ディスククラスは、GDS が管理するオブジェクトの中で最も大きな単位です。ディスククラスのことを、単に「クラス」と呼ぶ場合もあります。
GDS を使って、ディスク装置 (物理ディスク) を管理するためには、まず物理ディスクを特定のクラスへ登録する必要があります。クラスは、管理する複数の物理ディスクを入れておくための大きな器の役割を果たします。
GDS は、登録された物理ディスクをもとにして、クラスの中でディスク、グループ、ボリューム、スライスといったオブジェクトを作成および管理します。
クラスをはじめとするオブジェクトには、利用者が自由に名前を付けることができます。それぞれの名前は、システム全体として一意となるように管理されています。
注意
クラス名の重複
同じ名前のクラスが存在する複数のシングルノードにクラスタ制御をインストールしてクラスタシステムに移行した場合は、クラスタシステム内でクラス名が重複します。詳細については、「8.5 シングルノードからクラスタシステムへの移行」を参照してください。
属性
クラスには、以下の属性があります。
システムの中で、クラスを識別するための属性です。
クラスの種別を表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
クラスで管理されているオブジェクトは、自ノードにおいてのみ使用できます。
システムディスクとミラー先のディスク、スペアディスク、および、システムディスクのスナップショットを作成するディスクが管理できます。
ルートクラスが使用できる環境の条件については、「3.4 システムディスクの管理」を参照してください。
クラスで管理されているオブジェクトは、自ノードにおいてのみ使用できます。
クラスで管理されているオブジェクトは、複数のノードから共用できます。
クラス内のオブジェクトを使用できるノード群を表す属性です。
ホットスペアの動作を表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
ホットスペアを有効にします。
ホットスペアを無効にします。スペアディスクの自動接続が抑止されます。
ホットスペアで自動接続するスペアディスクの選択方式を表す属性です。次のいずれかの値が設定できます。
ディスクアレイ装置のディスクで I/O エラーが発生した場合、そのディスクとは別のディスク筐体に属しているスペアディスクを優先して選択します。
ディスクアレイ装置以外のディスク (内蔵ディスクなど) で I/O エラーが発生した場合は、そのディスクとは異なるコントローラに接続されているスペアディスクを優先して選択します。
条件を満たす未接続のスペアディスクが存在しない場合は、I/O エラーが発生したディスクと同じディスク筐体に属しているスペアディスク、または、同じコントローラに接続されているスペアディスクを選択します。
ディスクアレイ装置のディスクで I/O エラーが発生した場合、そのディスクと同じディスク筐体に属しているスペアディスクを選択します。
ディスクアレイ装置以外のディスク (内蔵ディスクなど) で I/O エラーが発生した場合は、そのディスクと同じコントローラに接続されているスペアディスクを選択します。
条件を満たす未接続のスペアディスクが存在しない場合は、スペアディスクは自動接続されません。
I/O 応答時間保証の動作モードを表す属性です。以下のいずれかの値が設定できます。
I/O 応答時間保証が有効です。
I/O 応答時間保証が無効です。
I/O 応答時間保証が有効な場合に、I/O が応答するまでの最大時間 (秒数) を表す属性です。
I/O 応答時間保証が有効な場合に、以下の異常発生時にシステムをパニックさせるかどうかを指定する属性です。
ボリュームを構成するすべてのスライスで I/O エラーが発生した場合
クラスが閉塞した場合
以下のいずれかの値が設定できます。
システムパニックモードは有効です。
システムパニックモードは無効です。
操作
クラスに対して、以下の操作を行うことができます。
sdxdisk -M コマンドを使って、ディスクを登録するときに、新しいクラス名を指定すると、自動的にクラスが作成されます。
運用管理ビューを使用する場合は、「6.6.1.3 クラス構成」を参照してください。
sdxdisk -R コマンドを使って、登録された最後のディスクをクラスから削除すると、自動的にクラスも削除されます。また、sdxclass -R コマンドまたは sdxconfig Remove コマンドを使って削除することもできます。
運用管理ビューを使用する場合は、「9.3.1.4 クラスの削除」を参照してください。
sdxinfo コマンドを使って、クラスの状態を表示することができます。
運用管理ビューを使用する場合は、「7.1 構成/状態の確認と状態監視」を参照してください。
sdxattr -C コマンドを使って、クラスの属性値を変更できます。
運用管理ビューを使用する場合は、「8.2.1.2 クラス構成」を参照してください。
sdxfix -C コマンドを使って、閉塞状態のクラスの復旧を試みることができます。
運用管理ビューでは操作できません。
sdxconfig Backup コマンドを使って、クラス内のオブジェクト構成を構成テーブル形式で構成ファイルに退避します。
運用管理ビューでは操作できません。
sdxconfig Restore コマンドを使って、構成ファイルに記述されている構成テーブルに従い、クラスのオブジェクト構成を復元します。
運用管理ビューでは操作できません。
sdxconfig Convert コマンドを使って、構成ファイルに記述されている構成テーブルを変換し、構成テーブルを退避したときとは異なる環境でクラスのオブジェクト構成が復元できるようにします。
運用管理ビューでは操作できません。
状態
クラスには、以下の状態があります。
クラス内のすべてのオブジェクトが参照できない状態。
詳細は、「D.1.4 クラス状態に関する異常」を参照してください。
参照