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Interstage Application Server V13.0.0 GlassFish 設計・構築・運用ガイド
FUJITSU Software

13.2.6 EJBアプリケーション/JNDIについて

別プロセスのEJB呼び出し

J2EE機能で以下の構成図にあるような別プロセスのEJB呼び出しに該当する呼び出しを行っていた場合、Jakarta EE 8に移行するとき、呼び出し先のIIOPポートを意識した設定を行う必要があります。

Jakarta EE 8では、別GlassFish Serverクラスター 上のプロセスまたはリモートサーバーのネーミングサービスに登録されたEnterprise JavaBeanにアクセスする場合には、他ネーミングサービス連携機能またはInteroperable Naming Service(以降、INS)の規則を使用する必要があります。

詳細については「4.12.3 クライアントからサーバーに接続する場合の設定」の「GlassFish Serverクラスターの場合」を参照してください。

EJBインスタンスの作成タイミング

J2EEはプロセス起動時にEJBインスタンスを作成していたのに対し、Jakarta EE 8はアプリケーションの初回アクセス時に作成します。アプリケーション初回アクセス時の性能劣化が懸念されるため、性能測定を実施して確認してください。

Stateful Session Beanのキャッシュ管理

J2EEは最大サイズを超えるリクエストを受けるとエラーを返却します。

Jakarta EE 8は最大サイズを超えるとキャッシュをpassivate(※)してリクエストを受付けます。

(※)Beanインスタンスをファイルとして格納し、メモリを解放すること。

以下の2点の影響があります。

1.キャッシュをpassivateするため、最大サイズを超えた際のエラーが発生しなくなります。当該エラー処理の確認が必要です。

2.最大キャッシュサイズ(キャッシュされたBeanインスタンスの数)のデフォルト値がJ2EEとJakarta EE 8で異なります。デフォルト値で運用していないか確認してください。以下にそれぞれの最大キャッシュサイズのデフォルト値を記載します。

J2EE:1024

Jakarta EE 8:512

必要に応じて、適切な最大キャッシュサイズを設定してください。また、最大キャッシュサイズを修正する場合、ヒープサイズのチューニングも必要になります。ヒープサイズのチューニング方法については、「6.3.2 Java VMのヒープ領域サイズ/メタスペースサイズ」を参照してください。

JNDI名に指定するサブコンテキストの省略可否

J2EEでは、アプリケーションでJNDIのlookupメソッドを実行するときに"java:comp/env"や"jdbc/"を引数から省略できますが、Jakarta EE 8では必ず指定する必要があります。

アプリケーションの中で、lookupメソッドを使用している箇所を検索してください。該当した箇所について、lookupメソッドの引数を確認してください。

lookupメソッドの引数にはネーミングサービスを使用する場合と環境ネーミングコンテキストを使用する場合の2つのパターンがあります。2つのパターンの違いについては「2.14.3 ネーミングサービスと環境ネーミングコンテキストの仕様差異」を参照してください。

[ネーミングサービスを使用する場合]

修正の必要はありません。

[環境ネーミングコンテキストを使用する場合]

サブコンテキストが省略されていないか確認してください。サブコンテキストが省略されている場合、「環境ネーミングコンテキストで参照可能なオブジェクト」にある「JNDIのlookupメソッドに指定する名前」の記載を基に修正してください。

オブジェクトリファレンスのキャッシュ

オブジェクトリファレンスのキャッシュは、lookupメソッド実行時に取得されるオブジェクトリファレンスがコンテナ内でキャッシュされる機能です。アプリケーションでリクエストの度にlookupを実施している場合、2回目のlookupは、コンテナ内にキャッシュされているオブジェクトリファレンスが返却されます。J2EEではデフォルトで動作しますが、Jakarta EE 8にはキャッシュ機能がありません。

キャッシュ機能がないことで、性能劣化が懸念されるため、性能試験を実施して問題がないことを確認してください。

システムの構成上、リクエストの度にlookupを実施する必要がないのであれば、アプリケーション内でオブジェクトリファレンスをキャッシュすることを検討してください。