Oracle ASM を PRIMECLUSTER 上で使用する場合は、スタンバイ運用、または、スケーラブル運用での使用が可能です。
スタンバイ運用の場合
Oracle ASM インスタンスを PRIMECLUSTER RMS にリソース登録してください。
リソース登録された Oracle ASM インスタンスは、起動・停止制御のみが行われ監視は行われません。Oracle ASM インスタンスに異常が発生した場合でも、Oracle インスタンスリソースで異常を検出しますので、userApplication の切替えが発生し、業務を継続できます。
環境構築時の注意事項については、Oracle Database 11g R1以前の場合は “2.4.2.1 環境構築時の注意(Oracle Database 11g R1以前の場合)”、Oracle Database 11g R2以降の場合は “2.4.2.2 環境構築時の注意(Oracle Database 11g R2以降の場合)” を参照してください。
スケーラブル運用の場合
Oracle RAC で Oracle ASM を使用する場合は、Oracle ASM インスタンスを PRIMECLUSTER RMS にリソース登録しないでください。Oracle ASM インスタンスの制御は Oracle Clusterware が行いますので、以降の注意事項は必要ありません。
Oracle Database 11g R1以前のOracle ASMをスタンバイ運用で使用する場合の注意事項は以下の通りです。
Oracle ASM インスタンスとデータベースの作成・設定
運用ノード
Oracle ASM インスタンスとデータベースの作成は運用ノード上からのみ行い、待機ノードでは、運用ノードから作成した共用ディスク上のデータベースを動作させる設定のみ行います。
注意
Oracle ASMインスタンス作成時、Oracle ASMインスタンス名の先頭に「+」がつくように設定してください。(デフォルトでは“+ASM”となります)
複数のOracle ASMインスタンスを作成する場合、Oracle ASMインスタンス名には異なるOracle ASMインスタンス名を設定してください。
1台のサーバに複数の ORACLE_HOME を作成している場合 (複数の Oracle Database ソフトウェアをインストールしている場合) 、Oracle インスタンス名には異なる Oracle インスタンス名を設定してください。
1つの userApplication 内で Oracle ASM インスタンスとデータベースの関係が 1:1 もしくは、1:n になるように、Oracle ASM インスタンスとデータベースを作成してください。
Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:1
Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:n
下図は、Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:2 の例です。
相互待機や N:1 運用待機で使用する場合、各 userApplication ごとに Oracle ASM インスタンスとデータベースの関係が 1:1 もしくは、1:n になるよう、Oracle ASM インスタンスとデータベースを作成してください。
相互待機
下図は、Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:1 の userApplication を 2 つ作成した例です。
N:1 運用待機
下図は、Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:2 の userApplication を 2 つ作成した例です。
参照
Oracle ASM インスタンス、データベースの作成は、Oracle Database のマニュアルを参照してください。
待機ノード
Oracle ASM インスタンス、データベースを作成した運用側と同一の構成になるように、ディレクトリの作成やファイルのコピー、リンクの設定を行ってください。
$ORACLE_HOME/dbs 配下
$ORACLE_BASE/admin/$ORACLE_SID 配下
$ORACLE_BASE/admin/[ Oracle ASMインスタンス名] 配下
$ORACLE_BASE/diag/asm (Oracle 11g の場合)
上記で作成したディレクトリとファイルのアクセス権限を運用系と同一にしてください。
アーカイブログ出力先等の設定を運用ノードで行った場合は、待機ノードでも同一の設定を行ってください。
CSS(Cluster Synchronization Services)デーモンの設定・起動を行ってください。運用側はデータベース作成時に設定・起動されますが、待機側は手動で設定・起動させておく必要があります。
注意
/opt/FJSVclora/sbin/cloracpy コマンドを使って運用ノードの必要なファイルをtar形式にバックアップする場合、Oracle ASM インスタンスの定義情報はバックアップされません。以下のファイルはtar 等を用いて手動でコピーしてください。
$ORACLE_BASE/admin/[ Oracle ASMインスタンス名] 配下
