノードを副系として運用を行うことも可能です。
また、アプリケーションサーバ経由の業務アプリケーションを停止させずにDBミラーリングサービスを通常停止することもできます。
保守停止:
副系ノードだけで実行可能です。保守停止を実行すると副系ノードのDBミラーリングサービスだけが停止します。副系ノードのDBミラーリングサービスが停止するのでノード切替えはできません。次回のDBミラーリングサービスは、副系としてだけ開始可能です。
リカバリ停止:
両ノードで実行可能です。リカバリ停止を実行すると、実行したノードだけがDBミラーリングサービスを停止します。Mirroring Controllerを利用している場合でも、DBミラーリングサービスが停止するのでDBミラーリングシステムによる自動ノード切替えはできません。次回のDBミラーリングサービスは停止する前と同じ状態として開始可能です。
緊急停止:
両ノードで実行可能です。緊急停止を実行するとデータベース二重化処理を停止します。DBミラーリングサービスの開始にはDCUの再構築が必要です。
DBミラーリングサービスの停止モード | 実行ノード | 停止の要件 | 停止の目的 |
---|---|---|---|
通常停止 | 正系ノード | データベースシステムを一時停止したい。 | 定刻によるサーバ停止などにより両ノードのデータベースサーバを停止します。 |
保守を行いたい。 | データベースの定義変更などによりノード間のデータ同期を保証し、両ノードのデータベースサーバを停止します。 | ||
保守停止 | 副系ノード | OSやミドルウェアのパッチ適用などにより副系ノードのデータベースサーバを停止します。 | |
リカバリ停止 | 正系ノードおよび副系ノード | ・データベースまたはモニタデーモンなどの異常をリカバリするため、利用者業務の継続中にDBミラーリングサービスを停止します。 | |
緊急停止 | 正系ノードおよび副系ノード | DBミラーリングシステムの使用をやめたい。 | 利用者業務を継続したまま、DBミラーリングシステムの運用を中止します。 |
正系ノードと副系ノードの両方のDBミラーリングサービスを連動して停止し、DBミラーリングシステムの運用を停止します。
正系ノードの操作
DBミラーリングサービスを通常停止する場合、利用者業務の停止有無によって、以下のいずれかの方法があります。
dxsvstopコマンドを実行します。これにより、DBミラーリングシステムは、正系ノードのDBミラーリングサービスと副系ノードのDBミラーリングサービスを連動して通常停止します。
> dxsvstop
dxinfコマンドのsオプションの実行により、正系ノードでDBミラーリングサービスが停止していることを確認します。“ノードの状態(Status) ”が“ノード未定(N) ”および“DBミラーリングサービスの状態(Service) ”が“通常停止状態(stop) ”になっていることを確認します。
以下にDBミラーリングサービス停止の確認例を示します。
> dxinf -s dxinf DATE:2011/01/04 TIME:21:15:32 RDB-NAME : dup1 Host-Name : DBSVR1 IP-address : 10.255.255.128 Node Status Service S-Scr RDB Switch N stop - - - Monitoring Polling DB_Timeout DB_Inh DB_Down - - - - Network GCM Trans invalid -
dxsvstopコマンドのmcオプションを実行します。これにより、DBミラーリングシステムは、アプリケーションサーバ経由で実行している業務アプリケーションのコネクションを強制切断させてから、正系ノードのDBミラーリングサービスと副系ノードのDBミラーリングサービスを連動して通常停止します。
> dxsvstop -mc
dxinfコマンドのsオプションの実行により、正系ノードでDBミラーリングサービスが停止していることを確認します。“ノードの状態(Status) ”が“ノード未定(N) ”および“DBミラーリングサービスの状態(Service) ”が“通常停止状態(stop) ”になっていることを確認します。
以下にDBミラーリングサービス停止の確認例を示します。
> dxinf -s dxinf DATE:2011/01/04 TIME:21:15:32 RDB-NAME : dup1 Host-Name : DBSVR1 IP-address : 10.255.255.128 Node Status Service S-Scr RDB Switch N stop - - - Monitoring Polling DB_Timeout DB_Inh DB_Down - - - - Network GCM Trans invalid -
副系ノードの操作
正系ノードで通常停止を実行すると、副系ノードも連動して、DBミラーリングサービスを停止します。
dxinfコマンドのsオプションの実行により、副系ノードでDBミラーリングサービスが停止していることを確認します。“ノードの状態(Status)”が“ノード未定(N)”および“DBミラーリングサービスの状態(Service)”が“通常停止状態(stop)”になっていることを確認します。
以下にDBミラーリングサービス停止の確認例を示します。
> dxinf -s dxinf DATE:2011/01/04 TIME:21:15:32 RDB-NAME : dup2 Host-Name : DBSVR2 IP-address : 10.255.255.129 Node Status Service S-Scr RDB Switch N stop - - - Monitoring Polling DB_Timeout DB_Inh DB_Down - - - - Network GCM Trans invalid -
注意
以下のいずれかに該当する場合は、DBミラーリングサービスの通常停止は実行できません。
データベースを更新した業務アプリケーションが存在する
RDBコマンドによるデータベースの更新中
データベースの定義操作中
閉塞状態のRLPが存在する
一部のロググループのDCUに対してDBミラーリングサービスの緊急停止が行われた
dxsvstopコマンドのmcオプションを実行してDBミラーリングサービスを通常停止する場合は、アプリケーションサーバを経由しないアクセス(RDBコマンドやローカルアクセス等)は停止させないため、それらについてはあらかじめ停止させておく必要があります。
ポイント
