TICFプロトコルによるFNAonTCP/IP通信端末との通信の開始および終了について説明します。
FNAonTCP/IP通信端末とのTICFコネクションの接続には以下の形態があります。
NETSTAGE/FICは以下の契機でFNAonTCP/IP通信端末との接続を行います。この接続形態を発呼接続といいます。
接続先のポート番号は、優先ポート番号(492)または非優先ポート番号(493)です。
富士通メインフレームからのFNAセション確立指示(タイプ0LUのみ)
端末制御装置(PU)とのTICFコネクションが未確立であるFNAonTCP/IP通信端末(LU)に対して、富士通メインフレームの業務アプリケーションからFNAセションの確立を指示した場合。
端末制御装置(PU)に対する資源活性化コマンドの実行
非活性状態である端末制御装置(PU)を、NETSTAGE/FICの資源活性化コマンド(nficcntl)により活性化した場合。
FNAonTCP/IP通信端末との通信の終了には、以下の形態があります。
NETSTAGE/FICは以下を契機としてFNAonTCP/IP通信端末との通信を終了します。
FNAセションの解放
通信環境定義において、端末制御装置(PU)配下のすべてのLUのFNAセションを解放した場合にFNAonTCP/IP通信端末との通信を終了するよう定義している場合。
端末制御装置(PU)に対する非活性化コマンドの実行
NETSTAGE/FICの資源非活性化コマンド(nficcntl)により、端末制御装置(PU)を非活性化した場合。
FNAonTCP/IP通信端末からのTCPコネクションの解放を契機として通信を終了します。このとき、FNAセションが存在すればFNAセションについても解放が行われます。
FNAonTCP/IP通信端末とのTICFコネクション確立時、FNAonTCP/IP通信端末と端末識別情報(XIDデータ)を交換することで、接続した端末制御装置(PU)と通信環境定義に定義したvpu資源との関連づけを行います。
FNAonTCP/IP通信端末の端末識別情報(XIDデータ)による識別には次の2つの方法があります。
IPアドレスによる識別
二次側であるFNAonTCP/IP通信端末のIPアドレスおよびPU番号を端末識別情報として、通信相手を識別します。
PU名(ホスト名)による識別
二次側であるFNAonTCP/IP通信端末のPU名(ホスト名)およびPU番号を端末識別情報として、通信相手を識別します。通信相手のIPアドレスに依存せずに、FNAonTCP/IP通信端末の識別を行うことができます。
NETSTAGE/FICのIPアドレスおよびPU名(ホスト名)は、端末側自ホストシステム定義文(rhost)のipaddrオペランドおよびhostnmオペランドでそれぞれ定義します。
FNAonTCP/IP通信端末のIPアドレスとPU名(ホスト名)は、端末制御装置定義文(vpu)のipaddrオペランドおよびhostnmオペランドでそれぞれ定義します。
端末識別情報(XIDデータ)による識別が失敗した場合、TICFコネクションは接続できません。
通信環境定義において、PU名(ホスト名)を指定している場合、PU名(ホスト名)およびIPアドレスをFNAonTCP/IP通信端末へ通知します。PU名(ホスト名)を省略している場合、IPアドレスのみをFNAonTCP/IP通信端末へ通知します。このとき、一次側であるNETSTAGE/FICのPU番号は1を通知します。
発呼接続時におけるFNAonTCP/IP通信端末の通知について図2.1に示します。
図2.1 発呼接続時におけるFNAonTCP/IP通信端末への通知
FNAonTCP/IP通信端末からPU名(ホスト名)が通知されない場合
FNAonTCP/IP通信端末のIPアドレスによる識別を行います。
IPアドレスが一致するvpu定義文を選択して、通信を行います。
IPアドレスが一致するvpu定義文が定義されていない場合、IPアドレスおよびPU名(ホスト名)を省略しているvpu定義文を選択して、通信を行います。
FNAonTCP/IP通信端末からPU名(ホスト名)が通知される場合
FNAonTCP/IP通信端末のIPアドレスおよびPU名(ホスト名)による識別を行います。
IPアドレスが一致するvpu定義文を選択して、通信を行います。IPアドレスが一致するvpu定義文が定義されていない場合、PU名(ホスト名)が一致するvpu定義文を選択して、通信を行います。
IPアドレスまたはPU名(ホスト名)のいずれかが一致するvpu定義文が定義されていない場合、IPアドレスおよびPU名(ホスト名)を省略しているvpu定義文を選択して、通信を行います。
着呼接続時におけるFNAonTCP/IP通信端末の識別を図2.2に示します。
図2.2 着呼接続時におけるFNAonTCP/IP通信端末の識別
FNAonTCP/IP通信機能はFNAonTCP/IP通信端末との通信における障害監視として以下の機能を提供します。
確立監視機能
無通信監視機能
FNAonTCP/IP通信機能は、FNAonTCP/IP通信端末への発呼接続時にFNAonTCP/IP通信端末とのコネクション確立を確立監視機能によって監視します。確立監視機能は、次の監視タイマと再試行回数によりコネクション確立を監視します。
発呼確立タイマ
発呼リトライタイマ
発呼リトライ回数
XIDタイマ
FNAonTCP/IP通信の確立監視機能の動作モデルを図2.3に示します。
図2.3 FNAonTCP/IP通信の確立監視モデル
注意
FNAonTCP/IP通信の確立監視機能は、通信環境定義のシステム定義文(sys)で設定します。
発呼確立タイマ(conwttm)の値にはXIDタイマ(xidtimer)の値よりも大きい値を指定する必要があります。
FNAonTCP/IP通信端末とTICFプロトコルの制御データ(無通信監視要求と無通信監視応答)を交換し、NETSTAGE/FICとFNAonTCP/IP通信端末間の通信経路上の異常やFNAonTCP/IP通信端末の電源断などを検出するための機能です。無通信監視要求をFNAonTCP/IP通信端末に送信して無通信監視応答を監視し、応答がなかった場合に異常を検知してTICFコネクションを切断します。なお、FNAセションが確立されている場合は異常切断します。無通信監視機能は、次の監視タイマで動作します。
応答待ち時間(タイマ)
送信間隔時間(タイマ)
無通信監視機能の監視モデルを図2.4に示します。
図2.4 FNAonTCP/IP通信の無通信監視モデル
注意
FNAonTCP/IP通信の無通信監視は、通信環境定義のシステム定義文(sys)で設定します。