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ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 16.6 運用ガイド
FUJITSU Storage

8.7.1 ZFSスナップショット機能とAdvancedCopy Manager機能を使用したオンラインバックアップ

Storage Clusterコンティニュアスコピー機能を利用したレプリケーション運用の場合の構成例を以下に示します。

図8.5 Storage Clusterコンティニュアスコピー機能を利用したレプリケーション運用の場合の構成例

構成例詳細

業務用のストレージプールを構成する物理DISKは1本で、DISK全体を登録しています。

バックアップはバックアップ用ストレージプールに保存します。

  • 業務サーバ(管理対象サーバ): SV

  • バックアップサーバ(運用管理サーバ): BKSV(AdvancedCopy Managerへの登録名)

  • 業務用ストレージプール: STP1

  • バックアップ用ストレージプール: STP1

  • ディスク

    物理ディスク

    接続サーバ

    デバイス種別

    デバイス名

    用途(ストレージプール)

    業務VOL

    SV

    LU

    c1t1d1

    業務用ストレージプール(STP1)

    バックアップVOL

    BKSV

    LU

    c2t1d11

    バックアップ用ストレージプール(STP1)

Storage Clusterコンティニュアスコピー機能を利用したAdvancedCopy Manager CCM運用の場合の構成例を以下に示します。

図8.6 Storage Clusterコンティニュアスコピー機能を利用したAdvancedCopy Manager CCM運用の場合の構成例

構成例詳細

業務用のストレージプールを構成する物理DISKは1本で、DISK全体を登録しています。

バックアップはバックアップ用ストレージプールに保存します。

  • 業務サーバ: SV

  • CCMサーバ: BKSV

  • 業務用ストレージプール: STP1

  • バックアップ用ストレージプール: STP1

  • ディスク

    物理ディスク

    接続サーバ

    LU番号

    デバイス種別

    デバイス名

    用途(ストレージプール)

    業務VOL

    SV

    0x01

    LU

    c1t1d1

    業務用ストレージプール(STP1)

    バックアップVOL

    BKSV

    0x11

    LU

    c2t1d11

    バックアップ用ストレージプール(STP1)

注意

  • 業務用ストレージプールとバックアップストレージプール間のRECは未サポートです。

  • すべてのデバイスは、同じTFOグループに配置してください。

  • バックアップボリュームを利用して、ZFSファイルシステムのバックアップ/リストアを運用する場合は、以下の点に注意してください。

    • TFOVは、バックアップボリュームとして指定できません。

    • ZFSストレージプールを構成するデバイスからバックアップ用ストレージプールへのアドバンスト・コピーは、QuickOPCを使用してください。

    • バックアップ用ストレージプールからバックアップボリュームへのリモートアドバンスト・コピーは、AdvancedCopy Manager CCMを使用してください。

図8.7 ZFSファイルシステムのバックアップ/リストアの運用例

参考

8.7.1.1 事前準備

以下の手順で事前準備してください。

  1. 業務用ストレージプール内デバイス一覧の取得

  2. バックアップ用およびリストア用のコピー設定

業務用ストレージプール内デバイス一覧の取得

業務用ストレージプール内デバイス一覧の取得方法は、非TFOVと同じです。詳細は、「G.2.3 事前準備」の「業務用ストレージプール内デバイス一覧の取得」を参照してください

バックアップ用およびリストア用のコピー設定

業務用ストレージプールとバックアップ用ストレージプールのコピー設定(バックアップ/リストア用)を実施してください。

以下の組合せでAdvancedCopy Managerに登録します。

表8.1 コピーグループ

用途

コピー元

コピー先

グループ名(例)

バックアップ/リストア用

業務用ストレージプール

バックアップ用ストレージプール

STP1

表8.2 登録デバイス

デバイス

登録するデバイス

例(注)

