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PRIMECLUSTER Global Link Services 説明書 4.4 (伝送路二重化機能編)
FUJITSU Software

3.2.2 ネットワークの設定

3.2.2.1 各方式共通の設定

(1) 物理インタフェースの設定

伝送路二重化機能で使用する物理インタフェースを設定します。

物理インタフェースの設定内容は、二重化方式および基本ソフトウェア(OS)により異なります。各設定の違いについて、表3.8 物理インタフェースの設定パターンに示します。

表3.8 物理インタフェースの設定パターン

二重化方式

タグVLAN
未使用

タグVLAN
使用

高速切替方式(IPv4)

設定1

設定3

高速切替方式(IPv6)

設定2

設定4

高速切替方式(Dual)

設定1

設定3

NIC切替方式(IPv4)

プライマリ
インタフェース

設定1

設定3

セカンダリ
インタフェース

設定2

設定4

NIC切替方式(IPv6)

プライマリ
インタフェース

設定2

設定4

セカンダリ
インタフェース

設定2

設定4

NIC切替方式(Dual)

プライマリ
インタフェース

設定1

設定3

セカンダリ
インタフェース

設定2

設定4

仮想NIC方式

設定5

設定5

GS連携方式

設定1

未サポート

ポイント

  • OSがRHEL7の場合、NICのインタフェース名は環境によって異なりますので、本書に記載されているインタフェース名(ethX)は環境に合わせて読み替えてください。また、ifcfg-ethXファイル名も環境に合わせて読み替えてください。

  • OSがRHEL7.1以降の場合、物理インタフェースの設定(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイル)の“HWADDR=XX:XX:XX:XX:XX:XX”は省略できます。

    仮想NIC方式の場合の設定例
    DEVICE=ethX
    BOOTPROTO=static
    HOTPLUG=no
    ONBOOT=yes
    DEVICETYPE=hanet

注意

  • GLSが束ねる物理インタフェースの設定(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイル)には、“HOTPLUG=no”の設定を追加してください。なお、タグVLANインタフェースを束ねる場合は不要です。

  • タグVLANインタフェース名は、eth0.1のようにインタフェース名.VLAN-IDの形式のみ使用可能です。

参考

“HOTPLUG=no”の設定は、PCIホットプラグ機能を無効化するものではありません。“HOTPLUG=no”を設定した物理インタフェースに対しても、NIC(PCIカード)の活性保守は可能です。

設定1

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX

DEVICE=ethX
BOOTPROTO=static
HWADDR=XX:XX:XX:XX:XX:XX
HOTPLUG=no
BROADCAST=XXX.XXX.XXX.XXX
IPADDR=XXX.XXX.XXX.XXX
NETMASK=XXX.XXX.XXX.XXX
NETWORK=XXX.XXX.XXX.XXX
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet
設定2

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX

DEVICE=ethX
BOOTPROTO=static
HWADDR=XX:XX:XX:XX:XX:XX
HOTPLUG=no
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet
設定3

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX

DEVICE=ethX
BOOTPROTO=static
HWADDR=XX:XX:XX:XX:XX:XX
HOTPLUG=no
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX.Y

DEVICE=ethX.Y
BOOTPROTO=static
BROADCAST=XXX.XXX.XXX.XXX
IPADDR=XXX.XXX.XXX.XXX
NETMASK=XXX.XXX.XXX.XXX
NETWORK=XXX.XXX.XXX.XXX
ONBOOT=yes

参考

NIC切替方式を使用して物理インタフェースを束ねる仮想インタフェースとタグVLANインタフェースを束ねる仮想インタフェース間で物理回線を共有する場合、ifcfg-ethXに対して設定1と同じようにIPアドレス(IPADDR=)等を設定する必要があります。例えば、sha0がeth0,eth1を束ねて、sha1がeth0.2,eth1.2を束ねる場合、ifcfg-eth0の設定は設定3のifcfg-ethXではなく設定1のifcfg-ethXに従って設定します。

