本製品では、サーバ(ストレージ、ネットワークを含む)の論理的な仕様(CPU数、メモリ容量、ディスク容量、NIC数など)を定義したL-Serverを作成できます。
L-Serverには、定義された仕様に従ってリソースを割り当てることができます。リソースが割り当てられた状態のL-Serverは、通常の物理サーバや仮想マシンと同様の操作ができます。
また、構築済みの物理サーバまたは仮想マシンをL-Serverと関連付けて管理できます。
L-Serverの利用者は、L-Serverに定義された仕様だけを意識し、割り当てられたリソースの実体を意識せずに運用できます。
L-Serverを使用することで以下のような効果があります。
簡単かつ迅速なサーバ構築
L-Serverに定義した仕様に従って、リソースプールに格納されたリソースを自動的に割り当てることで、最適な構成のサーバを簡単にすばやく構築できます。
管理コストの軽減
サーバの利用者は、L-Serverに割り当てられているリソースを管理する必要がありません。また、リソースの管理を専門の管理者(インフラ管理者)が集中して行うことで、管理コストが軽減できます。
物理サーバと仮想マシンの運用の統一
L-Serverは、物理サーバに対しても、仮想マシンに対しても作成できます。
物理サーバを利用して作成したL-Serverを"物理L-Server"と呼びます。
仮想マシンを利用して作成したL-Serverを"仮想L-Server"と呼びます。
L-Serverを作成したあとは、物理サーバと仮想マシンを区別することなく、同じ操作で運用できます。
参考
L-Serverへのリソースの割当ては、リソースプールに格納されたリソースを自動的に選択する方法だけでなく、手動で特定のリソースを割り当てることもできます。
注意
L-Serverに割り当てられている物理サーバを、サーバツリーからサーバ切替えすることはできません。
L-Server作成
サーバの仕様(CPU性能とメモリ量、またはモデル名)や、ストレージ容量、OSのイメージ、接続するネットワークを指定することで、リソースプール内の適切なリソースを組み合わせてL-Serverを作成します。構成定義だけのL-Serverを作成し、初回の電源ON時にリソースを割り当てる運用と、すぐに使用できる状態でリソースを割り当てる運用を選択できます。
リソースの選択には、以下の2つの方法があります。
自動選択
利用者がリソースやリソースプールを個別に指定
L-Serverの仕様の指定方法には、以下の2つの方法があります。
L-Serverテンプレートから選択
L-Serverテンプレート(L-Serverの仕様を事前に定義したもの)を選択してL-Serverを作成する方法については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.1 L-Serverテンプレートを利用したL-Serverの作成」を参照してください。
L-Serverテンプレートを使用せず、L-Serverの仕様を個々に指定
L-Serverテンプレートを使用せず、L-Serverの仕様を個々に指定してL-Serverを作成する方法については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.2 個々のパラメーターを指定した物理L-Serverの作成」または「16.3 個々のパラメーターを指定した仮想L-Serverの作成」を参照してください。
作成したL-Serverに対しては、通常のサーバと同じように、起動、停止、削除といった基本的な操作を行えます。操作の際には、L-Serverを構成するリソースの詳細を意識する必要はありません。
また、以下のような操作が行えます。
L-Serverの構成変更
L-Serverに割り当てるリソースの構成を変更できます。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.2 変更」を参照してください。
サーバ間の移動(マイグレーション)(仮想L-Serverの場合)
仮想L-Serverを停止せずに、別のVMホストに移動する機能です。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.7 VMホスト間の移動(マイグレーション)」を参照してください。
スナップショット(仮想L-Serverの場合)
仮想L-Serverのシステムディスクとデータディスクのある時点のデータを保存する機能です。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.6.1 スナップショット」を参照してください。
バックアップ(物理L-Serverの場合)
物理L-Serverのシステムディスクを保存する機能です。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.6.2 バックアップ・リストア」を参照してください。
L-Server配備先の選択
L-Serverを配備するリソースプールとサーバ(仮想の場合は、VMプールとVMホスト、物理の場合はサーバプールと物理サーバ)は、以下のどれかの方法で指定します。
なお、L-Platformを作成する場合、リソースプールだけ指定できます。
リソースプール自動選択
リソースプールやサーバを指定せず、本製品が自動的に選択する方式です。リソースプールには、L-Serverを作成する際に選択する優先順位を設定できます。
アクセスできるプールが複数存在する場合、優先順位の高い(数値が小さいほど優先)リソースプールから本製品が配備先を決定します。同じ優先順位のプールが複数存在した場合、ランダムに選択されます。
リソースプールを決定した後、リソースプールの中からサーバを自動選択します。
なお、オーバーコミットを使用するL-Serverにおいては、以下のように配備先を決定します。
ユーザーがアクセスできるオーバーコミットのVMプールから、配備先のVMホストが選択されます。
ユーザーがアクセスできる範囲にオーバーコミットのVMプールが複数存在した場合、リソースプールの優先順位に関係なく、それらのリソースプールに含まれるすべてのVMホストから、配備先のVMホストが選択されます。
リソースプール指定
指定されたリソースプールの中からサーバを自動選択します。
なお、仮想L-Serverの場合、オーバーコミットの設定に応じたリソースプールを指定する必要があります。
サーバ指定
指定されたサーバにL-Serverを配備します。
