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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 16.6 運用ガイド
FUJITSU Storage

3.8.2 物理ディスク単位のバックアップ運用

ボリュームグループの構成が、ボリュームグループ単位での運用条件を満たしていない場合は、物理ディスク単位で操作することでバックアップ運用できます。

物理ディスク単位に運用する場合は、ボリュームグループとしての整合性を保つ必要があるため、ボリュームグループ内のすべての物理ディスクで同期をとって操作してください。

ポイント

同期を取る必要のある物理ボリュームは、Webコンソールおよびstgxfwcmdispdevコマンドで確認できます。

注意

クラスタ構成で運用する場合、クラスタを構成するすべてのサーバにおいて、ボリュームグループを構成する物理ディスクのデバイス名(/dev/(r)dsk/c#t#d#)が同じであり、デバイス名が指すETERNUS ディスクアレイのディスクも同じである必要があります。

図3.15 物理ディスク単位で運用する構成例

3.8.2.1 運用設計

複製元ボリュームがボリュームグループの場合、複製作成後に複製先ボリュームを使用するには、複製先ボリュームが、複製元ボリュームと同一の論理ボリューム構成かつ同一の物理ディスクサイズのボリュームグループである必要があります。

図3.16 業務ボリュームとバックアップボリューム

3.8.2.2 事前準備

3.8.2.2.1 ボリュームグループ構成情報ファイルの退避

バックアップの後処理として、ボリュームグループ構成情報ファイルをリストアする必要があります。ボリュームグループ構成情報ファイルが退避されていることを確認してください。通常は、以下のファイルに退避されています。

/etc/lvmconf/<ボリュームグループ名>.conf
3.8.2.2.2 業務ボリューム/バックアップボリュームの設定

業務ボリューム/バックアップボリュームを設定する際は、ボリュームグループ内のすべての物理ディスクを設定します。

[例]

# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/dsk/c1t0d10
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -t /dev/dsk/c1t0d11
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/dsk/c1t0d20 
swstdevinfoset completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstdevinfoset -b /dev/dsk/c1t0d21
swstdevinfoset completed
#
3.8.2.2.3 デバイスマップファイルの例

LVMボリュームのバックアップ運用では、業務ボリュームと同一のボリューム構成をもつバックアップボリュームを指定する必要があるため、デバイスマップファイルの作成が必要です。

[デバイスマップファイルの例]

# 業務ボリューム名             出力先バックアップボリューム名
/dev/dsk/c1t0d10               /dev/dsk/c1t0d20
/dev/dsk/c1t0d11               /dev/dsk/c1t0d21

デバイスマップファイルの詳細は、「3.4.9 デバイスマップファイルの準備」を参照してください。

3.8.2.3 物理ディスク単位のバックアップの実行

ボリュームグループ内のすべての物理ディスクで、同期をとって操作します。

必要な前後処理は、バックアップの操作を行う前後にボリュームグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際は、前後処理が動作しないようにします。

[スナップショット型バックアップの例]

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d10 -Xdvemap /acm/devmap.txt
/dev/dsk/c1t0d10 swstbackup completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d11 -Xdvemap /acm/devmap.txt
/dev/dsk/c1t0d11 swstbackup completed
#

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する後処理を行う)

[同期型バックアップの例]

(バックアップボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swststartsync /dev/dsk/c1t0d10 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/dsk/c1t0d10 swststartsync completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swststartsync /dev/dsk/c1t0d11 -Xdevmap /acm/devmap.txt
/dev/dsk/c1t0d11 swststartsync completed

(等価性維持状態後)

(業務ボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d10
/dev/dsk/c1t0d10 swstbackup completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstbackup /dev/dsk/c1t0d11
/dev/dsk/c1t0d11 swstbackup completed
#

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する後処理を行う)

バックアップの前後で実施する前後処理は、以下のとおりです。

表3.4 バックアップの前後処理

ボリューム種別

前処理

後処理

業務ボリューム

  1. ボリュームグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ボリュームグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