DBミラーリングサービスの停止確認は、以下のメッセージにより確認することもできます。
12103: DBミラーリングサービスを通常停止しました
12136: 相手ノードからの要求によりDBミラーリングサービスを通常停止しました
副系ノードのDBミラーリングサービスを停止します。副系ノードでのデータベース二重化処理および監視処理が停止します。
副系ノードの操作
dxsvstopコマンドのmオプションを実行して、副系ノードのDBミラーリングサービスを停止します。
> dxsvstop -m
dxinfコマンドのsオプションの実行により、副系ノードで“ノードの状態(Status) ”が“ノード未定(N)”および“DBミラーリングサービスの状態(Service)”が“保守停止状態(m)”になっていることを確認します。
以下にDBミラーリングサービス停止の確認例を示します。
> dxinf -s dxinf DATE:2011/01/04 TIME:21:15:32 RDB-NAME : dup1 Host-Name : DBSVR1 IP-address : 10.255.255.128 Node Status Service S-Scr RDB Switch N m - - - Monitoring Polling DB_Timeout DB_Inh DB_Down - - - - Network GCM Trans invalid -
注意
以下のいずれかに該当する場合は、DBミラーリングサービスの保守停止は実行できません。
閉塞状態のRLPが存在する
一部のロググループのDCUに対してDBミラーリングサービスの緊急停止が行われた
DBミラーリングサービスの保守停止を実行する場合、副系ノードの利用者業務は停止することを推奨します。
DBミラーリングサービスの保守停止を実行した場合、コマンドを実行した時点で副系ノードのDBミラーリングサービスを停止するため、未反映のRERUNログが存在する可能性があります。
ポイント
DBミラーリングサービスの保守停止中でも、正系ノードの利用者業務は継続できます。
DBミラーリングサービスの保守停止を実施した場合、正系ノードにてRERUNログの蓄積状態になります。
副系ノードのDBミラーリングサービスの再起動後、正系ノードから副系ノードへのRERUNログのデータ転送は自動的に再開します。
正系ノードまたは副系ノードのDBミラーリングサービスを停止します。DBミラーリングサービスを停止したノードでのデータベース二重化処理および監視処理を停止します。
両ノード共通の操作
dxsvstopコマンドのrオプションを実行して正系ノードまたは副系ノードのDBミラーリングサービスを停止します。
> dxsvstop -r
dxinfコマンドのsオプションの実行により、対象ノードでDBミラーリングサービスが停止していることを確認します。対象のノードで“ノードの状態(Status) ”が正系ノードでは“正系(C) ”、副系ノードでは“副系(R) ”および“DBミラーリングサービスの状態(Service)”が“リカバリ停止状態(r)”になっていることを確認します。
以下にDBミラーリングサービス停止の確認例を示します。
> dxinf -s dxinf DATE:2011/01/04 TIME:21:15:32 RDB-NAME : dup1 Host-Name : DBSVR1 IP-address : 10.255.255.128 Node Status Service S-Scr RDB Switch C r - - - Monitoring Polling DB_Timeout DB_Inh DB_Down - - - - Network GCM Trans invalid normal
注意
DBミラーリングサービスのリカバリ停止を実行した場合、コマンドを実行した時点で正系ノードまたは副系ノードのDBミラーリングサービスを停止するため、未反映のRERUNログが存在する可能性があります。
一部のロググループのDCUに対してDBミラーリングサービスの緊急停止が行われた場合や閉塞状態のRLPが存在する場合でも、DBミラーリングサービスのリカバリ停止は実行できます。
ポイント
DBミラーリングサービスのリカバリ停止中でも、正系ノードの利用者業務は継続できます。
両ノードのDBミラーリングサービスを停止します。DBミラーリングシステムの異常などの場合に、利用者業務を継続しながらデータベース二重化処理や監視処理を停止します。
両ノード共通の操作
各ノードでdxsvstopコマンドのtermオプションを実行し、DBミラーリングサービスを緊急停止します。
> dxsvstop -term
dxinfコマンドのsオプションの実行により、各ノードでDBミラーリングサービスが停止していることを確認します。“ノードの状態(Status) ”が正系ノードでは“正系(C) ”、副系では“ノード未定(N) ”および“DBミラーリングサービスの状態(Service) ”が“緊急停止状態(term) ”になっていることを確認します。
以下にDBミラーリングサービス停止の確認例を示します。
> dxinf -s dxinf DATE:2011/01/04 TIME:21:15:32 RDB-NAME : dup1 Host-Name : DBSVR1 IP-address : 10.255.255.128 Node Status Service S-Scr RDB Switch C term - - - Monitoring Polling DB_Timeout DB_Inh DB_Down - - - - Network GCM Trans invalid -
注意
DBミラーリングサービスの緊急停止を実行した場合、コマンドを実行した時点で正系ノードまたは副系ノードのDBミラーリングサービスを停止するため、未反映のRERUNログが存在する可能性があります。
一部のロググループのDCUに対してDBミラーリングサービスの緊急停止が行われた場合や閉塞状態のRLPが存在する場合でも、DBミラーリングサービスの緊急停止は実行できます。
ポイント
DBミラーリングサービスを緊急停止した後、DBミラーリングサービスを再起動するためには、DCUを再構築する必要があります。
DBミラーリングサービスの緊急停止を実施した場合は、DCUの再構築が必要になるため、DBミラーリングサービスの緊急停止を両ノードで実行してください。
DBミラーリングシステムの環境に異常が発生した場合に、データベース二重化処理や監視処理を停止して利用者業務を継続する場合にも利用します。
参照
DCUの再構築については“11.9 DCUの再構築”を参照してください。