論理スライスは、GDS が管理するオブジェクトの中で最も小さな単位です。論理スライスのことを、単に「スライス」と呼ぶ場合もあります。
ミラーボリュームは、複数の論理スライスをミラーリングすることによって構成されます。ひとつのミラーボリュームに対し、ミラーグループに属している各ディスクおよび各下位グループに、それぞれひとつの論理スライスが存在します。
シングルボリューム、ストライプボリューム、およびコンカチネーショングループ内のボリュームは、それぞれひとつの論理スライスからなります。
スイッチボリュームは、ひとつの論理スライスからなり、その論理スライスは、運用ディスク上に存在します。
ボリュームを構成しているスライスに対して、通常アプリケーションはアクセスできません。しかし、物理スライス属性が on のミラーボリュームの場合は、スライスの切離しという操作を行うことによって、一時的に切り離されたスライスに対して直接アクセスできるようになります。この機能を使って、ボリュームのスナップショットを採取できます。
注意
特に記載がなければ、ミラータイプのスライスの説明は、ネットミラータイプのスライスにも当てはまります。
属性
スライスには、以下の属性があります。
クラスの中でスライスを識別するための属性です。
スライス用の高速等価性回復モードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
スライス用の高速等価性回復モードが有効です。
スライス用の高速等価性回復モードが無効です。
アクセスモードを表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
アクセスモードを読書き用に設定します。
アクセスモードを読取り専用に設定します。
操作
スライスに対して、以下の操作を行うことができます。
sdxslice -M コマンドを使って、ミラーボリュームを構成する一部のスライスを切り離して、スナップショットを採取できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「7.7.1.2 操作手順」を参照してください。
sdxslice -R コマンドを使って、切り離されていたスライスを再びボリュームへ組み込むことができます。
運用管理ビューを使用する場合は、「7.7.1.2 操作手順」を参照してください。
sdxslice -N コマンドを使って、切り離されたスライスを起動できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「7.7.1.2 操作手順」を参照してください。
sdxslice -F コマンドを使って、切り離されたスライスを停止できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「7.7.1.2 操作手順」を参照してください。
sdxslice -T コマンドを使って、切り離されたスライスを他ノードから引き継ぐことができます。
運用管理ビューでは操作できません。
sdxinfo コマンドを使って、スライスの状態を表示できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「7.1 構成/状態の確認と状態監視」を参照してください。
sdxattr -S コマンドを使って、切り離されたスライスの属性値を変更できます。
運用管理ビューでは操作できません。
状態
スライスには、以下の状態があります。
データが正常で、アクセスできる状態。
このとき、ボリュームの状態は ACTIVE です。ミラーボリューム内に存在する ACTIVE、STOP、およびバックグラウンドコピーを行っている COPY 状態のスライス数の合計は、現在のミラーリング多重度 (1 ~ 8) を表します。
データが正常で、アクセスできない状態。
このとき、ボリュームの状態は STOP です。ミラーボリューム内に存在する STOP、ACTIVE、およびバックグラウンドコピーを行っている COPY 状態のスライス数の合計は、現在のミラーリング多重度 (1 ~ 8) を表します。
データが不当で、アクセスできない状態。
ミラーリングされているスライスで I/O エラーが検出されると、INVALID 状態になります。ディスクドライバのメッセージ確認などにより、速やかに原因を究明して復旧させてください。復旧後、等価性コピーを行って、正常に完了すればデータが正当な状態 (ACTIVE または STOP) になります。失敗すれば、再び INVALID 状態に戻ります。
データを正当化するために、等価性コピーを行っている状態。
等価性コピーは、正当な状態 (ACTIVE または STOP) のスライスから、COPY 状態のスライスに対して行われています。等価性コピーが正常に完了すれば、正当な状態 (ACTIVE または STOP) になり、失敗すれば不当な状態 (INVALID) になります。
ミラーボリュームから一時的に切り離されていて、スライス単独でアクセスできる状態。
sdxslice -M コマンドが正常に完了した場合、TEMP 状態になります。元の状態 (ACTIVE または STOP) に戻すためには、sdxslice -R コマンドを実行する必要があります。
ミラーボリュームから一時的に切り離されていて、スライス単独でアクセスできない状態。
アクセス可能な状態にするためには、sdxslice -N または sdxslice -T コマンドを実行してスライスを起動する必要があります。
特別な理由によって、アクセスできない状態。
ディスクの状態が動作不可能 (DISABLE または SWAP) になると、ディスクに関連するすべてのスライスは NOUSE 状態になります。
参照
スライスに関して、以下の留意事項があります。