バックアップボリューム

  1. ボリュームグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ボリュームグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  1. ボリュームグループを再構成します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

ボリュームグループの再構成

ボリュームグループを再構成する手順は、以下のとおりです。

  1. ボリュームグループの停止

    # /usr/sbin/vgchange -a n /dev/vg02
    #
  2. ボリュームグループ構成情報のリストア

    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg02 /dev/rdsk/c1t0d20
    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg02 /dev/rdsk/c1t0d21
    #
  3. ボリュームグループの起動

    [クラスタ運用している場合]
    # /usr/sbin/vgchange -c y /dev/vg02
    # /usr/sbin/vgchange -a e /dev/vg02
    
    [クラスタ運用していない場合]
    # /usr/sbin/vgchange -a y /dev/vg02
    #

共有モードのボリュームグループを再構成する手順は、以下のとおりです。

  1. ボリュームグループの停止(業務を構成している全ノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgchange -a n /dev/vg02
    #
  2. ボリュームグループ構成情報のリストア(ボリュームグループを作成したノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg02 /dev/rdsk/c1t0d20
    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg02 /dev/rdsk/c1t0d21
    #
  3. 共有可能なボリュームグループのマーク(ボリュームグループを作成したノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgchange -S y -c y /dev/vg02
    #
  4. ボリュームグループの起動(業務を構成している全ノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgchange -a s /dev/vg02
    #

3.8.2.4 物理ディスク単位のリストアの実行

ボリュームグループ内のすべての物理ディスクで、同期をとって操作します。

必要な前後処理は、リストアの操作を行う前後にボリュームグループ単位で実施し、各物理ディスクを操作する際は、前後処理が動作しないようにします。

[リストアの例]

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する前処理を行う)

# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/dsk/c1t0d10
/dev/dsk/c1t0d10 swstrestore completed
# /opt/FJSVswsts/bin/swstrestore /dev/dsk/c1t0d11
/dev/dsk/c1t0d11 swstrestore completed
#

(業務ボリューム/バックアップボリュームに対する後処理を行う)

リストアの前後で実施する前後処理は、以下のとおりです。

表3.5 リストア処理

ボリューム種別

前処理

後処理

バックアップボリューム

ボリュームグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止し、データの整合性を確保します。

後処理は不要です。

リストア先ボリューム

  1. ボリュームグループ内のすべての論理ボリュームへのアクセスを停止します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、ボリュームグループ内のすべてのファイルシステムをアンマウントします。

  1. ボリュームグループを再構成します。

  2. ファイルシステムが含まれる場合、前処理でアンマウントしたボリュームをマウントします。

ボリュームグループの再構成

ボリュームグループを再構成する手順は、以下のとおりです。

  1. ボリュームグループの停止

    # /usr/sbin/vgchange -a n /dev/vg01
    #
  2. ボリュームグループ構成情報のリストア

    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg01 /dev/rdsk/c1t0d10
    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg01 /dev/rdsk/c1t0d11
    #
  3. ボリュームグループの起動

    [クラスタ運用している場合]
    # /usr/sbin/vgchange -c y /dev/vg01
    # /usr/sbin/vgchange -a e /dev/vg01
    
    [クラスタ運用していない場合]
    # /usr/sbin/vgchange -a y /dev/vg01
    #

共有モードのボリュームグループを再構成する手順は、以下のとおりです。

  1. ボリュームグループの停止(業務を構成している全ノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgchange -a n /dev/vg01
    #
  2. ボリュームグループ構成情報のリストア(ボリュームグループを作成したノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg01 /dev/rdsk/c1t0d10
    # /usr/sbin/vgcfgrestore -n /dev/vg01 /dev/rdsk/c1t0d11
    #
  3. 共有可能なボリュームグループのマーク(ボリュームグループを作成したノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgchange -S y -c y /dev/vg01
    #
  4. ボリュームグループの起動(業務を構成している全ノードで実行します)

    # /usr/sbin/vgchange -a s /dev/vg01
    #