Oracle ASM 初期化パラメータの確認
Oracle ASM インスタンスの初期化パラメータ “ASM_DISKGROUPS” に、Oracle データベースを作成したディスクグループ名が設定されていることを確認してください。
参照
Oracle ASM インスタンスの初期化パラメータについては、Oracle Database のマニュアルを参照してください。
userApplication の作成
userApplication 作成時は、Oracle インスタンスリソースと同様に Oracle ASM インスタンスリソースを作成してください。Oracle ASM インスタンスリソースと、その Oracle ASM インスタンスリソースに関連する Oracle インスタンスリソースは、同じ Oracle リソースに登録してください。
次の画面は、Oracle ASM インスタンスリソース“+ASM”と、その Oracle ASM インスタンスリソースに関連する Oracle インスタンスリソース“db1”をOracle リソース“Oracle1”に登録した例です。
参考
Oracle ASM インスタンスをリソース登録する場合の手順については、「2.2.7.2 Oracle リソースの作成」の手順“3”を参照してください。
Oracle ASM インスタンスリソースのフラグ設定値には、NullDetector 属性のみが自動設定されます。この値を変更することはできません。
Oracle Database 11g R2以降の Oracle ASM をスタンバイ運用で使用する場合の注意事項は以下の通りです。
サポートする構成
Oracle Database 11g R2以降で Oracle ASM を使用する場合は Oracle Grid Infrastructure をインストールする必要があります。スタンバイ運用またはシングルノードクラスタ運用では、Oracle Database のインストールユーザーと Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーを分割する構成をサポートします。単一インストールユーザーの構成はサポート対象外です。
また、Oracle Database のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数と Oracle Grid Infrastructure のインストールユーザーの ORACLE_BASE 環境変数は、異なるディレクトリを指定してください。
Oracle Grid InfrastructureのインストールとOracle ASMインスタンス、データベースの作成
“付録C Oracle Grid InfrastructureのインストールとOracle ASMインスタンス、データベースの作成”を参照してOracle Grid Infrastructure のインストールと Oracle ASM インスタンス、データベースの作成を行ってください。
注意
Oracle ASM インスタンス作成時、Oracle ASM インスタンス名の先頭に「+」がつくように設定してください。(デフォルトでは “+ASM” となります)
1台のサーバに複数の ORACLE_HOME を作成している場合 (複数の Oracle Database ソフトウェアをインストールしている場合) 、Oracle インスタンス名には異なる Oracle インスタンス名を設定してください。
1つの userApplication 内で Oracle ASM インスタンスとデータベースの関係が 1:1 もしくは、1:n になるように、Oracle ASM インスタンスとデータベースを作成してください。
Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:1
Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:n
下図は、Oracle ASM インスタンス:データベース = 1:2 の例です。
Oracle Database 11g R2以降の Oracle ASM をスタンバイ運用で使用する場合は、以下の運用形態のみサポートします。
1:1 運用待機
Oracle Database 11g R2以降の Oracle ASM をスタンバイ運用で使用する場合は、以下の運用形態はサポート対象外です。
カスケード
相互待機
N:1 運用待機
移動待機
N:M 運用待機
参照
Oracle ASM インスタンス、データベースの作成は、Oracle Database のマニュアルを参照してください。
Oracle Restartの設定変更
PRIMECLUSTER Wizard for OracleからOracle ASMを制御するために、Oracle Restartの設定を変更してください。
Oracle Database 11g R2/12c R1(12.1.0.1)の場合
各ノードにて、以下のコマンドを Grid ユーザーで実行し、OS 起動時に Oracle Restart および CSS(Cluster Synchronization Services)デーモンが起動するように設定してください。また、Oracle Restart による Oracle インスタンス、リスナー、Oracle ASM の自動起動を無効にしてください。
