ここでは、L-Serverのオーバーコミットについて説明します。
オーバーコミット
本製品では、VMwareのCPUやメモリのオーバーコミットを利用できます。
VMwareのCPUやメモリのオーバーコミットとは、サーバに実装されているCPUやメモリのリソース量よりも、多くのリソースをゲストOSに対して仮想的に割り当てられる機能のことです。
本製品では、L-Serverを作成する際に、VMwareのCPUやメモリのオーバーコミットを利用するため以下の機能を提供します。
CPUやメモリのオーバーコミットが設定されたL-Serverの作成
CPU性能
仮想マシンに割り当てる最大CPUリソース量(制限)
CPU予約性能
仮想マシンに保証される最小割当てCPUリソース量(予約)
CPUシェア
複数の仮想マシンが競合した場合、CPUリソースの配分を決める相対的な配分比(シェア)
メモリ容量
メモリ制限値
仮想マシンに割り当てる最大メモリリソース量(制限)
メモリサイズ
VMホストが仮想マシンに割り当てるメモリリソース量(メモリサイズ)
本製品で作成した仮想L-Serverは、メモリ制限値とメモリサイズを同じ値に設定します。
メモリ予約容量
仮想マシンに保証される最小割当てメモリリソース量(予約)
メモリシェア
複数の仮想マシンが競合した場合、メモリリソースの配分を決める相対的な配分比(シェア)
リソースプールへのオーバーコミット属性の設定
リソースプールにもオーバーコミット属性を設定できます。オーバーコミット属性の設定やリソースプールからオーバーコミット属性が設定されたL-Serverの作成ができます。
CPU予約性能やメモリ予約容量の設定値を利用したVMプールの空き容量計算
オーバーコミット属性をもつVMプールの、CPU空き容量とメモリ空き容量換算
オーバーコミット属性をもつVMプールに、作成済みのL-ServerのCPU予約値やメモリ割当て容量を元に、CPU空き容量とメモリ空き容量を換算し、表示できます。
オーバーコミット属性をもつVMプールに対するL-Server作成可能台数の表示
オーバーコミット属性をもつVMプールに対して、L-Serverテンプレートで指定されたCPU予約値やメモリ割当て容量を元に、作成可能なL-Server台数を表示できます。
L-Serverについては、「設計ガイド CE」の「2.2.3 L-Server」、「8.2.7 L-Server作成」、または「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第16章 L-Serverの作成」を参照してください。
リソースプールについては、「設計ガイド CE」の「2.2.2 リソースプール」または「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第20章 リソースプールの操作」を参照してください。
空き容量の表示またはL-Server換算表示については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「20.6 表示」を参照してください。
導入手順
以下の手順で、オーバーコミットを導入します。
オーバーコミット用のVMプールの作成
VMプールの作成方法については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第20章 リソースプールの操作」を参照してください。
ポイント
オーバーコミットを使用するL-Serverと使用しないL-Serverを作成する場合、オーバーコミットを使用するVMプールと使用しないVMプールの両方を作成する必要があります。
ROR V2.3.0、または、V3.0.0の管理サーバからアップグレードを行い、オーバーコミット機能の設定方法の移行手順をしていない場合、別途、定義ファイルを編集する必要があります。詳細は「リリース情報」の「2.3.1.1 オーバーコミット定義ファイル」を参照してください。
注意
オーバーコミットのVMプールには、オーバーコミットをサポートしているVM種別(VMware、Hyper-V、RHEL-KVM、Solaris Containers、OVM for SPARC)のVMホストだけを登録してください。オーバーコミットをサポートしていないVM種別のVMホストが登録されている場合、そのVMホストをほかのVMプールへ移動してください。
オーバーコミットをサポートしていないVM種別のVMホストが、オーバーコミットのVMプールに登録されている場合、そのVMホストに対して以下の操作はできません。
L-Serverの作成
構築済み仮想マシンのL-Serverへの関連付け
RHEL-KVMについては、構築済み仮想マシンのL-Serverへの関連付けは未サポートです。
ユーザーがアクセスできる範囲にオーバーコミットのVMプールが複数存在した場合、リソースプールの優先順位に関係なく、それらのリソースプールに含まれるすべてのVMホストから、配備先のVMホストが選択されます。
オーバーコミットで使用するVMプール内の、VMホスト上に構築された仮想マシンと関連付けたL-Serverは、オーバーコミット属性が有効になります。
VM固有情報定義ファイルの作成
VM固有情報定義ファイルを作成します。VM固有情報定義ファイルは、L-Serverテンプレートにオーバーコミットの値を設定せず、ユーザーグループごとに異なる設定を行う場合に作成してください。
VM固有情報定義ファイルの作成については、「8.1 仮想L-Server作成で共通に利用する定義ファイル」を参照してください。
L-Serverテンプレートのエクスポート
L-Serverテンプレートのエクスポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.2.1 エクスポート」を参照してください。
L-Serverテンプレートの操作(手順3.~手順5.)は、GUIを利用して行うこともできます。
GUIを利用したL-Serverテンプレートの操作については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.1 ウィザード形式のGUIによる操作」を参照してください。
L-Serverテンプレートの編集
L-Serverテンプレートにオーバーコミットを設定します。
L-ServerテンプレートのXML定義については、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「15.2.2 仮想L-Serverテンプレート」に従って編集してください。
なお、VM固有情報定義ファイルを使用してオーバーコミットの各値を設定する場合、"オーバーコミットの有効/無効"以外の以下の要素を設定しないでください。L-Serverテンプレートでオーバーコミットに関する値を設定した場合、その値が優先されます。
CPU予約性能
CPUシェア
メモリ予約容量
メモリシェア
参考
L-Serverテンプレート名を編集しないでインポートすると、既存のL-Serverテンプレートの内容が上書きされます。エクスポートした際のL-Serverテンプレートと異なる名前に変更してインポートすると、L-Serverテンプレートが追加されます。
L-Serverテンプレートのインポート
L-Serverテンプレートのインポートについては、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「15.2.3 インポート」を参照してください。
L-Serverの作成
手順5.で作成したL-Serverテンプレートを利用してL-Serverを作成します。
詳細は、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.1 L-Serverテンプレートを利用したL-Serverの作成」を参照してください。
L-Serverテンプレートを利用しない場合、コマンドを利用してL-Serverを作成します。「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「第16章 L-Serverの作成」に従ってL-ServerのXMLを編集したあと、rcxadm lserver createコマンドを実行します。
rcxadm lserverコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。
ポイント
RORコンソールの[リソース]タブからオーバーコミットを使用するL-Serverを作成する場合、L-Serverテンプレートを指定してください。
L-Serverに対するオーバーコミットの設定確認
L-Serverに対するオーバーコミットの設定を確認するには、rcxadm lserver showコマンドを実行します。
コマンドの出力結果に、"OverCommit: true"の行が含まれているか確認してください。
rcxadm lserverコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。
注意
L-Serverの起動に失敗した場合、L-Serverの設定により方法が異なります。
以下を実行してください。
L-Serverの設定で、[運用位置]が[起動毎に変更]の場合
L-Serverの起動を再実行してください。リソースに空き領域があるVMホストがあれば、何回か起動を行うと空き領域のあるVMホストで起動できます。
L-Serverの設定で、[運用位置]が[固定]の場合
VMホストを自動選択しないため、L-Serverの運用位置を変更して起動するか、同じVMホスト上のほかのL-Serverを移動または停止させたあとに起動してください。
運用位置の変更については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「16.3 個々のパラメーターを指定した仮想L-Serverの作成」を参照してください。
運用位置の移動については、「操作ガイド インフラ管理者編 (リソース管理) CE」の「17.7 VMホスト間の移動(マイグレーション)」を参照してください。
L-Serverの仕様変更
ここでは、L-Serverの仕様変更について説明します。
L-Serverの仕様変更は、rcxadm lserver modifyコマンドを実行します。
rcxadm lserverコマンドについては、「リファレンスガイド (コマンド/XML編) CE」の「3.6 rcxadm lserver」を参照してください。
注意
L-Serverの仕様を変更する場合、VMホストの稼動している物理サーバのリソース(CPU数、CPU周波数、メモリ容量)がCPU予約性能、メモリ予約容量よりも小さい場合、L-Serverの仕様変更は失敗します。
また、CPU性能やメモリ容量が、CPU予約性能やメモリ予約容量の値よりも小さくなる場合も、L-Serverの仕様変更は失敗します。
リソースを割り当てたL-Serverの仕様変更を行う際は、L-Serverに設定済みの値が優先されるため、VM固有情報定義ファイルの情報は反映されません。そのようなL-Serverの仕様変更を行う際は、XMLに変更する値を記載し、コマンドを使用して変更してください。