MQDをクラスタシステムで動作させるためにクラスタサービスを設定します。
WSFCの場合
PRIMECLUSTERの場合
以下の順序で設定します。
リソースグループのプロパティを設定する
リソースを登録する
リソースのプロパティを設定する
リソースグループのプロパティの設定
MQDの所属するリソースグループのプロパティを設定します。このグループに所属する他のリソースや業務運用を考慮して、システムとして適切な値を設定してください。特に問題がなければ、省略値のままで問題ありません。
リソースの登録
MQDをWSFCで動作させるために、MQD関連のリソースをすべてMQD用のリソースグループに登録します。登録は、クラスタアドミニストレータを使用して行います。リソースの登録内容は、MQDの運用方法によって異なります。表6.2 MQDのリソース一覧にMQDを使用する場合に登録するリソースの一覧を示します。
リソース資源 | サービス名 | リソースの種類 | 依存関係(依存先) | 備考 |
---|---|---|---|---|
IPアドレス(注1) | - | IPアドレス(注1) | なし | |
ネットワーク名(注1) | - | ネットワーク名(注1) | IPアドレス(注1) | |
共用ディスク | - | 物理ディスク | ネットワーク名(注1) | |
OD_startサービス | ODloader | 汎用サービス | 共用ディスク | (注2) |
NamingServiceサービス | Naming | 汎用サービス | OD_startサービス | (注2) |
InterfaceRep_Cache Serviceサービス | InterfaceRep_Cache_s | 汎用サービス | NamingServiceサービス | (注2) |
EventServiceサービス | esdmnmain | 汎用サービス | InterfaceRep_Cache Serviceサービス | (注2) |
TransactionDirectorサービス | TransactionDirector | 汎用サービス | EventServiceサービス | (注2) |
Interstage APIサービス | Interstage API | 汎用サービス | TransactionDirectorサービス | (注2) |
イベントチャネル起動用バッチファイル | - | 汎用アプリケーション | Interstage APIサービス | (注2) |
MQDサービス | MessageQueueDirector MQD001 | 汎用サービス | イベントチャネルの起動 | (注3) |
MQD拡張機能の起動バッチファイル | 汎用アプリケーション | 汎用アプリケーション | MQDサービス | (注4) |
ポイント
上記のすべてのリソースをMQD用のグループに登録してください。
リソースの名前には任意の文字列を指定してください。
実行できる所有者には、クラスタシステムを構成する両方のノードを指定してください。
汎用サービス登録時は、表中のサービス名を指定してください。
その他の設定項目については、指定の必要はありません。
注意
フェールオーバー クラスタリング機能の場合、“IPアドレス”、“ネットワーク名”のかわりに、“クライアントアクセスポイント”をリソースとして登録してください。
“ネットワーク名をコンピュータ名として使う”チェックボックスを選択しないでください。
MQD001は使用するMQDシステム名にあわせて変更してください。
MQDの拡張機能を起動する汎用アプリケーションとして登録できるバッチファイルは、以下のファイルで提供しています。
[MQDインストール先フォルダ]\sample\mqdstrsvc64.bat
使用の際には以下の行を使用するMQDシステム名に修正してください。
set MQDSYSNAME=-s MQD001
リソースのプロパティ設定
登録したリソースのプロパティを設定します。設定値は、業務アプリケーションの異常時の動作(再起動するのかフェイルオーバするのかなど)も考慮する必要があります。ここでは、ソフトウェアの障害などが発生した場合でも、グループ全体を別ノードに即座にフェイルオーバすることで、業務のダウン時間を極力短くする設定値で説明します。特に問題がなければ、この値に設定することをお勧めします。なお、ここで説明していない値については、リソース登録時の値をそのまま使用してください。
詳細設定
再起動する: チェックします (注1)
グループに適用する: チェックします
しきい値: 0を設定します
