本方式では、複数のNICをそれぞれ異なるネットワークに接続し、これらのNICをすべて活性化して同時に使用します。送信パケットは、通信するTCPコネクション単位に伝送路へ振り分けられます。
通信のコネクション単位で使用する伝送路が異なる為、1つの伝送路に異常があった場合には、他の伝送路を使用して通信を継続させる事により、伝送路の信頼性を向上する機能を提供します。
また、高速切替方式と同様に、仮想インタフェースを生成し、仮想ネットワークを割り当てます。TCP/IPアプリケーションは、この仮想インタフェースに設定された仮想IPアドレスを自システムのIPアドレスとして使用することにより、物理的なネットワークの冗長構成を意識することなく相手システムと通信を行うことが可能となります。
図2.12 GS/SURE連携方式(GS/SURE通信機能)による二重化運用例
図2.13 GS/SURE連携方式(TCP中継機能)による二重化運用例
GS/SURE通信機能を使用した接続形態は、通信するシステムを同一ネットワーク上に接続します。なお、別ネットワークに接続することはできません。
TCP中継機能を使用した接続形態は、自システムと相手システム間のSUREを介して、別ネットワーク上の通信相手と通信を行います。
通信を行うTCPコネクション単位で使用する伝送路を使い分け、伝送路異常が発生した場合には、他の正常な経路で処理を継続させる事ができます。また冗長化した伝送路はすべて活性化して使用しているため、個々の伝送路を別用途で直接使用することも可能であり、資源を有効利用できます。
GS/SUREとGPが混在したマルチサーバ環境下での通信や、レガシー系システムのネットワークインフラをIP化により再構築する場合等に適しています。
GS/SURE連携方式(GS/SURE通信機能)のシステム構成を、図2.14 GS/SURE連携方式(GS/SURE通信機能)のシステム構成に示し、GS/SURE連携方式(TCP中継機能)を図2.15 GS/SURE連携方式(TCP中継機能)のシステム構成に示します。
図2.14 GS/SURE連携方式(GS/SURE通信機能)のシステム構成
図2.15 GS/SURE連携方式(TCP中継機能)のシステム構成
各構成要素とその意味は以下の通りです。
二重化したNICの物理インタフェース(sha1,sha2等)を表します。
物理インタフェースに付与するIPアドレスを表します。このIPアドレスは、常に活性化された状態となっています。クラスタ運用管理ビュー等によりノードの管理を行う場合に本IPアドレスを使用します。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスです。IPv6アドレスは指定できません。
二重化したNICを1つに見せるための仮想インタフェース(sha0等)を表します。
相手装置と通信するため、仮想インタフェースに割り当てる自側のIPアドレスを表します。このIPアドレスは運用ノード上で活性化され、クラスタシステムの場合には、クラスタ切替え発生時に待機ノードへ引継がれます。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスです。IPv6アドレスは指定できません。
GS/SURE連携方式で使用する仮想的なゲートウェイを表します。仮想ゲートウェイを設定することにより、通信時に使用する自IPアドレスとして仮想IPが自動的に選択されるようになります。
中継装置、通信相手装置のNICを表します。
相手装置のNICに設定されたIPアドレスを表します。本IPアドレスを監視します。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスです。IPv6アドレスは指定できません。
通信する相手装置の仮想IPアドレスを表します。指定可能なアドレス形式はIPv4アドレスです。IPv6アドレスは指定できません。
相手システムのLANアダプターに対して定期的にpingを発行し、その応答を監視します。一定時間内に応答がない場合、その伝送路は異常であると判断します。また相手システム側から伝送路の異常通知(専用パケットによる通知)を受信した場合も、その伝送路は異常であると判断します。
図2.16 GS/SURE連携方式における監視方法
伝送路の切替え時間は[監視間隔(sec)×監視回数(count)]で表されます。監視間隔は1~300秒、監視回数は1~300回の範囲で設定が可能で、デフォルト値はそれぞれ5秒、5回です。
以下の障害を検出する事ができます。
図2.17 GS/SURE連携方式での検出可能障害
仮想インタフェースの活性化時に自動的に監視を開始します。また、仮想インタフェース非活性化時に自動的に監視を停止します。
障害を検出した伝送路を自動的に回避し、正常な伝送路のみを使用して通信を継続します。
障害が発生した物理インタフェースの経路が復旧した場合には、その物理インタフェースの伝送路は自動的に通信に利用されるようになります。なお、手動で切戻しを行う事はできません。
以下のようなシステムとの通信が可能です。
GS/SURE通信機能を使用する場合
GS
SURE SYSTEM
ExINCA
TCP中継機能を使用する場合
任意のホスト(ただし、中継装置はSURE SYSTEMのみ)
本方式にて動作可能なユーザアプリケーションの条件は以下の通りです。
TCP/IPを利用したアプリケーション
使用する物理インタフェースには、必ずIPv4アドレスを設定してください。
GS/SURE連携方式(GS/SURE通信機能)で仮想ゲートウェイの設定を省略する場合は、動的ルーティングを有効にする必要があります。設定方法については、“3.2.2.4 GS/SURE連携方式の設定”を参照してください。
本方式は、Solarisサーバ~Solarisサーバ間、Solarisサーバ~Linuxサーバ間の通信には利用できません。
仮想インタフェースおよび仮想インタフェースで冗長化するインタフェースを変名しないでください。変名した場合、仮想インタフェースの活性化および非活性化が、正常に実施できません。