RMSなどの高可用性環境では、サーバノードがサービスを停止した場合には、エクスポートされたファイルシステムが透過的にフェイルオーバされることが必要です。これによって、フェイルオーバの前にファイルシステムをマウントしたクライアントで、フェイルオーバ後のアクセス障害が発生することを防止することができます。NFSファイルシステムにおいてこれを実現するには、特別な準備が必要です。
クライアントがリモートのNFSファイルシステムをマウントすると、その後のファイルシステム操作で使用するために、内部のファイルハンドルを作成します。NFSのアーキテクチャに従い、クライアントのファイルハンドルには、そのファイルシステムにおけるサーバのメジャーデバイス番号とマイナーデバイス番号が記録されています。RMS環境では、この設計が原因で問題が発生する可能性があります。システムが、あるサーバでOfflineになり、別のサーバでOnlineになった場合、そのサーバが最初のサーバとは異なるメジャーデバイス番号とマイナーデバイス番号を割当てた場合、ファイルハンドルは無効になります。この状態を「ステイルファイルハンドル」と言います。この問題を回避するには、あるファイルシステムを宣言するすべてのNFSサーバで、そのファイルシステムに同じメジャーデバイス番号とマイナーデバイス番号を割当てます。
上記の説明はファイルシステム一般を対象としたものですが、高可用性環境においては、ファイルシステムの実体はそのファイルシステムをエクスポートする可能性があるすべてのノードからアクセスできる共有ディスクボリュームです。共有ディスクボリュームに同じメジャーデバイス番号とマイナーデバイス番号を割当てるには、ハードウェア構成やソフトウェア構成の変更を必要とする場合があります。共有ディスクボリュームがボリューム管理ソフトウェアの最上位に構築されている場合、ボリュームマネージャがインストールされた時点で、追加の処理が必要となることがあります。
このセクションでは、RMS環境でのNFSサーバとしてボリュームマネージャを使用するための準備のヒントを説明します。