デバイス名

LUN番号

業務用ストレージプール

G.2.3 事前準備」の「業務用ストレージプール内デバイス一覧の取得」で確認した、業務用ストレージプールを構成するデバイス

c1t1d1

0x01

バックアップ用ストレージプール

バックアップ用ストレージプールを構成するデバイス

c2t1d11

0x11

注: レプリケーション管理を使用する場合はデバイス名、AdvancedCopy Manager CCMを使用する場合はLUN番号を使用します。

レプリケーション管理を使用する場合

表8.1 コピーグループ」で示したコピー元を複製元ボリューム、コピー先を複製先ボリュームとして、それぞれ「表8.2 登録デバイス」で示したデバイスを登録します。

バックアップ/リストア処理において同期をとって操作するため、1つのストレージプールを構成するすべてのデバイスを1つのグループとして登録します。グループ操作の詳細は、「7.4.7 グループの作成」を参照してください。

[実行例]

バックアップサーバで複製元/複製先ボリュームを指定して、表で示した3つのグループを作成します。

# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpsetvol -o BOTH -Xgroup STP1 /dev/dsk/c1t1d1@SV /dev/dsk/c2t1d11@BKSV
swsrpsetvol completed
# /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpvolinfo -L
Server Original-Volume         Size       Replica-Volume           Size       Copy          Op-Server   Group
BKSV   /dev/dsk/c1t1d1@SV      4.0 Gbyte  /dev/dsk/c2t1d11@BKSV    4.0 Gbyte  bi-direction  both        STP1
#
AdvancedCopy Manager CCMを使用する場合

それぞれのコピー元とコピー先の組合せを登録します。

バックアップ/リストア処理において同期をとって操作するため、1つのストレージプールを構成するすべてのデバイスを1つのグループとして登録します。グループ操作の詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド Copy Control Module編』の「コピーグループの作成」および「コピーペアの追加」を参照してください。

  1. コピーグループの作成

    コピー設定ごとにコピーグループを作成します。
    表に示した3つのコピーグループの作成例を以下に示します。(コピーのタイプはOPC)

    # acgroup create -g STP1 -type OPC -a DX440
    Successful completion.
    #
  2. コピーペアの登録

    作成したコピーグループに、コピー元とコピー先の組み合わせを登録します。1つのストレージプールを構成するすべてのデバイスを登録してください。
    作成したコピーグループに、表で示したデバイスをそれぞれ登録する例を以下に示します。

    # acpair add -g STP1 -p DX440/0x01:DX440/0x11
    Successful completion.
    #

8.7.1.2 運用

ZFSのストレージプールをバックアップおよびリストアする手順について説明します。詳細は、「付録G ZFSファイルシステムのバックアップ/リストア」を参照してください。

ポイント

  • TFOグループの状態が"Normal"の場合、PrimaryストレージまたはSecondaryストレージのどちらか一方でもアドバンスト・コピーを操作できないときは、コマンドが異常終了することがあります。PrimaryストレージとSecondaryストレージの両方で異常の原因を確認し、異常が発生しているストレージでエラーメッセージに対する対処を実施してください。

  • TFOグループの状態が"Normal"かつTFOグループのフェーズが"Maintenance"、または、TFOグループの状態が"Halt"の場合、コマンドは、TFOステータスが"Active"のストレージでアドバンスト・コピーを操作して正常終了しますが、TFOステータスが"Standby"のストレージでアドバンスト・コピーを操作できないことがあります。そのとき、swsrp2882メッセージが出力されることがあります。
    swsrp2882メッセージが出力された場合は、TFOグループの状態が"Normal"かつTFOグループのフェーズが"Maintenance"以外になったあと、「8.10 Storage Clusterコンティニュアスコピー機能を復旧する場合」を参照して対処してください。

  • フェイルオーバまたはフェイルバック中は、アドバンスト・コピーを操作できません。

  • Storage Clusterの対象となるボリューム、または、ボリュームのTFOグループを変更した場合は、「8.11.2 Storage Clusterの対象となるボリュームを変更した場合」を参照して、複製ボリュームを再登録してください。

  • PrimaryストレージとSecondaryストレージ間で同期していないTFOVは、以下のコマンドを実行できません。

    SecondaryストレージのTFOステータスが"Active"の場合、以下のコマンドも実行できません。

    アドバンスト・コピーの状態の確認とセッションの停止は、WebコンソールまたはAdvancedCopy Manager Copy Control Moduleのコマンドを利用してください。