設定4

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX

DEVICE=ethX
BOOTPROTO=static
HWADDR=XX:XX:XX:XX:XX:XX
HOTPLUG=no
ONBOOT=yes
TYPE=Ethernet

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX.Y

DEVICE=ethX.Y
BOOTPROTO=static
ONBOOT=yes
設定5

/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethX

DEVICE=ethX
BOOTPROTO=static
HWADDR=XX:XX:XX:XX:XX:XX
HOTPLUG=no
ONBOOT=yes
DEVICETYPE=hanet

(2) 物理インタフェースの確認

使用する物理インタフェースがシステムに実装されているかどうかを、ifconfigコマンドまたはipコマンドを実行して確認してください。また、物理インタフェースがUP状態のときにifconfigコマンドであれば“RUNNING”、ipコマンドであれば“LOWER_UP”が表示されることを確認してください。“RUNNING”または“LOWER_UP”が表示されない場合はリンクダウンしている可能性があります。ケーブルやスイッチ/HUBの速度設定が正しいことを確認してください。なお、リンク状態はethtoolコマンドを使用して確認してください。

# ifconfig -a
eth0      Link encap:Ethernet  HWaddr XX:XX:XX:XX:XX:XX
          inet addr:192.168.70.2  Bcast:192.168.70.255  Mask:255.255.255.0
          inet6 addr: fe80::xxx:xxxx:xxxx:xxxx/64 Scope:Link
          UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RX packets:2140 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
          TX packets:2140 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
          collisions:22 txqueuelen:1000
          RX bytes:278285 (271.7 KiB)  TX bytes:273656 (267.2 KiB)
          Base address:0xec80 Memory:d2fc0000-d2fe0000
eth1      Link encap:Ethernet  HWaddr XX:XX:XX:XX:XX:XX
          inet addr:192.168.71.2  Bcast:192.168.71.255  Mask:255.255.255.0
          inet6 addr: fe80::xxx:xxxx:xxxx:xxxx/64 Scope:Link
          UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RX packets:2138 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
          TX packets:2118 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
          collisions:0 txqueuelen:1000
          RX bytes:278492 (271.9 KiB)  TX bytes:273666 (267.2 KiB)
          Base address:0xecc0 Memory:d2fe0000-d3000000

上記例の場合、eth0とeth1が使用可能であることがわかります。ifconfigコマンドとipコマンドの詳細については、Linuxのマニュアルを参照してください。

参考

タグVLANインタフェースを使用する場合は、使用するNICがタグVLAN機能(IEEE802.1Q)に対応していることを確認してください。
なお、伝送路二重化機能として指定可能なVLAN-IDの有効範囲は、1~4094までです。

(3) ネームサービスの設定確認

DNS運用、NIS運用などのネームサービスを使用する場合には、hostsのキーワードには、先にローカルファイルを参照するように設定(/etc/nsswitch.confファイル)してください。本設定により、DNSサーバまたはNISサーバと通信ができない状態でもアドレス解決が正常に実行されます。以下に、/etc/nsswitch.confファイルの設定例を示します。

#
# /etc/nsswitch.conf
#
# An example Name Service Switch config file. This file should be
# sorted with the most-used services at the beginning.
#
# The entry '[NOTFOUND=return]' means that the search for an
# entry should stop if the search in the previous entry turned
# up nothing. Note that if the search failed due to some other reason
# (like no NIS server responding) then the search continues with the
# next entry.
#
# Legal entries are:
#
#       nisplus or nis+         Use NIS+ (NIS version 3)
#       nis or yp               Use NIS (NIS version 2), also called YP
#       dns                     Use DNS (Domain Name Service)
#       files                   Use the local files
#       db                      Use the local database (.db) files
#       compat                  Use NIS on compat mode
#       hesiod                  Use Hesiod for user lookups
#       [NOTFOUND=return]       Stop searching if not found so far
#

# To use db, put the "db" in front of "files" for entries you want to be
# looked up first in the databases
#
# Example:
#passwd:    db files nisplus nis
#shadow:    db files nisplus nis
#group:     db files nisplus nis

passwd:     files
shadow:     files
group:      files

#hosts:     db files nisplus nis dns
hosts:      files dns
.....