注意
起動確認を実施した後にこの設定にしてください。リソースの登録時点では、再起動しない設定にしておいてください。
パラメータ
MQDサービスのパラメータに“-r -p”を設定します。この設定により、フェイルオーバ時に資源が残った状態であっても、起動前に無条件に資源を回収することで確実にMQDを起動することが可能となります。
以下の順序で設定します。
MQD基本機能用の状態遷移プロシジャを登録する
MQD拡張機能用の状態遷移プロシジャを登録する
MQDのリソースを登録する
MQDクラスタサービスを設定する
MQDの基本機能用の状態遷移プロシジャを登録する
PRIMECLUSTER上で動作するMQDでは、状態遷移プロシジャを利用して、MQDの起動や停止を行います。状態遷移プロシジャとは、クラスタ制御からの状態遷移指示を受け取り、リソースの活性化や非活性化を制御(アプリケーションの起動や停止など)するものです。状態遷移プロシジャの詳細に関しては、“PRIMECLUSTER 導入運用手引書”を参照してください。
状態遷移プロシジャの登録方法について、以下の順に説明します。
状態遷移プロシジャファイルの修正
状態遷移プロシジャの格納とリソース登録
状態遷移プロシジャファイルの修正
MQDは状態遷移プロシジャファイルのひな型を提供します。MQD基本機能用のひな型は以下のファイルで提供しています。
/opt/FJSVmqd/sample/MQD001.MQD_INTERSTAGE
状態遷移プロシジャファイルのひな型は、以下の内容に設定しています。
MQDシステム名: MQD001
MQD起動: MQD拡張機能を連動して起動しない
MQD停止: 強制停止を行う
複数のMQDシステムを使用する場合は、状態遷移プロシジャをMQDシステムごとに用意する必要がありますので、ひな型を複写して使用してください。なお、状態遷移プロシジャファイル名は以下の規約に従ってください。
MQDシステム名.MQD_INTERSTAGE
例えば、MQDシステム名が“MQDSYS01”の場合には、“MQDSYS01.MQD_INTERSTAGE”となります。
また、上記以外の設定でMQDシステムの起動と停止を行う場合は、ひな型の修正が必要です。状態遷移プロシジャファイルの修正内容の例を以下に示します。
SYSNAME="MQD001" ↓ SYSNAME="MQDABC"
START_OPT="-s $SYSNAME -p" ↓ START_OPT="-s $SYSNAME"
START_OPT="-s $SYSNAME -p" ↓ START_OPT="-s $SYSNAME -p -r"
状態遷移プロシジャの格納とリソース登録
各ノードに状態遷移プロシジャファイルを格納とリソース登録を行います。それぞれPRIMECLUSTERのコマンドを使用して行います。格納はclsetprocコマンド、リソース登録はcladdprocrscコマンドでおこないます。コマンドの詳細は“PRIMECLUSTER 導入運用手引書”を参照してください。格納と登録を一括して行うスクリプトのひな型を以下のファイルで提供しています。
/opt/FJSVmqd/sample/ADDPROC_MQD_INTERSTAGE
ひな型では、以下の内容に設定しています。別の設定で登録する場合はひな型を編集して使用してください。
状態遷移プロシジャファイル名: MQD001.MQD_INTERSTAGE
リソースクラス: 基盤アプリケーションクラス(BasicApplication)
起動優先度: 100
修正の例を以下に示します。
PROC_NAME="MQD001.MQD_INTERSTAGE" ↓ PROC_NAME="MQDABC.MQD_INTERSTAGE"
PRIORITY="100" ↓ PRIORITY="150"
MQD拡張機能用の状態遷移プロシジャを登録する
MQDの拡張機能を使用する場合は、MQDの拡張機能(以下、サービスと呼びます)の状態遷移プロシジャを登録します。
状態遷移プロシジャの登録方法について、以下の順に説明します。
状態遷移プロシジャファイルの修正
状態遷移プロシジャの格納と登録
イベントチャネル連携サービスは、イベントチャネルの起動を前提としています。したがって、イベントチャネル連携サービスの起動前にイベントチャネルが起動されるように起動優先度を設定してください。
クラスタ環境でのイベントサービスの環境設定については、“高信頼性システムガイド”を参照してください。
状態遷移プロシジャファイルの修正
MQDは状態遷移プロシジャファイルのひな型を提供します。サービス用のひな型は、以下のファイルで提供しています。
