NetCOBOLを用いてのUNIX系プログラムの分散開発には、いくつかの強力なメリットがある反面、多くの細々としたデメリットもあります。
このメリットとデメリットを理解し、そのメリットを最大限に活かすことで、高い生産性と品質を得ることが可能になります。
メリット
UNIX系システムの知識があまり必要ない
UNIX系システムは、優れたネットワーク機能と安定性、セキュリティ強度の高さなどの利点から主にサーバ用途で利用される反面、開発作業もtelnet端末などを介してのコマンドベースの作業になります。このためには、UNIX系システムで使用するコマンドや環境設定などの知識が必要になります。
分散開発を適用する場合、開発管理者が基本的な設定を行った後では、ほとんどの操作がWindowsシステム上からGUIによって可能となるため、一般の開発者はUNIX系システムについて最小限の知識で開発を行うことができます。
Windowsシステムと同等の操作性
一般の業務クライアントには、PC/Windowsシステムが採用されているため、多くの作業者にとって、Windowsシステムでの操作がより手慣れたものとなっています。このような場合、開発作業もUNIX系システム上での作業より、Windows上での作業の方が効率的になります。
豊富な開発ツール群の使用が可能
COBOLプログラムの開発・テスト・保守等に使用される製品の一部は、Windowsシステム上の製品しか存在しない、あるいは大きな機能差が存在する場合があります。
分散開発を適用した場合、これらの機能差はWindowsシステム上の製品によって補うことができます。
デメリット
製品のライセンスが余分に必要
分散開発を行うためには、NetCOBOL製品の開発系製品が、UNIX系システム側とWindowsシステム側の両方に必要となるため、それぞれに製品ライセンスを購入する必要があります。
また、ミドルウェア製品(例えばデータベース)と連携するプログラムの単体テストまでWindowsシステムで実施するような場合、Windowsシステムにも連携するミドルウェア製品のライセンスが必要になります。
開発プラットフォームの違いによる機能差
UNIX系システムとWindowsシステムでは、その基礎的な概念からオペレーティングシステムとしての機能まで、さまざまな箇所で細かな違いがあります。NetCOBOLでは、COBOL言語の機能内では、これらの違いを意識しないための仕組みを用意していますが、完全に同じ動作を期待できない場合もあります。
また、オペレーティングシステムそのものによって提供される機能を使用しているため、まったく使用できない機能も存在します。
詳細は“1.2.3 分散開発の適用範囲”で説明します。
