富士通メインフレームと統合ATMセンタとの通信について説明します。
セション制御は、FNAセションとPVC間の論理的な通信経路を開設・閉塞することで統合ATMセンタとのPVCの接続・切断を制御します。
通信経路の開設は、統合ATMセンタからのPVC接続を可能にして、各回線の回線オープン依頼および入側パス閉塞解除依頼を受信することにより、回線およびパスを接続します。
通信経路の閉塞は、統合ATMセンタとのPVCを切断します。
通信経路の開設・閉塞する契機として、以下の2つの方式があります。
連動方式
FNAセションの確立・解放と連動して、通信経路の開設・閉塞を行います。連動方式は、FNAセション確立時に通信経路を開設するため、PVCが接続されるまで一定時間(最大5秒)を要します。
非連動方式
FNAセションの確立・解放とは連動せず、pvc資源の活性化・非活性化を契機に、通信経路の開設・閉塞を行います。非連動方式は、常にPVCを接続しておくことができるため、FNAセション確立直後に通信可能となります。
セション管理機能の方式は、sys定義文のpathcntlオペランドで指定します。連動方式と非連動方式の処理について、以下に説明します。
連動方式には、通信経路の開設・閉塞契機に応じて、以下の方式があります。
完全連動方式
業務連動方式
セション連動方式
連動方式での通信経路の開設・閉塞契機を表1.1に示します。
通信経路 | 通信経路の開設・閉塞契機 | ||
---|---|---|---|
完全連動方式 | 業務連動方式 | セション連動方式 | |
通信経路の開設 | PVC配下のすべてのFNAセション確立時 | PVC配下のすべてのFNAセション確立時 | PVC配下の最初のFNAセション確立時 |
通信経路の閉塞 | PVC配下の最初のFNAセション解放時 | パスごとの送信用または受信用のすべてのFNAセション解放時 | PVC配下のすべてのFNAセション解放時 |
回線切断時 | PVC配下のすべての回線切断時 | PVC配下のすべての回線切断時 |
※1 : sys定義のpathwttmオペランド値の時間が経過後、パスごとの送信用および受信用のFNAセションがそれぞれ1つ確立された場合、通信経路を開設します。
PVC配下のすべてのFNAセションの確立を契機として、通信経路を開設し、統合ATMセンタからのPVC接続依頼を受信することにより、PVCが接続され、各回線の回線オープン依頼および入側パス閉塞解除依頼を受信することにより、回線およびパスを接続します。
完全連動方式のFNAセション確立による通信経路の開設を図1.12に示します。
PVC配下の最初のFNAセションの解放時に、通信経路を閉塞し、PVCを切断します。
完全連動方式のFNAセション解放による通信経路の閉塞を図1.13に示します。
通信経路を閉塞時、sys定義文のpathwttmオペランドに指定した時間が経過後、PVC配下のすべてのFNAセションを強制解放します。
統合ATMセンタより回線が切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知および通信経路を閉塞します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知および通信経路の閉塞を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
完全連動方式の回線切断による通信経路の閉塞を図1.14に示します。
PVC配下のすべてのFNAセションの確立を契機として、通信経路を開設し、統合ATMセンタからのPVC接続依頼を受信することにより、PVCが接続され、各回線の回線オープン依頼および入側パス閉塞解除依頼を受信することにより、回線およびパスを接続します。
業務連動方式のFNAセション確立による通信経路の開設を図1.15に示します。
なお、sys定義文のpathwttmオペランドに指定した時間内に、PVC配下のすべてのFNAセションが確立されない場合でも、その監視時間を経過した時点でパスごとの送信用または受信用のFNAセションがそれぞれ1つ確立された時点で業務運用可能と判断して、通信経路を開設します。
PVC配下のパスごとの送信用または受信用のいずれかのFNAセションがすべて解放された時点で、通信経路を閉塞し、PVCを切断します。
業務連動方式のFNAセション解放による通信経路の閉塞を図1.16に示します。
通信経路を閉塞時、sys定義文のpathwttmオペランドに指定した時間内に、PVC配下のすべてのFNAセションが解放されない場合は、FNAセションを強制解放します。
統合ATMセンタから回線が切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
回線が切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知します。
PVC配下のすべての回線が切断された時点で、通信経路を閉塞し、PVCを切断します。
業務連動方式の回線切断を図1.17に示します。
PVC配下の最初のFNAセションの確立を契機として、通信経路を開設し、統合ATMセンタからのPVC接続依頼を受信することにより、PVCが接続され、各回線の回線オープン依頼および入側パス閉塞解除依頼を受信することにより、回線およびパスを接続します。
セション連動方式のFNAセション確立による通信経路の開設を図1.18に示します。
PVC配下のすべてのFNAセションの解放された時点で、通信経路を閉塞し、PVCを切断します。
セション連動方式のFNAセション解放による通信経路の閉塞を図1.19に示します。
統合ATMセンタより回線が切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