参考

GLSの設定にIPアドレスではなくホスト名を指定している場合は、ホスト名変換機能(hanetparam -hで設定)を有効にしてください。これにより、GLSは、/etc/nsswitch.confファイルの設定に依存せずに/etc/hostsファイルのみを使用してアドレス解決を行うことができます。

(4) IPv6 RAデーモンの設定

GLSでは、RA(router advertisement)を送信するデーモンとして、radvd(router advertisement daemon for IPv6)を使用することができます。高速切替方式でIPv6(dual)を使用する場合、仮想インタフェースからRAを送信するために、GLSを使用しているホストでRAデーモンを起動する必要があります。それ以外の場合は、起動する必要はありません。設定方法は以下のとおりです。


radvdの設定

  1. /etc/radvd.conf に設定を記述します。

    sha0からRA(router advertisement)でネットワーク情報(ネットワークfec0:1::、prefix長64)を送信する場合、以下のように記述します。
    radvdのバージョンによっては、カーネルパラメータの設定(net.ipv6.conf.all.forwarding=1)を/etc/sysctl.confに記述する必要があります。詳細については、radvd.conf(5)、radvd(8)のマニュアルを参照してください。

    interface sha0
    {
            AdvSendAdvert on;          # ルータ広報を送信
            MinRtrAdvInterval 3;
            MaxRtrAdvInterval 10;
            prefix fec0:1::0/64        # sha0からPrefix fec0:1::0/64を送信
            {
                    AdvOnLink on;
                    AdvAutonomous on;
                    AdvRouterAddr on;
            };
    };
  2. システム起動時に、radvdが起動するように設定します。

    • RHEL6の場合

      radvdをシステム起動時(ランレベル2,3,5の時)に、起動するように設定します。

      # chkconfig --level 235 radvd on
    • RHEL7の場合

      radvdサービスを有効化します。

      # systemctl enable radvd.service
  3. radvdの設定を確認します。

    • RHEL6の場合

      ランレベル2,3,5の時、radvdが起動するように設定されたかを確認します。

      # chkconfig --list radvd
      radvd            0:off   1:off   2:on   3:on    4:off    5:on    6:off
    • RHEL7の場合

      radvdサービスがenabledになっていることを確認します。

      # systemctl is-enabled radvd.service
      enabled

(5) 経路の設定

IPv4またはIPv6の経路を設定する方法を以下に示します。

デフォルトゲートウェイの設定

/etc/sysconfig/networkファイルにデフォルトゲートウェイアドレス(GATEWAY)を記述します。

/etc/sysconfig/network
GATEWAY=192.168.1.254

IPv6かつNIC切替方式の場合は、OSのネットワーク設定ファイルではなく、ユーザコマンド実行機能を使用して設定してください。ユーザコマンド実行機能の設定ファイルには、IPアドレスの活性化後のタイミングで、IPv6の経路を割り当てるOSのコマンドを実行するように記載してください。詳細は、Linuxのマニュアル(ip(6)、route(8)等)を参照してください。

参考

  • NIC切替方式で束ねる物理インタフェースに対して、デフォルトゲートウェイデバイス(GATEWAYDEV)は設定できません。

  • NIC切替方式を使用している環境で、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイルにデフォルトゲートウェイ(GATEWAY)を設定する場合、束ねている両方のNICに対して実施してください。なお、/etc/sysconfig/networkファイルと/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイルに異なるGATEWAYを設定した場合、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイルの設定が優先されます。

    # /opt/FJSVhanet/usr/sbin/hanetconfig print                       
    [IPv4,Patrol / Virtual NIC]                                                     
                                                                      
     Name        Hostname        Mode Physical ipaddr   Interface List
    +-----------+---------------+----+-----------------+--------------
     sha0        192.168.1.10     e                     eth1,eth2     
                                                                      
