サーバ間ミラーリング機能では、iSCSIを利用して、ネットワーク経由で他ノードのローカルディスクのデータをリード/ライトします。
サーバ間ミラーリングで使用するネットワークは、プライベートネットワークである必要があります。このネットワークは、クラスタシステムの他のネットワーク (クラスタインタコネクト、管理 LAN、業務 LAN) と兼用できます。
ただし、ネットミラーボリュームへの I/O 処理による他の通信への影響や、その逆の影響が懸念される場合は、サーバ間ミラーリング専用のネットワークを用意してください。
IPv4アドレスまたはIPv6アドレスが利用できます。
IPv6アドレスの場合、グローバルユニキャストアドレス、および、ユニークローカルユニキャストアドレスが使用可能です。
リンクローカルユニキャストアドレスは使用できません。
サーバ間ミラーリングで使用するネットワークを冗長化する場合
Global Link Services (以降、GLS) の仮想 NIC 方式、または NIC 切替方式を使用してください。
GLS の NIC 切替方式を使用する場合、サーバ間ミラーリングで使用する IP アドレスには物理 IP アドレスを指定してください。
GLS の NIC 切替方式 (物理 IP 引継ぎ) を使用する場合、引継ぎ IP アドレスをクラスタアプリケーションに登録しないでください。
GLS の監視時間は変更しないでください。
冗長化方式 | インタコネクトと兼用する | インタコネクトと兼用しない | ||
---|---|---|---|---|
IPv4 | IPv6 | IPv4 | IPv6 | |
冗長化なし | ○ | ○ | ○ | ○ |
GLSの仮想NIC方式 | × | × | ○ | ○ |
GLSのNIC切替方式 | × | × | ○ | × |
GLS : Global Link Services
IP エイリアス機能を使用する場合、そのノードで常に有効になっている IP アドレスを使用してください。
システムの可用性向上のため、サーバ間ミラーリングで使用するネットワークは、クラスタインタコネクト、管理 LAN、および業務 LAN と兼用せず、かつ、冗長化することを推奨します。
「4.6 サーバ間ミラーリングを行うディスクの設定【4.3A40以降】【RHEL6】」で設定した IP アドレスを使用して通信できない状態になる操作は行わないでください。
(操作の例)
OS の ifconfig コマンドや ip コマンドなどを使用して、冗長化されていない NIC または GLS の仮想インタフェースを停止する。
GLS のコマンドを使用して仮想インタフェースを停止する。
サーバ間ミラーリング構成では、 GDS は他ノードのディスクだけでなく、自ノードのディスクにも iSCSI を利用してアクセスします。運用ノードで上記の操作を行うと、運用ノードから両ノードのディスクにアクセスできず、待機ノードから運用ノードのディスクにアクセスできなくなるため、以下の状態になります。
クラスタアプリケーションの切替えが発生する。
ネットミラーボリュームを構成する 2 つのネットミラースライスのうち先に I/O エラーが検出された方のスライスがネットミラーボリュームから切り離されて INVALID 状態になる。
クラスタアプリケーションの切替え先のノードのスライスが INVALID 状態になった場合、切替え先のノードでクラスタアプリケーションを起動できず、業務が停止する。
注意
クラスタインタコネクトまたは管理LANとの兼用
アプリケーションからネットミラーボリュームへの I/O の速度(時間当たりのデータ転送量)が、クラスタインタコネクトの帯域の50%を超える場合、ネットミラーボリュームへの I/O がクラスタシステムのハートビート処理に影響する可能性があるため、サーバ間ミラーリングとクラスタインタコネクトのネットワークを兼用しないでください。
同様に、ネットミラーボリュームへの I/O の速度が管理LAN の帯域の50%を超える場合、サーバ間ミラーリングと管理LAN のネットワークを兼用しないでください。
クラスタインタコネクトとサーバ間ミラーリングのネットワークを兼用する場合、サーバ間ミラーリングでは CIP の IPアドレスは使用できません。クラスタインタコネクトに指定したネットワークデバイスに別の IPアドレスを割り当てて使用してください。
クラスタインタコネクトとサーバ間ミラーリングのネットワークを兼用する場合、サーバ間ミラーリングのネットワークを冗長化できないため、以下のように業務が停止するリスクが高くなります。
サーバ間ミラーリングのネットワーク異常により、運用ノードから待機ノードのディスクにアクセスできなくなり、待機ノードのディスクがミラーリングから切り離されます。
このときクラスタアプリケーションの切替えが発生すると、業務が停止します。
詳細は、「7.15.10 ネットワーク切断状態でのクラスタアプリケーションの切替え」を参照してください。
注意
業務 LAN との兼用
業務 LAN とサーバ間ミラーリングのネットワークを兼用する場合、そのネットワークが故障すると、業務アプリケーションの通信とネットミラーボリュームへのライトの両方で異常が発生し、以下の動作となり業務が停止します。
運用ノードから待機ノードのディスクにアクセスできないため、待機ノードのディスク上のスライスが切り離される。
業務アプリケーションの通信エラーを契機に、クラスタアプリケーションの切替えが発生する。
新運用ノードでは、自ノードのディスク上のスライスは切り離されていて使用できず、相手ノードのディスクはネットワーク異常によりアクセスできないため、業務が停止する。
ネットワークの単一故障時でも業務を継続したい場合は、ネットワークを冗長化してください。
また、ネットワークの兼用により、時間当たりのデータ転送量の合計がネットワークの帯域を超える可能性がある場合、ネットワークを兼用しない構成にしてください。