コンポーネント | コマンド |
---|---|
Oracle Restart | crsctl enable has |
CSS | crsctl modify resource ora.cssd -attr "AUTO_START=always" |
Oracle ASM | srvctl disable asm |
Oracle リスナー | srvctl disable listener [-l <listener_name>] |
Oracle インスタンス | srvctl disable database -d <db_unique_name> |
Oracle Database 12c R1(PSR12.1.0.2以降)/12c R2の場合
各ノードにて、以下のコマンドを Grid ユーザーで実行し、OS 起動時に Oracle Restartが起動するように設定してください。また、Oracle Restart による Oracle インスタンス、リスナー、Oracle ASM の自動起動を無効にしてください。
コンポーネント | コマンド |
---|---|
Oracle Restart | crsctl enable has |
Oracle ASM | srvctl disable asm |
Oracle リスナー | srvctl disable listener [-l <listener_name>] |
Oracle インスタンス | srvctl disable database -d <db_unique_name> |
userApplication の作成
userApplication 作成時は、Oracle インスタンスリソースと同様に Oracle ASM インスタンスリソースを作成してください。Oracle ASM インスタンスリソースと、その Oracle ASM インスタンスリソースに関連する Oracle インスタンスリソースは、同じ Oracle リソースに登録してください。
次の画面は、Oracle ASM インスタンスリソース“+ASM”と、その Oracle ASM インスタンスリソースに関連する Oracle インスタンスリソース“db1”をOracle リソース“Oracle1”に登録した例です。
参考
Oracle ASM インスタンスをリソース登録する場合の手順については、「2.2.7.2 Oracle リソースの作成」の手順“3”を参照してください。
Oracle ASM インスタンスリソースのフラグ設定値には、NullDetector 属性のみが自動設定されます。この値を変更することはできません。
注意
Oracle ASM インスタンスリソースと Oracle リスナーリソースには Grid ユーザーを、Oracle インスタンスリソースには Oracle ユーザーを設定してください。
Oracle Database 11g R2/12c R1(12.1.0.1)の場合は、Oracle ASM の起動前に CSS の待ち合わせをするため、Oracle ASM インスタンスリソースの PreOnlineScript に以下のスクリプトを設定してください。Oracle Database 12c R1(PSR12.1.0.2以降)/12c R2の場合は、以下のスクリプトを設定しないでください。
/opt/FJSVclora/sbin/cloracsswait <Grid ユーザー名>
Oracleデータベース・サービスを使用する場合
Oracleデータベースの作成時にデフォルトで作成されるサービス以外のOracleデータベース・サービスを使用する場合は以下のスクリプトを設定してください。
Cmdlineリソースを作成して、Startスクリプトに以下のスクリプトを設定してください。Stopスクリプト、Checkスクリプトは設定しません。NULLDETECTORを"Yes"に設定してください。TIMEOUTはデフォルト値300秒を設定してください。
/opt/FJSVclora/sbin/clorasrvstart <Grid ユーザー名> <db_unique_name>[,<db_unique_name>,…]
Oracleデータベース・サービスを使用するdb_unique_nameが複数の場合はカンマで区切って指定してください。
Oracle インスタンスの起動後に、指定したdb_unique_nameに登録されているOracleデータベース・サービスが全て起動します。
参照
Oracleデータベース・サービスについては、Oracle Databaseのマニュアルを参照してください。
Oracle ASM インスタンスで使用するディスクグループは、手動でマウント操作 (mount/umount) をしないでください。ディスクグループがマウントされている場合は、Oracle ASM リソース活性化時に以下のメッセージがコンソールに出力される場合がありますが、特に対処する必要はありません。
ORA-15032: not all alterations performed
ORA-15017: diskgroup "ディスクグループ名" cannot be mounted
ORA-15030: diskgroup name "ディスクグループ名" is in use by another diskgroup