マルチパス機能は、複数のNIC(Network Interface Card)を同一LAN(ネットワーク)上へ接続し、NIC-スイッチ間の伝送路を冗長化します。
マルチパス方式における通信は一つの論理インターフェースにより、NICを排他使用(通常運用時に一方を"active"状態にする)して通信を行います。マルチリンクイーサネット方式では、すべてのNICを使用(すべて"active"状態にする)して通信を行います。
スイッチまでの伝送路またはNICで何らかの異常を検出した際、マルチパス方式では伝送路の切替え制御を行い、マルチリンクイーサネット方式では異常が検出されたNICの縮退制御を行うことで通信を継続します。
NIC切替え時は、環境設定したMACアドレスがそのまま引き継がれます。よって、相手システムはNICの切替えを意識することなく通信が可能となります。
なお、マルチパス機能を"MPNET"と表現する場合があります。
図2.1 マルチパス機能による運用例
接続形態
二重化したNICを同一ネットワーク上に接続します。相手システムは同一ネットワーク上またはルータを経由した別ネットワーク上のどちらに接続しても構いません。
特徴
他マルチパス機能を有した製品(マルチパスディスク制御など)と共通的な機能として、LANの冗長化を実現しています。よって、状態表示などマルチパス共通コマンドによりオペレーションが可能です。
適用範囲
使用するLANプロトコルは、TCP/IPによるLANの二重化を実現する場合に適しています。
マルチパス機能のシステム構成を"図2.2 マルチパス機能のシステム構成"に示します。
図2.2 マルチパス機能のシステム構成
各構成要素とその意味は以下のとおりです。
インスタンス
上位またはユーザーがアクセスする論理的なインターフェース名をインスタンスと表します。本マルチパス機能では、MPNETインターフェースとして表現しています。
通信パス
使用するNICの物理デバイス名を通信パスと表現しています。