ここでは、OVM for x86 3.xのゲストOSをカスタマイズする機能について説明します。
OVM for x86 3.xには、ゲストOSのカスタマイズ機能がないため、本製品独自の機能を利用してゲストOSのカスタマイズを行います。ゲストOSのカスタマイズ機能は、VMゲストOS上にインストールするカスタマイズツールにより、カスタマイズ処理を制御して実現しています。
本機能は、下記の本製品のマネージャーとゲストOSで使用できます。
サポート外の本製品のマネージャー、およびゲストOSでカスタマイズ機能が実行された場合はエラーとなります。
対象 | サポート範囲 |
---|---|
マネージャー | Windowsマネージャーだけサポートします。 |
Windows ゲストOS | Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 SP2 |
Linux ゲストOS | Oracle Linux 5.x (for x86) なお、上記はUnbreakable Enterprise Kernelを含みます。 Oracle社が公開するVMテンプレートを使用して仮想マシンを構築した場合、whichパッケージが入っていることを確認してください。 |
カスタマイズ機能の動作原理について
カスタマイズ機能は、カスタマイズツールを利用して実現しています。
ゲストOSがWindowsの場合、カスタマイズツールは、ゲストOSで動作するWindowsサービスです。VMゲストに接続される仮想CDイメージファイル(VCD媒体)の指示に従い、Windows OSのSysprepやミニセットアップの制御を行います。
ゲストOSがLinuxの場合、カスタマイズツールは、ゲストOSで動作するスクリプトです。VMゲストに接続される仮想CDイメージファイル(VCD媒体)の指示に従い、Linux OS上でネットワーク情報の初期化処理やOSタブで指定された項目の設定を行います。このVCD媒体は本製品により作成されます。
図8.16 カスタマイズ機能の動作原理
ゲストOSのカスタマイズ機能を利用するための事前準備
以下の事前準備が必要です。
VCD媒体を格納するためのストレージレポジトリと定義ファイルの用意
VCD媒体格納用サーバの用意
VCD媒体格納用サーバの情報の本製品への登録
カスタマイズツールの導入
Oracle VM Managerのサーバプールにおける"VM Start Policy"の設定
VCD媒体を格納するためのストレージレポジトリと定義ファイルの用意
VCD媒体は、本製品によって自動的にOVM for x86 3.xのストレージリポジトリに格納され、VMゲストに接続されます。
このため、OVM for x86 3.xのストレージリポジトリや定義ファイルは、事前に作成する必要があります。
定義ファイルの詳細については、「8.10.1 定義ファイルの作成」を参照してください。
OVM for x86 3.xのストレージリポジトリについては、以下の点に注意して作成してください。
OVM for x86 v3.2.1~3.2.8の場合、ストレージリポジトリはOVM for x86上のサーバプールに対して1つ作成する
OVM for x86 v3.3.1以降の場合、ストレージリポジトリはOVM for x86上のサーバプールに対して複数作成できる
作成方法の詳細は、Oracle社のウェブサイトの該当する製品マニュアルを参照してください。
Oracle社のWebサイト
http://docs.oracle.com/cd/E35328_01/index.html |
Oracle VM Managerのサーバプールにおける"VM Start Policy"の設定
カスタマイズ機能を利用する仮想L-Serverが作成されるサーバプールにおいて、"VM Start Policy"を"Start on current server"に設定してください。
VCD媒体格納用サーバの用意
VCD媒体をストレージレポジトリにインポートするためには、本製品が作成したVCD媒体を一時的に格納しておくftpサーバが必要です。
図8.17 模式図
ftpサーバの構成条件は、以下のとおりです。
本製品とftpサーバが接続可能である
本製品とftpサーバとの接続方式としてパッシブモードとする
その他の条件は、oracle社の以下のマニュアルを参照してください。
http://docs.oracle.com/cd/E35328_01/E35336/html/vmcli-ref-importvirtualcdrom.html |
VCD媒体格納用サーバの情報の本製品への登録
本製品は作成したVCD媒体を一時的にftpサーバに格納します。
そのため、本製品にftpサーバの情報の登録が必要です。
登録方法については、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.18 rcxadm vcdsrvctl」を参照してください。
カスタマイズツールの導入と削除について
カスタマイズツールをインストールした場合、ゲストOSに以下のinitスクリプトが登録されます。
Resource-Orchestrator-Linux guest-customize-tool |
カスタマイズツールのインストールとアンインストールの手順について説明します。
カスタマイズツールのインストール
システム管理者のアカウントでVMゲストにログインします。
カスタマイズツールをゲストOS上の適当なディレクトリにコピーします。
マネージャー配下のツール格納フォルダーを、フォルダーごとゲストOS上のコピー先ディレクトリにコピーします。ツール格納フォルダーは以下のとおりです。
【Windowsマネージャー】
インストールフォルダー\SVROR\Manager\opt\FJSVrcxmr\sys\linguestcustomizetool
コピー先ディレクトリは、コピー先を/tmpとした場合、/tmp/linguestcustomizetoolになります。
カレントディレクトリをカスタマイズツールが格納されたコピー先ディレクトリに変更します。
カスタマイズツールをインストールします。
./linguesttool.sh -install <RETURN> |
カスタマイズツールのアンインストール
システム管理者のアカウントでVMゲストにログインします。
カレントディレクトリをカスタマイズツールが格納されたコピー先ディレクトリに変更します。
カスタマイズツールをアンインストールします。
./linguesttool.sh -remove <RETURN> |
カスタマイズツールをインストールした場合、ゲストOSに以下の名前でサービスが登録されます。
Resource Orchestrator windows guest customize tool |
カスタマイズツールのインストールとアンインストールの手順について説明します。
カスタマイズツールのインストール
カスタマイズツールをゲストOS上の適当なフォルダーにコピーします。
マネージャー配下のツール格納フォルダーを、フォルダーごとゲストOS上のコピー先フォルダーにコピーします。
ツール格納フォルダーは以下になります。
【Windowsマネージャー】
インストールフォルダー\SVROR\Manager\opt\FJSVrcxmr\sys\winguestcustomizetool
コピー先フォルダーは、コピー先をC:\tempとした場合、c:\temp\winguestcustomizetoolになります。
コマンドプロンプトをローカルの管理者権限で起動します。
カレントをカスタマイズツールが格納されたコピー先フォルダーに変更します。
>cd コピー先フォルダー名 <RETURN> |
カスタマイズツールをインストールします。
>winguesttool.exe -install <RETURN> |
インストールが完了したあと、コピー先フォルダーを削除します。
>rmdir /s コピー先フォルダー名 <RETURN> |
カスタマイズツールのアンインストール
コマンドプロンプトをローカルの管理者権限で起動します。
カレントをツール格納フォルダーに変更します。
>cd "%ProgramFiles%\Fujitsu\Resource Orchestrator\WinGuestCustomizeTool" <RETURN> |
カスタマイズツールをアンインストールします。
>winguesttool.exe -remove <RETURN> |
カスタマイズツールのインストールフォルダーを削除します。
アンインストールが正常に終了した場合は、以下のフォルダーを削除します。
>rmdir /s "%ProgramFiles%\Fujitsu\Resource Orchestrator\WinGuestCustomizeTool" <RETURN> |
ほかにサービスやツールがインストールされていなければ、以下のフォルダーも削除します。
>rmdir /s "%ProgramFiles%\Fujitsu\Resource Orchestrator" <RETURN> |