Oracle VM 環境で使用するディスクを GDS で管理する場合、以下の方法があります。
制御ドメインまたは I/O ルートドメインで GDS を使用し、そのドメインで使用するディスクを管理する方法
機能・設定・運用は、物理環境の場合と同様です。
制御ドメインまたは I/O ルートドメインで GDS を使用し、ゲストドメインまたは I/O ルートドメインで使用するディスクを管理する方法
制御ドメインまたは I/O ルートドメインで作成したボリューム、または、ボリューム上に作成したファイルを、ゲストドメインまたは I/O ルートドメインで仮想ディスクとして使用することができます。
ゲストドメインまたは I/O ルートドメインで使用する仮想ディスクを、制御ドメインまたは I/O ルートドメインで作成したミラーボリューム上に配置することで、ゲストドメインまたは I/O ルートドメインの可用性を向上させることができます。
ゲストドメインで GDS を使用し、ゲストドメインで使用するディスクを管理する方法
ゲストドメインで、ローカルクラスまたは共用クラスに仮想ディスクを登録して管理することができます。
ゲストドメイン間のクラスタシステムで使用する共用ディスクは、ゲストドメインで共用クラスに登録する必要があります。
仮想ディスクをクラスに登録する際、物理ディスク名を cXdX の形式で指定します。
その他の機能・設定・運用は、物理環境の場合と同様です。
ディスクを使用するドメイン | ||||
---|---|---|---|---|
制御 | I/O ルート | ゲスト | ||
GDS を使用するドメイン | 制御 | a | b | b |
I/O ルート | - | a | b | |
ゲスト | - | - | c |
GDS : Global Disk Services
b. の設定方法は以下のとおりです。
以下では、制御ドメインで GDS を使用して仮想ディスクをゲストドメインに割り当てる方法を説明しますが、制御ドメインで GDS を使用して仮想ディスクを I/O ルートドメインに割り当てる場合、および、I/O ルートドメインで GDS を使用して仮想ディスクをゲストドメインに割り当てる場合も、設定方法は同様です。
制御ドメインのボリュームを、仮想ディスクとしてゲストドメインに割り当てる方法
例 1) ローカルクラス class0001 の既存のボリューム volume0001 を、既存の仮想ディスクサーバ primary-vds0 にボリューム vol0 としてエクスポートし、ゲストドメイン ldom0 に仮想ディスク vdisk0 として割り当てる場合
# ldm add-vdsdev options=slice /dev/sfdsk/class0001/dsk/volume0001 vol0@primary-vds0 # ldm add-vdisk vdisk0 vol0@primary-vds0 ldom0
制御ドメインのボリューム上のファイルを、仮想ディスクとしてゲストドメインに割り当てる方法
例 2) ルートクラスの既存のミラーボリュームに 20GB のファイル /LDoms/vdisk1.img を作成し、既存の仮想ディスクサーバ primary-vds0 にボリューム vol1 としてエクスポートし、ゲストドメイン ldom0 に仮想ディスク vdisk1 として割り当てる場合
# mkfile 20g /LDoms/vdisk1.img # ldm add-vdsdev /LDoms/vdisk1.img vol1@primary-vds0 # ldm add-vdisk vdisk1 vol1@primary-vds0 ldom0
参照
仮想ディスクの設定方法の詳細は、Oracle VM の管理ガイドを参照してください。
Oracle VM 環境のクラスタシステムで GDS を使用する方法は、「PRIMECLUSTER 導入運用手引書」を参照してください。
注意
ゲストドメインのシステムディスクを制御ドメインのボリューム上に配置する場合、ルートクラスまたはローカルクラスのボリューム上のファイルを仮想ディスクとしてゲストドメインに割り当ててください。ゲストドメインのシステムディスクを I/O ルートドメインのボリューム上に配置する場合、および、I/O ルートドメインのシステムディスクを制御ドメインのボリューム上に配置する場合も、同様です。
制御ドメインのボリュームを仮想ディスクとしてゲストドメインに割り当てる場合、ldm add-vdsdev コマンドで slice オプション (options=slice) を指定してください。制御ドメインのボリュームを仮想ディスクとして I/O ルートドメインに割り当てる場合、および、I/O ルートドメインのボリュームを仮想ディスクとしてゲストドメインに割り当てる場合も、同様です。
ゲストドメインで GDS を使用して仮想ディスクを管理する場合、制御ドメインの物理ディスクをフルディスクとしてゲストドメインに割り当ててください。
サービスドメインを冗長化する場合、仮想ディスクの timeout オプションを設定してください。
[サービスドメインの冗長化について]
サービスドメインの冗長化には、以下の 2 つの方法があります。
PRIMECLUSTER のゲストドメイン間クラスタにおいて、ゲストドメインごとに異なるサービスドメインから共用ディスクを仮想ディスクとして割り当てる方法
複数のディスクを、ディスクごとに異なるサービスドメインから 1 つのゲストドメインに仮想ディスクとして割り当てた後、ゲストドメインで GDS を使用して、それらの仮想ディスクをミラーリングする方法
[timeout オプションの設定について]
timeout オプションを省略、または 0 を設定した場合、サービスドメインが停止しても I/O エラーにならず、サービスドメインの復旧を待ちます。
timeout オプションに 0 より大きい値を設定した場合、設定した値に応じた時間経過後に I/O エラーになります。
(注意 : 設定した値と同じ秒数で I/O エラーになるわけではありません。)
timeout オプションの設定方法は以下のとおりです。
例 1) 仮想ディスクの割り当て時、timeout に 15 を設定する場合
# ldm add-vdisk timeout=15 vdisk0 disk0@primary-vds0 guest0
例 2) 割当て済みの仮想ディスクに対し、timeout に 15 を設定する場合
# ldm set-vdisk timeout=15 vdisk0 guest0
timeout オプションの詳細は、Oracle VM の管理ガイドを参照してください。
GDS のミラーリング機能を利用してサービスドメインを冗長化する場合、1 つのサービスドメインからゲストドメインに割り当てたディスクを 1 つのクラスに 5 個以上登録しないでください。
ゲストドメインにおいて仮想ディスクをクラスに登録し、ホットスペア機能を使用する場合、ホットスペアモードの条件とは異なるスペアディスクが接続されることがあります。また、ホットスペアモードをデフォルト (筐体外優先方式) から変更しないでください。筐体内限定方式に変更した場合、スペアディスクが接続されないことがあります。
ゲストドメインでは、仮想ディスクは /dev/[r]dsk/cXdXs0 の形式のデバイス名で認識されます。制御ドメインのデバイス名とは異なる名前になるので、使用するデバイスを間違えないよう注意してください。
GDS を使用しているゲストドメインに対してライブマイグレーションを行う場合、仮想ディスクへの I/O がタイムアウトしないように、仮想ディスクの timeout オプションの設定を調整してください。仮想ディスクの timeout オプションの値が、ライブマイグレーション実行時にディスクへの I/O が抑止される時間よりも短い場合、 I/O エラーが発生してスライスが INVALID 状態になることがあります。timeout オプションの詳細は、Oracle VM のマニュアルを参照してください。
サービスドメインとゲストドメインの両方で GDS を使用する場合、ゲストドメインのみで使用するディスクを、サービスドメインで自動リソース登録の除外リストおよび GDS の除外リストに登録してください。また、サービスドメインとゲストドメインでは、クラスを異なる名前で作成することを推奨します。除外リストの詳細は、「A.2.25 除外リスト」を参照してください。