本章では、ホストで指定する電話番号文字列を利用した拡張機能について説明します。
送信先電話番号の末尾にK端末FAXサポート固有の文字列(「KFAX特殊文字」と呼びます)を付加することで、当該宛先への送信条件を一時的に切り替えることができます。
切り替えた送信条件は、指定時の送信ジョブにのみ有効となり、正常/異常にかかわらず送信処理が終了すると元の送信条件に戻ります。
*CC*XXYY....
先頭の“*CC*”は固定、XX,YYは以下の文字が指定できます。
なお、同じカテゴリの指定が複数指定された場合は最後(終端側)の指定が有効になります。
カテゴリ | 指定文字 | 送信条件 |
---|---|---|
最大通信速度 | B1 | 2400bps |
B2 | 4800bps | |
B3 | 7200bps | |
B4 | 9600bps | |
B5 | 12000bps | |
B6 | 14400bps | |
ECMリトライ時 下限通信速度 (n:1~6) | Bn*1 | 2400bps |
Bn*2 | 4800bps | |
Bn*3 | 7200bps | |
Bn*4 | 9600bps | |
Bn*5 | 12000bps | |
Bn*6 | 14400bps | |
通信圧縮方式 | C1 | MHのみ[G3モード] |
C2 | MHまたはMR[G3モード] | |
C5 | ECMモード(MH/MR/MMR) | |
D1 | モード1:四隅マークあり・ノーカット(ロール紙向け) | |
D2 | モード2:四隅マークあり・下部空白カット(カット紙向け) | |
D3 | モード3:四隅マークあり・やや小さめの自動調整サイズ | |
D4 | モード4:四隅マークなし・ノーカット(ロール紙向け) | |
D5 | モード5:四隅マークなし・下部空白カット(カット紙向け) | |
D6 | モード6:四隅マークなし・やや小さめの自動調整サイズ | |
コメント機能 | #xxx | (送信条件には影響なし) |
注意
指定文字はホスト側(コマンドまたは電話番号リストの電話番号項目)で指定します。
なお、上記以外の文字は指定しないでください。指定した場合の動作は保証できません。
■最大通信速度
特定のFAX装置に対してのみ最大通信速度を変更できます。
例えば、K端末FAXサポートの「送信環境」の「最大通信速度」が9600bpsに設定してある環境で、特定の送信先では確実に14400bpsで正常送信できることを確認している場合は、この送信先に対してだけ14400bpsで送信できます。
送信条件の内容については「3.3.2 送信環境の設定」の「■最大通信速度」を参照してください。
■ECMリトライ時の下限通信速度
特定のFAX装置に対してのみECMリトライ時の下限通信速度を変更できます。
指定する場合は必ず最大通信速度指定文字"Bn"直後に記述します。
送信条件の内容については「3.3.2 送信環境の設定」の「■ECMリトライ(下限通信速度)」を参照してください。
■通信圧縮方式
特定のFAX装置に対してのみ通信圧縮方式を変更できます。
例えば、ECMモードで特定の送信先のみ送信に時間がかかりすぎる場合は、通信路の雑音等で訂正処理が頻繁に発生している可能性があります。このような送信先に対しては、多少印刷結果が乱れてもECMモードを使用しないで送信した方が送信時間が短縮できる場合があります。
送信条件の内容については「3.3.2 送信環境の設定」の「■通信圧縮方法」を参照してください。
■データ出力モード
K端末FAXサポートには、送信するイメージデータの出力モードとして、四隅マークと帳票データ展開の組み合わせにより6種類が存在します(表5.3 データ出力モードの種類を参照)。
四隅マークとは、送信画像の範囲を示すためもので、イメージデータの四隅にL型の短い線を付加して送信します。
また、帳票データ展開は、カット紙タイプのFAX装置の用紙分割に対処できるよう3パターンを用意しています。
データ出力モードを指定しない場合、通常はモード1で動作し、LBPにおけるカット紙印刷に相当するようにデータを送信します(ノーカット)。