    • Webコンソールを利用する場合

      『ETERNUS SF Webコンソール説明書』の「コピーセッションの表示/強制サスペンド/強制停止」を参照してください。

    • AdvancedCopy Manager Copy Control Moduleのコマンドを利用する場合

      • accopy queryコマンド

      • accopy fcancelコマンド

      コマンドの詳細は、『ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 運用ガイド Copy Control Module編』の「コマンドリファレンス」を参照してください。

バックアップ

オンラインバックアップを行う手順を示します。

項番

内容

操作サーバ

1

バックアップ用ストレージプールをexportします。

バックアップサーバ

2

業務用ストレージプールのスナップショットを作成します。

業務サーバ

3

AdvancedCopy Managerで業務用ストレージプール配下のデバイスから、バックアップ用ストレージプール配下のデバイスへバックアップします。

業務サーバ

4

バックアップ用ストレージプールの状態を確認します。

バックアップサーバ

  1. バックアップ用ストレージプールをexportします。

    ZFSストレージプールのexportの詳細は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    # zpool list
    NAME   SIZE   USED     AVAIL    CAP  HEALTH  ALTROOT
    STP1   345G   121M     345G     0%   ONLINE  -
    # zpool export STP1
    #
  2. 業務用ストレージプールのスナップショットを作成します。

    1. 業務用ストレージプールへのリストアに使用しないスナップショットを削除します。
      ZFSのスナップショットの削除方法は、OSのマニュアルを参照してください。

    2. syncコマンドを実行し、業務用ストレージプールとファイルシステムの同期をとります。

    3. ファイルシステム業務用ストレージプールでスナップショットを作成します。
      ZFSのスナップショットの作成方法は、OSのマニュアルを参照してください。

    4. syncコマンドを実行し、業務用ストレージプールとファイルシステムの同期をとります。

    [実行例]

    # zfs destroy STP1@SNAP0
    # sync
    # zfs snapshot -r STP1@SNAP0
    # sync
    #
  3. AdvancedCopy Managerで業務用ストレージプール配下のデバイスから、バックアップ用ストレージプール配下のデバイスへバックアップします。

    レプリケーション管理を使用する場合

    -Xgroupオプションにバックアップ/リストア用グループ"STP1"を指定して、swsrpmakeコマンドを実行します。

    [実行例]

    # /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -Xgroup STP1
    GROUP=STP1 swsrpmake completed
    #
    AdvancedCopy Manager CCMを使用する場合

    -gオプションにバックアップ/リストア用グループ"STP1"を指定して、AdvancedCopy Manager CCMのacopc startコマンドを実行します。

    [実行例]

    # /opt/FJSVccm/bin/acopc start -g STP1
    DX440/0x01:DX440/0x11
    # DATE : 2012/01/01 00:00:00 - << OPC Started >>
    # From:BoxID=303045343030304d3323232323234534353053323041232323234b44343033303633393030342323/Olu=01/Adr_high=0/Adr_low=0/size_high=0/size_low=0
    # To:BoxID=303045343030304d3323232323234534353053323041232323234b44343033303633393030342323/Olu=11/Adr_high=0/Adr_low=0
    # Standby-Session : DX440SEC/0x02:DX440SEC/0x12
    Succeeded : 1
    Failed : 0
    #

    注意

    ストレージプールを構成するすべてのデバイスに対して処理を行うため、コピーペアは指定しないでください。

  4. バックアップ用ストレージプールの状態を確認します。

    1. バックアップサーバでバックアップ用ストレージプールをimportします。

    2. バックアップサーバでバックアップ用ストレージプールをexportします。

    ZFSストレージプールのimport/exportの詳細は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    # zpool import
      プール: STP1
            ID: 15271135801818262407
          状態: ONLINE
    アクション: プールの名前または数値識別子を使用してプールをインポートできます。
          構成:
    
            STP1        ONLINE
              c2t1d11   ONLINE
    # zpool import -f STP1
    # zpool list
    NAME   SIZE   USED     AVAIL    CAP  HEALTH  ALTROOT
    STP1   345G   345M     345G     0%   ONLINE  -
    # zpool export STP1
    #