    # cat /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth1                   
    DEVICE=eth1                                                       
    (省略..)                                                          
    GATEWAY=192.168.1.254                                             
                                                                      
    # cat /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth2                   
    DEVICE=eth2                                                       
    (省略..)                                                          
    GATEWAY=192.168.1.254                                             
  • 仮想NIC方式を使用している環境で、/etc/sysconfig/networkファイルを使用しない場合、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-shaXファイルに経路の設定をしてください。NIC切替方式のように、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイルに設定する必要はありません。詳細は、“3.3.3 仮想NIC方式”を参照してください。


静的経路の設定

ルーティングテーブルに静的経路を設定する場合、“/etc/sysconfig/network-scripts/route-インタフェース名”ファイルに設定を行います。

(6) タグVLANモジュールの設定

GLSの高速切替方式、NIC切替方式または仮想NIC方式で、タグVLANインタフェースを使用するには、LinuxにタグVLANのモジュールをロードさせる必要があります。以下のように設定を行います。


タグVLANモジュールをロードさせる設定

  1. /etc/sysconfig/networkにシステム起動時にタグVLANを使用する設定を行います。

    VLAN=yes
  2. システムをリブートします。

    # /sbin/shutdown -r now
  3. タグVLANのモジュールがロードされていることを確認します。

    # lsmod | grep 8021q
    8021q                  18760   1

3.2.2.2 高速切替方式の設定

IPv4/IPv6で共通の設定

IPv4アドレスを使用する場合

IPv6アドレスを使用する場合

3.2.2.3 NIC切替方式の設定

IPv4/IPv6で共通の設定

IPv4アドレスを使用する場合

IPv6アドレスを使用する場合

3.2.2.4 仮想NIC方式の設定

GLSが束ねる物理インタフェースの設定(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイル)は、以下のように記述してください。

表3.9 物理インタフェースの設定項目

項目

値(設定例)

説明

DEVICE

ethX

デバイスの名前を設定します。“ethX”を設定します。

BOOTPROTO

static

IPアドレスを取得する際のプロトコルを指定します。“static”または“none”を設定します。

HWADDR

XX:XX:XX:XX:XX:XX

デバイスのMACアドレスを設定します。

HOTPLUG

no

ホットプラグの有無を設定します。“no”を設定します。

ONBOOT

yes

OS起動時に物理インタフェースを起動するかを選択します。“yes”を設定します。

DEVICETYPE

hanet

デバイスの種別を設定します。“hanet”を設定します。

MTU

9000

MTU長を設定します。
MTU長を設定する場合は、プライマリインタフェースおよびセカンダリインタフェースの設定ファイル(ifcfg-ethX)と、仮想インタフェースの設定ファイル(ifcfg-shaX)に、同じ値を設定してください。

記述例は以下の通りです。

物理インタフェースの設定(/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-ethXファイル)のバックアップを作成する際には、ファイル名の先頭を“ifcfg-”以外の名前にしてください。(例:bak_ifcfg-ethX)

ファイル名の先頭を“ifcfg-”としている場合、システム起動時にOSが活性化対象のインタフェースと誤認してしまう可能性があります。

ポイント

  • GLSが束ねる物理インタフェースに対して“TYPE=Ethernet”を設定しないでください。設定した場合、GLSが正しく動作しません。

  • IPADDRなどアドレスは不要です。設定しないでください。

  • OS起動時にデバイス名がずれないように、HWADDRとONBOOT=yesを設定してください。

  • HWADDRには、NIC固有のMACアドレスを設定してください。

  • GLSの仮想インタフェースが束ねる物理インタフェースの設定(ifcfg-ethX)に対して、「DEVICETYPE=hanet」の項目を追加してください。

  • MTU長を変更する場合は、必ず1280以上を設定してください。

3.2.2.5 GS連携方式の設定