なお、仮想L-Serverの場合、オーバーコミットの設定に応じたリソースプール配下のVMホストを指定する必要があります。
配備先のサーバは、以下のすべての条件を満たす必要があります。
電源がON
状態が"normal"
保守モードが設定されていない
保守モードの詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「付録C 保守モード」を参照してください。
サーバ仮想化ソフトウェアのメンテナンスモードが設定されていない(仮想L-Serverの場合)
L-Server作成時に指定した条件に合っている
仮想L-Serverの作成で、VMプール内で配備先のVMホストを自動選択する場合、上記の条件に加えて、以下のようにVMホストを選択します。
L-Serverテンプレートを使用する場合
同じL-Serverテンプレートで作成されたL-Serverが配備されているVMホストを検索してL-Serverを作成します。
検索したVMホストに空き容量が不足している場合、空き容量の多いVMホストを検索してL-Serverを作成します。
これにより、VMホストの空き容量がVMホスト間で断片化し、無駄が発生することを防ぎます。
なお、オーバーコミットを有効にしたL-Serverテンプレートでは、検索したVMホストすべての空き容量が不足している場合、任意のVMホストを選択しL-Serverを作成します。
L-Serverテンプレートを使用しない場合
空き容量の多いVMホストを検索してL-Serverを作成します。
L-Serverの排他運用が設定されている場合
他のL-Serverが使用していないVMホスト上にL-Serverを作成します。
L-Platform内のL-Serverは、L-Platform内の他のすべてのL-Serverに対して排他運用が設定されています。
VM製品のHA機能や自動再配置機能(例:VMware HAやVMware DRS)を有効にしている場合
VM製品の機能でVMホストが選択されます。
【KVM】【Solarisゾーン】【OVM for SPARC】
仮想L-Server作成時に指定したディスク容量で、未使用のディスクリソースが存在するVMホストを検索してL-Serverを作成します。
クローニングによる導入の簡易化
クローニングは、1台のサーバのシステムディスクの内容から作成したクローニングイメージを、ほかの物理L-Serverに配付する機能です。
クローニングイメージは、サーバごとのネットワーク固有情報(ホスト名、IPアドレスなど)を無効化しており、配付する際に自動的に配付先サーバにネットワーク固有情報を設定します。
これに基づいて、同じOSとソフトウェアを使用するサーバの複製を作れます。
I/O仮想化による導入の簡易化
HBA address renameによるI/O仮想化(注)で、サーバ導入作業から独立して事前にストレージを設定しておくことができます。サーバ導入時にはストレージ管理者に依頼しなくても、サーバの導入と設定を行えます。
注) 「2.2.9 I/O仮想化」を参照してください。
インフラ管理者用L-Server
インフラ管理者用L-Serverとは、テナント管理者やテナント利用者からは利用できず、インフラ管理者だけが利用できるL-Serverです。通常のL-Serverは、テナント管理者やテナント利用者だけが利用できます。
以下の目的で作成します。
クローニングイメージをインフラ管理者が採取する場合
インフラ管理者がクローニングイメージを作成し、テナント管理者やテナント利用者に公開するために利用します。
インフラ管理者用L-Serverの作成は、「導入ガイド CE」の「第14章 インフラ管理者用L-Serverの作成」を参照してください。
クローニングイメージ採取については、「導入ガイド CE」の「第15章 クローニングイメージの採取と登録」を参照してください。
物理L-ServerにVMホストを導入する場合
VMホストの構築時に、物理L-Serverの機能を利用することで、ネットワークやストレージの設定を簡易化できます。また、高可用性運用やDisaster Recovery運用を行えます。
導入方法は、以下を参照してください。
物理L-Serverに対するVMホストの導入
「導入ガイド CE」の「付録D 物理L-Serverに対するVMホストの導入」を参照してください。
ブレードシャーシの高可用性
「運用ガイド CE」の「18.1.2 ブレードシャーシの高可用性」を参照してください。
Disaster Recovery
「DRオプション 説明書」を参照してください。
L-Server上にVM管理製品などのインフラ管理の目的で利用するソフトウェアをインストールする場合
VM管理製品の構築の簡易化や、高可用性運用やDisaster Recovery運用を行えます。
物理サーバの用途変更
物理サーバの用途変更は、物理サーバの台数以上のL-Serverを用意し、起動するL-Serverを切り替えて使用する機能です。本機能により、時間帯や状況に応じて物理サーバの用途を変更できるため、サーバの資源を有効活用できます。
L-Serverの起動ディスクとIPアドレスは、物理サーバをほかのL-Serverが利用している間も保持されます。
本機能はL-Serverの実体が物理サーバの場合に使用できます。仮想マシンの場合、特に設定をしなくても1台のVMホストに複数のL-Serverが配置できるため、起動するL-Serverを選択することで、物理サーバの用途変更と同じ効果が得られます。
本機能は、以下の2種類の使い方があります。
1台の物理サーバに対し、複数のL-Serverを切り替えて利用
L-Serverを起動する物理サーバは、常に同じものになります。
サーバプール内の未使用の物理サーバに対し、複数のL-Serverを切り替えて利用
サーバプールの空き状況に応じて、L-Serverに割り当てられる物理サーバが異なります。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.9 物理サーバの用途変更」を参照してください。
VMゲストの配置変更(マイグレーション)
VM管理製品(VMware vCenter Serverなど)またはVMホスト(KVMのVMホスト)と連携することで、VMゲストを物理サーバ間で移動する操作(マイグレーション)を本製品から行えます。
負荷に応じてVMゲストを一部のサーバに集めることで、不要なサーバやシャーシを停止して消費電力を削減できます。
保守中のサーバからVMゲストを移動させ、保守中も業務を継続できます。