ここでは、PRIMECLUSTERのクラスタ初期設定について説明します。
各設定方法の詳細は以下を参照してください。
内容 | マニュアル参照箇所 ※ | |
---|---|---|
1 | 15.8.1.1 CF、CIPの初期設定(クラスタ構成情報とIPアドレスの設定) | CF 1.1 CF、CIP、およびCIMの構成設定 |
2 | CF 7 シャットダウン機構 (SF) | |
3 | CF 3.1 リソースデータベースの設定 |
※PRIMECLUSTERのマニュアル名は、以下のように略しています。
CF :PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書
“PRIMECLUSTER導入運用手引書”の“5.1.1 CF、CIPの設定”を参照し、CF、CIPの設定を行ってください。
IPインタコネクトには、“15.7.1 GLSの初期設定”で作成したクラスタインタコネクト用のタグVLANインタフェースを使用してください。
ただし、FJcloud-ベアメタル環境ではCluster AdminでCFを構築することはできません。設定方法の詳細については、“PRIMECLUSTER Cluster Foundation 導入運用手引書”の“1.1.6 CLIによるCF設定例”のクラウド環境の場合の手順を参照してください。
FJcloud-ベアメタル環境では、SA_vmk5rシャットダウンエージェントのみ設定可能です。
ここでは、SA_vmk5rシャットダウンエージェントをシャットダウン機構に設定する方法について説明します。
生存優先度については、“PRIMECLUSTER導入運用手引書”の“5.1.2.1 生存優先度”を参照してください。
注意
シャットダウンエージェント設定後は、正しいノードが強制停止できることを確認するため、クラスタノード強制停止テストを実施してください。クラスタノード強制停止テストの詳細については、“PRIMECLUSTER導入運用手引書”の“1.4 テスト”を参照してください。
ノードの強制停止に成功し、強制停止されたノードの/var/log/messagesに以下のメッセージが出力されていないことを確認してください。
systemd-logind: Power key pressed. systemd-logind: Powering Off... systemd-logind: System is powering down.
SA_vmk5r.cfg、rcsd.cfgファイルの内容はすべてのノードで同一にしてください。同一でない場合誤動作します。
“15.1.1 強制停止用ユーザの作成”で作成したユーザのパスワードを変更した場合、新しいパスワードで再度本手順を実行してください。
下記の操作はすべてのノードで実行してください。
シャットダウンデーモンの設定
クラスタシステムを構成するすべてのノードで、/etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfgを以下のような内容で作成します。
CFNameX,weight=weight,admIP=myadmIP:agent=SA_vmk5r,timeout=90 CFNameX,weight=weight,admIP=myadmIP:agent=SA_vmk5r,timeout=90
CFNameX :クラスタホストのCFノード名を指定します。 weight :SFのノードの重みを指定します。 myadmIP :クラスタホストのシャットダウン機構で使用する管理LANのIPアドレスを指定します。 指定可能なアドレス形式は、IPv4アドレスです。 ホスト名を指定する場合は、/etc/hostsに記載されていることを確認してください。
例)設定例を以下に示します。
# cat /etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfg
node1,weight=1,admIP=192.168.1.1:agent=SA_vmk5r,timeout=90
node2,weight=1,admIP=192.168.1.2:agent=SA_vmk5r,timeout=90
/etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfgを作成後、オーナー、グループ、アクセス権を以下のように設定します。
# chown root:root /etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfg # chmod 600 /etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfg
参考
/etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfgファイルを作成する場合、/etc/opt/SMAW/SMAWsf/rcsd.cfg.templateファイルを雛型として使用することができます。
パスワードの暗号化
sfcipherコマンドを実行し、FJcloud-ベアメタルのベアメタルサーバの強制停止用のユーザのパスワードを暗号化します。sfcipherコマンドの使用法については、sfcipherのマニュアルページを参照してください。
# sfcipher -c
例)設定例を以下に示します。
パスワードが“k5admin$”の場合
# sfcipher -c
Enter Password: ←k5admin$を入力
Re-Enter Password:←k5admin$を入力
O/gm+AYuWwE7ow3dgVG/Nw==
シャットダウンエージェントの設定
クラスタシステムを構成するすべてのノードで、/etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfgを以下のような内容で作成します。
項目の間は半角スペースで区切ってください。
CFNameX ServerName user passwd {cycle | leave-off} CFNameX ServerName user passwd {cycle | leave-off}
CFNameX : クラスタホストのCFノード名を指定します。 ServerName : クラスタホストが動作している FJcloud-ベアメタルのベアメタルサーバ名を指定します。 PRIMECLUSTERを使用するベアメタルサーバ名には、以下のASCII文字が使用できます。 それ以外の文字は使用しないでください。 ・英大文字 ・英小文字 ・数字 ・“_”(アンダーライン) ・“-”(ハイフン) user : ベアメタルサーバの強制停止用のユーザ名を指定します。 passwd : 手順2.で暗号化したパスワードを指定します。 cycle : ノード強制停止後、再起動します。 leave-off : ノード強制停止後、電源切断します。
例)設定例を以下に示します。
クラスタホストのCFノード名がnode1/node2、ベアメタルサーバ名がvm1/ vm2、ベアメタルサーバの強制停止用のユーザ名がpcl、ノード強制停止後にノードを再起動させる場合