/opt/FJSVmqd/sample/MQD001.MQDNSGW_INTERSTAGE
状態遷移プロシジャファイルのひな型は、以下の内容に設定しています。
MQDシステム名: MQD001
サービス起動: 定義反映を行わないで起動する
状態遷移プロシジャファイルを、使用するサービスに合わせて修正します。状態遷移プロシジャファイル名は以下の規約に従ってください。
MQDシステム名.MQDNSGW_INTERSTAGE
例えば、MQDシステム名が“MQDSYS01”の場合は、“MQDSYS01.MQDNSGW_INTERSTAGE”となります。
状態遷移プロシジャファイルの修正内容の例を以下に示します。
SYSNAME="MQD001" ↓ SYSNAME="MQDABC"
START_OPT="-s $SYSNAME $SERVICE" ↓ START_OPT="-s $SYSNAME -n $SERVICE"
状態遷移プロシジャの格納とリソース登録
各ノードに状態遷移プロシジャファイルを格納とリソース登録を行います。それぞれPRIMECLUSTERのコマンドを使用して行います。格納はclsetprocコマンド、リソース登録はcladdprocrscコマンドでおこないます。コマンドの詳細は“PRIMECLUSTER 導入運用手引書”を参照してください。格納と登録を一括して行うスクリプトのひな型を以下のファイルで提供しています。
/opt/FJSVmqd/sample/ADDPROC_MQDNSGW_INTERSTAGE
ひな型では、以下の内容に設定しています。別の設定で登録する場合はひな型を編集して使用してください。
状態遷移プロシジャファイル名: MQD001.MQDNSGW_INTERSTAGE
リソースクラス: 基盤アプリケーションクラス(BasicApplication)
起動優先度: 200
修正の例を以下に示します。
PROC_NAME="MQD001.MQDNSGW_INTERSTAGE" ↓ PROC_NAME="MQDSYS01.MQDNSGW_INTERSTAGE"
PRIORITY="200" ↓ PRIORITY="180"
MQDのリソースを登録する
各ノードにアプリケーションリソースをPRIMECLUSTER用のリソースとして登録します。操作はCUI(RMS Wizard)より行います。
CUI(RMS Wizard)については、“PRIMECLUSTER 導入運用手引書”を参照してください。表6.3 MQDのリソース一覧に登録するリソースの一覧を示します。
なお、必要に応じて、業務アプリケーションなどのリソースも登録してください。
リソース | リソースクラス |
---|---|
切替えディスク | DISK |
MACアドレス | MAC_Address |
ネットノード名 | NetNodename |
IPアドレス | IP_Address |
CORBAサービスの状態遷移プロシジャ | BasicApplication |
イベントサービスの状態遷移プロシジャ | BasicApplication |
MQDの基本機能用状態遷移プロシジャ | BasicApplication |
MQDの拡張機能用状態遷移プロシジャ | BasicApplication |
MQDクラスタサービスを設定する
クラスタ運用管理ビューを使用して、サービスの設定を行います。クラスタ運用管理ビューの詳細については“PRIMECLUSTER 導入運用手引書”を参照してください。
MQDクラスタサービスの設定内容
MQDクラスタサービスの設定内容は表6.4 サービス設定内容のとおりです。
設定項目 | 設定内容 | |
---|---|---|
サービス名 | 任意 | |
運用形態 | Standby | |
ノード | 運用ノード | 運用インスタンスを登録するノード |
待機ノード | 待機インスタンスを登録するノード | |
リソース | 上表 MQDのリソース一覧を参照 | |
アプリケーション依存関係 | 下図 リソース起動優先度を参照 | |
共用ディスク装置の使用種別 | 切替えディスク |
起動優先度
サービスを構成するアプリケーションが複数からなり起動優先度を設定する必要がある場合は、起動順番の優先度を設定します。下図に、MQDに関するリソースの起動優先度を示します。使用するリソースについて、図6.8 リソース起動優先度の順に起動するように優先度を設定します。
図6.8 リソース起動優先度
(*)詳細は”Interstage 高信頼性システム運用ガイド”を参照してください。