詳細な印刷動作については、「D.4 印刷方向/縮小動作」をご覧ください。
下表にデータ出力モードの決定条件を示します。
条件(イメージデータ生成時の状況) | 動作するデータ出力モード | ||
データ出力モード Dn | FAX装置から受信した縦方向サイズ情報 | ||
なし | 指定なし | 無制限 | モード1 |
A4/B4/A3 | モード2 | ||
指定あり | (影響なし) | モードn | |
あり | 指定なし | 無制限 | モード4 |
A4/B4/A3 | モード5 | ||
指定あり | (影響なし) | モードn |
データ出力モードを指定しない場合は、FAX装置から通知されてくる情報によりモードを判断しますが、ほとんどのFAX装置は"無制限"を通知してきます、そのため、カット紙タイプのFAX装置であってもモード1(またはモード4)で動作することになり、機種によっては1枚の紙に収まらない場合があります。詳細は「用紙分割について」を参照してください。
| ノーカット(ロール紙向け) | 下部空白カット(カット紙向け) | やや小さめ(自動調整) |
マーク | モード1 | モード2 | モード3 |
マーク | モード4 | モード5 | モード6 |
動作 | 印刷域の下部空白部分のデータもノーカットで送信します。 (印刷内容はLBPの場合より若干小さくなります) | 印刷域の下部空白部分のデータは送信しません(一定量付加)。 | 印刷域全体をやや小さめに自動調整して出力します(縦、横、または縦横共ノーカット時の94%~100%の範囲)。 |
:用紙*
:イメージデータ
* 図はカット紙の例です。ロール紙ではイメージデータの周りの上下の余白は生じません。
また、セットされているロール紙の幅によっては左右の余白も生じません。
参考
カット紙タイプのFAX装置に対し、モード1(またはモード4)でイメージデータを送信すると、イメージデータの展開長が用紙の長さ方向の印刷域を超える可能性があります。
この状態が生じた場合、FAX装置側の仕様により、超える部分が空白であるかに関係なく、次の例のような用紙分割動作が生じることが予想されます。
1枚目を印刷後、超えたデータを捨てて動作終了する → 正常終了
1枚目を印刷後、超えたデータを次の用紙に印刷する → 正常終了
1枚目を印刷後、FAX装置側で通信を切ってくる → FAX通信エラー
また、次の例のようにFAX装置側の機能により、用紙分割動作を回避する場合もあります。
メモリ受信を利用し、自動的に縮小して1枚に印刷する → 正常終了
メモリ受信を利用し、超えたデータが空白だけであれば2枚目は出力しない → 正常終了
特定のカット紙タイプのFAX装置に対してのみFAX通信エラーが発生する場合は、用紙分割が原因の可能性があるため、その場合は、データ出力モードにモード3(またはモード6)を指定してエラーを回避してください。(モード2、モード5でもかまいません)
■コメント機能
シャープ文字(#)に続いて指定した数字を、K端末FAXサポートで出力されるFAXログの「FAX番号」欄に格納します。(※「FAX番号欄」は詳細なFAXログにだけ出力されます)
このコメント部分に、伝票番号等を設定して送信を行うことで、ホスト側のFAXログとK端末FAXサポート側のFAXログまたは帳票(伝票番号が出力されている場合)などの突き合せを行うことができます。
注意
数字以外の文字はFAXログに格納されない場合があるため使用しないでください。
例
“03-1234-5678*CC*B5”
最大通信速度を12000bpsとして送信する。
“03-1234-5678--*CC*B3D6”
最大通信速度を7200bps、データ出力モードをモード6(マークなし/やや小さめ)で送信する(“*CC*”の手前の2個のハイフン(-)は見やすくするために使用した例です)。
“03-1234-5678--*CC*B6*2#1234567890”
最大通信速度を14400bps、ECMリトライ時の下限通信速度を4800bpsで送信する。
また伝票番号[1234567890]をFAXログに格納するため#以降で指定する(コメント機能)。