ミラーリング中のスライスどうしと、等価性維持状態にあるマスタボリュームとプロキシボリュームは、データが一致しているという点では同じですが、使用目的は異なります。
ミラーリングされているスライスどうしは、対等な関係にあり、いずれかのスライスで異常が発生したとしても、正常なスライスが残っている限り、ボリュームへのアクセスは継続できるような冗長性の維持を目的としています。
一方、マスタボリュームとプロキシボリュームは、たとえ等価性維持状態にあったとしても、そもそもこれらは別のボリュームであり、対等な関係ではありません。プロキシボリュームはマスタボリュームを主とする副ボリュームと言えます。マスタボリュームを構成するすべてのスライスが異常になった場合、たとえプロキシボリュームが正常であったとしても、マスタボリュームへのアクセスは継続できません。プロキシボリュームは、主業務で使用しているマスタボリュームの冗長性を向上させるものではなく、主業務と並行して動作する別の業務で使用するためのスナップショット (マスタボリュームのある時点における複製) を作成することを目的としています。
スライス切離しによるスナップショット機能が、主目的であるミラーリングの副産物であるのに対して、プロキシボリュームを利用したスナップショット機能は、スナップショット機能自体を主目的としています。したがって、プロキシボリュームを利用すると、より柔軟なディスク構成や業務形態でのスナップショット運用が可能になります。
参照
「1.5.1 等価性方式によるスナップショット」の [図1.32 ミラースライスとプロキシボリュームとの違い] を参照してください。