    注意

    import/exportに失敗した場合は、手順2から再実施してください。

リストア

リストアを行う手順を示します。

項番

内容

操作サーバ

1

業務用ストレージプールをexportします。

業務サーバ

2

バックアップ用ストレージプールをexportします。

バックアップサーバ

3

AdvancedCopy Managerでバックアップ用ストレージプール配下のデバイスから、業務用ストレージプール配下のデバイスへリストアします。

業務サーバまたはバックアップサーバ

4

業務用ストレージプールをimportします。

業務サーバ

5

業務用ストレージプールをリストア対象のスナップショットにロールバックします。

業務サーバ

6

対象のZFSファイルシステムをマウントします。

業務サーバ

  1. 業務用ストレージプールが存在する場合は、exportします。

    ZFSストレージプールのexportの詳細は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    # zpool list
    NAME   SIZE   USED     AVAIL    CAP  HEALTH  ALTROOT
    STP1   345G   345M     345G     0%   ONLINE  -
    # zpool export STP1
    #
  2. バックアップ用ストレージプールをexportします。

    ZFSストレージプールのexportの詳細は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    # zpool list
    NAME   SIZE   USED     AVAIL    CAP  HEALTH  ALTROOT
    STP1   345G   121M     345G     0%   ONLINE  -
    # zpool export STP1
    #
  3. AdvancedCopy Managerでバックアップ用ストレージプール配下のデバイスから、業務用ストレージプール配下のデバイスへリストアします。

    レプリケーション管理を使用してリストアする場合

    -Xreverseオプションと-Xgroupオプションにバックアップ/リストア用グループ"STP1"を指定して、swsrpmakeコマンドを実行します。

    [実行例]

    # /opt/FJSVswsrp/bin/swsrpmake -Xgroup STP1 -Xreverse
    GROUP=STP1 swsrpmake completed
    #
    AdvancedCopy Manager CCMを使用してリストアする場合

    -rオプションと-gオプションにバックアップ/リストア用グループ"STP1"を指定して、AdvancedCopy Manager CCMのacopc start(OPCまたはQuickOPCのコピー開始コマンド)を実行します。

    [実行例]

    # /opt/FJSVccm/bin/acopc start -g STP1 -r
    DX440/0x11:DX440/0x01
    # DATE : 2012/01/01 00:00:00 - << OPC Started >>
    # From: BoxID=303045343030304d3323232323234534353053323041232323234b44343033303633393030342323/Olu=11/Adr_high=0/Adr_low=0
    # To: BoxID=303045343030304d3323232323234534353053323041232323234b44343033303633393030342323/Olu=01/Adr_high=0/Adr_low=0/size_high=0/size_low=0
    # Standby-Session : DX440SEC/0x12:DX440SEC/0x02
    Succeeded : 1
    Failed : 0
    #

    注意

    ストレージプールを構成するすべてのデバイスに対して処理を行うため、コピーペアは指定しないでください。

  4. 業務用ストレージプールで、リストア手順の手順3でリストアしたデバイスをimportします。

    ZFSストレージプールのimport方法は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    # zpool import STP1
    #
  5. 業務用ストレージプールでリストア対象のスナップショットにロールバックします。

    ZFSストレージプールのスナップショットにロールバックする方法は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    SNAP1にロールバックする場合

    # zfs list -t snapshot
    NAME           USED  AVAIL  REFER  MOUNTPOINT
    STP1@SNAP1       0       -    19K   -
    STP1@SNAP2     16M       -    18K   -
    STP1@SNAP3     32M       -    18K   -
    # zfs rollback -r STP1@SNAP1
    #
  6. リストアを行った業務用ストレージプール上のZFSファイルシステムをマウントします。

    手順5までにZFSファイルシステムが自動マウントされなかった場合は、手動でZFSファイルシステムをマウントしてください。

    ZFSファイルシステムのマウント方法は、OSのマニュアルを参照してください。

    [実行例]

    # zfs mount STP1/data1
    # zfs mount STP1/data2
    #