PVC配下のすべての回線が切断された時点で、通信経路を閉塞し、PVCを切断します。
セション連動方式の回線切断による通信経路の閉塞を図1.20に示します。
pvc資源が活性になった時点で、通信経路を開設し、統合ATMセンタからのPVC接続依頼を受信することにより、PVCが接続され、各回線の回線オープン依頼および入側パス閉塞解除依頼を受信することにより、回線およびパスが接続されます。その後、FNAセションが確立した時点で、富士通メインフレームとの通信が可能となります。
なお、pvc資源が活性となるのは、以下の場合です。
pvc定義文のautoactオペランドに“yes”を指定し、NETSTAGE/FIC 統合ATM接続オプションを起動する。
状態操作コマンド(nficcntl)でpvc資源を活性化する。
pvc資源の強制非活性を実施することで、PVC配下のすべての回線を切断、およびFNAセションを強制解放し、通信経路を閉塞します。
非連動方式には、回線未接続時、FNAセションの確立要求を受け付けるかどうか、回線切断時にFNAセションを強制解放するかどうかを選択する以下の方式があります。
非連動(セション解放)方式
非連動(セション未解放)方式
完全非連動方式
非連動方式の回線とFNAセションの確立・解放の制御を表1.2に示します。
FNAセションを制御する契機 | 非連動 | 非連動 | 完全非連動方式 |
---|---|---|---|
回線未接続時のFNAセション確立要求に対する制御 | FNAセション確立要求を拒否します。 | FNAセション確立要求を拒否します。 | FNAセション確立要求を受け付けます。 |
回線切断時のFNAセションに対する制御 | FNAセションを強制解放します。 | FNAセションの確立状態を継続します。 | FNAセションの確立状態を継続します。 |
回線が接続されていない場合、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからのFNAセションの確立要求を拒否します。
非連動(セション解放)方式のFNAセション確立要求を図1.21に示します。
富士通メインフレーム上の業務アプリケーションよりFNAセションを解放した場合でも、NETSTAGE/FIC 統合ATM接続オプションからはPVCを切断しません。
回線が切断された場合、確立状態のFNAセションにFNAセション強制解放を通知します。
なお、sys定義文のrlswattmオペランド値に指定した時間が経過するまで、確立状態のFNAセションへの強制解放の通知を保留し、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからの業務終了によるFNAセション解放要求を受け入れて肯定応答を通知します。
回線が接続されていない場合、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからのFNAセションの確立要求を拒否します。
富士通メインフレーム上の業務アプリケーションよりFNAセションを解放した場合でも、NETSTAGE/FIC 統合ATM接続オプションからはPVCを切断しません。
統合ATMセンタから回線切断時はFNAセションを解放しません。
回線が接続されていない場合でも、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションからのFNAセションの確立要求を受け付けます。ただし、FNAセションの確立要求を受け付け後、統合ATMセンタから回線切断された場合でも、FNAセションを解放しません
完全非連動方式のFNAセション確立要求を図1.22に示します。
富士通メインフレーム上の業務アプリケーションよりFNAセションを解放した場合でも、NETSTAGE/FIC 統合ATM接続オプションからはPVCを切断しません。
統合ATMセンタから回線切断された場合でも、FNAセションを解放しません。
FNAセションまたは回線の一方が使用できない場合でも、同じPVC配下の別のFNAセションまたは回線を使用して通信を継続します。この機能を代行通知機能といいます。
代行通知機能は、PVC定義文(pvc)のagentオペランドで定義します。
統合ATMセンタへの電文送信、統合ATMセンタからの電文受信および統合ATMセンタからの回線切断について以下に説明します。
統合ATMセンタへの電文送信
代行通知機能を使用する場合、FNAセションと対応づけられた回線が未接続のとき、PVC配下の接続済の回線を使用して電文を送信します。ただし、PVC配下の回線がすべて未接続の場合は、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションに対して否定応答を通知します。
なお、代行通知機能を使用しない場合、FNAセションと対応づけられた回線が未接続のときは、富士通メインフレーム上の業務アプリケーションに対して否定応答を通知します。
代行通知機能を使用する場合の統合ATMセンタへの電文送信を図1.23に示します。
統合ATMセンタからの電文受信
代行通知機能を使用する場合、回線と対応づけられたFNAセションが未確立のとき、PVC配下の同じ種類のパスに対応づけられた確立済のFNAセションで電文を受信します。富士通メインフレームからの送信許可応答(IPR)を契機に、統合ATMセンタへ電文送信結果(正常)を送信します。
代行通知機能を使用しない場合、回線と対応づけられたFNAセションが未確立のとき、統合ATMセンタへ電文送信結果(異常)を送信します。
代行通知機能を使用する場合の統合ATMセンタからの電文受信を図1.24に示します。
統合ATMセンタからの回線切断