# cat /etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfg
node1 vm1 pcl O/gm+AYuWwE7ow3dgVG/Nw== cycle
node2 vm2 pcl O/gm+AYuWwE7ow3dgVG/Nw== cycle
/etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfgを作成後、オーナー、グループ、アクセス権を以下のように設定します。
# chown root:root /etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfg # chmod 600 /etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfg
注意
/etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfgファイルの設定内容が正しいか確認してください。設定内容に誤りがあった場合、シャットダウン機構が正常に動作できなくなります。
/etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfgファイルのクラスタホストのCFノード名(CFNameX)に対応した、ベアメタルサーバ名(ServerName)が設定されているか確認してください。設定に誤りがあった場合、誤ったノードが強制停止されることがあります。
シャットダウン機構の起動
クラスタシステムを構成するすべてのノードで、シャットダウン機構が起動済みか確認してください。
# sdtool -s
シャットダウン機構が起動済みのノードでは、以下を実行してシャットダウン機構を再起動してください。
# sdtool -e # sdtool -b
シャットダウン機構が起動していないノードでは、以下を実行してシャットダウン機構を起動してください。
# sdtool -b
参考
シャットダウン機構が起動済みかは、sdtool -s コマンドで確認できます。“The RCSD is not running”と表示された場合、シャットダウン機構が起動していません。
シャットダウン機構の状態確認
クラスタシステムを構成するすべてのノードで、以下のコマンドを実行し、シャットダウン機構の状態を確認してください。
# sdtool -s
注意
“The RCSD is not running”と表示された場合、シャットダウンデーモンの設定、またはシャットダウンエージェントの設定に誤りがあります。手順1.~4.を再実施してください。
“15.1.1 強制停止用ユーザの作成”で作成したユーザは、定期的(90日ごと)にパスワード変更が必要です。パスワードの変更手順は、“18.1 定期的なパスワード変更”を参照してください。
“15.1.2 ベアメタルサーバの構築”で作成したベアメタルサーバ名を変更した場合、再度手順3.~5.を実行してください。
参考
sdtool -s コマンドの表示結果について
Init StateがUnknown、Init-ingと表示された場合、1分ほど待ってから、再度確認してください。
ノード強制停止状態にUnknownと表示された場合は、SFがノードの停止をまだ行っていないことを示しています。初期化状態にUnknownと表示された場合は、SAの初期化、経路のテストをまだ行っていないことを示しています。テスト状態および初期化状態には、実際の状態が確認されるまで一時的にUnknown が表示されます。
テスト状態にTestFailed と表示された場合は、クラスタホスト欄に表示されたノードを停止できるかどうかをエージェントがテストしている間に問題が発生したことを示しています。このような場合には、そのエージェントが使用しているソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク資源に何らかの問題が生じていることが考えられます。
Init State がInitFailed と表示された場合、FJcloud-ベアメタルのリージョナル利用者管理またはコンピュート(スタンダードサービス)のエンドポイントと通信できないか、設定に誤りがある可能性があります。以下について確認し、再設定してください。
失敗した問題が解決されSF が再起動されると、状態の表示がInitWorked またはTestWorked に変わります。
以下のコマンドを実行し、クラスタホストが動作しているベアメタルサーバからリージョナル利用者管理のエンドポイントに通信が行えるか 確認してください。
# curl -k -s -X GET <リージョナル利用者管理のエンドポイントのURL>/v3/
エラーの場合は、以下を確認してください。
- FJcloud-ベアメタルのセキュリティグループやファイアウォールサービス、OSのFirewallが適切に設定されていること
- FJcloud-ベアメタルの仮想ルータが作成されていること
- クラスタホストのデフォルトルータが仮想ルータに設定されていること
- リージョナル利用者管理のエンドポイントのURLが正しいか
- クラスタホストに使用するDNSサーバの設定がされていること
以下のコマンドを実行し、クラスタホストが動作しているベアメタルサーバからコンピュート(スタンダードサービス)のエンドポイントに通信が行えるか 確認します。
# curl -k -s -X GET <コンピュート(スタンダードサービス)のエンドポイントのURL>/v2/
下記メッセージが表示される場合は、正常な動作です。
{"error": {"message": "The request you have made requires authentication.", "code": 401, "title": "Unauthorized"}}
上記メッセージ以外が表示された場合は、以下を確認してください。
- FJcloud-ベアメタルのセキュリティグループやファイアウォールサービス、OSのFirewallが適切に設定されていること
- FJcloud-ベアメタルの仮想ルータが作成されていること
- クラスタホストのデフォルトルータが仮想ルータに設定されていること
- コンピュート(スタンダードサービス)のエンドポイントのURLが正しいこと
- クラスタホストに使用するDNSサーバの設定がされていること
以下の設定が正しいか確認してください。
-FJcloud-ベアメタル環境情報ファイル(/opt/SMAW/SMAWRrms/etc/k5_endpoint.cfg)のドメイン名(契約者番号)、プロジェクト名、リージョナル利用者管理のエンドポイントのURL、コンピュート(スタンダードサービス)のエンドポイントのURL
-シャットダウンエージェントの設定(/etc/opt/SMAW/SMAWsf/SA_vmk5r.cfg)のCFノード名、ベアメタルサーバ名、ユーザ名、暗号化パスワード
“PRIMECLUSTER導入運用手引書”の“5.1.3 クラスタリソース管理機構の初期設定”を参照し、クラスタリソース管理機構(以降、CRM)が管理するリソースデータベースの設定をしてください。