ここでは、L-Serverのオーバーコミットについて説明します。
オーバーコミット
本製品では、Hyper-VのCPUのオーバーコミットや動的メモリを利用できます。
Hyper-VのCPUのオーバーコミットとは、サーバに実装されているCPUのリソース量よりも、多くのリソースをゲストOSに対して仮想的に割り当てられる機能のことです。
Hyper-Vの動的メモリとは、サーバに実装されているメモリのリソース量以内で、ゲストOSに対して効率的にメモリを割り当てられる機能のことです。
注意
動的メモリやメモリ割当て優先度を使用する場合、VMホストは以下のどれかである必要があります。
Microsoft(R) Windows Server(R) 2008 R2 SP1以降
Microsoft(R) Windows Server(R) 2012以降
Microsoft(R) Windows Server(R) 2016以降
SCVMMは、対象のVMホストを管理できる以下のどれかである必要があります。
System Center Virtual Machine Manager 2008 R2 SP1以降
System Center 2012 Virtual Machine Manager以降
System Center 2016 Virtual Machine Manager以降
上記のVMホストとSCVMMが存在しない場合、動的メモリやメモリ割当て優先度を有効にするL-Serverの作成と仕様変更は失敗します。
動的メモリを利用できるゲストOSは、Windowsの一部の製品に限定されます。詳細はMicrosoft社のWebサイトで確認してください。
URL: http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ff817651(WS.10).aspx |
VMホストがWindows Server 2012以降の場合には、動的メモリの設定として最小メモリ値が存在しますが、本製品からは設定できません。
初期メモリ量と同じ値が設定されます。
本製品では、L-Serverを作成する際に、Hyper-VのCPUのオーバーコミットや動的メモリを利用するため以下の機能を提供します。
CPUのオーバーコミットや動的メモリが設定されたL-Serverの作成
CPU性能
仮想マシンに割り当てる最大CPUリソース量(制限)
CPU割当て優先度
仮想マシンに割り当てるCPUの優先度
メモリ容量
最大メモリ
仮想マシンに割り当てる最大メモリリソース量(制限)
バーチャルマシンメモリ
VMホストが仮想マシンに割り当てるメモリリソース量(メモリサイズ)
本製品で作成した仮想L-Serverは、動的メモリの設定に応じて、メモリ容量を以下のように設定します。
バーチャルマシンメモリだけ設定
最大メモリだけ設定
動的メモリ
初期メモリ量
起動時に割り当てる初期メモリ量
メモリバッファー
仮想マシンに対しバッファーとして予約する空きメモリ容量
メモリ割当て優先度
仮想マシンに割り当てるメモリの優先度
リソースプールへのオーバーコミット属性の設定
リソースプールにもオーバーコミット属性を設定できます。オーバーコミット属性の設定やリソースプールからオーバーコミット属性が設定されたL-Serverの作成ができます。
サーバのリソース量を超えたL-Serverの配備
サーバに実装されているCPUやメモリのリソース量を超えて、L-Serverを作成できます。
作成したL-Serverが起動できるかは、VMホスト上の空きリソース量に依存します。
CPU予約性能の設定値を利用したVMプールの空き容量計算
オーバーコミット属性をもつVMプールのCPU空き容量とメモリ空き容量換算
オーバーコミット属性をもつVMプールに、作成済みのL-ServerのCPU予約値やメモリ割当て容量を元に、CPU空き容量とメモリ空き容量を換算し、表示できます。
オーバーコミット属性をもつVMプールのL-Server換算
オーバーコミット属性をもつVMプールのCPU空き容量やメモリ空き容量に、L-Serverテンプレートで指定されたCPU予約値やメモリ割当て容量を元に、L-Serverを換算し、表示できます。
L-Serverについては、「設計ガイド CE」の「2.2.3 L-Server」、「8.3.7 L-Server作成」、または「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第16章 L-Serverの作成」を参照してください。
リソースプールについては、「設計ガイド CE」の「2.2.2 リソースプール」または「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第20章 リソースプールの操作」を参照してください。
空き容量の表示またはL-Server換算表示については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「20.6 表示」を参照してください。
前提条件
管理サーバ
本製品とHyper-VとCPUのオーバーコミットおよび動的メモリとの連携機能を利用する場合、管理サーバのOSは、Windowsだけサポートします。
導入手順
以下の手順で、オーバーコミットを導入します。
オーバーコミット用のVMプールの作成
VMプールの作成方法については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第20章 リソースプールの操作」を参照してください。
ポイント
「8.2.11 オーバーコミット」の「導入手順」の「1. オーバーコミット用のVMプールの作成」に記載されている「ポイント」を参照してください。
注意
「8.2.11 オーバーコミット」の「導入手順」の「1. オーバーコミット用のVMプールの作成」に記載されている「注意」を参照してください。
定義ファイルを作成します。
定義ファイル(VM固有情報定義ファイル)は、L-Serverテンプレートにオーバーコミットの値を設定せず、ユーザーグループごとに異なる設定を行う場合に作成してください。
VM固有情報定義ファイルの作成については、「8.1 仮想L-Server作成で共通に利用する定義ファイル」を参照してください。
L-Serverテンプレートのエクスポート
L-Serverテンプレートのエクスポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.2.1 エクスポート」を参照してください。
L-Serverテンプレートの操作(手順3.~手順5.)は、GUIを利用して行うこともできます。
GUIを利用したL-Serverテンプレートの操作については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.1 ウィザード形式のGUIによる操作」を参照してください。
L-Serverテンプレートの編集
L-Serverテンプレートにオーバーコミットを設定します。
L-ServerテンプレートのXML定義については、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「15.2.2 仮想L-Serverテンプレート」に従って編集してください。
オーバーコミットに関する値をL-ServerテンプレートとVM固有情報定義ファイルで設定した場合
L-Serverテンプレートで設定した値が優先されます。
VM固有情報定義ファイルを使用してオーバーコミットの各値を設定する場合
L-Serverテンプレートには以下の要素だけを設定してください。
オーバーコミットの有効/無効
以下の要素は、設定しないでください。
CPU予約性能
CPU割当て優先度
初期メモリ量
メモリバッファー
メモリ割当て優先度
参考
L-Serverテンプレート名を編集せずにインポートすると、既存のL-Serverテンプレートの内容が上書きされます。エクスポートした際のL-Serverテンプレートと異なる名前に変更してインポートすると、L-Serverテンプレートが追加されます。
L-Serverテンプレートを編集する際は、動的メモリ設定の有効/無効、初期メモリ量、メモリバッファーの組合せについて確認してください。
動的メモリが有効に設定
L-Server作成時に、初期メモリ量、メモリバッファーが有効になる
動的メモリが無効に設定
L-Server作成時に、初期メモリ量、メモリバッファーが無視される
L-Serverテンプレートのインポート
L-Serverテンプレートのインポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.2.3 インポート」を参照してください。
L-Serverの作成
手順5.で作成したL-Serverテンプレートを利用してL-Serverを作成します。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.1 L-Serverテンプレートを利用したL-Serverの作成」を参照してください。
L-Serverテンプレートを利用しない場合、コマンドを利用してL-Serverを作成します。「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第16章 L-Serverの作成」に従ってL-ServerのXMLを編集したあと、rcxadm lserver createコマンドを実行します。
詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」と「15.2.2 仮想L-Serverテンプレート」を参照してください。
ポイント
RORコンソールの[リソース]タブからオーバーコミットを使用するL-Serverを作成する場合、L-Serverテンプレートを指定してください。
L-Serverに対するオーバーコミットの設定確認
L-Serverに対するオーバーコミットの設定を確認するには、rcxadm lserver showコマンドを実行します。
コマンドの出力結果に、"OverCommit: true"の行が含まれているか確認してください。
また、動的メモリ設定、初期メモリ量、メモリバッファーの組合せも確認してください。
rcxadm lserverコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。
注意
L-Serverの起動に失敗した場合、L-Serverの設定により手順が異なります。以下の手順を実行してください。
L-Serverの設定で、[運用位置]が[起動毎に変更]の場合
L-Serverの起動を再実行してください。リソースに空き領域があるVMホストがあれば、何回か起動を行うと空き領域のあるVMホストで起動できます。
L-Serverの設定で、[運用位置]が[固定]の場合
VMホストを自動選択しないため、L-Serverの運用位置を変更して起動するか、同じVMホスト上のほかのL-Serverを移動または停止させたあとに起動してください。
運用位置の変更については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.3 個々のパラメーターを指定した仮想L-Serverの作成」を参照してください。
移動については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.7 VMホスト間の移動(マイグレーション)」を参照してください。
L-Serverの仕様変更
ここでは、L-Serverの仕様変更について説明します。
L-Serverの仕様変更は、rcxadm lserver modifyコマンドを実行します。
詳細は、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。
注意
L-Serverの仕様を変更する場合、VMホストの稼動している物理サーバのリソース(CPU数、CPU周波数、メモリ容量)がCPU予約性能、メモリ容量よりも小さい場合、L-Serverの仕様変更は失敗します。
また、CPU性能やメモリ容量が、CPU予約性能やメモリ予約容量の値よりも小さくなる場合も、L-Serverの仕様変更は失敗します。
リソースを割り当てたL-Serverの仕様変更を行う際は、L-Serverに設定済みの値が優先されるため、VM固有情報定義ファイルの情報は反映されません。そのようなL-Serverの仕様変更を行う際は、XMLに変更する値を記載し、コマンドを実行して変更してください。